内蔵3.5インチFDD(2台目)増設用キット


PC-98本体に2台目の内蔵3.5インチFDDを増設するNEC製キットの情報です.これらのキットは,パネル部分(増設用フロントカバー),PC本体前面のフレームにネジで固定するための専用金具のついたFDD,信号(フラット)ケーブル,取扱説明書から構成されています.またPC-9821XE-E02とPC-9821RA-FD1では増設用FDDを載せるための金具が付属しており,PC-9821CB2-E01やPC-9821XE-E02ではさらに電源(分岐)ケーブルも付属しています.なお内蔵3.5インチFDD増設用キットは,121WAREでは "増設用3.5インチフロッピィディスクドライブ" という品名となっています(ただしどういうわけか,PC-9821C2-E01だけは "3.5インチフロッピィディスクドライブ" となっています).
 まりもさんより情報をいただきました.

以下,(1) 対応機種とパネル部分の形状,(2) 固定用金具(3) FDD接続用ケーブル の順に記述します.


(1) 対応機種とパネル部分の形状
■PC-9821A2-E01
 対応機種は,PC-9821Ap2/As2/An/Ap3/As3です.内蔵FDDはFD1138TないしFD1148Tです.なおこれらの機種では,FDD増設後に本体前面下部のジャンパスイッチSW2の設定を変更する必要があります(FD1138T 2台内蔵用ケーブル を参照).

■PC-9821B-E01
 対応機種は,PC-9801BX2/BS2/BA2,およびPC-9821Bf/Bp/Bs/Be/Xa/Xf/Xn/Xp/Xs/Xeです.内蔵FDDはFD1138TないしFD1148Tです.

PC-9821A2-E01とPC-9821B-E01のパネル部分は,表側から見るとよく似ています.左がPC-9821A2-E01のもので,右がPC-9821B-E01のものです.


しかし両者は横幅がわずかに異なります.PC-9821A2-E01(上)は15cmで,PC-9821B-E01(下)は15.6cmです.


さらに裏面の形状は明らかに異なります.PC-9821B-E01(下)では,左端に幅広の長い板状のものが突き出ていますが(矢印の先),PC-9821A2-E01(上)にはこれはありません.他にも,PC-9821A2-E01では左右の縁にツメがあること,PC-9821A2-E01の方で上辺の庇状の突起が広い等の違いもあります.


※Logitec製LFD-F331Kには,PC-9821A2-E01とPC-9821B-E01のそれぞれの対応機種用のパネル部分が含まれています.ヤフーオークションで出品者IDが zookun0725,オークションIDが f1109211222(2023年10月14日に落札) の出品物画像から切り出して1/4に縮小したものを併置しjpg形式に再変換した画像を引用します.未使用品のため,パネルがビニール袋に入れられたままになっています.画像中央と右の上側のパネルがPC-9821A2-E01互換品で,下側のパネルがPC-9821B-E01互換品です.パネルの形状は両面とも純正品とやや異なっています.なおセットに含まれている増設用FDDはFD1138T(P/N 134-506026-011-0,制御基板のシール G8KSW)で,PC-9821A2-E01/PC-9821B-E01対応機種の内蔵FDDと同じものです.固定用金具もPC-9821B-E01のものとほぼ同じ形状をしています.


 追記:ビニール袋に入れられていない状態のPC-9821B-E01互換パネル部分の両面の画像です.ヤフーオークションで出品者IDが yshnq423_0705,オークションIDが e1002754640(2021年9月16日に落札) の出品物画像から切り出して半分に縮小したものを併置しjpg形式に再変換した画像を引用します.


内蔵FDD1台用の元々のパネル部分を加工して,PC-9821B-E01のパネル部分の代用品を製作した例があります.ヤフーオークションで出品者IDが Desire_98,オークションIDが k52723863[2008年3月19日(?)に落札]のPC-9821Xsの出品物画像から切り出してjpg形式に再変換した画像を引用します(注).元々のパネルの下の部分を矩形に切り抜き,そこにFD1138Tを内蔵した他の機種のパネルのFDD開口部付近を切り出したものをはめ込み,隙間をパテ等で埋めて(さらにその上から塗装して?)あるのでしょう.工作の難度は相当なものです.
 注:同じ出品者IDの方によるオークションID f63334885のPC-9821Xe(2008年1月20日に落札)での同様の工作の画像(右)も参照.


■PC-9821C2-E01
 対応機種はPC-9821Cs2/Ce2です.内蔵FDDはOSDE-15G-Uです.
パネル部分は,FDDのイジェクトボタン用の開口部が小判型(楕円形)であるなど,PC-9821A2-E01やPC-9821B-E01に似たところがありますが,表側から見た場合,開口部が向かって左寄りに配置され,右側のスペースがこれらのパネルのものより明らかに広くなっているため,これらと簡単に区別できます.ヤフーオークションで出品者IDが angel_symphony,オークションIDが x617522889(2019年10月20日に落札)の出品物のの説明に使用されていた画像(左)と,出品者IDが angel_symphony,オークションIDが c873755963(2021年1月4日に落札)の出品物の説明に使用されていた画像(右)を加工(元画像を縮小後に切り出してjpg形式に再変換)した画像を引用します.


■PC-9821CX-E02
 PC-9821Cx専用です.内蔵FDDはOSDE-15G-Uです.
 下はPC-982CX-E02のパネル部分です.ヤフーオークションで出品者IDが niimi_1974,オークションIDが c588362622(2017年2月17日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を縮小後に切り出してjpg形式に再変換)した画像を引用します.


※同時発売のCbとCf用の2台目FDD増設用キットについて
 PC-9821Cbにはmodel 2D・2・2Fがあり,前者は2FDDモデルで,後二者は1FDDモデルですが,1FDDモデルに2台目のFDDを追加増設するためのキットは用意されていませんでした.121WAREにも登録がなく,またPC-9821Cb・Cx・Cfのカタログ[まぁ、てきとうにのんびりと~ --> 1月3日(月)「古いカタログの取り込み」(2011年1月3日の記事)の "古いカタログ一覧" --> NECパーソナルコンピュータ PC-9800シリーズ 98MULTi CanBe PC-9821Cb・Cx・Cf,ぱんだねこさんの2021年12月7日(12)・2022年3月31日のツイートを参照]に掲載されているカタログの画像からも,Cb model 2/2F用の2台目FDD増設用キットが存在しないことが確認できます(注1).
 またPC-9821Cfにも2台目の内蔵3.5インチFDD増設用キットは提供されませんでした.CfではCPUクーラーの取り付け位置が高く,HDDがFDDの下に設置されているために,2台目のFDDを取り付けるためのスペースがない(HDD固定用のネジ穴の出っ張った部分が2台目のFDDと干渉)というのがその理由のようです[小笠原陽介 (1998). あなたの愛機はまだまだ使える PC-98パワーアップ道場 PC-9821Cf編 ソフトバンク株式会社 出版事業部, pp.91-97. と おふがおさんの2021年7月20日22日のツイートを参照].2台目のFDDを追加増設することが想定されていない機種であるためかどうか不明ですが,Cfではマザーボード(と接続されるCバスライザボード)上のFDDケーブル接続用コネクタのDS1信号が無効にされており,2台目のFDDを追加増設するためには,マザーボードから直接DS1信号を引き出す必要があります[おふがおさんの2021年7月25日のツイート(123456789)を参照](注2).Cfの筐体とフレーム,またフロントパネルはいずれもCxのものとほぼ同じものらしく,2台目のFDDを取り付ける部分にはCx用のPC-9821CX-E02付属の固定用金具用のネジ穴もありますが,HDD固定用のネジ穴の部分が底上げされており,それと干渉して2台目のFDDが取り付けられない問題があります(おふがおさんの2021年10月13日のツイート を参照).FDDのパネル部分はPC-9821CX-E02のものが使用でき,実際にヤフーオークションにPC-9821CX-E02付属のパネルを装着したCfが出品されたこともあります.但しその出品物では,2台目のFDDの位置にFDDでなくMOドライブが取り付けられており,そのためパネルの開口部が縁を削ることで幾分拡げられていました.
  注1:筆者は1FDDモデルであるCb model 2/2Fは内部を見たことがありませんが,2FDDモデルであるCb model 2Dが存在することから,前者にも2台目のFDDを追加増設すること自体は可能ではないかと予想しています.
  注2:2台目FDD増設用キットが提供されていなかった他の機種では,2台目の3.5インチFDDを追加増設(ファイルスロットFDDによる増設を除きます)した場合に,そのFDDを動作させられるかは機種により異なります.マザーボードのFDDケーブル接続コネクタにはDS1信号が出力されていれば,取り付け位置の問題はともかく,2台目の内蔵FDDを接続してどう支えることができます(注2.1).また一部の機種では,出荷時にFDDを1台しか内蔵しておらず,内蔵FDDケーブルに追加接続した2台目のFDDが動作しない,すなわちマザーボードのFDDケーブル接続用コネクタにDS1信号が出力されていないと考えられるものがありますが(注2.2),そのような機種でも,DS1信号を引き出すことができるならば,2台目のFDDを動作させることができます(注2.3).
    注2.1:PC-9821Ct16/Ct20/C200は内蔵FDDが1台しかなく,2台目FDD増設用キットも提供されていませんが,マザーボードのFDDケーブル接続コネクタにはDS1信号が出力されており,取り付け位置の問題はともかく,2台目の内蔵FDDを接続することは可能といいます(おふがおさんの2020年11月22日2021年2月13日16日のツイートを参照).C166/C233でも同様である可能性があります.
    注2.2:大熊猫のぺぇじ --> HDDモデルなA-MATE数機種の2FDD化 の記事によればPC-9821Af/U9Wがこれに該当するようですが,Af/M9Wでも同じであることが確認されています(注2.2.1・2.2.2).
        注2.2.1:PC-9821/9801スレッド Part86の649・650番の投稿 によれば,2台目のFDDの認識自体はするということですので,DS1信号自体は出力ないし生成されている可能性があります.とすれば,PC-9821Cr13(注2.2を参照)と同じ,あるいはそれに近いケースなのでしょうか.なお公開されずに終わったようですが,零工房ホームページへようこそ! --> 旧ホームページ(初代)はこちらから --> 工作室 に "内蔵FDDの2台化(工事中)" の見出しがあり,Afに2台のFDDを内蔵させる工作に成功した例があったものと思われます[追記:First Point(ここはNECと何らかの関連を持つショップと聞いていました)で,Afに2台のFDDを内蔵させるサービス(受付のみか実際の作業も含むかは不明)が行われていたとのことです(A-MATEr's BBS 過去ログ その9を参照)].
        注2.2.2:DS1信号を有効にし,Afに2台のFDDを内蔵させることに成功したとの報告が現れました[おふがおさんの2022年4月23日のツイート(12)を参照].
    注2.3:PC-9821Cr13でも内蔵FDDケーブル接続コネクタにDS1信号が出力されていませんが,DS1信号自体は生成されており,取り付け場所の問題はともかく,内蔵2台目のFDDを増設することは技術的に可能です[おふがおさんの2020年11月9(123)・10(12)・11(12)・12日(12)のツイートを参照].

