640KB-1.2MBハードウェア切換ボードについて


yukkurizのメモ帳で公開されていたソフトウェアがgoogleドライブに移動したとのことですので(筆者の環境ではgoogleドライブにアクセスできないため確認できません),当該ソフトウェアを入手する際にはそちらにアクセスして下さい.
 追記:XREAでプログラムのバックアップが公開されました.


1MB FDD I/F,あるいはPC本体の1MB FLOPPY DISKコネクタに接続された外付けFDDでは,通常2HD(1.2MB)メディアの読み書き(システムの起動を含む)しかできず,2DD(640KB,720KB)メディアの読み書きを行うためには,

 (1) 製品に添付されていた専用のデバイスドライバを使用する(この方法に対応している外付けFDDには,データ読み書き時に2HD/2DDを自動判別して動作するタイプと,2HD/2DD切換スイッチを手動で操作する必要のあるタイプとがあります)
 (2) フリーウェアのデバイスドライバを使用する(外付け3.5インチFDDユニット ― フリー720KB/1.44MBドライバ動作試験結果を参照)
    追記:yukkurizのメモ帳 --> CRC-FD3.5SS,WS用1.2M/640K自動切換えプログラム公開(2021年1月31日の記事)で,コンピュータリサーチ製CRC-FD3.5SS/WS用の1.25MB/640KB自動切り替え用のフリーソフトウェアが公開されました(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).1.25MB/640KB自動切り替え用のソフトウェアが添付されていた他の外付けFDDユニットでも使用可能なものがあるかもしれません.実際に,緑電子製Little ZFS(/ZFW)でも使用可能との報告があります.
 (3) 外付けFDDにDensity信号ラインを結線する(5インチFDD内部増設用ケーブルVFOありFDDの外付け化1MB FDD I/Fの製作を参照.また下の "※5" も参照)

といった方法がありますが,さらに(4)として,

 (4) 本体の拡張スロットに640KB-1.2MBハードウェア切換ボード(注1・2・3)を増設し,外付けFDDのケース背面のミニジャックを,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャックと接続する

という方法もあります(注4・5・6).

 注1:HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_26 640KB-1.2MBハードウェア切換ボード を参照.この "640KB-1.2MBハードウェア切換ボード" という呼称はHAMLINさんにより与えられたものですが,本ボードは上の記事中では "640KB-1.2MB自動検出ボード" とも呼ばれています.また本ボードはユーザーにより,2HD/2DD切替ボード,2HD/2DD自動認識ボード,2HD/2DD自動認識切替ボード,2HD/2DD判別用ボード,2HD/2DD識別ボード,2DD自動検出ボード,2DD読み書き用ボード,2DDボード,自動2モード切り替え基板,2HD/2DD(またはFDD)切替コントローラなど,様々な名前で呼ばれています.なおACCEL(640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを開発したメーカー.注3.3.2を参照)とコンピュータリサーチ(CRC)は,自社製の640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを "コントロールボード" と呼称していました.
 注2:640KB-1.2MBハードウェア切換ボードが添付されていた外付けFDD(注2.1)では,ケース背面にミニジャックが用意されており(これは中身のドライブのDensity信号ピンと結線されています),これと640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャックとを,両端にモノラルミニプラグのついたケーブル(注2.2)で接続します.これは640KB-1.2MBハードウェア切換ボード上のミニジャックに,このボードにより生成された内蔵FDDのものと等価なDensity信号が出ているためなのでしょう.
   注2.1:640KB-1.2MBハードウェア切換ボードが添付されてないものの,このボードに対応している外付けFDDも存在しました.このボードは単体でも販売されていたのでしょうか(筆者は今のところそれを裏付けるメーカーカタログや雑誌広告を確認していません).あるいはユーザーが他の外付けFDDに添付されていた本ボードを流用することが想定されていたのでしょうか.なおデバイスドライバを組み込むことで自動3モード動作する製品でも,本ボードに対応しているものがあります(IDOL JAPAN製ID-35SE/WEなど.).
   注2.2:信号をプラグの先端部分で受けるようになっていますので,両端にステレオミニプラグのついたケーブルでも構いません.これは100円ショップなどでも売られています(画像はダイソーの商品).なおコンピュータリサーチは,自社製品に同梱された,両端にモノラルミニプラグのついたケーブルを "コントロールケーブル" と呼称していました.同等のケーブルはR&Dからは "オートケーブル" IFC-2D として販売されていました.


