PC-98/エプソン98互換機のHDD内蔵用金具


PC-98デスクトップ機のHDD内蔵用金具に関しては,HAMLIN's PAGE --> 筐体関係 --> CASE_4 専用金具 において詳細な資料が公開されており,またかつては東映無線のウェブページにもまとまった資料が掲載されていました(後者はInternet Archiveで閲覧できますが,残念ながら一部の金具の画像が失われるなどしています).本記事では主としてこれらの資料に収録されていないHDD内蔵用金具を取り上げます.


■PC-9801UX用
PC-9801UX-31(SASI HDDユニット)のフレーム部分(と基板部分)が該当します.下はPC-9801UX-31からHDDを抜いた状態のものです.出品者IDが hamayokotobe,オークションIDが 387037957 のヤフーオークションの出品物(2019年11月20日に落札)の商品説明画像から切り出して併置し半分に縮小後jpg形式に再変換した画像を引用します.


■PC-9801VM11/RX/RS/RA2・5/RA21・51/DX/DS/DA/PC-98RL用
PC-9801RA-34・-35, PC-9801DA-35(SASI HDDユニット),PC-9801RA-37, PC-9801DA-37, PC-98RL-37(SCSI HDDユニット)およびその同等品(VM11, RA2・5, RXではSASI HDDユニットのみ対応)のフレーム部分(と基板部分)が該当します.

SASI I/F基板またはSCSI I/F基板がユニットに組み込まれています(前者のカードエッジは一枚,後者のものは二枚).I/F基板のカードエッジ部はHDDに給電するための電源端子を備えておらず,HDDへの電源供給は本体の専用コネクタと接続されるケーブルにより行われます.なおNEC製のSCSI HDDユニットのI/F基板はNECチェックを行っています.

SCSI HDDユニットのI/F基板が認識できるHDDの容量は製品により異なります.1GB程度のHDDでは容量が大きすぎて認識できないI/F基板がありました.I/F基板を残したままHDDを換装する場合にはご注意下さい.

下の画像はサードパーティー製のSCSI HDDユニット(メーカーと型番のメモは残っていません)です.上段がHDDとSCSI I/F基板が組み込まれている元々の状態で,下段がこれらが取り外されて金具だけになった状態です.元々のHDDは金具の幅の狭い方の側面にネジ留めされていましたが,一般にこのネジの位置はより新しいHDDのものとは異なるため(二カ所だけであれば元々のネジ穴を利用して固定できます),幅の広い方の側面に新たに四個のネジ穴を開けてあります.


なおPC-9801EX/ES等用のものはこれらのユニットとI/F基板が異なりますが(カードエッジコネクタはなく,代わりにフラットケーブルをCバス籠脇のコネクタに接続するようになっています),金具の部分を単にHDDマウンタとして利用する場合には代用可能な製品もあります.下はSASI HDDユニットである日本テクサ製のES-HC80S(ドライブ自体はSCSIですが,PC本体からはSASIとして扱われるといいます)からHDDを抜いたものです.出品者IDが mokekyo,オークションIDが 402444237 のヤフーオークションの出品物(2019年9月21日に落札)の商品説明画像から切り出して併置し60%に縮小後jpg形式に再変換した画像を引用します.


■PC-9821Ce2/Cs2/Cx用
PC-HD170C・340C等および同等品のフレーム部分が該当します.出品者IDが hamayokotobe,オークションIDが q277690568 のヤフーオークションの出品物(2019年11月29日終了予定)の商品説明画像から切り出して併置し半分に縮小後jpg形式に再変換した画像を引用します.



■PC-9801BX/BA/BX2/BA2/BS2, PC-9821Xa/Xf/Xe/Xs/Xp/Xn用
PC-9801B-36・-37・-38のHDD固定用金具およびその同等品が該当します.


■PC-9801BX3/BA3用
PC-9801B3-E01およびその同等品が該当します.


■PC-9801BX4,PC-9821Xe10用
PC-9801B4-E01およびその同等品が該当します.BX3/BA3用のものと似ていますが,少し異なっています.下の画像はメルコ製のDBN-BX4です.