■PC-9821CB2-E01
 121WAREによれば対応機種はPC-9821Cb2ですが,ツイッターの画像でこれが増設されたCb3が写っているものがあり,PC-9821Cb3・Cx3のカタログの拡張機器の項でCb3が対応機種となっていること,またヤフーオークションにこれが増設されたCb10が出品された例があることから,Cb3/Cb10にも対応している筈です.NECの製品カタログからも,対応機種がPC-9821Cb2/Cb3/Cb10であることが確認できます[ぱんだねこさんの2021年12月7日のツイート(12)を参照].またCb2のFDD部分のパネルを外した状態の画像がたけるん通信 --> OLDパソコンコーナー --> PC98x1/互換機 (NEC・EPSON) こちらです。 --> PC-9821Cb2/Cb10 にありますが,そこにCb2のものと同じ筐体がCb3/Cb10/V7/C4K/V10/C4Rで使用されているとの記述があり,またウェブ上にある画像から判断する限り,これらの機種ではFDDパネルの形状が同じです.これらのことから,V7/C4KとV10/C4RではPC-9821CB2-E01が使用できるのではないかと考えていたのですが,PC-9821V7・V10のカタログ(ぱんだねこさんの2022年3月26日のツイート を参照)に,PC-9821V7/C4KにはPC-9821XA-E02は対応せず,PC-9821CB2-E01(カタログでは "PC-9821CB2-E02" と表記されていますが誤記と思われます)が対応するとの記載があることを確認しました.従ってPC-9821CB2-E01の対応機種は,PC-9821Cb2/Cb3/Cb10/V7/C4K/V10/C4Rと断定してよいでしょう.これらの機種の内蔵FDDはFD1231Tまたはその互換品です[PC-9821CB2-E01(の初期ロット?)に含まれているFDDはOSD(E26J)だったようです].
 パネル部分の画像を下に示します.ヤフーオークションで出品者IDが akira_tms111k,オークションIDが k164645054(2014年6月1日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像(左)と,ヤフーオークションで出品者IDが b48155,オークションIDが j415421283(2016年12月17日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像(右)を引用します.左はビニール袋に入った未開封状態のもので,右はPC-9821Cb2に装着されたものです.開口部が向かってやや左寄りに配置されていますが,右側のスペースに文字列,スイッチ,表示窓などが一切ないという点が特徴でしょうか.なお本パネル裏面の明瞭な画像は見つけることができずにいますが,FDDが1台用のパネルの裏面の画像はKanjiさんの2023年6月7日のツイート に掲載されています.


追記:PC-9821 cb3 floppy drive bezelにて,PC-9821CB2-E01のパネル部分の相当品の3Dプリンタ用データ(3MF形式)が公開されました.Kanjiさんの2024年3月13日のツイート も参照.

■PC-9821CX2-E01
 対応機種はPC-9821Cx2/Cx3/Cx13です.内蔵FDDはFD1231Tまたはその互換品です.
 下にパネル部分の画像を示します.ヤフーオークションで出品者IDが hanamomo1217,オークションIDが r1126149050(2024年3月1に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を切り出したものを1/4に縮小して併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


■PC-9821XE-E02
 PC-9821Xe10専用です.内蔵FDDはFD1231Tまたはその互換品です[PC-9821XE-E02に含まれているFDDは,本来はOSD(E26J)のようですが,一部ではFD1231Tであった可能性もあります].
 下はパネル部分の画像です.ヤフーオークションで出品者IDが angel_symphony,オークションIDが b1059102078(2022年8月3日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して1/3に縮小したものを併置しガンマ補正値を上げjpg形式に再変換)した画像を引用します.


また下はPC-9801BX4のフロントパネルの2台目のFDD部分の画像です(注).PC-9821XE-E02のパネル部分と共通のように見えます.
 注:裏面の一部(ツメのある板状の突起)が折れており,前の持ち主によってパテで修復されていますが,誤って上下逆に固定されてしまっています.この状態ではフロントパネルにツメが掛からず十分な強度で固定できませんでしたので,正しい向きで固定し直す必要がありました.


Xe10で2台目の3.5インチFDDが増設される位置にあるブランクパネル(あるいはPCカードスロット増設アダプタであるPC-9821XE-E01に付属しているパネル部分かもしれません)を加工して,フロントベゼル付きのFD1231Tを2台目のFDDとして増設した例があります.ヤフーオークションで出品者IDが Desire_98,オークションIDが d73450974 の出品物(2007年7月27日に落札)の商品説明画像から切り出してjpg形式に再変換した画像を引用します.FD1231Tのフロントベゼルについては,下のPC-9821XA-E02の項をご覧下さい.


■PC-9821XA-E02
 対応機種は,PC-9821V7/S5K・S7K/V10/S5K・S7K/V12/V13/S5R・S7R/V16/S5C2・S5D2/V20/S5・S7/
Xa7/Xa7e/Xa9/Xa10/Xa12/Xa13/K12・K16/Xa16/R12・R16/Xb10/Xc13/S5/Xc16/S5・S7/Xc200/S7です.内蔵FDDはFD1231Tまたはその互換品です.
 CRT一体型であるV7/C4KとV10/C4Rにはパネルが合いません.PC-9821V7・V10のカタログ(ぱんだねこさんの2022年3月26日のツイート を参照)によれば,PC-9821V7/C4KにはPC-9821XA-E02は対応せず,PC-9821CB2-E01("PC-9821CB2-E02" と表記されていますが誤記と思われます)が対応します.
 下はPC-9821XA-E02のパネル部分の画像です.表側の面は経年劣化のために少し黄ばんでいます.裏面右下に >PS< 136-618793 の文字列があります.


内蔵FDD1台用の元々のパネル部分,あるいはPCカードスロット増設アダプタであるPC-9821XA-E01のパネル部分を加工して,2台目のFDDとしてフロントベゼル付きのFD1231Tを増設した例があります.ヤフーオークションで出品者IDが Desire_98,オークションIDが m51482863 のPC-9821Xa7(2008年3月10日に落札)の商品説明画像から切り出してjpg形式に再変換した画像を引用します.