 注3:640KB-1.2MBハードウェア切換ボードは,このボードに対応した外付けFDDであれば,元々付属していた製品以外でも使用できます.なお640KB-1.2MBハードウェア切換ボードには,ボード上に製造元のメーカーに関する記載がなかったり,わかりやすい形で示されていないものが多くあります.これらのボードは,外付けFDDを製造していた複数のメーカーに製品添付用として供給されていたため,製造元が明示されなかったのでしょう.なお,気を付けて見ていたわけでもありませんが,筆者が最も多く見かけた640KB-1.2MBハードウェア切換ボードは,コンピュータチサーチ製のもの[特にCPC-FDCC(注3.1)]を除けば,メーカー不明(注3.2)のAC002という型番のものだったと思います(ヤフーオークションの出品物についても同様の印象があります).例えばAD-51W等,α DATAの製品(の少なくとも一部?)にはこのボードが同梱されていました(注3.3).
    注3.1:CPC-FDCCはCRC-FD3.5WAなどに添付されていたようです(九太郎さんの2023年8月6日のツイート を参照).
    注3.2:2020年10月に,上記のHAMLIN's PAGEの資料にACCEL製との情報が追加されました.
    注3.3:ACCEL製FDC-378に添付されていたのもAC002だったようです(九太郎さんの2023年8月6日のツイート を参照).また工学社の雑誌であるI/O(アイ・オー)の1988年12月号の40ページのACCELの広告に,"初のオートリバース機能搭載!! NEW FDCシリーズ新登場!!" と題して,FDC-57N[5"auto 1(1ドライブ)],FDC-58N[5"auto 2(2ドライブ)],FDC-357N[3.5"auto 1(1ドライブ)],FDC-358N[3.5"auto 2(2ドライブ)]の商品情報が掲載されています.商品説明には,初のオートリバース機能搭載で2DD/2HDフロッピーの自動切替が可能,スイッチ設定等の操作が全く不要,外付ドライブ1に2HD・外付ドライブ2に2DDを入れることが可能,内蔵ドライブを使いながらさらに全てのドライブを活用することができます とあり,文面より,これらは640KB-1.2MBハードウェア切換ボードが初めて添付された外付けFDDユニットであった可能性があります(注3.3.1).そうだとすれば,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードはACCELにより開発されたものなのかもしれません(注3.3.2).但しこの広告には "専用ボード" などのそれらしい文句は全くありません.またI/Oの同じ号の48ページのOAシステムプラザの JOB fx-3(外付け3.5インチシングルFDDユニット.これ自体はDensity信号等を内蔵FDDケーブルから供給するもののようです)の商品説明に "自動切替モード接続時スロットを使用しません" とありますが,この表現は,Cバススロットに640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを装着して2HD/2DD自動切り替えを行う製品がこれ以前に存在していたことを示唆するもののようにも思えます(もっとも,2DD FDD I/Fボードを念頭に置いた表現なのかもしれませんが).
        注3.3.1:HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_25 外付けFDD一覧表 によれば,FDC-357Nと型番の似たFDC-357が640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを使用するタイプということであり,FDC-58Nと型番の似た筆者所有のFDC-58も同様のユニットです.これらはそれぞれFDC-357NやFDC-58Nと同じ製品なのかもしれません.
        注3.3.2:これは注というよりは追記ですが,ACCELの "ACCEL FDC SERIES" のカタログ(1990年12月の時点での製品を掲載.ぱんだねこさんの2022年8月22日のツイート を参照)の記述から,これらについては間違いないと考えてよいでしょう.すなわち,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを開発したのはACCELで,それは1988年のことであり,"コントロールボード" の呼称も同社によるものであって,またこれが添付された最初の外付けFDDユニットは,同社製FDC-57N/58N/357N/358Nであったということです.
 注4:IDOL JAPAN製外付け3.5インチFDDユニットであるID-35SE/WEの取扱説明書の記述から,110ピン拡張バスコネクタに両端が50ピンフルピッチコネクタの通常の外付けFDDユニット接続用ケーブルを接続するためのアダプタであるR&D製の "FDA-15" は,Density信号相当の信号を生成する回路を持っていたと推測されます.下に "増設用3.5インチ・フロッピーディスク装置 ID-35SE/WE 取扱説明書" の "FDA-15" に関する箇所をスキャンしたものを引用します(レイアウトを若干変更してあります).
 注5:1MB FDD I/Fや1MB FLOPPY DISKコネクタを使用せず,内蔵FDD扱いの最大4台のFDDを切り替えて使用する案(接続方法の案であり,実際にFDDを動作させることが可能なことは確認済みです)をこちらに示しました(少し前のところから読まないと分かりづらいと思います).
 注6:HAMLIN's PAGE宛に筆者がお伝えした情報は,ある時期から先方の記事に反映されることがなくなりましたので,"FDD_26 640KB-1.2MBハードウェア切換ボード" への筆者なりの補足事項も本記事に載せていこうと思います.


