いっちゃんさんより,FD1135Dが内蔵されたPC-9831-VW2をご恵贈いただきました.また試運転さんより情報ならびに画像をいただきました. PC-98またはEPSON98互換機の内蔵FDD(または内蔵FDDとして使用可能なFDD)には多くの種類がありますが,ここでは代表的なもののドライブ番号に関するスイッチの設定方法について述べます(いくつかのFDDについては,すでにHAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_7 FDDの2台目設定方法 でまとめられています).なおマザーボードからのFDD選択信号であるドライブセレクト信号はDSと表記されますが,FDD自体,特にNEC製のもの(?)では,ドライブ番号はDXで示されることが多いようです(注).少しややこしいですが,ここではこれを慣習とみなして従うことにします. 注:FD-55GFVなど,DX設定ジャンパスイッチ名がDXでなくDSと表記されているFDDも存在します. DX=0 が内蔵一台目,DX=1が二台目の設定です(FDDを三台内蔵できるエプソン98互換デスクトップ機で用いられているMD3541GとMD5501S,またPC-386GE5/GS5/GF5/GR5/GRP5/GRS5に内蔵三台目のFDDとして3.5インチFDDを増設するキットであるPCZFDU3でも使用されているMD3522では,それぞれDX=2の設定も示してあります).下の画像では緑色の矩形の部分がジャンパスイッチまたはスライドスイッチの位置を示します.これらの画像はDX=0に設定されているFDDのものを加工したものです. ■FD1135D 制御基板上に3本×2連ジャンパスイッチ(DX)があります.0側の2本のジャンパをショートでDX=0,1側の2本のジャンパをショートでDX=1となります. |
FD1135Dのジャンパスイッチの設定の詳細は,3.5インチ化計画(注) --> PC-8801FH NEC FD1135D編,および エマティなリサイクル --> 研究発表会 --> 98FDDドライブ設定表 --> FD1135D設定表 を参照して下さい. 注:この資料でのDHGはDCGの誤記です. ■FD1137D 背面にスライドスイッチがあります.左から順にDX=0,DX=1となります.下図の下段の画像は試運転さんにいただいたものを加工しました. |
PC-9801LV用のP/N 134-500519-007-0のFD1137C(黒ベゼル)でも同様です.ただしPC-98LT用のP/N 134-500519-008-0のFD1137Cではジャンパスイッチとなっています.またFD1137Dでも,PC-98GS用のP/N 134-856527-0-1ではジャンパスイッチとなっています.(FD1137Dの分解と修理を参照). ■FD1138D(34ピンコネクタ) 背面に2本×4連ジャンパスイッチがあります.左から順にDX=0,DX=1となります.なお,FD1138DにはPC-9801NL/Rに内蔵されている26ピン・3モード動作のもの(P/N 134-505195-188-0)もありますが[26ピンFD1138D(PC-9801NL/R内蔵FDD)とFD1138Tの信号の比較 を参照],こちらにはDX設定用のジャンパスイッチはありません. |
■FD1138C/FD1138T/FD1148T 背面に2本×2連ジャンパスイッチがあります.左から順にDX=0,DX=1となります.FD1148Tには,FD1138T互換の26ピンコネクタのもの(P/N 134-506326-011-0)と,FD1231T互換の34ピンコネクタのもの(P/N 134-506326-901-0)とがありますが,ジャンパスイッチの設定は共通です. |
MATE-AのHDDモデル(内蔵FDDが1台のモデル)に2台目のFD1138T/FD1148Tを増設した場合,本体のジャンパスイッチの設定を変更する必要があります(FD1138T 2台内蔵用ケーブル を参照). ■FD1231T 後部の基板上に2本×2連または3本ジャンパスイッチがあります.前者では0のシルク印刷のあるジャンパをショートでDX=0,DXのシルク印刷のあるジャンパをショートでDX=1となります.後者では0側の2本のジャンパをショートでDX=0,1側の2本のジャンパをショートでDX=1となります. |
■MPF520-F 後部の基板上に3本ジャンパスイッチがあります.左側の2本のジャンパをショートでDX=0,右側の2本のジャンパをショートでDX=1となります. |
■OSD/OSD-u 天板後部の開口部の奥の基板上に2本×5連ジャンパスイッチがあります.一番後ろのジャンパと前方に一つ飛んだジャンパはつねにショート.DX=0では前から2番目のジャンパをショート,DX=1では一番前のジャンパをショートさせます. |