PCカードスロット増設アダプタであるPC-9821XA-E01のパネル部分を加工したとすれば,増設3.5インチFDDのフロントパネルが前面に少し飛び出ていることから,PCカードスロット用に開けられている開口部の縁を削って少し拡げてあると考えられます.この開口部(縦23.5mm×横99.5mm)はPCカードスロットのフロントベゼル(縦23mm×横101mm)のサイズに合わせて開けられているため,3.5インチFDDを含む通常の3.5インチ機器のフロントベゼル(縦25mm×横101mm)とわずかですがサイズが異なるからです(注).
 注:しかし,3.5インチFDDをフレームの固定用ネジ穴の遊びを利用して幾分奥の方に取り付ければ,開口部を拡げなくてもメディアの出し入れやイジェクトボタンの操作は可能です.筆者はこの方法でデスクトップ型PC-9821Xc13に2台目の3.5インチFDDを増設しています.2台目の3.5インチFDDには,PC/AT互換機用FD1231Tからフロントベゼルとイジェクトボタン(通常のFD1231Tのものより小さいタイプ)を移植したFD1231Tを使用しています.なおFDDでなくMOドライブを取り付ける場合には,イジェクトボタンやメディア挿入口と干渉するため,開口部を広げる工作が必要となります(この情報はtshさんよりいただきました).


   フロントベゼル付きのFD1231Tを2台目のFDDとして増設する場合,このパネル部分をPC-9821XA-E02のパネル部分の代用とすることができます.FD1231Tのフロントベゼルは,PC/AT互換機用のFD1231Tの一部のもの(合わないものもあります)が使用できます.同じようにすれば,PC-9821V-FD1とPC-9821V-FD2のパネル部分の代用として,PC-9821V-E01とPC-9821V-E04のパネル部分が,またPC-9821XE-02とPC-9821RA-FD1のパネル部分の代用として,PC-9821XE-E01とPC-9821RA-E01のパネル部分がそれぞれ使用できるのではないかと思われます.

内蔵FDDが1台用のパネル部分2個からFDD 2台用のパネルを作成したと思われる例があります.PC本体(PC-9821Xa13)への固定方法は不明ですが,上半分の裏面にあるツメによる固定の強度が十分でなければ,下半分の一部をフレームに直接貼り付けたり,下半分の裏面のツメを細い針金でフレームに固定するなどすればよいでしょう.ヤフーオークションで出品者IDが talk_talk_talk,オークションIDが v1065042386(2022年10月1日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して2/3に縮小しガンマ補正値を上げてjpg形式に再変換)した画像を引用します.


プラスチック板を加工した3.5インチFDD部分のパネルの自作例を示します.ヤフーオークションで出品者IDが yshnq423_0705,オークションIDが o374359451(2020年2月16日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して2/3に縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


PC-9821Xa9の3.5インチFDD部分のパネルの下半分を切除し,2台目のFDDの前面にメディア挿入部分とイジェクトボタン部分を切り抜いた青色の透明アクリル板をフロントパネルに(?)貼り付けてあります.見映えといった点では好みが分かれるかもしれませんが,防塵効果は期待できそうです.ファイルベイに装着されているFD1155Dのパネル部分も同様のものでしょう.透明アクリル板が使用されているのは,FDDのアクセスランプの点滅が外から確認できるようにするためでしょう.

また,これは2台目FDD用というわけではありませんが,プラスチック板を加工した3.5インチFDD部分のパネルの自作例ということで,参考として示します.ヤフーオークションで出品者IDが withcrocus,オークションIDが w387466073(2020年5月14日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像(左)と,出品者IDが withcrocus,オークションIDが p634479663(2018年9月25日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して90%に縮小した後jpg形式に再変換)した画像(右)をそれぞれ引用します.


PC-9821V12(画像左)あるいはV13(画像右)の3.5インチFDD部分のパネルを外し,CF-IDE変換基板(上段:注1・2)と3.5インチFDD[下段:画像左のものはPC/AT互換機用のFDDを改造したもの,また画像右のものはFD1138Tと見ます(注3)]を組み込み,プラスチック板で作ったパネル部分を取り付けています.このパネルは下段の開口部両脇のネジで本体のフレームに固定されているとみられます.
 注1:もはや2台目FDD用のパネルとは全く関係ありませんが,CF-IDE変換基板用の開口部をV13の内蔵FDD1台用のパネルに開けた例もここで紹介しておきます.ヤフーオークションで出品者IDが sieru50,オークションIDが d307597092(2018年9月24日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像を引用します.


   CFをリムーバブルメディアとして使用する場合(注1.1)は勿論,IDE HDD代わりに使用する場合も,CFをこのようにPC外部に露出させておくと,データの取り出しや移動の際には便利でしょう(注1.2・1.3).Conv98AT(PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ --> ハードディスク・ユーティリティ・ソフトウェア --> Conv98AT)を使用すれば,PC-98でシステム起動用のIDE HDDとして使用されているCFにPC/AT互換機からアクセスできるそうです(注1.4).
    注1.1:(micro)SDの場合も,PC-98で(micro)SD-CF変換アダプタを使用してデータディスクとして使用する場合,(特別なソフトウェアを使用せずに)そのまま(micro)SDカードリーダーなどを経由してPC/AT互換機のWindows上からデータを読み込むことができます(注1.1.1).筆者の場合,PC-98ではPC-9821XA-E01(PCカードスロット増設アダプタ)+PhotoFast製CR-7100(microSD-CF変換アダプタ)+I・Oデータ製PCCF-ADP(CF-PCカード変換アダプタ)を,またPC/AT互換機の場合にはSANWA SUPPLY製ADR-MCU2SWW(USB接続のmicroSDカードリーダー)を使用しています.但しmicroSDのフォーマット作業はデジカメで行っています(殆どその必要はありませんが).
       注1.1.1:一般的なリムーバブルメディアというものはそういう性質のものでしょう(1.44MB/720KBの3.5インチFDD,MO,CD-ROM等).
    注1.2:金具を自作してCバススロットにCF-IDE変換基板を固定し,本体の背面からCFを抜き差しできるようにした例もあります(ちゃんご56さんの2021年1月17日2022年1月22日・27日(123)・29日のツイート や E90さんの2021年3月27日のツイート を参照).
    注1.3:マイクロドライブを取り付けた例もあります[Flyingharukaさんの2024年3月20日のツイート(123)を参照].
    注1.4:PC-98デスクトップ機・PC-98のPCカード(MS-DOS/Windows)・Windows10ノート機でConv98AT不要で読み書き可能なCFのフォーマットの仕方が,てんまにちゃんさんの2020年3月30日のツイート(12)で報告されています.但し容量が297MBに制限されるといいます."PC-98デスクトップ機で使用可能" を,起動ドライブとして,という意味に解しましたので,ここで紹介します.
 注2:CF-IDE変換基板を介してPC-98のオンボードIDEインターフェースにCFを接続した場合に,BIOSの示すヘッド数とセクタ数がCF本来の値にリセットされ,CF内のデータにアクセスできなくなってしまうことがあります.CFリセットと呼ばれる現象がそれであり,対処するためのソフトウェア(IDE-BIOS-LBA-Patch.7z)が,DさんのGoogleドライブで公開されています.しかしこのソフトウェアの作者自身が,そもそもPC-98のオンボードIDEインターフェースにCFを接続して使用するのを止めるべきと主張しています(注2.1).CFリセットについての解説は,PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ --> ノウハウ記事を読む ここをクリック --> [PC-98] PC-9821オンボードのIDE ドライブとしてにCompact Flashを漫然と使うと、トラブルに遭って当たり前であるという話を書いてみました。 などを参照(注2.2).ここも参照.
    注2.1:MS-DOSでの使用ならばまだしも(注2.1.1),SCSI機器との併用(注2.1.2)や32bit OSでの使用は止めるべきであるといいます.なおCFリセットが起こっても,多くの場合PC本体を再起動すればCF内のデータにアクセスできるようになりますが,それはCF内のデータが無傷であることを意味しません.CFリセット現象によってはCF内のデータ自体は破壊されないとの証拠はありません.それどころか,32bit OS環境での事例ですが,CFリセットによってCF内のデータそのものが一部破壊されることを示唆する報告さえあります.
        注.2.1.1:実際にはこれも全く推奨できません.MS-DOS環境でもCFリセットが生起することが確認されています.固定ディスク起動メニュー表示までのわずか数セクタの読み込みの最中にこの現象が起きる(そのためそれより先に進めなくなる)ことさえあるといいます.
        注.2.1.2:特定のメーカー製のCF(GREENHOUSE製品,BUFFALO製RCFシリーズ)がPC-98のオンボードIDEインターフェースに接続されていると,バスマスタ転送/SMIT転送のSCSI機器の動作が阻害されるという現象が確認されています[リサイクル掲示板2021年9月過去ログの CF-IDE-SCSI変換時代のSCSI I/F スレッド,リサイクル掲示板2022年4月過去ログの 98システム解析スレッド2022年4月-1 スレッド,Dさんの2022年4月22日のツイート(1234)を参照].これはCFリセットとはまた別な現象で,原因は今のところ不明です.
    注2.2:しかしCFリセットを起こさない[少なくともCFRESET(Dさん作成のATAリセットを実行するソフトウェア)の実行によりCFリセット現象が発生しない]CF[いぐろまさよしさんの2022年4月28日のツイート(123),こーしさんの2022年4月29日のツイート(12)を参照],CFリセットそのものは起こさないがATAリセット後アクセスできなくなるCF(いぐろまさよしさんの2022年4月28日のツイート を参照),CFリセットを起こしてもアクセスできるCF[いぐろまさよしさんの2022年4月28日のツイート(12)を参照]も確認されています.また高価な産業用CFでもCFリセットを起こすものがあることも報告されています(いぐろまさよしさんの2022年4月28日5月26日 のツイート,こーしさんの2022年4月29日のツイート を参照).いずれもまだ報告が寄せられ始めたばかりの状況です.
 注3:PC/AT互換機用FDDのPC-98用FDDへの改造については,PC/AT互換機用FDDのPC-98での使用(2)――READY信号自動生成回路外付け編――PC/AT互換機用FDDのPC-98での使用(3)――制御基板改造編―― などを参照.なおFD1231Tの代わりにFD1138Tを接続するケーブルの結線は VFOなし異種FDD内蔵用ケーブル の "異種3.5インチFDD内蔵用ケーブル" の項にある "(1) FD1231T内蔵機種にFD1138Tを内蔵させるためのケーブル" のものを参照.