(4) の方法ではCバススロットが一基占有されてしまいますが,古い機種では,(1)-(3)の方法にはない,外付けFDDにセットされた2DDメディアからシステムを起動させられるという利点があります(注1・2・3).なお,外付けFDDのDensity端子を,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャックでなく,内蔵FDDのDensity端子と接続した場合にも2DDメディアからのシステム起動は可能です(すなわち,外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動は,このボードが装着されているだけでは不十分で,このボードのミニジャックからの出力,あるいは内蔵FDDから分岐されたDensity信号が外付けFDDのDensity端子に供給されている必要があります).
 注1:筆者は2007年12月8日に,リサイクル掲示板の [20137] のっぺらボードの機能の再現 スレッドでaochannさんに教えていただくまで,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードにこの機能があることを知りませんでした.後にかかっくんさんから実際にVXでそのような使い方をしていたとのお話を伺いました.一部では以前より知られていた機能のようですが,このボードが添付されていた外付けFDDユニット,特にこの機能が有効な本体機種が出ていた古い時代の製品の取扱説明書に記載があったのかもしれません.新しい時代の製品の取扱説明書にはこれに関する記載がなかったとの話もあります.筆者もこの記述を見た記憶がありません(注1.1).
     注1.1:ACCELの "ACCEL FDC SERIES" のカタログ(ぱんだねこさんの2022年8月22日のツイート を参照)に,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを使用することで,外付けFDDが内蔵FDDと同じく2HD/2DD完全自動切替ドライブとして使用できるようになるとの意味の記述があります.この表現は,PC本体の内蔵2モードFDDと同じく,外付けFDDでも2HD/2DDいずれのメディアのデータの読み書きが可能になるとともにシステム起動も可能になるとの意味と解せます.取扱説明書でも,同様の表現によって,2HD/2DD両メディアのデータの読み書きもシステム起動も可能であることが示されていたのかもしれません.640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの使用により,外付けFDDがPC本体の内蔵2モードFDDと等価な振る舞いをするようになるということは,2DDメディアからのシステム起動も可能となるということですが,それは常識であるため,それについてはわざわざ取扱説明書に書く必要もなかったということなのかもしれません.
 注2:外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にする2ddboot.comなるソフトウェアが存在したといいます[ruri550さんの2021年1月26日・31日(12)のツイートを参照].
  [追記1:yukkurizのメモ帳 --> PC-9801-87+density用2DD起動用FDイメージ(人柱用)(2021年2月3日の記事)で,同種のフリーソフトウェアが公開されました(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).但し640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを併用するか,本体の内蔵FDDケーブルから分岐させたDensity信号ラインを外付けFDDに接続しておく必要があります.]
  [追記2:yukkurizのメモ帳 --> ジャンクプログラム置き場 で,"PC-98×1で外付けFDDを2modeFDDに見せかけるプログラムセット" が公開されました.]
  [追記3:2ddboot.comは内蔵FDDから立ち上げるものであったことが判明しました(ruri550さんの2022年6月13日のツイート を参照).従って起動に使用されるシステムは,外付けFDDにセットされた2DDメディアのものでなく,内蔵FDDにセットされたメディのものが使用されることになり,"外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にするソフトウェア" ではなかったようです.]
  [追記4:2ddboot.comを含む "外付けデュアルモードドライブ両用化支援プログラム DUALDRV システム Ver 1.41"(アーカイブを改変しない限り自由に再配布できるフリーソフト)が,PC-98愛好会.NETのウェブページ --> 固定ディスク に,00169 DUALD141.lzh として掲載されました(追記4注).なお同梱のドキュメントファイルの記述から,2ddboot.comには,IPLを読まないリブートコマンドやでMS-DOS Ver 4.0以降でフォーマットされた2DDメディアには対応していないなどの動作上の制限事項があることが判明しました.
       追記4注:ウェブページの利用規程に ウェブページの"固定ディスク" のファイルのダウンロード権限に関する記載がなく,"固定ディスク" のファイルは,ぱんだネコさん主催の "PC-98愛好会" の会員のみが利用できるのか,非会員も利用できるのかは不明です.しかし 同じウェブページの掲示板には,非会員の投稿も多くみられ,その行為に関して主催者側から否定的なコメントがないこと,また "固定ディスク" へのファイルのアップロードは非会員の手によるものもあるらしいことから,非会員が "固定ディスク" のファイルをダウンロードすることにもまた不都合はなかろうと考え,本記事にこのソフトウェアへのリンクを掲載しました.]
 注3:PC-9801US/FAとPC-9821Ap2の一部では,システムセットアップメニューのFDDの設定[640K,1M,自動(640K),自動(1M)]の如何にかかわりなく,またPC-9821ApとPC-9821Ap2の一部では640Kと自動(640K)の設定で,外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動が可能でした.しかしPC-9801BX3/BX4,PC-9821As3/Xsでは,設定内容により挙動は異なるものの,どの設定でも2DDメディアからの起動はできませんでした(システム起動後のデータの読み書きは640K以外の設定で可能でした.なお640Kの設定では外付けFDD自体が認識されませんでした)(注3.1).またPCIスロットを持つ機種でも,外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動はできません.これはV200/S7AとXv13/W16で実際に確認しました.またエプソン98互換機のPC-386GS3(3台目の内蔵FDDを無効にした状態)でも起動できません.PC-286VFでは起動できます.
     注3.1:FC-9801K(ハードウェアはPC-9801BX3相当)で,外付けFDDを#1・#2に設定し自動(1M)を選択すると,外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動が可能になるといいます[おふがおさんの2023年3月12日のツイート(1234)を参照].これもPC-9821Ap2と同じく,PC本体のロット(?)によるのかもしれません.

 ※1.筆者はAC002とAPC-035では2DDメディアからのシステム起動が可能であることを確認していますが,どの640KB-1.2MBハードウェア切換ボードてもそうなのかは不明です.しかし恐らくそうなのだろうとは思います.2DDメディアからのシステム起動は,ボード上のPALないしGALの機能によるものだろうと睨んでいます(注1).なおボード上に白いコネクタがあるものでは,それを外すと2DDメディアからのシステム起動ができなくなります(注2・3).この場合でも,内蔵ドライブからシステムを起動した後での2DDメディアの読み書きはできますが,システムセットアップメニューのFDDの設定が640Kの場合には,外付けFDD自体が認識されなくなります.
   注1:しかし上記のHAMLIN's PAGEの資料によれば,PAL/GALが実装されておらず,TTL ICのみで回路が構成された640KB-1.2MBハードウェア切換ボードが存在します.このうちAPC-078B(HAMLIN's PAGEの記事ではメーカー不明となっていますが,型番から恐らくACCEL製でしょう)は,ボード上に白いコネクタがあることから,2DDメディアからのシステム起動を可能にする機能が備わっているものと予想されます(注1.1).つまりTTL ICだけで,2DDメディアからのシステム起動を可能にする回路を構成できる可能性があります.一方,GS-98CBにはこのコネクタはなく,このボードがこの機能を備えているかどうかは不明です.
      注1.1:同様の基板構成のAPC-078の推測された回路図は,下の "※7" を参照して下さい.
   注2:HAMLIN's PAGEの記事では,このコネクタの機能は不明となっていますが,これはHAMLINさんがこのボードにより外付けFDDからの2DDメディアからのシステム起動が可能となる古い機種をお持ちでなく,このコネクタの機能を確認する機会がなかったためでしょう.実際にHAMLIN's PAGEの記事には,2DDメディアからのシステム起動機能への言及がありません.
   注3:この白いコネクタ部分がユーザーの手によって容易に切り離し可能な構造となっているのは,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの取扱説明書を持っていない筆者には全く見当が付きません(取扱説明書に説明があるのかも不明ですが).ただこれが,外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動が,本ボードの極めて異常で危険な(と敢えて書かなければなりません)メカニズムにより実現されていることと,何らかの関係を持っている(ということは,ユーザーにこの機能を不使用とする選択肢を与えるためということでしょうか)可能性も指摘されています.例えばAC002では,ボード上のゲート4個からの信号を並列に供給するという恐るべき力業により,PC本体から出ているゲート1個からの信号をねじ伏せてI/Oポートの状態を強引に書き換えるという処理(注3.1)により,2DDメディアからのシステム起動を実現しています.この方法によりPC本体が破壊される危険性が実際にあるかどうか筆者には分かりませんが[リサイクル掲示板2018年5月分過去ログの FDD関連新隔離先(3) スレッドを参照].筆者はこの指摘を見て,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードに対する興味を一気に失いました.
      注3.1:UNDOCUMENTED 9801/9821 Vol.2 - メモリ・I/Oポート編 --> io_fdd.txt の "I/O 0094h,00CCh" の項を参照.これらのI/Oポートのbit 3とbit 2がともに1に固定されます.これにより,接続されているFDDが内蔵・外付けの別に関わりなく,すべて内蔵FDDとして強制的に認識されます(つまり本来の内蔵FDDと外付けFDDとのPC本体からの扱いが全く同じになります).PC-98では,内蔵FDDと外付けFDDとでステップレートも同じになります(リサイクル掲示板2023年4月過去ログの "汎用スレッド2023年4月 パート1" スレッドを参照).