■OSDE-15G-U 背面にスライドスイッチがあります.右(0側)から順にDX=0,DX=1となります.筆者は実物を所有しておりませんので,上・中段に,まりもさんが2018年3月4日にリサイクル掲示板の BX4とかK08とか スレッド と2019年4月26日に同じく 汎用スレッド2019年4月 パート3 スレッド に投稿されたものを加工して引用し,下段に試運転さんにいただいた画像を加工したものを載せた画像を示します. |
■MD3522 背面に3本×2連ジャンパスイッチがあります.下段の0のシルク印刷のある側の2本のジャンパをショートでDX=0,1側の2本のジャンパをショートでDX=1,上段の2側の2本のジャンパをショートでDX=2となります. |
■MD3541G 後部の基板の右に3本×2連ジャンパスイッチがあります.S0のシルク印刷のある2本のジャンパをショートでDX=0,S1と書かれた2本のジャンパをショートでDX=1,S2と書かれた2本のジャンパをショートでDX=2となります. |
※MD3551,SMD-400,SMD-1000のドライブ番号の設定方法については,試運転の資料館 --> 電算機部 --> EPSON 98 互換機用 MD3551 を PC-9821 で使用する/EPSON 98 互換機用 SMD-400 を PC-9821 で使用する/EPSON 98 互換機用 SMD-1000 を PC-9821 で使用する の各記事を参照して下さい. ■SMD-300(SMD340-301-00) 26ピンフィルムケーブルコネクタを持つSMD-300です.背面に4本×2段ジャンパスイッチがあります.筆者は実物を所有していませんが,WWW上でこれまで見てきた画像では,2台セットのものも含め,すべて2-3ショート(基板上にHと■のシルク印刷のある2本のジャンパをショート)となっていました.FD1139C/D同様,特定の信号ピンに入力されるDRIVE SELECT信号の種類によって当該FDDのドライブ番号が決まるのではないかと推測します.下にヤフーオークションで出品者IDが tactomtom,オークションIDが s607221047 の出品物(2018年9月28日落札)の商品説明画像から切り出してガンマ補正値を上げた後jpg形式に再変換した画像を引用します. |
■SMD-300(SMD-340-302,SMD340-302-00) 34ピンフラットケーブルコネクタを持つSMD-300です.背面に4本×2連ジャンパスイッチがあります.DX=0,DX=1ともに,このジャンパスイッチの設定は同じです[基板上に■と1のシルク印刷のある2本のジャンパ(背面側から見て右下の2本)をショート].下は内蔵FDDが2台のPC-486MVあたりのSMD-300(SMD-340-302)とそのジャンパスイッチ付近の画像です.ヤフーオークションで出品者IDが hamayokotobe,オークションIDが r112650347 の出品物(2014年5月7日落札)の商品説明画像から切り出したものと,切り出して2倍に拡大しガンマ補正値を上げたものを併置しjpg形式に再変換した画像を引用します.2台のFDDでこのジャンパスイッチの設定が同一であることが確認できると思います. |
このFDDを内蔵した機種では,内蔵FDDケーブルの2つのFDD接続用コネクタの間で10番ラインと12番ラインが交叉しています.これらはそれぞれDS0信号ラインとDS1信号ラインです.つまりこのFDDでは,FDD側でなくケーブル側でドライブ番号を決めています.なお上で扱ったSMD340-301-00用のフィルムケーブルはストレート結線であり,交叉箇所はありません. ■D353T3 信号の点で直上のSMD-300(SMD-340-302)と互換性のあるFDDであり,SMD-300(SMD-340-302)同様,ケーブル側でドライブ番号が決まる筈です.ヤフーオークションの商品説明画像などでも,DX設定用のジャンパスイッチは見当たらないように思えますが,仮にジャンパスイッチなどがあったとしても,ドライブ番号に関わりなくその設定は同一なはずです. ■FD1155D/FD1157D 後部の基板上に2本×4連ジャンパスイッチがあります.0のシルク印刷のある2本のジャンパをショートでDX=0,1のシルク印刷のある2本のジャンパをショートでDX=1となります. |
FD1155D,FD1157Dのジャンパスイッチの設定は,エマティなリサイクル --> 研究発表会 --> 98FDDドライブ設定表 --> FD1155D設定表,FD1157D設定表,FD1157D設定表(2)や もしかしたら開発室 --> 色々な5インチFDDをAT互換機に付けてみる などを参照して下さい. ■FD1158C/FD1158D 背面に2本×5連ジャンパスイッチがあります.左端の2本のジャンパ(基板裏に0のシルク印刷があります)をショートでDX=0,一つ右の2本のジャンパ(基板裏に1のシルク印刷があります)をショートでDX=1となります. なお右端のジャンパ(基板裏にVCのシルク印刷があるもの)はFDD内部のターミネータを有効にするためのものですが,これを抜いた状態で使用するとヘッドが暴走してメディアが読み取れなくなるといいますので(もしかしたら開発室 --> 色々な5インチFDDをAT互換機に付けてみる を参照.