※R&D製FLB-3Xには,PC-9821XA-E02とPC-9821XE-E02のそれぞれの対応機種用のパネル部分が含まれています.下にヤフーオークションで出品者IDが masa_kun_1,オークションIDが j574019807(2020年2月2日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を半分に縮小してjpg形式に再変換)した画像を引用します.なおキットに含まれているFDDはFD1231Tではなく,TEAC製FD-235HGです(tshさんより情報をいただきました).


■PC-9821V-FD1
 対応機種は,いわゆる流星モデルのデスクトップ型VALUESTARである,PC-9821V166/S5C・S5D・S7C・S7D/V200/S7A・S7B・SZA・SZBです.内蔵FDDはFD1231Tまたはその互換品です.
 パネル部分の画像です.流星モデルのデスクトップ型V166に増設された状態のものです.ヤフーオークションで出品者IDが rcinosaru,オークションIDが l448848009(2018年6月15日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を縮小してガンマ補正値を上げた後切り出してjpg形式に再変換)した画像を引用します.メディア挿入用の開口部の中央付近が引っ込んでいるのが特徴です.


 追記:パネル部分単体の画像が見つかりましたので掲載します.ヤフーオークションで出品者IDが talk_talk_talk,オークションIDが b1052490154(2022年5月28日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工[元画像から切り出して半分に縮小してガンマ補正値を上げたものを270゜回転したもの(左)と90゜回転したもの(右)を併置しjpg形式に再変換]した画像を引用します.


PC-9821V-FD1のパネル部分と開口部以外の構造が同じPC-9821V-E01(流星モデルのデスクトップ型VALUESTAR用のPCカードスロット増設アダプタ)のパネル部分とPC-9821XA-E02のパネル部分は,高さはわずかに違う程度ですが,幅が大きく違っています.庇(天板側)の形状も異なります(PC-9821V-E01では右側が狭まり,丸みを帯びています).裏面のツメの位置はほぼ同じに見えます[右上のブロックの画像では,PC-9821XA-02のパネルを少し右側にずらして置いています].


しかしPC-9821XA-E02のパネル部分は,PC-9821V-FD1のパネル部分の代用とすることが可能なようです.イジェクトボタン用の開口部の位置が合っていますので間違いないでしょう.但し固定はできないらしく(注),固定方法を工夫する必要があります.ヤフーオークションで出品者IDが t1001_co_ltd,オークションIDが c1001855186(2021年8月29日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出したものを半分に縮小したものと,元画像から切り出して2/3に縮小したものとを併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.元画像にはパネル裏面の写ったものもあり,このパネルがPC-9821XA-E02のものであることが確認できます.
 注:業者の出品物で,説明文に "フロッピー部の正面パネルが外れています" とあるため,このように判断しました.


■PC-9821V-FD2
 対応機種は,いわゆる青札モデルのデスクトップ型VALUESTARである,PC-9821V16/S5PC2・S5PD2・S5VC2・S5VD2/V166/S5C2・S5D2/V200/S5C2・S5D2・S7C2・S7D2・SZC2・SZD2です.
 これらの機種では,2台目のFDDとしてフロントベゼル付きのFD1231Tを増設するようになっています.このためそれらの機種用のPC-9821V-FD2のパネルでは,2台目のFD1231Tの位置に長方形の開口部があります.また2台目のFDDは本体前面から見て奥まった位置に取り付けられることになるため,PC-9821V-FD2に付属のフロントベゼル付きFD1231Tでは,奥行き方向の長さが通常のものより幾分長いイジェクトボタンが使用されています.なおこのイジェクトボタンは通常のFD1231Tのものより前面のサイズが小さくなっていますが,このサイズのイジェクトボタンは,PC-FD321DHに付属のFD1231TやPC/AT互換機用の一部のFD1231T/Hでも使用されていますが,奥行き方向がPC-9821V-FD2に付属のFD1231Tのイジェクトボタンより短くなっています.比較画像を下に示します.左から順に,PC-9821V-FD2のFD1231Tのイジェクトボタン,PC-9821V-FD2のFD1231Tのフロントパネル部分,PC/AT互換機用(P/N失念)FD1231Hのフロントパネル です.左と中央は,ヤフーオークションで出品者IDが sieru50,オークションIDが f1079992760(2023年1月28日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出したものと元画像から切り出して2/3に縮小したものを併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.メディアがセットされていない状態では,PC/AT互換機用のFD1231Hのイジェクトボタンは飛び出し部分が殆どないのに対して,PC-9821V-FD2のFD1231Tのイジェクトボタンは大きく飛び出しているのがわかります.


下に青札モデルのデスクトップ型V200に装着された状態のPC-9821V-FD2の画像を示します.ヤフーオークションで出品者IDが super_eco99,オークションIDが l366513701(2016年10月24日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像(左)と,ヤフーオークションで出品者IDが shijimiasarisix,オークションIDが x491557088(2017年6月14日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像(右)をそれぞれ引用します.右の画像からは,2台目のFDDがPC本体のフロントパネル前面から相当奥まった位置に取り付けられている様子がわかります.FDDのイジェクトボタンに,通常のものより奥行き方向の長いものが使用されているのもこのためでしょう.


 追記:少々汚れがありますが,パネル部分単体の画像が見つかりましたので掲載します.ヤフーオークションで出品者IDが trgetter,オークションIDが t828433381(2021年8月9日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して30%に縮小してガンマ補正値を上げたものを併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


PC-9821V-FD1とPC-9821V-FD2の間にパネル部分の互換性はなさそうです.PC-9821V-FD1のパネル部分と開口部以外の構造が同じPC-9821V-E01(流星モデルのデスクトップ型VALUESTAR用のPCカードスロット増設アダプタ)のパネル部分は,青札モデルのデスクトップ型V200のフロントパネルにはめることができません.ガバガバで固定用のツメが一箇所も掛かりません.試しにフロントパネルにテープで貼り付けてみましたが,イジェクトボタンの飛び出し部分が少なく,イジェクトボタンは押しづらいものの,開口部の中央付近が奥行き方向に引っ込んでいることが幸いして,1台目のFDDだけならば何とか使用することができます.ツメや板状突起の部分に穴を開けて針金等で本体フレームに固定したり,本体側のフロントパネルを加工するなどすれば,取り付け自体は不可能ではないでしょう.



 追記:PC-9821XA-E02対応機種(機種名は上を参照)で元々使用されている,内蔵FDDが1台用のパネル部分を,青札モデルのデスクトップ型V200に取り付けた例があります(おふがおさんの2020年12月22日のツイートを参照).この工作では,FDDパネルのはまるフロントパネル部分の縁を削ってこのパネルを取り付けています.同じようにすれば,PC-9821V-FD2の代わりにPC-9821XA-E02を取り付けることもできそうです.

■PC-9821RA-FD1
 対応機種は,PC-9821Ra18/Ra20/Ra266/Ra300/Ra333/Ra40/Ra43/RaII23/Xa13/W12/PC-9821Xa16/W16・W30/Xa20/W30・W30R・D30R/Xa200/W30R・D30R・M30Rです.内蔵FDDはFD1231Tまたはその互換品です.
 パネル部分の画像です.ヤフーオークションで出品者IDが withcrocus,オークションIDが s513859625(2017年1月12日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出してjpg形式に再変換)した画像(左)と,ヤフーオークションで出品者IDが wczao76019,オークションIDが d519670545(2021年4月5日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して40%に縮小後jpg形式に再変換)した画像(右)をそれぞれ引用します.FDD用の開口部とは別の横長の長方形の開口部は,PC本体の型番プレートが入る部分です.


