1MB FDD I/Fの製作


本体に1MB FDD I/Fコネクタを持たないPC-9801BX/BA以降のPC-98で外付けFDDを使用するためには,Cバススロットに挿す1MB FDD I/Fが必要となります.

1MB FDD I/Fはすべて生産終了となりましたので,新たに入手しようとする場合にはインターネットオークションを含む中古市場で探すことになりますが,相当品を自分で作ることもできます.

本記事では1MB FDD I/Fの製作のための資料を提供します.結線の調査に使用した1MB FDD I/Fは,SAFRONICの11-0671-B,LogitecのLFA-19,NECのPC-9821A2-E02です.また,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_24 A_MATE用FDD_I/F にて公開されている,まささん作成のMATE-A用1MB FDD I/F回路図,およびCanBe以外のFD1231T内蔵機種用1MB FDD I/F回路図(「エマティなリサイクル」の「リサイクル掲示板」上で一時公開されていたもの)も参照させていただきました.またaochanさんとまささんよりご指導を賜りました.

1MB FDD I/FはCバススロットに装着するボードの形状をしてはいますが,そこで伝達される信号は,内蔵FDDケーブルから分岐した信号と,マザーボード上の8ピンないし12ピンコネクタから引いた信号(VFO関連信号等)のみであり,Cバススロットと電気的に接続されているのは,バッファICやプルアップ抵抗に供給するための電源(+5V)とGNDの2種類の端子のみです.従ってバッファICを用いない場合,Cバスボードの形状である必要はなくなります.そこで本記事では,バッファICを省いて結線を簡単にしたケーブル状の1MB FDD I/Fについて記述します.
 非常に古い外付けFDDケーブルの中にはかなりの長さを持つものが存在しますが,信号経路中にバッファICを挟まない場合には,そういったケーブルは使わない方がよいかもしれません(ただし筆者が実験した限りでは,1.5m程度の外付けFDDケーブルを用いた場合でも,バッファICを用いないこのケーブル状の1MB FDD I/Fでも外付けFDDの動作に支障は認められませんでした).
※74LS244などの3ステートバッファICを信号伝達経路中に挿入すれば,市販の1MB FDD I/Fと同様のものが作成できます.FDD信号は負論理であること,出力回路はオープンコレクタ出力であることなどに注意して下さい.ICにあまり馴染みのない方は,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_24 A_MATE用FDD_I/F の回路図などを参考にして下さい.

1MB FDD I/Fをケーブル状のものにした場合,外部コネクタの固定の問題があります.市販の1MB FDD I/Fでは外部コネクタの形状はアンフェノールフルピッチ(メス)です.Cバス用の多くのSASI I/Fや一部のSCSI I/Fではこの型の外部コネクタが使用されていますので,1MB FDD I/Fで同じ型のコネクタを採用する場合には,これらのブラケットを利用できます.

また,このコネクタを小さくした形のアンフェノールハーフピッチメスコネクタを外部コネクタにする場合には,コネクタの固定に一般的なSCSI I/Fのブラケットが利用できます(後述するように,MATE-Aの場合にはSCSI専用スロット用のSCSI I/Fのブラケットに取り付けることも可能です).この場合,外付けFDDケーブルにはハーフピッチコネクタとフルピッチコネクタを各端に持つSCSIケーブルやPC-H98用のFDDケーブルが利用できます.Dサブハーフコネクタを外部コネクタに用いる場合も同様です.

これらのコネクタは50ピンですが,25ピンや37ピンのコネクタを用いることも可能です.ただしこの場合は,利用できるブラケットの入手が難しく(前者は一部のSCSI I/Fで,後者はICMのSASI I/Fと一部のSCSI I/Fで採用されていました),また外付けFDDケーブルを自作する必要もあるので作業が大変です.

金属板にコネクタ取り付け用の穴を開けるのは,卓上ボール盤[ホームセンターなどで売られている7,000円〜10,000円程度のもので十分です.購入の際は店頭で現物を見て機種を選定するのがよいでしょう.100円ショップで売られている下図右のような小型ドライバに似た形状のハンドドリルでも穿孔は不可能ではありませんが,穴を1個開けるだけでも非常に時間と労力がかかります.なお下図左のような手回しドリル(ホームセンターなどで3,000程度)は,小さな金属板に正確に穿孔する作業には向きません]やヤスリ等の工具がなければ大変ですし,これらの工具を用いても作業には結構な手間が必要です.