 ※2.内蔵FDDが2台のPC-9821ApとPC-9821Ap2(注1)では,システムセットアップメニューのFDDの項を上記のものと同じに設定すれば,ファイルスロットFDDでも,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードをCバススロットに装着するだけで2DDメディアからのシステム起動が可能でした(注2).勿論システム起動後の2DDメディアの読み書きも可能でした.
   注1:640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを装着しても,外付けFDDユニットあるいは一般的なファイルスロットFDDにセットされた2DDメディアからシステムの起動ができないPC-9821Ap2が存在するとの報告をいただいておりますので,PC-9821As2/Ap2ではロットによる差があるものと思われます.
   注2:内蔵FDDが1台のMATE-A本体(PC-9801FA/FS/FXではテストしていません)にファイルスロットFDD(RD-0087あるいは同等品と思われる小基板の有無を問いません)を増設した場合には,ファイルスロットFDDは完全に内蔵2台目のFDDと等価となるため,2DDメディアからのシステムを起動が可能です(ファイルスロットFDDユニット を参照).
 またPC-9801FA/FS/FXの時代に発売されたと思われるファイルスロットFDDであるα DATA製AD-F35FA(内蔵されているFDDはFD1138C)では,ファイルスロットFDD用44ピンコネクタに接続するカードエッジコネクタ(ファイルスロットFDD接続用コネクタのピンアサインPC-FD511Fの内部結線ファイルスロットバックボードのFDDケーブルコネクタ-ファイルスロットFDDコネクタ間結線 を参照)に加え,同じファイルスロットバックボード上の100ピンコネクタ(ここには外部バスマスタ用信号を除きCバスの信号と同じものが来ています.ファイルスロットのフロント拡張用コネクタのピンアサイン を参照)に接続する小基板(RD-0087:これには640KB-1.2MBハードウェア切換ボードに載っているPALと同等あるいは類似の機能を持つと思われるGALが載っています)を備えており,やはり2DDメディアからのシステム起動が可能となっています.下はこの小基板の画像です(筆者所有のものは現在行方不明なため,APさんよりいただいたものを加工しました).


AD-F35FAには別なロットのものも存在し,そちらでは,100ピンコネクタは独立小基板ではなく,ユニットの底面である大きな基板に取り付けられています.ヤフーオークションで出品者IDが kamakura_tukurou_1192,オークションIDが u328525899(2020年1月23日に落札)の出品物の説明に使用されていた画像を加工[元画像から切り出して2/3に縮小しjpg形式に再変換]した画像を引用します.


このAD-F35FAと上に示したRD-0087小基板を持つAD-F35FAは,外観も全く異なっています.RD-0087を持つAD-F35FAは,NEC製のファイルスロットFDDユニットなどと同様に,側面に板バネ付きの黒いプラスチック部品が取り付けられており,これがファイルスロット内部のガイドレール部分にはまるようになっており,またフロントパネルは縁にファイルスロット開口部との隙間を埋めるためのスポンジ(画像のものは劣化してボロボロになっています)が貼り付けられ,側面でケースにネジ留めされています(左:筆者所有のものはスポンジが除去されているため,APさんよりいただいた画像を加工して掲載します).一方,RD-0087のないAD-F35FAでは,このプラスチック部品はなく,またフロントパネルは上側でケースにネジ留めされています[右:ヤフーオークションで出品者IDが hiro_sura_1119,オークションIDが u67524462(2014年7月30日に落札)の出品物の説明に使用されていた画像を加工(元画像から切り出して2/3に縮小しjpg形式に再変換)した画像を引用します].


後者(上の画像右)はMATE-Aにも装着は可能で動作もしますが,全長が長すぎてフロントパネルがはめられません.