PCカードスロット増設アダプタであるPC-9821RA-E01に付属しているパネルは,PC-9821RA-FD1のFDD用の開口部に相当する位置に,カードスロット部の前面を露出させるための長方形の開口部があります.この開口部はFD1231Tのフロントベゼルより一回り小さいものですが,FD1231Tのメディア挿入口とは干渉しません(上のPC-9821XA-E02の項を参照).従って,(FDDの固定に若干の工夫を要するかもしれませんが)フロントベゼル付きのFD1231Tを2台目の内蔵FDDとした場合,パネル部分にPC-9821RA-E01のパネルを利用することができます.またPC-9821RA-E01のパネルの開口部の縁を削って開口部を少し拡げれば,FD1231Tのフロントベゼルとの干渉をなくすことができます.PC-9821RA-E01のパネルの開口部を加工したものか,出荷時に装着されていた開口部のないパネルを加工したものかは不明ですが,FD1231Tのフロントベゼルと同じサイズの開口部をパネルに開けた例もあります.ヤフーオークションで出品者IDが sieru50,オークションIDが s841380037(2021年8月9日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して半分に縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します.PC-9821Xa20に装着された状態のものです.パネルに開口部を設ける場合には,FD1231Tのフロントベゼルをパネル裏面に押し当てて,その位置をパネル裏面にマーキングするとよいかもしれません.


このパネル部分を自作した例もあります.一枚のプラスチック板を切り出し,メディア挿入用のスリットとアクセスランプ用の穴,および型番プレート用の開口部を開けてあるように見えます.固定方法は不明です(裏面にツメを付けてあるのか,あるいは本体の直接フロントパネルに貼り付けてあるのでしょうか).ヤフーオークションで出品者IDが withcrocus,オークションIDが o176616994(2017年3月14日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して2/3に縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


これと同様の開口部を元々のパネルに設けた例もあります.ヤフーオークションで出品者IDが sieru50,オークションIDが 1019139792(2021年11月15日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して半分縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します.元々のパネルにはかなり厚みがあるため,加工を綺麗に行うのは容易ではないでしょう.2台目のFDDはできるだけ前に取り付ける必要があるように思います.またメディア挿入用開口部の中央付近のパネルが薄くなっていない(奥行き方向に引っ込んでいない)ようですので,2台目のFDDにメディアをセットする場合には,押し込み方に少しコツが要るかもしれません.


■PC-FD321DH
 対応機種はPC-9821Ct16とCt20を除くタワー型の機種と思われますが,正式対応機種は不明です(注1).PC-98には内蔵FDDケーブル用コネクタが2台目のFDD用の信号のピンを持っていない機種が実際に存在しますので,ファイルベイまたは5インチベイを持ち,FD1231Tを内蔵したすべての機種でこのキットが使用できるかも不明です(注2).
 注1:例えば,PC-9821Xv20/Xv13のガイドブック[PC-9821XV-GB2(1996年7月初版発行)]では,ファイルベイに増設可能な機器にPC-FD321DH(1996年2月発売)が含まれていません.しかし実際には両機種とも2台目の3.5インチFDDを増設することは可能です.
 注2:最初期のタワー機の一つであるPC-9821Xtでは,内蔵FDDケーブル用コネクタにDS1信号が出ているといいます(noconaさんの2021年11月26日12月12日のツイートを参照).

下にヤフーオークションで出品者IDが angel_symphony,オークションIDが r324445333(2019年6月10日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を縮小したものから切り出して一部を回転させた後横並びに配置してjpg形式に再変換)した画像を引用します.


PC-FD321DHには新旧二つのタイプがあります(HAMLIN's PAGE --> 筐体関係 --> 専用金具 を参照).勿論機能や使い勝手に差はありません.上の画像のものは旧型です.

この増設キットは,タワー型などの5インチベイに増設する製品ですので(デスクトップ型のファイルベイにも取り付けられるでしょう),正式に対応していない機種でも,5インチベイを空けることができれば増設自体は可能です.またこのキットに含まれている,5インチベイに3.5インチ機器を増設するためのフロントベゼル付きのフレーム金具は,フロントベゼルの付いた一般的なフレーム金具で代用できます(安価なプラスチック製のマウンタも使用可能).2台目のFDDがFD1231Tの場合には,PC/AT互換機用の一部のFD1231T/H(注1)からフロントベゼルとイジェクトボタン(通常のFD1231Tのものより小さいタイプ)が移植できます(PC-FD321DH付属のFD1231Tのイジェクトボタンも,通常のものより小型(奥行きも通常のものよりあるそうですが)のものが使用されています.下の画像を参照).筆者はPC-98用のFD1231T(P/N 134-506790-011-2,制御基板G8XBZ)相当品に改造したPC-98NX用のFD1231T(P/N 134-506790-256-2,制御基板G8XBY,イジェクトボタンは二つの弓形が合わさった形状)に,P/Nを失念したPC/AT互換機用FD1231Hから外したフロントベゼルとイジェクトボタンを取り付け,Logitec製5インチベイ用ZIPドライブユニット "LZD-250AK" のプラスチック製マウンタに取り付けて使用しています(PC/AT互換機用FDDのPC-98での使用(3) ――制御基板改造編―― を参照)(注2).


 注1:PC-98用のFD1231T,PC/AT互換機用のFD1231T/Hとも,フレームの形状が幾種類かあり(筆者はこれについて十分に把握できていません),そのままではフロントベゼルやイジェクトボタンを交換できない組み合わせが多くありますので注意が必要です.
 注2:FD1231Hのフロントベゼルに少し手を加えてPC-98用のFD1231Tに直接取り付け,あるいはFD1231Tを取り付けるマウンタのフロントベゼル開口部に接着している例もあります[原 真紀@寿司にーさんの10月9日のツイート(123) と アリゾナ@PC??さんの2021年10月9日(123)・16日のツイートを参照].なお前者でのFD1231HのP/N は 134-506791-305-3 で,FD1231TのP/Nは不明であり,後者ではFD1231HとFD1131TのP/Nはともに明らかではありません.

またPC-9821Ap2のファイルスロットに,FD1231Tと思われるFDDを増設した例があります(ここ を参照).この工作でも,5インチベイに3.5インチ機器を増設するためのフレーム金具を利用しているのではないかと思われますが,増設したFDDはフロントベゼルのないものであり,恐らくは内蔵FD1231Tが1台のモデルの機種のFDDパネル部分を加工したものをパネル部分として取り付けています.パネルは正面にネジ穴を開けてフレームに固定しているようです(ネジの頭が外から見えないようにして固定することも不可能ではないでしょう).5インチベイやファイルベイにフロントベゼルのないFD1231Tを増設する際にも,綺麗に仕上げるのはやや大変かもしれませんが,同様の工作が可能でしょう.

またPC-9821Xv20/W30の5インチベイに増設した2台目のFD1231T部分のフロントパネルとして,別なタワー型機種のFDD部分のフロントパネルを切り出したものを取り付けた例もあります.この例では,切り出したパネル部分の両脇を5インチベイ開口部の縁に貼り付けることで固定しているように見えます.実に見事な出来栄えであり,また実に贅沢な工作と言えるでしょう.ヤフーオークションで出品者IDが otakaraya324,オークションIDが x673371838(2020年2月19日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を半分に縮小したものと80%に縮小したものから切り出して併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


 追記:この工作をされた方による別の画像と説明が,PC-9821/9801スレッド Part80の460-464番の投稿にあります(Imgurの画像への直リンクはこちら).
 ※上のリンクと投稿番号は,筆者が普段閲覧しているikura.2ch.scのスレッドのもので,これらはmatsuri.5ch.netのPC-9821/9801スレッド Part80では451-455番の投稿に当たります.2ch.scは5ch.netをクロールしてスレッドを収集しているそうで,収集されたスレッドに2ch.scで新規の投稿がなされると,2ch.scのスレッドの番号が5ch.netのものとずれていきます(2ch.scでなされた投稿の数だけ数字が増えます.その投稿は5ch.netからは見えません).上記のスレッドの場合,5ch.netのPC-9821/9801スレッド Part80の420番と451番の投稿は,2ch.scの同名スレッドでは427番と460番の投稿として表示されます.

またPC-9821Xv13/W16(マザーボードなどはPC-9821Xa16/W30のもの)のフロントパネルの機種名プレートの下の部分を切り抜き,2台目の内蔵3.5インチFDDとしてフロントベゼル付きのFD1231Tを取り付けた例もあります.この位置のフロントパネルは平面ではありませんので,FD1231Tのフロントベゼルとの間に若干の段差があります.このFD1231Tは下側の3.5インチシャドウベイに取り付けられています.このシャドウベイに3.5インチ機器を取り付けるには専用の金具を用いますが,簡単な固定具を自作するなどすれば取り付けは可能です.ヤフーオークションで出品者IDが sieru50,オークションIDが v1014288647(2021年11月5日に終了予定)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を2/3に縮小したものから切り出して併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


PC-9821Xv13/R16のフレームにPC-9821Cx13のFDD・HDD固定用金具を取り付け(フレームへの固定方法は不明),そこに3.5インチFDDを2台取り付けた例もあります.3.5インチFDDのある位置のフロントパネルは切除されています(画像).詳しくは5インチFDD内部増設用ケーブルを参照.