■PC-9801FX/FS/FA,PC-9821Ae/As/Ap/Af/As2/Ap2/An/As3/Ap3用
(1) 固定ディスク専用スロット用
PC-9821A-E05・-06・-07,PC-HD170A・-240A・-340A・-510A(IDE HDDユニット,通称 "IDE籠"),PC-9801FA-35・-37・-39(SCSI HDDユニット,通称 "SCSI籠")およびその同等品のフレーム部分と基板部分が該当します(PC-9801FX/FS/FAはSCSI HDDユニットのみ対応).NEC製のSCSI HDDユニットのうち,PC-9801FA-35・-37・-39あたりに内蔵されているHDDはNECベンダを返しますが,NECチェックを行うSCSI I/Fを使用しない限り,これらのドライブを他のものに換装することはもちろん可能です.なおICM製のSCSI籠の初期型?(富士電機製のセミカスタムHDDが使用されていたようです)では,カードエッジのパターンが他のSCSI籠と異なり(端子が一本少ない),ドライブを換装して使用することができないとも言われますが(A-MATEr's BBS 過去ログ その63 など),筆者はそれを現物で確認したことはありません.

IDE籠では認識されるHDDの容量はMATE-A本体により決まり,PC-9821Ae/As/Ap/Af/As2/Ap2/An(BIOSアップデート前)では540MB,PC-9821An(BIOSアップデート後)/As3/Ap3では4.3GBが認識される最大の容量となります.
一方,SCSI籠ではSCSI I/Fにより認識されるHDDの最大容量が決まります.特に古いI/Fでは1GBのHDDを正常に認識できない製品も存在します.
例えば,IBM製のDPES-31080(容量1034MB,Cyln/Hed/Sec = 4902/ 4/ 108)を接続した場合,SCSIインタフェーススロットに装着するSCSI I/Fのうち,
 ・CPC-FISA (Computer Research製) ではHDDのアクセスランプが点灯しっ放しとなり使用できない
 ・LHA-15FA (BIOS ROM ver.1.00,Logitec製)では容量が170MBと誤認識される
 ・EIF-98FB (BIOS ROM ver.1.00N,ELECOMM製) では容量が170MBと誤認識される
 ・B55F-BWN (BIOS ROM ver.2.11N,テクノジャパン製?) では容量が170MBと誤認識される
 ・HA-FA02 (EZPHA-FA02-1) (BIOS ROM ver.3.20A,日本TEXA製)では容量が850MBと誤認識される
など,SCSI I/Fの認識容量限界に起因すると思われる現象が認められました(SCSI専用スロットI/Fの読み書き速度比較(暫定版)を参照).またスルーボードの類を介するなどしてCバスSCSI I/FとSCSI籠内のHDDとを接続する場合には,使用できるHDDの最大容量はCバスSCSI I/Fにより決まります.下記の "ファイルスロット(SCSI)籠" でも事情は同じです.

下の画像は左がIDE籠(Logitec製LHD-MA240P),右がSCSI籠(NEC製PC-9801FA-37)で,いずれも元々のHDDが取り外されている状態です.サードパーティー製品を含め,SCSI籠ではカードエッジ基板とHDDのアクセスランプ用端子とをケーブルで接続する必要があります(画像のPC-9801FA-37ではこのケーブルは失われていますが,カードエッジ基板左上隅(SCSCIケーブルコネクタの左側・ネジの上側)にこのケーブルを接続するための2ピンオスコネクタがあります).


(2)ファイルスロット用
PC-9801-F01・-F02・-F03,PC-HD100F・-170F・-240F・-300F・-340F等およびその同等品が対応します[通称 "ファイルスロット(SCSI)籠"].NEC製のSCSI HDDユニットのうち,PC-9801-F01・-F02・-F03等に内蔵されているHDDはNECベンダを返しますが(筆者は少なくともPC-HD300FB2に内蔵されているNEC製D3872あたりまではNECベンダを返すことを確認しています),NECチェックを行うSCSI I/Fを使用しない限り,これらのドライブを他のものに換装することはもちろん可能です.

下の画像はNEC製のPC-HD170FB2です.元々のHDD(NEC製D3865,これもNECベンダを返します)は取り外してあります.アクセスランプを点灯させるためには,籠内部左上から伸びているケーブル(籠のフロントパネルのLEDに接続されています)をHDDのアクセスランプ用端子と接続する必要があります.