またα DATA製の5インチファイルスロットFDDであるAD-F50FA(内蔵されているFDDはFD155GF)の一部も,RD-0087あるいは同等品と思われる小基板を備えています.該当するAD-F50FAは,PC-9801FA/FS/FXの時代に出荷された前期ロットと思われます.上で述べたように,MATE-Aでは640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを装着しても,初期の機種(のさらに一部のロット?)でしか2DDメディアからのシステム起動ができないからです.筆者所有のAD-F50FAには100ピンコネクタはなく,またフレームにも100ピンコネクタ用の切り欠きはありません.筆者所有のものはMATE-A時代に出荷された後期ロットなのでしょう.
 なおα DATA製の3.5インチファイルスロットFDDであるAD-35TF[内蔵されているFDDはFD1138T(FD1148T採用のロットもあったとの説あり)]でも2DDメディアからのシステム起動が可能との記述がカタログにあります(ぱんだねこさんの2021年11月17日のツイート を参照).カタログには2DDメディアからのシステム起動が可能なPC本体に関するコメントはなく,MATE-Aでも2DDメディアからのシステム起動が可能とも読めますが,このユニットで上記のもののような小基板を備えているものの存在は確認できていません.

 ※3.640KB-1.2MBハードウェア切換ボード使用時に外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動が可能な機種では,ファイルスロットFDD用のfslot2ddなどを組み込むことなしに2DDメディアをフォーマットすることが可能です.

 ※4.640KB-1.2MBハードウェア切換ボードには,上のHAMLIN's PAGEに掲載されているものの他に,丸興工業のロゴのある製品(型番は失念)が存在しました.
    追記1:RD-0076というボードを確認しました.このボードに実装されているICは,GALが1個の他,74AC240Pと74LS38Pが各1個(後二者はバッファIC)です.下にヤフーオークションで出品者IDが trgetter,オークションIDが o329284433(2019年11月7日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を回転したものから切り出して1/3に縮小したものと,半分に縮小したものとを併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.


     このRD-0076がどの外付けFDDユニットに付属していたものかは不明です(RDの文字列から推すとR&Dの製品かα DATAの製品,あるいは両者の製品の可能性があります)が,筆者が以前使用していた丸興工業のロゴのある640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの場合,セットになっていた外付けFDDユニット(メーカーと型番は失念)内部のVFO基板にもやはり丸興工業のロゴがありました.
    追記2:AINEX製のAIN-002とメーカー不明(ロゴはありませんが,基板上の文字列から丸興工業製の可能性があります)のMRK-0076も,HAMLIN's PAGEの記事(注)には掲載されていません.後者はα DATA製外付けFDDユニットに付属していたとの情報があります.両者の画像を下に引用します.AIN-002の画像は,ヤフーオークションで出品者IDが timspenrod,オークションIDが e121234336(2012年4月22日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を回転したものから切り出して半分に縮小しガンマ補正値を上げたものと,元画像を切り出したものとを併置しjpg形式に再変換)したもので,MRK-0076の画像は,ヤフーオークションで出品者IDが hamayokotobe,オークションIDが j413386395(2016年11月23日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を回転したものから切り出して半分に縮小しガンマ補正値を上げたものと,Kaz-98のブログ --> 2HD/2DD判別用ボード(MRK-0076)(2016年5月22日の記事) の画像を回転したものから切り出したものとを併置しjpg形式に再変換)したものです.AIN-002の基板上のICは元画像から型番を読み取ることは不可能ですが,MRK-0076で使用されているICは,GALが1個,74AC240Pと思われるものが1個,74LS???(???の三文字は判読が困難ですが,38Pと読めないこともありません)が1個です.


     注:APC-078B(上記HAMLIN's PAGEの記事に収録)と型番と基板上の構成が酷似しているAPC-078は,GNDラインが貧弱なため(注1)CPC-FDCCなどと比べるとノイズが多いとの報告があります(偽なすかさんの2018年11月5日のツイートを参照).なおAPC-078はHAMLIN's PAGEの記事に収録されていません.下にヤフーオークションで出品者IDが angel_symphony,オークションIDが h402939836(2019年6月27日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像を切り出して1/3に縮小してガンマ補正値を上げたものと,切り出し後に回転し1/3に縮小したものとを併置しjpg形式に再変換)したAPC-078の画像を引用します(注2).APC-078Bと同じくPAL/GALは実装されておらず,6個のTTL IC(IC1:7438N,IC2:74LS27N,IC3:74LS74AN,IC4・IC5:74LS138N,IC6:74AC240P(または74AC240E) で,APC-078Bのものと同じと思われます)の他,HC240と書かれた空きランドがあります.


       注1:追記1のRD-0076,追記2の追記の0082,追記3のCPC-FDCCやCPC-FDWでは,GNDのベタパターンが基板の殆どの領域を占めているように見えます.
       注2:九太郎さんの2023年2月26日のツイート に,APC-078の基板両面の大きな画像(ファイルの拡張子は jpg:large)があり,これらによりICの下になっている部分を除く基板上のパターンを追うことができます(下の ※7 も参照).なおこのツイートによれば,エレコム製FDD-3.5WAにはこのボードが同梱されていたといいます.Oh!PC 1991年9月1日号の記事[九太郎さんの2023年8月3日のツイート(12)]も参照.
         追記2の追記:メーカー不明の0082もHAMLIN's PAGEの記事には掲載されていません.下にヤフーオークションで出品者IDが st_yasutomok,オークションIDが 1124961733(2024年2月18日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出したものと切り出して270゜回転し1/4に縮小後ガンマ補正値を上げたものを併置しjpg形式に再変換した画像を引用します.PC-9801USのCバススロットから引き抜かれた状態のものです.PAL/GALは実装されておらず,7個のTTL IC[U1・U2・U3・U4:画像を加工しても型番が十分に読み取れませんが,すべて20ピンのもので,74(HC?)の文字列がかろうじて読み取れますので,バッファICでしょうか),U5:74LS138P,U6:74LS0(?)0(?)N,U7:74LS38P]が実装されています.