(2) 固定用金具
2台目FDDの固定用金具は大きく分けて二種類あります.両者をともに含んでいるキットもあります.

1.本体前面のフレームに固定するための金具
PC-9821A2-E01・PC-9821B-E01・PC-9821XE-E02・PC-9821XA-E02・PC-9821V-FD1・PC-9821V-FD2には,2台目のFDDの前方に取り付け,PC本体前面のフレームにネジ留めするための細長い金具が付属しています.このタイプの固定用金具の例として,PC-9821B-E01付属のものを下に示します.


PC-9821A2-E01・PC-9821B-E01・PC-9821XE-E02・PC-9821XA-E02(注1)対応機種では,2台目のFDDの側面をPC本体のフレームにネジ留めすれば,若干ぐらぐらする感じはありますが(注2),この金具なしでも実用上問題ない程度には固定が可能と思います(ただしPC-9821XE-E02の場合には,本体前面のフレームに固定するための金具なしだと,他のキットの場合よりFDDのぐらつき具合がかなり大きい感じがします).もっとも感じ方には個人差がありますので,やはり専用金具を介してのネジ留めも行わなければ固定が十分でないと感じる人も多かろう思います.また中古品やジャンクでは,この金具が欠けている場合も少なくありません.しかし,このタイプの金具なら,工作難度はさほど高くありませんので,アルミ板やアルミアングルなどを加工して代用品を自作することは,キット付属の金具の細かな形状を知らない場合でも十分に可能と思います(注3).作成の際には,お持ちの機種のFDDとPC本体のフレームの形状やネジ穴の位置に合わせて金具の形状を決めて下さい.
 注1:PC-9821XA-E02の対応する横幅38cmの機種では,2台目FDD増設用スロットにFDDのネジ穴の位置に合うネジ穴がなく,上のものと同様の固定金具を用いなければ2台目FDDが固定できないといいます[しかしFDDを増設した筆者のXc13では,この固定金具なしでも,側面を一箇所フレームにネジ留めするだけで2台目のFDDが問題なく使用できています(注1.1・1.2].PC-9821V-FD1・-FD2の2台目FDD増設用スロットの場合も同様かもしれませんが,筆者はこれらに付属するパネル部分を所有しておらず,2台目のFDDの奥行き方向での取り付け位置を確認できません(PCカードスロット増設アダプタであるPC-9821V-E0・-E04のPCカードスロット部の側面のネジ穴の位置に合うネジ穴は,2台目FDD増設用スロットの側面にあります).
   注1.1:フレームに取り付けた状態で前の方を持ってFDDを揺すってみると,確かにフレーム内で左右に動きはしますが,FDD部分のパネルを取り付ければ,パネルのイジェクトボタンの開口部などによって動きがさらに制限されるため,使用上支障はありません.
   注1.2:FDDまわりのフレームの構造が同じ機種であるPC-9821V13/S5C3(G8WVD)で説明します.2台目のFDDが収まるベイ部分の側面は下のようになっています.


       FDD側面のネジ穴は三箇所で露出していますが,そのままネジ留めできるのは緑丸の一箇所だけです.筆者はここをネジ留めしています.しかし,白丸の箇所も,大きなワッシャあるいはそれに似たもの(プラスチック板などでも簡単に作れます)を使うことにより,フレームへの固定に利用することができます.下の例では小さなワッシャと大きなワッシャを重ねて挟んでいます.


 注2:PC-9821XE-E02とPC-9821XA-E02対応機種では,2台目のFDDの側面でネジ留めできるのは一箇所だけです.

 注3:しかし筆者個人としては,FD1138T/FD1148T内蔵機種(PC-9821A2-E01,PC-9821B-E01対応)では,固定金具の自作を積極的にはお奨めし難いところがあります.上記のように,これらの機種では2台目のFDDの固定に固定金具が不可欠ではないと考えることの他に(注2.1),FD1138T/FD1148Tはフラップ(シャッター)の軸部分が非常に折れやすい上(FD1138T・FD1148T・FD1138C・FD1138Dの分解方法 を参照),金具の位置合わせや取り付けなどの際にはどうしてもFDDの前の方に触る機会が多くなり,不用意にフラップ付近に力を加えてしまう危険性が高いと考えるためです.(注2.2)FD1138T/FD1148T内蔵機種用の固定金具を自作される場合には,この事故に十分注意して下さい.
   注2.1:最初からFD1138T/FD1148Tを2台内蔵している /U2 モデルでは,2台目のFDDが側面のネジだけでフレームに固定されており,PC-9821A2-E01やPC-9821B-E01に付属しているフレーム前面にネジ留めする固定金具に相当する固定具は使用されていません.FD1138T/FD1148Tを2台内蔵しているモデル(FDDモデル)と1台しか内蔵していないモデル(HDDモデル)では,FDDまわりのものを含め本体のフレームは共通ですので,この事実は,2台目のFD1138T/FD1148Tを本体のフレームに固定するのに特別な固定金具は不可欠なものではないとNECも考えていたことを意味します.
   注2.2:FD1138T/FD1148T内蔵機種用の固定金具の自作を積極的にはお奨めしない理由は,固定金具の構造にもあります.2台目のFDDを取り付けるベイ部分の前面の開口部の左右には,ネジ穴とともに板状の突起があります(画像下段).


       この突起との干渉を防ぐために,PC-9821A2-E01とPC-9821B-E01に付属している固定金具では,突起の位置に対応する部分が矩形に切り抜かれています(画像上段).固定金具を自作する場合には,この部分も再現する必要があります.工作の難度自体は高いものではありませんが,上記のように筆者はそもそもこの固定金具自体を不要と考えますので,このような形状の,そして機能的にもあまり意味を持たないものをわざわざ手間を掛けて作る価値などなかろうと考えます.

基本的には,金具の耳状の張り出し部分を,PC本体のフレームの前面にある2台目のFDD用の開口部の左右(ネジ穴が1個ずつ開けられています)に固定するように作成すれば十分です.その際には,下の画像の白枠の部分に相当するものだけを左右一対で作成するのが簡単です.


この場合は,材料に加工しやすいプラスチック(プラスチックアングルや,プラスチック製の箱状の物から直角に曲がった部分を切り出したもの等.また最初から直角に曲がっていないプラスチック板を,製作の途中で曲げてもよいでしょう.なおアクリル板は割れやすいため,この種の工作の材料には向きません)を使ってもよいでしょう.材料が薄すぎて強度に不安があるならば,材料を重ねればよいでしょう.ネジ穴を開けるための工具としては,金属材料の場合には,卓上ボール盤や金属穿孔用のハンドドリル(後者は100円ショップでも置いているところがあります)等が必要でしょうが(金槌と釘といった手段でもできないことはないでしょうが,変形した部分を平らにしたり,穴の部分をヤスリで整えたりといった後処理が必要になります),プラスチック材料(やアルミ缶のようなごく薄いアルミ材料)の場合には,錐や手芸用のハンドドリル(これも100円ショップでの扱いがあります)などで開けた穴(ネジを通すには小さすぎると思います)を丸棒型の精密ヤスリ(精密ヤスリセットも100円ショップにあることがあります)等で拡げてもよいでしょう(1MB FDD I/Fの製作 を参照).また金属材料の場合には,取り付け時の怪我を防ぐために角の部分を少し切り落とし,材料の切断面に目の細かいヤスリでヤスリ掛けをしておいた方がよいと思いますが,この種の作業にあまり馴染みのない方は,切断面やバリ等で怪我をしないように十分気を付けて下さい.また材料の切断時・穿孔時・ヤスリ掛け時に出る削り屑を吸い込んだり,指に刺したり散らしたりしないように注意して下さい.

実際にPC-9821XA-E02対応機種用の金具を作成してみました(筆者は本物の金具を所有してはいません).まずボール紙で試作しました.2台目のFDDを本体のFDDベイ部分にはめた状態で幅25mm,長さ40mm程度に切った紙を当ててみて,どれくらいのサイズのものを作ればよいか当たりを付けました.その結果に基づき,麻婆豆腐の素の外箱から幅22mm,長さ26mmの紙片を一枚切り出しました.次に紙片の右下隅に近い部分に穴を開け,2台目のFDDの側面の一番前のネジ穴にネジ留めしました.2台目のFDDを,上の画像の緑丸の位置に側面のネジ穴が来るようにPC本体にセットし(この時2台のFDDの前面の位置が揃います),紙片を直角に外側に折り曲げて,PC本体のフレームの前面のネジ穴と重なる位置に錐で穴を開け,そこもネジ留めしました.この時紙片が曲がったり撓んだりしないように気を付けます.