なおファイルスロット(SCSI)籠とSCSI籠を併用する場合には,前者のドライブのSCSI IDを1に,後者のドライブのSCSI IDを0にそれぞれ設定します.これはSCSI信号が,SCSIインタフェーススロットに装着するSCSI I/F --> SCSI籠 --> ファイルスロット(SCSI)籠 --> SCSI I/F上のターミネータ の順に流れるためです(MATE-A等専用SCSI I/Fのコネクタピンアサインとスルーボード化工作 を参照).

■PC-286VからPC-486HA/HX/HGまでのエプソン98互換デスクトップ機用(注)
 注:PC-286/C/U/US/UX/X,PC-386/M/P,PC-486Pを除きます.

SASI HDDユニットとSCSI-1 HDDユニットとがあり,前者はPC286VHD20・PC286VHD21・PCVHD22(20MB),PC286VHD40・PCVHD41(40MB),PCVHD80(40MB+40MB)等およびその同等品が,また後者はPCHD100・101・102(100MB)/PCHD200・201・202(200MB)およびその同等品のフレーム部分(と基板部分)が該当します(SCSI-1 HDDユニットはPC-286VJ/386S/G/GS/GE/GS以降が対応.なおSCSI-2 HDDユニットであるPCSHD200A/320A/500AはPC-486HA/HX/HG専用:注1・2).両者ともI/F基板がユニットに組み込まれています.電源はI/F基板のカードエッジ部より供給されます.
 ※本体の種類ごとのHDDユニットのタイプの詳細については,吉野敏也(監) 株式会社テクノメディア(編) (1993). EPSON PC システムガイド ――100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック―― クリエイト・クルーズ や EPSON98サービス機構・EPSON98互換機同人誌復刻委員会(編)の "E-SaPa別冊 蘇るEPSON PC伝説 永久保存版" (2004年8月15日刊)の "EPSON PCの拡張小ネタ集" (pp.47-63) に情報がありますが,本記事はその全てを網羅してはいません.
 注1:PCSHD200Aでは3.5インチ−2.5インチ変換基板を介して2.5インチのHDDが内蔵されています.PCSHD320A/500Aでは3.5インチHDDが内蔵されています.
 注2:PCSHDシリーズには以下の特徴があります(どるこむの過去ログ,PC-486HA3JWについて[2204] EPSON486最強化計画 等を参照).
  @I/F基板の裏面に72ピンSIMMソケットが2個あり,これらが金具裏面の開口部から露出している.ここにはディスクキャッシュとしてEPSO仕様のSIMMを2枚(最大容量は8MB×2)装着可能(注).
   注:最大容量は4MB×2ではないかとの説もある(どるこむの過去ログ,勝手にライバル!? PC-486HA v.s. PC-9821Ap3 を参照).
  AしかしHDDを容量の大きなものに換装した場合には,ディスクキャッシュは無効となる.500MB以上のHDDが該当するともいわれるが,500MBのHDDでもキャッシュが無効となるとの報告もある.一方で,元々取り付けられているHDDがEPSONベンダを返すことから,HDDのベンダ名がディスクキャッシュの有効/無効に関係している可能性も指摘されている.
  B外部SCSIコネクタに接続されたCD-ROMにアクセスするとWindows95がハングアップする.解決方法はエプソンのウェブページのQ&Aにあり,Windows95の32ビットSCSI-2ドライバを使用しないというもの.

下の画像はICM製のSCSI HDDユニットである INTER-120GE で,左はSCSI I/F基板が組み込まれている状態(HDDは取り外してあります),右は金具だけにした状態です.下側の金属板はI/F基板部分のカバーとして取り付けられているものです.フレーム右側の四つのネジ穴は,幅の広い方の側面にHDDを固定するために筆者が開けたものです.


金具の外に伸びているオレンジ色のケーブルは,換装後のHDDのアクセスランプ用コネクタに接続するために筆者が取り付けたものです.なお現在はこのケーブルは使用せず,HDDのアクセスランプ用コネクタを直接PC本体(PC-386GS)のフロントパネルのLEDとケーブルで接続しています.なお,ドライブを交換したINTER-Gシリーズ[またはCF-SCSI変換基板(SC-98III + 変換番長)]でPC-386GEのフロントパネルのHDDアクセスランプを点灯させる工作の例が,Framのレトロハードメンテナンス記録PC-386GEのCF-HDD化(2015年6月28日の記事)PC-386GEのCF-HDDアクセスランプ対応(2015年7月7日の記事),および PC-386GEのHDDアクセスランプ対応 INTER-Gバージョン(2017年7月9日の記事)にあります.