    追記3:HAMLIN's PAGEに掲載されている640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのうち,コンピュータリサーチ製のCPC-FDCCとCPC-FDW REV.Aの2枚は画像がありません.両者の画像を下に示します.ヤフーオークションで出品者IDが trgetter,オークションIDが b409461282(2019年8月27日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを90゜回転したものから切り出して1/4に縮小してガンマ補正値を上げて併置したもの(左:CPC-FDCC)と,ヤフーオークションで出品者IDが 有限会社K&N プロパーツ事業部,オークションIDが m1130447049(2024年4月2日に落札)の出品物の説明に使用されていたものから切り出して1/3に縮小したもの(右:CPC-FDW)を併置してjpg形式に再変換した画像を引用します.CPC-FDCCに実装されているICは,GAL,74ACT540P,74LS38が各1個です.CPC-FDWに実装されているICは,ヤフーオークションに出品された別な本ボードの画像から,7438,74HC540PC,GAL16V8A-256LPと判明しました.CPC-FDCCにはセカンドバス対応ベースボードです.筆者の知る限り,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードでセカンドバスボード増設用コネクタを持つのものは他にありません.


    追記4:Oh!PC 1991年9月1日号の記事[九太郎さんの2023年8月6日のツイート(12)を参照]とACCELの "ACCEL FDC SERIES" のカタログによれば,同社製の外付けHDD(時期からみてSASIでしょうか) I/Fである "AC COMPO 1" は640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの機能も備えているといいます(ぱんだねこさんの2022年8月22日のツイート も参照).カタログではこの機能は同社製外付け3.5インチFDDユニットのFDC-377/378のみで有効とも取れる書き方がされていますが,恐らく一般的な640KB-1.2MBハードウェア切換ボード同様にこの二機種以外でも有効でしょう.

 ※5.2HD/2DDモード間でI/Oポートの切り替えを行い,Density信号を生成する回路(2DDメディアからのシステム起動も可能にする回路ではありません)は,わぴこのほーむぺーじの日記 --> 鼻血(2008年9月29日の記事・回路図の拡大画像はこちら) で公開されています.なお,浅野 憲 (1992). PC9801の外付けFDDを自動切り替えにするボード トランジスタ技術, 1992年4月号, pp.423-425. という記事の存在を確認しましたが,未入手のため内容は不明です.
   追記:sakuradai11さんの2020年9月29日のツイートによれば,74HC688×2 ,74HCT00,74ACT540を使用したボードであり,これとは別に内蔵FDDのDensity信号を外部FDDに供給する必要があるという内容の記事といいます.またI/Oの1989年7月号に内蔵FDDのDensityを外部に引き出す方法に関する記事が掲載されているとのことです.

 ※6.鴨川ネギさんの2020年4月29日のツイートに,ユニバーサル基板によるサブボード化を目的とした640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの配線の調査結果が掲載されています.ボードのメーカーや型番は不明です.※4の追記1に示したMRK-0076に酷似していますが,カードエッジ側の基板の角に穴があるなど,わずかながら異なっています.PALにはMRKの文字があります.
    また筆者はAC002の配線を調べたことがあります.図を新たに作成する気にはなれませんので,大変見づらいものですが,2007年11月にpreタグを使ってリサイクル掲示板の [20137] のっぺらボードの機能の再現 スレッドに投稿したテキストファイルをキャプチャした画像を下に示します.


 ※7.yukkurizのメモ帳 --> 1.2M/640K自動切換ボード(のっぺらボード)の回路図(2021年1月6日の記事)で,PAL/GALがなく,TTL ICのみで回路が構成されているAPC-078の実装部品から推測された640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの回路図が公開されています(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).

 ※8.きんのじさんの2020年11月7日のツイートに,ファイルスロットのフロント拡張用コネクタに接続する640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの回路図(但し動作は未確認)が掲載されています(※2も参照).

 ※9.yukkurizのメモ帳 --> PC-9801 2mode機用3modeのっぺらボード-公開用ページ(2021年1月17日の記事)で,内蔵FDDが2モードの機種で外付けFDDを自動3モード動作(1.44MBメディアからのシステムブートも可能)させるためのROMデータと3モード切替用ボードの基本回路図が公開されています(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).
     追記1:2021年1月26日以前に公開されていたROMデータは,1.44MBメディアからのシステムブートに対応していません.
     追記2:ROMライタがない人用に,NEC版MS-DOSに対応した常駐プログラム版が追加されました(yuyuyukkuriさんの2021年1月29日のツイートを参照).
     追記3:yukkurizのメモ帳に掲載されている,外付けFDDとしてFD1231Tを使用する工作で,(FDN139でなく)FDN143が使用されているFD1231T(P/N 134-506790-011-0)の場合に発生する不具合を解消する工作が,yukkurizのメモ帳 --> メモとかファイル置き場とか --> FD1231Tの一部のロットでNot Readyになる不具合(2021年5月23日の記事)に掲載されています(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).
     追記4:このROMデータを使用した場合に,BIOS Int1B経由でSCSI機器が動作しなくなる不具合(修正予定あり)があるといいます[yukkurizのメモ帳 --> ROMに重大なバグが発覚しました(2021年7月12日の記事) を参照](https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).

 ※10.yukkurizのメモ帳 --> enb144_ep の人柱になりたい人へ(2021年1月5日の記事)で,PC-486MシリーズでPC-98用FD1231Tを外付けで3モード動作させるためのROMデータ等が公開されています(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).
     追記:このROMデータを使用した場合に,BIOS Int1B経由でSCSI機器が動作しなくなる不具合(修正予定あり)があるといいます[yukkurizのメモ帳 --> ROMに重大なバグが発覚しました(2021年7月12日の記事) を参照](https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).