試作してみて分かったことは,22mm×26mmのままでもよいが,微調整時の追加加工(ネジ穴を拡げる等)のことを考えると,もう少しサイズに余裕があった方がよいかもしれないということでした.そこで今度は23mm×28mmの紙片を(大した手間でもありませんので)二枚切り出して試作をやり直しました.穴の周りのバリ状の紙は爪切りで切り落としてあります.なお画像の1台目のFDDは,FD1231Tと互換性のあるSONY製MPF520-F/D10です.


最終的に下の寸法の金具を左右一対分作ることにしました.右と左で折り曲げる方向が逆になります.


今回は缶詰の蓋(スチール,軟鉄板)を材料に使いました.この種のものは錆びやすく,本来こういった工作の材料として適したものではありませんが,身近な材料ということで敢えて選んでみました.平面でなく,同心円に似たデザインの凹凸があり,さらに缶を開ける時にできた皺状の凹凸までありますが,この程度のものなら,大した精度も必要でない今回の工作では問題とならないだろうと判断しました.錐で引っ掻いて線を引き,その線の通りに切り出します.また穴を開ける位置にマジックで印を付けます.穴開けは切り出す前に行った方がやりやすいと思います.


穴を開けた状態です.穴開けはピンバイスを使用して手作業で行いました.FDD固定用のネジは直径が3mmなので,ドリルビットは直径3mmのものを使用しました.ドリルビットは今回は100円ショップのセットに含まれるものを使ってみました.バリ取りには面取りリーマ(画像右端)が便利ですが,ヤスリを使うこともできます.なおこの段階で,遊び(ネジ穴の余裕)を大きく取るために穴を大きめに開けるか,開けた後でヤスリなどを使って穴を少し拡げておいてもよいですし,ここではやらずに,最後の微調整の段階で必要になった場合に穴の調整を行ってもよいでしょう.プラスチック製の材料の場合には,金属材料の場合と比べ,ずっと簡単に穴を開けることができます.


切り出したものとそれを折り曲げたものです.切り出しには大きめの普通のハサミを使いました.刃を傷めてしまいますが,薄い金属板なら普通のハサミでも切ることができます[筆者は藤原産業製の金切鋏も持っていますが,この種の簡単な工作では,古道具屋で150円で売られていた持ち手が一部破損しているFISKARS製のステンレス製のハサミ(刃の形状が少し変わっていますが,何用のものなのかは不明)を使っています(注)].切断面と角の部分にはヤスリをかけますが,ヤスリがけの際にも怪我をしないように十分注意して下さい.また折り曲げは定規を当てて行うとよいでしょう.
 注:紙から金属まで切ることのできる "万能ハサミ" も,ホームセンター等で1,000円程度で買うことができます.


この金具を取り付けた2台目のFDDを本体に取り付けます.微調整が必要な場合もあります.この種の工作物は,一発で完成することはまずないと考えると気が楽です.ネジ穴の位置が少しずれている場合には,ずれている方向にネジ穴を拡張します(ネジ穴が楕円形になりますが,ネジによる固定の際に問題とはなりません).FDD部分のパネルが2台目のFDDの前面とわずかに干渉してパネルがうまくはまらない場合には,2台目のFDDを奥の方に押し込みながら[フラップ(シャッター)等の破損に注意]FDD右側面最後部のネジ穴に対応するフレームのネジ留め用の穴の遊びを最大に使ってできるだけ奥の方に固定します.


作ってみた感想ですが,材料が薄いだけあって,メディアの出し入れの際にFDDがわずかに動く感じはあります.しかしそれはメディアの出し入れの失敗やメディアまたはFDDの破損といった事故の原因となるようなものではありません.金属製の材料では,アルミ缶のような薄いアルミニウム製の材料(鉄板などよりは加工が容易です)でも強度に問題はないのではないか(下の追記1で扱ったポリプロピレン製の固定具をより強靱にした感じのものになるか)というものでした(注1).また,プラスチックアングル等を材料にすれば,十分な強度のものがもっと簡単に作成できると思いました.あまり大きくない地元のホームセンターで見たところ,15mm×15mm×1000mmの1mm厚のもの(あまり厚いものは取り付けられないと思います)が200円以下で売られていました.普段工作をしない方には無駄な分が多く出てしまいますが,工作材料として売られているものを材料にしたいのであれば,こういうものを利用するとよいでしょう.これなら大きめのカッターと錐などで簡単に加工できます(1mm厚程度の材料を使うのであれば,穴の位置を水平方向に幾分ずらす必要があるかもしれません.横長の楕円形の穴を開ければよいでしょう).金属加工用の工具があれば,アルミアングル(これもあまり厚さのあるものは不適)などを工作材料にしてもよいでしょう.またPC-9821XA-E02対応機種でも,PC-9821A2-E01やPC-9821B-E01対応機種と同様に,2台目のFDDの固定にはこの種の金具(注2・3・4)は必ずしも必要ではないと再認識しました.
 注1:アルミ缶は缶詰(SPAM,コンビーフ,また魚缶の楕円型や角型のもの.本体がスチール製の丸型の缶でも,ツナ缶など蓋の部分がアルミニウム製のものがあります)に使用されているものがある程度厚さがあります(筆者がいくつかノギスで測定してみたところ,厚さは0.3-0.4mm程度でした).ビールや炭酸飲料などの缶は薄すぎます.但し一部のアルミ缶の底[内側に丸く凹んだものでなく平らなものでしょう(注1.1)]は富士通製MOドライブのメディアイジェクト用部品の材料としての利用報告もあり(PC-9821/9801スレッド Part88の653番の投稿を参照),金属板が手に入れづらい場合には,ある程度の強度が要求される小型部品の手近な材料の一つとして有望かもしれません.
     注1.1:下の画像のようなものでしょうか.この缶では底の厚さは0.3mmでした.なおこの底から上記の金具一対分のアルミ板が切り出せました.
 注2:流星モデルのデスクトップ型VALUESTARもFDDまわりのフレームの構造は同じだったと記憶しますので,上で作成した金具はPC-9821V-FD1用の金具としても使用できる可能性があります.
 注3:筆者はPC-9821V-FD2のパネル部分を所有していないので,それを取り付けてのチェックはできませんが,V200/S7D2に2台目のFDDを取り付けてみた感じでは,青札モデルのデスクトップ型VALUESTARでも上で作成した金具が使えそうです.なお青札モデルでは,2台目のFDDが収まるベイ部分の側面がPC-9821XA-E02対応機種などとは少し異なっています.フレーム右側面のネジ留め用の縦長の楕円形の穴が二個並んでいますが(画像左),上に引用したPC-9821V-FD2のパネル部分の画像を見る限り,2台目のFDD固定用のものは後ろ側(本体バックパネル側)のものな筈です.なおフレーム左側面にもいかにもネジ留め用然とした円形の穴が二個並んでいますが(画像右),これは2台目のFDDの固定には使用できません.
 注4:PC-9821XE-E02用にこの金具を作成する場合には,本体前面のフレームに固定する部分の端を3mm程度切り詰めなければ,金具の端がフロントパネルと干渉します.フロントパネルを一旦外してから取り付ければ,切り詰める必要はありません.なお注1-3より,2台目のFDDを本体前面のフレームに固定するための金具は,PC-9821XE-E02・PC-9821XA-E02・PC-9821V-FD1・PC-9821V-FD2で共通品,あるいは幾分形状が異なっていたとしても,互いに交換して使用できるものと推測されます.ヤフーオークションの出品物画像からも,これら四種類の内蔵3.5インチFDD増設用キット付属の金具が共通であることが示唆されます.


 追記1:木綿豆腐の容器(材質はポリプロピレン)の底の平らな部分を使って固定具を作ってみました.工具には普通のハサミと錐と爪切り(穴の周囲のバリの切除に使用)を使いました.


同様の身近な素材には,ペットボトルや食品の容器,ケーブル等のパッケージなどもあります.これらの素材で作成した固定具は薄くて柔らかいため,取り付け後にFDDを左右に動かそうと思えば動かすことはできますが,動きがかなり制限されます.右側面最後部のネジ穴だけで固定した場合よりも固定の度合いは遙かに高くなります.厳密には半固定状態と言えますが,2台目のFDDの固定具としては十分に実用的と思います.少なくとも,きちんとした固定金具を入手あるいは自作するまでの繋ぎとしては十分に有用でしょう.この程度の固定であれば,固定具の代わりに細い針金やビニールタイなどを使っても(ネジの軸あるいはネジ穴に絡める)よいかもしれません.なおこのような材質のものがどれほど保つものかは筆者には分かりません.

 追記2:PC-9801BX4で2台目のFDDを本体前面のフレームに固定するために使用されている金具の画像と各部の寸法(単位はmm)です.高さ,および端に板状の突起物がある場合の端からの長さは,金具の厚さの分を含む値です.この金具はPC-9821XE-E02に付属しているものと同じものと思われます.






PC-9821CX2-E01とPC-9821C2-E01に付属の固定用金具は,2台目のFDDを本体前面のフレームに固定するための金具と,下で扱う,2台目のFDDを載せるための金具とが一体化した形状をしています.