なお筆者の知る限り同様の報告はありませんが,リスクが大きすぎて追試が躊躇われることが理由の一つであろうと思います),絶対に抜かないで下さい(注).なお筆者が以前,ターミネータを無効にしたままのFD1165A(8インチFDD)やFD1155Dに誤って信号を送ってしまった際には,ヘッドの暴走は起きず,ターミネータを有効にした後での動作にも問題は見られませんでしたので,これはFD1158C/D特有の(?)問題ではないかと思いますが,デイジーチェイン接続されたFDDでPC本体のFDDケーブル接続用コネクタから一番遠い(ケーブルの終端に接続されている)ものの終端抵抗が無効になっているという状態自体が,異常かつ電気的に/信号伝達上非常に危険な状態ですので,FD1158C/D以外のFDDでも,ターミネータは不用意に無効にしないよう気をつけるべきです. 注:ターミネータの有効/無効を選択できるFDDでは,ケーブルの終端(マザーボードのFDDケーブル接続用コネクタから最も遠い端)に取り付けられた場合にのみターミネータを有効にするというのが本来の使い方ですが(ここを参照),FD1158C/Dに関しては,取り付け位置がケーブルの終端でも途中でも,ターミネータを有効にするのが "正しい" 使い方と考えてしまうのがよいでしょう(FDDの信号レベルとターミネータの値を参照). ※自分用のメモとして,Internet Archiveに保存された旧URLでのもしかしたら開発室トップページへのリンクも載せておきます. |
なおAp/As/AeのHDDモデル(内蔵FDDが1台のモデル)に2台目のFD1158Cを増設した場合,ファイルスロットバックパネル上のSW1の設定を変更する必要があります(FD1138T 2台内蔵用ケーブル を参照).なおPC-9821Af/M9Wでは,2台目のFD1158Cを増設しても認識されない可能性があります(大熊猫のぺぇじ --> HDDモデルなA-MATE数機種の2FDD化 を参照)(注1・2). 注1:PC-9821/9801スレッド Part86の649・650番の投稿 によれば,2台目のFDDの認識自体はするということですので,DS1信号自体は出力ないし生成されている可能性があります.とすれば,PC-9821Cr13[内蔵3.5インチFDD(2台目)増設用キットを参照]と同じ,あるいはそれに近いケースなのでしょうか.なお公開されずに終わったようですが,零工房ホームページへようこそ! --> 旧ホームページ(初代)はこちらから --> 工作室 に "内蔵FDDの2台化(工事中)" の見出しがあり,Afに2台のFDDを内蔵させる工作に成功した例があったものと思われます.[追記:First Point(ここはNECと何らかの関連を持つショップと聞いていました)で,Afに2台のFDDを内蔵させるサービス(受付のみか実際の作業も含むかは不明)が行われていたとのことです(A-MATEr's BBS 過去ログ その9を参照)]. 注2:Afに2台のFDDを内蔵させることに成功したとの報告が現れました[おふがおさんの2022年4月23日のツイート(1・2)を参照]. ※FD1158CにはPC/AT互換機用のものもあります(nec :: floppy :: brochures :: FD1158C --> PDFを参照).PC-98用のものでは薄クリーム色のフロントベゼルとイジェクトボタンが使用されていますが,この資料[NEC FD1158C 5 1/4-Inch Low Profile Floppy Disk Drive(819-003221-000 Rev.00)]に掲載されているFD1158Cのフロントベゼルとイジェクトボタンは黒色です.PC-98用のFD1158Cとの互換性は不明です. ■MD5501S 左側面後方下部に3本×2連ジャンパスイッチがあります.上段の3本のうち,後ろ側の2本をショートでDX=0,前側の2本をショートでDX=1,また下段の3本のうち後ろ側の2本をショートでDX=2となります. |
■SD-680L 後部の基板の左隅に2本×4連ジャンパスイッチがあります.一番後ろの2本をショートでDX=0,一つ前側の2本をショートでDX=1となります. |
SD-680Lのジャンパスイッチの設定の詳細は,SD-680Lの設定 を参照して下さい. ■FD-55GFR FD-55GFRには多くの枝番のものがありますが,この画像は142-Uのものです.この枝番のFD55GFRには後部の基板上に2本×4連ジャンパスイッチがあります.D0のシルク印刷のある2本をショートでDX=0,D1のシルク印刷のある2本をショートでDX=1となります. ![]()
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