 ※11.yukkurizのメモ帳 --> のっぺらない-プリンタポートをのっぺらボードにしようwww(2021年2月50の記事)で,プリンタ(パラレル)ポートを利用した,外付けFDDで2DDメディア(1.44MBメディアも?)の読み書きを可能(2DDメディアからの起動は不可能)にするフリーソフトウェアが公開されています(追記:ROM版も公開されました).またのっぺらないRS-232C版 公開(2021年2月20日の記事)で,RS-232C(シリアル)ポートを利用した同種のフリーソフトウェアが公開されています.但し使用には若干の工作が必要です(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).
     追記:このROMデータを使用した場合に,BIOS Int1B経由でSCSI機器が動作しなくなる不具合(修正予定あり)があるといいます[yukkurizのメモ帳 --> ROMに重大なバグが発覚しました(2021年7月12日の記事) を参照](https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).

 ※12.本記事の冒頭の(2)と重複しますが,3モード動作対応の外付けFDD用のデバイスドライバ(フリーソフト)については,外付け3.5インチFDDユニット-フリー720KB/1.44MBドライバ動作試験結果も参照して下さい.

 ※13.640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを使用せずに,2モード切替の外付け(扱いの)FDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にするフリーソフトウェアが公開されました[PC-9821およびDOS/VソフトウェアのページEXT2DDBT (IPLware)].対応機種は,PCIバスのない機種ではAp/As/Ae/An/Ap3/As3/BX3/BA3(およびこれらに相当するアーキテクチャの機種)およびPCIバス搭載のintel chipset機(初代Xa/Xt/Xf/St15/St20を除く),WildCat(VLSI)chipset機種(Xa7/C-Xa16/K/Xt13-Xt16,一部のXa7e),RCC/Server Works chipset機(RvII26/RsII26)とのことです.

 ※14.640KB-1.2MBハードウェア切換ボードは,以前は中古市場でよく見かけ,正体不明のボード,あるいは見るからに商品価値の乏しそうなボードとして,地方の中古PCショップやジャンク屋の店頭などでは,時に無料あるいはタダ同然の価格で入手できたものですが,最近は滅多に見かけなくなり(インターネットオークションなどでもこれ単体,あるいはこれが装着されたままのPC本体を見かけることが随分稀になりました.筆者自身は2010年前後に,出張の際に寄ったドスパラ仙台店の旧店舗で2枚目のAC002を100円で買ったのが最後になります),またPC-98関連商品の払底のためか,このボードの正体が広く知られるようになったためなのか明らかではありませんが,インターネットオークションなどで販売されている場合にも,最初から数千円程度と結構な価格がつけられていることが多いようです.ツイッターでは2018-2019年の時点で100-300円程度で購入したとの報告がいくつかありますが,運の良いケースでしょう.なお大都市圏にある中古ショップの店頭での購入に限れば,2022-2023年の時点でも100-500円程度で入手したとの報告が散見されますので,そういう店に通える人は,普段から気を付けていれば安価に購入できるチャンスもゼロではないでしょう.

 ※15.FD1155Dを内蔵(外部1MB FDD接続用コネクタ部分から信号を引き出しており,電気的には外付けFDDにDensity信号ラインを接続したものと等価)した筆者のPC-586RXでは,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを使用しなくても2DDメディアからのシステム起動が可能ですが(PC-586RXに5インチFDDを内蔵を参照),理由は調べていませんが,恐らくBIOSがそうなっている(隠し機能?)のでしょう(注).
 注:PC-486MVでも,外付けFDDに(論理反転した)Density信号を供給するだけで,2DDメディアからのシステム起動が可能といいます(yuyuyukkuriさんの2021年2月2日のツイート を参照).さらに外付けFDDが2台の場合には,両方のドライブでこれが可能といいます[yuyuyukkuriさんの2020年2月6日のツイート(12)を参照].但しDenity信号が供給された外付けFDDが内蔵FDDと等価なドライブとなるわけではありません.例えば2DDメディアのフォーマットには,下に示すようにfslot2ddなどを組み込む必要があります.また2DDメディアからDisk Basicが起動できないそうです(yukkurizのメモ帳 --> PC-98×1やEPSON互換機のメモ帳を参照)(https://yukkuriz.dip.jp/ を https://ykz.f5.si/ で置換しました).
   これはPC-486M族以降の "隠し機能"である可能性があります.PC-386GS3で3台目の内蔵FDDを無効にし,内蔵FDD2台・外付けFDD2台に設定した上で,外付けFDDに640KB-1.2MBハードウェア切換ボード(AC002)のボード上の白いコネクタを切り離したもの(上の※1にあるように,この状態ではDensity相当信号を発生させるのみのボードとなります)を接続したところ,外付けFDDでは2DDメディアからシステムを起動させることができませんでした.
   追記:たけるん通信 --> OLDパソコンコーナー --> PC98x1/互換機 (NEC・EPSON) こちらです --> PC-486GR & etc に,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードやDensity信号ラインの接続なしに,PC-486GR3に "外付けFDDユニット" として接続された,ターミナルFDDモードに設定したPC-386GE(但し内蔵FDDはSD-680Lに換装)で2DDメディアからのシステム起動が可能であったとの報告があり,これを追試してみましたが,筆者の環境(ターミナルモードに設定したPC-386GS3をPC-9801USの "外付けFDDユニット" として使用,システムはMS-DOS6.2)では2DDメディアからのシステム起動はできませんでした.さらに,PC-386GS3にFD1137Dを外付けFDDとして接続した場合にも2DDメディアからのシステム起動はできず,PC-286VF(ターミナルFDDモードが搭載される前の機種)にターミナルFDDモードに設定したPC-386GS3を接続した場合にも同様でした.吉野敏也(監) 株式会社テクノメディア(編) (1993). EPSON PC システムガイド ――100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック―― クリエイト・クルーズ の "23.5.8 増設フロッピーディスククコネクタ(デスクトップ系)" の項に掲載されている1MB FLOPPY DISKコネクタのピンアサインは,アスキーテクライト(編) (1993). 改訂版 PC-9800シリーズ テクニカルデータブック HARDWARE編 アスキー の "4.1 1MB FDインターフェイス" の項にあるPC-98のものと全く同一です.18・20・22ピンも "未接続" とされています.ただ,上記のたけるん通信の報告を考えた場合,この記述をそのまま受け取ることは難しく,実際にはこれら3本のピン(のいずれか?)にDensity信号を含む何らかの信号が出力されているとしか考えられません.ターミナルFDDモードではこれら3本のピンを含むGND以外のすべてのピンの信号の方向が反転するということを考えると,PC本体・"外付けFDDユニット" ともに,特定の範囲(ターミナルFDDモードを持つようになった機種でしょうか)のエプソン98互換機機である場合にのみ,"外付けFDDユニット" にセットされた2DDメディアからのシステム起動が可能となるのではないかと予想されます.