SCSI HDDユニットのI/F基板が認識できるHDDの容量は製品により異なると思われます.上のINTER-120GEは1080MBのHDD(IBM DPES-31080)に換装しています.筆者はこれ以上の容量のHDDの接続試験は行っていませんが,INTER-240Gで2.1GBのHDD(NEC DSE2100S)に換装した例があります.なおPCSHD500Aでは4.3GBのHDDに換装した事例があります.

ところで,I/F部分を含むHDDユニット(PC-98用,エプソン98互換機用とも)では,I/F部分の性能による制約が大きいため,現在では,"小笠原陽介 (1998). あなたの愛機はまだまだ使える PC-98パワーアップ道場 ハードディスク内蔵化編 ソフトバンク株式会社 出版事業部, pp.135-141." にあるような,HDD固定用の金具部分だけを利用してI/FはCバスボードを用いるという使い方がされているケースも多いと思います(小笠原の記事は,PC-9801DA-37あるいはその同等品あたりを直接の対象としたものです).そしてこのようなケースでは,HDDを固定することさえできれば,HDDユニットの金具部分を用いる必要は必ずしもありません.例えば,下の画像は出品者IDが KFD03077,オークションIDが g64774741 のヤフーオークションの出品物(2008年3月8日に落札)の商品説明画像から切り出して引用したものですが,恐らくアルミニウム製の何かの金具を簡単に加工(切り出しと折り曲げ)したものを利用して,PC-386GSにSCSI HDDを内蔵しています.HDDには,外付けSCSI機器から外したと思われる両端にハーフピッチ50ピンコネクタを持つSCSIケーブルの中央のコネクタが接続してあり,本体背面左のHDDユニット格納部の金属製の蓋を加工してハーフピッチ50ピンコネクタ2個が縦並びで取り付けられています.これにCバスSCSI I/Fからのケーブルとターミネータ等を接続するようになっています.前方の固定だけではHDDの固定の強度がやや弱いようにも思いますが(あるいはHDDの後方も何らかの方法で固定しているのかもしれません),通常の使用では全く問題ないでしょう.


またホームセンターなどで売られている材料から固定金具類を自作するというのも,色々な機種で行われています.下の画像は,多数のスリットのある金属板[長穴型アルミ(?)パンチングボードとでもいうのでしょうか.同様のものは大きなホームセンターなどで見かけることがあります]を利用して,タワー型のV13・16・20/M,Xc13/M,Xv13/Rのいずれかの機種のCバスボックスの上にHDDを固定した例です(APさんよりいただいた画像を加工しました).タワー型機ではCバスボックス上の空間が広いため,このような大き目の金具を加工の手間なしに流用しても,ケースや他の部品と干渉することはないのでしょう.


■PC-486MU/MR/MS/MV,PC-586MV/RA/RV/RX/RT/RJ用
HDD内蔵用の金具は出荷時から本体の一部として組み込まれています.これは二段構造になっていて,幅の狭い下段にHDDが(底面でネジ留め),幅の広い上段にCD-ROMが(側面でネジ留め)それぞれ取り付けられています.


筆者はCD-ROMの代わりに5インチFDD(FD1155D)を取り付けていますが,5インチFDDのフロントベゼルをPC(PC-586RX)のフロントパネルの開口部に合わせるには,金具の左右にある本体固定用のスリット状のネジ穴をさらに長辺方向に拡張する必要がありました(下図左).


なおPC-586機でCPUを換装して冷却ファンをCPU上に設置する場合(どるこむの過去ログ,[69] Q:586RXの2FD化その他などを参照),冷却ファンとFDD固定金具の底面とが干渉,あるいは底面との隙間がほとんどなくなるため,冷却効率が低下する可能性があります(注).そのためCPUをWinchip2A(200MHz版)に換装した筆者の586RXでは,CPUの真上のFDD固定金具の底面に大きな穴を開けてあります(上図右).HDD内蔵用金具とは関係のない話ですが,他に適当な場所もありませんので,ここに書いておきます.
 注:ヒートシンクに空気を吹き付ける向きに取り付けた場合,少なくとも上部に十分な空間がある場合と比べ,ファンの回転音が明らかに異なります.ファンの負荷が増しているのではないかと考えます.冷却ファンととFDD固定金具の底面との間の空間を少しでも確保するために割り箸を挟んでいるという報告もあったと記憶しています.


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