下にPC-9821CX2-E01付属の固定用金具の画像を示します.まりもさんが2020年1月18日にリサイクル掲示板の汎用スレッド2020年1月 パート3スレッドに投稿された画像から切り出してjpg形式に再変換した画像を引用します.これは2台目のFDDの底面に取り付け(FDD側面にネジ留め),本体フレーム前面のFDD用開口部の中央下部に固定するようになっています.これもアルミアングルなどを用いて相当品を製作することはそれほど難しくはないでしょう.なお,おふがおさんの2020年9月20日のツイートを見る限り,この金具がなくても2台目のFDDは本体フレームに固定できるようです.フレームにFDDを横ネジで固定できる箇所があるのかもしれません.
 追記:おふがおさんは厚紙とファンガードを利用して2台目のFDDを固定されています(2020年10月12日のツイートを参照).機種はCx13で,フレームには横ネジで固定するためのネジ穴などはないそうです.これはCx2とCx3でも同じかもしれません.


下はPC-9821C2-E01付属の固定用金具の画像です.PC-9821CX-E02付属のものも同じもののようです.画像の金具の上側がFDDの天板側となるよう装着します.ヤフーオークションで出品者IDが mazdarx7rotary2000,オークションIDが l329690934(2015年12月15日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します.この金具は一種の上げ底構造をしており,自作する場合には,前方の一部を作るだけでは不十分で,何らかの形でFDDの底面(の左右両端付近)を持ち上げるようにする[とともに,FDDの側面(か底面?)を金具自体に一箇所以上ネジ留めできるようにする]必要もあります.
 追記:金属板を加工したものと3.5インチベイ機器用の取り付け金具とを組み合わせて,機能的に同等の金具を自作した例があります(おふがおさんの2020年12月28日のツイートを参照).


筆者は対応機種を所有していないため,PC-9821CB2-E01にどのような固定金具が付属しているかはわかりません.ヤフーオークションのPC-9821CB2-E01商品画像,Toso'sHomePage --> MyPc --> PC-9821Cb10 CanBe --> 増設編 にあるCb10のFDDまわりの金具の画像,およびちまちまさんの2020年9月8日のツイートのCb2/TのFDDまわりの金具の一部の画像を見る限りでは,付属していないように思えます.またPC-9821RA-FD1には上と同様な固定金具は含まれていません(下を参照).


2.2台目のFDDを載せるための金具
この金具にはPC-FD321DHのフレーム金具も含まれますが,これについては既に上で扱いました.また2台目のFDDを本体前面のフレームに固定するための金具と2台目のFDDを載せるための金具とが一体化している,PC-9821CX2-E01とPC-9821C2-E01に付属する固定用金具については直上で扱いました.

FDDが横並びとなる機種用のPC-9821XE-E02とPC-9821RA-FD1には,2台目のFDDの下に敷く金具が付属しています.この金具(上げ底構造になっています),あるいはその代わりとなるものを用意しなければ,FDDを下から支えるものがない状態となってしまうため,2台目のFDDの取り付け自体ができません.PC-9821XE-E02には下の金具が付属しています.ヤフーオークションで出品者IDが hamayokotobe,オークションIDが xp587704638(2018年1月18日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


これは一部が欠損していますが,FDDを2台内蔵した機種であるPC-9801BX4に最初から組み込まれている金具と同じものように見えます.PC-9801BX4の,2台目のFDDの下に敷く金具の画像です.左上の小さな金具(上の画像のもので欠損しているのかこの金具です)は,大きな金具とともにFDDを右側から挟み込むものですが,なくてもそれほど支障はないように思います.


画像左がこの金具のない状態です.緑矢印の先のネジ穴は金具を本体のフレームに固定するためのものです.また黄矢印の先の穴はネジ穴ではなく,穴の縁がバリ状に突き出していて,それが金具の楕円形の穴に通るようになっています.画像右が金具を取り付けた状態です.小さな金具は金具の左隅の部分に重ねてネジ留めします.


金具の各部の寸法(単位はmm)です.高さ,および端に板状の突起物がある場合の端からの長さは,金具の厚さの分を含む値です.

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これほど複雑な形状の金具を自作することは容易ではありません.自作する場合には,本体のフレームに固定でき,かつ2台目のFDDの底面(の左右両端付近)を8mm持ち上げられる金具(FDDの側面か底面も金具自体に一箇所以上ネジ留めできるようにするのが望ましい)を作成するのがよいでしょう.また2台目のFDDの固定に際しては,本体前面のフレームに固定するための金具を併用するのがよいでしょう.


またPC-9821RA-FD1には上下一対の固定用金具が付属しています.すなわち,2台目FDDの上から被せるものと下に敷くものとの2つがあります.ヤフーオークションで出品者IDが raversod,オークションIDが l415852917(2017年11月12日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して縮小し色調変更とガンマ補正を行った後併置しjpg形式に再変換)した画像(左と中央),およびヤフーオークションで出品者IDが minto099,オークションIDが s546815395(2017年9月27日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して縮小しjpg形式に再変換)した画像(右)をそれぞれ引用します.


HAMLIN's PAGE --> 筐体関係 --> CASE_4 専用金具 の記事では,上から被せる金具はNo.7が,下に敷く金具はNo.8がそれぞれ該当します(この記事によれば,両者ともPC-カードスロット増設アダプタであるPC-9821RA-E01付属のものと共通のようです).No.8の金具,すなわち2台目のFDDの下に敷く金具は,2台目HDD内蔵用金具(HAMLIN's PAGEの記事では6Aまたは6Bの金具)を取り付けていない場合に必要となります.

FDDの下に敷く金具は,アルミ板,アルミパンチングボード,プラスチック板などを加工して作成できそうです.実際にプラスチック板を用いて自作した例もあります(パペットさんの2021年3月6日のツイートを参照).またFDDの下に敷いてFDDを単独で固定できる金具を作成した例もあります.ヤフーオークションで出品者IDが withcrocus,オークションIDが xs513859625(2017年1月12日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して縮小し色調変更とガンマ補正を行った後jpg形式に再変換)した画像を引用します.この工作では,この板状の金具にFDDを底ネジで固定しているために,上から被せる金具が不要になっています.但しFD1231Tの底面のネジ穴は,天板の一部と干渉するため,半分程度しか露出していませんので(上の画像の中央のものを参照),この工作を行う場合には,FDD側にネジ穴全体を露出させる加工を行う必要もあります.



またFDDの上から被せる金具の場合は,2台目のFDDの側面と下側の金具とを繋ぐ部分だけを,アルミアングルやプラスチックアングル等で左右一対作成すれば,少ない材料で代用品が比較的簡単に作れそうです(いずれも形状と穿孔位置は現物合わせを繰り返して決定する必要があります.先にボール紙などで試作するとよいでしょう).HAMLIN's PAGEの記事によれば,上から被せる金具はPCカード増設アダプタであるPC-9821RA-E01の固定用金具と共通らしいので,ここでは参考画像として98FactoryのPC-9821RA-E01の商品画像(トップページ --> 増設用機器 --> 増設PCカードスロット --> PC-9821RA-E01)から切り出して加工したものを引用します.上側の金具の代用固定具の形状は,この画像の緑の線で囲まれた部分を参考にして下さい.


追記:これら上下一対の金具の寸法のデータが鴨川ネギさんのgithubで公開されました.このデータに基づいて実際に金具を作成したとの報告もあります[ちゃんご56さんの2022年3月14日15日16日 のツイートを参照].


(3) FDD接続用ケーブル
キットに添付されている二股ケーブルがない,あるいはそれでは長さが不足するという場合には,下記の記事を参考にケーブルを作成して下さい.キット別ケーブルは,元々のケーブルと二股ケーブルを1本にまとめたケーブルです.
 (a) PC-9821A2-E01,PC-9821B-E01(FDDはFD1138Tまたは26ピンFD1148T)
    --> FD1138T 2台内蔵用ケーブル
 (b) PC-9821C2-E01,PC-9821CX-E02[FDDはOSDE-15G-UまたはOSD-u(E15G)]
    --> PC-9821C2-E01/PC-9821CX2-E01付属ケーブル相当ケーブル
 (c) PC-9821CB2-E01,PC-9821CX2-E01[FDDはFD1231T,MPF520-F,OSD,OSD-u(E26)]
    --> PC-9821C2-E01/PC-9821CX2-E01付属ケーブル相当ケーブル
 (d) PC-9821XA-E02,PC-9821V-FD1,PC-9821V-FD2,PC-9821RA-FD1,PC-FD321DH[FDDはFD1231T,MPF520-F,OSD,OSD-u(E26)]
    --> FD1231T 2台内蔵用ケーブル
 (e) (c)・(d)両用二股ケーブル
    --> PC-9821XA-E02付属ケーブル(結線図は HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_5 2台接続用ケーブル回路図 34PIN_FDD用PC9821XA-E02 添付ケーブル)


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