 ※16.本ボードは一部のユーザー間でふざけて "のっぺらボード" と呼ばれており,筆者もリサイクル掲示板上で盛んに連呼してきましたが,この呼び名の由来を少し調べたところ,命名者は恥ずかしながらどうも筆者であった可能性が出てきました.どるこむのPC-98掲示板・98マニアックス掲示板・エプソン98掲示板の全過去ログ[筆者はパソコンゲーム掲示板とDreamcast掲示板のもの以外,weblabo.griffonworks.netで公開されているどるこむの全過去ログ(注1)をダウンロードして手元に置いています]を "のっぺらボード" の文字列を対象にサーチしても,[2077] スルーボードしたい のようなものを除いて一件もヒットしませんでした.このことから,どるこむが運営されていた頃には,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードをこう呼ぶことは,一般のPC-98ユーザーの間では全く行われていなかったことが強く示唆されます.一方,リサイクル掲示板の過去ログを同様にサーチしたところ,同掲示板におけるこの語の初出は,2002年4月28日のHAMLINさんの投稿であり,次が一ヶ月後の2002年5月22日の筆者の投稿でした.そして実は,リサイクル掲示板上で "のっぺらボード" の語が640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを指すものとして初めて使用されたのは後者においてでした.HAMLINさんは,MGA-1064SGを搭載したPC-9821用の専用グラフィックボードであるG8XZTやG8YWBを指してこの語を使用されていました.しかしその際,"通称「のっぺらボード」" という言い方をされています.つまり,2002年4月の時点で,ブラケットに外部コネクタ等のない,従って本体に装着された状態のものを外部から見るとブラケットが "のっぺらぼう状態" のボード,あるいは類似のボードをこのように呼ぶことは広く行われていたのでしょう.口の悪い筆者は,以前は640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを,基板上の部品が極端に少なく,ブラケットにも中央にミニジャックが一つ取り付けられているだけという何とも言いようのない造りであるところから,"脱力ボード" などと呼んでいましたが,HAMLINさんの投稿にあったこの語が,ブラケットと基板上の大半を何もない空間が占めるこのボードの異様な雰囲気にマッチしているように思われたため,こういった下らないことにはすこぶる手の早い筆者は早速その呼び名を拝借したものとみえます(注2・3・4・5).この辺りのことはあまり記憶にありませんが,いかにも筆者のやりそうなことではあります.その後リサイクル掲示板などでは,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを指すものとしてのっぺらボードの語が当たり前のように使われるようになりました.それが掲示板外にも広まったのかもしれません.
    注1:もっとも,現在も公開されているどるこむの過去ログには,筆者が確認しただけでも相当数の抜けがあります.掲示板の方式やログの形式が何度か変更されたらしく,特に古い時代の投稿分は大量に消えています[いわゆる生ログの形,あるいはそれに近い状態(?)では(一部?)残されているらしく,例えばcham-reo.com内にそれらしきデータがあり,ウェブ検索結果にも出てくることがあります].
    注2:少ないとは言ってもそれなりのサイズの部品が複数実装されているわけで,これを "のっぺらぼう状態" と見るのには相当に無理があるようにも思うのですが,この感覚のズレ具合がいかにも筆者という感じがしないでもありません.
    注3:HAMLIN's PAGE --> 我楽多箱 --> ETC_5 HDD Protector でも,ブラケットにコネクタ類のない "HDD Protector" なるPCIボードがのっぺらボードと呼称されています.
    注4:緑電子製のSCSIスルーボードであるMDC-FA001や98ノート用のCRTパック内部の基板など,より脱力度の高いボードの存在が明らかになってきたことも,この呼称変更理由の一つではなかったかと思います.本当にどうでもよい話ですが.
    注5:ウェブ検索したところ,執筆時期は明らかではありませんが,PC-9801FA/FS/FXやMATE-AのSCSI I/F専用スロットに装着するSCSI信号スルーボードである緑電子製MDC-FA001を "ノッペラボード" と呼称している記事がありました(紫煙崇拝主義 壱源亭 --> Digital --> PC98改造で出会した苦労話 --> ⑪PC9821AnにてPK98-2SYUMORIを使ってみた。).


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