しかしそれでもPCカードスロットアダプタのI/Fボードなど,使用されていない部分の大きいブラケットをもつI/Fでは,その部分に穿孔して外部FDD接続用のコネクタを取り付けることができれば,スロットの節約になります.またI・OデータやICMのセカントバス対応のベースボードでは,セカンドバスI/Fの外部コネクタ取り付け用のブラケット開口部に,他のSCSI I/Fなどから切り出したハーフピッチSCSIコネクタ取り付け部分を固定し,そこに外部FDD接続用コネクタとしてハーフピッチSCSIコネクタを取り付ければ,同様にスロットの節約になります(ICM製のI/Fの場合には開口部付近の加工が必要となります).ただしこの工作を行った場合,I/F本来の外部機器接続用SCSIコネクタと新たに増設した外部FDD接続用コネクタとが隣接することになりますので,接続先の機器を間違えないよう十分注意する必要があります.
 この工作を行ったI・Oデータ製SC-98IIIPの画像です.左側(Dサブハーフコネクタ)がSCSIコネクタで,右側(アンフェノールハーフピッチコネクタ)がFDD接続用コネクタです.右側の部分はPC/AT互換機用の古いPCI SCSI I/Fからブラケットごと切り出したものです.


外部50ピンメスコネクタのピンアサインはVFOありFDDの外付け化に示してありますが,Electrelic --> コネクタ資料集 --> DDK 57シリーズコネクタ --> 57シリーズ 50ピン コネクタ --> 【コネクタ】 FDD (PC-9801系 8インチ・2HD) にも資料があります.

サブケーブルの8ピン/12ピンミニコネクタの型番や調達方法については26/30ピンコネクタと8/12ピンミニコネクタの作り方を参照して下さい.

外部50ピンメスコネクタのRead Data信号ピンは,内蔵FDDケーブルのコネクタのRead Data信号ピンでなく,8ピン/12ピンミニコネクタの方のRead Data信号ピンと結線します.VFOを内蔵した5インチFDDを内蔵させるためのケーブルで,VFOを内蔵した5インチFDD(これは増設形態は内蔵であっても,PCからは外付け扱いとなります)のRead Data信号ピンが8ピン/12ピンミニコネクタのRead Data信号ピンと結線されるのも同じ理由によります(5インチFDD内部増設用ケーブルを参照).
 Read Data信号はVFOのない内蔵FDDのものとVFOを内蔵した外付けFDDのものとで異なります.内蔵FDDがRead Data信号(Raw Data:データビットとクロックビットが合成された信号."データ" はこの状態でFDに記録されています)をそのまま出力するの対して,外付けFDDからは,VFO(データセパレータ)によりRaw Dataから分離されたデータビットのみがRead Data信号として出力されます[藤井 敦 (1988). フロッピ・ディスク・システムの基礎 トランジスタ技術SPECIAL No.11 特集 フロッピ・ディスク・インターフェースのすべて ――需要の急増するFDDシステムの基礎から応用―― CQ出版社, pp.2-31.].これがマザーボードの8ピン/12ピンミニコネクタを通じてPCのFDCに伝えられます.

以下,10kΩとあるところでは,外部50ピンメスコネクタの端子を10kΩ程度の抵抗でプルアップ(抵抗の他方の端を+5Vに接続)して下さい.

□MATE-A以外のFD1138T・FD1148T(26ピン)内蔵機種の場合
■メインケーブル(内蔵FDDケーブルと接続)
(1) マザーボード上のFDDケーブル接続用30ピンオスコネクタと接続されている30ピンメスコネクタと接続する場合
コネクタ配置は,30ピンオスコネクタ(内蔵FDDケーブルと接続) - 30ピンメスコネクタ(マザーボードと接続) - 50ピンメスコネクタ(外部FDDコネクタ)の順となります.
以下,30ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.プルアップ用の+5Vは30ピンコネクタの1,3,5ピンのいずれかから取るのがよいでしょう.


GNDライン同士はすべてを結線しなくてもよいようですが,なるべく多くのラインを結線した方がよいと思います(筆者はすべて結線しています).

(2) 1台目のFD1138T・FD1148Tと接続されている26ピンメスコネクタと接続する場合
コネクタ配置は,26ピンオスコネクタ(1台目のFDDと接続されていたFDDケーブルのコネクタと接続) - 26ピンメスコネクタ(1台目のFDDと接続) - 50ピンメスコネクタ(外部FDDコネクタ)の順となります.プルアップ用の+5Vは26ピンコネクタの1,3,5ピンのいずれかから取るとよいでしょう.
以下,26ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.


■サブケーブル(Cバスボックス脇の8ピンミニコネクタと接続)
これは上の(1),(2)とも同じです.
以下,8ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.


完成品の画像です.


マザーボード上のFDDケーブル接続用30ピンオスコネクタ,FD1138T・FD1148Tの26ピンオスコネクタとも11ピンがDENSITY信号ピンであり,この信号を2HD/2DDハードウェア自動切り替えに対応した外付けFDDに接続すれば,外付けFDDを2HD/2DDメディア自動判別で動作させることができます(VFOありFDDの外付け化を参照).ただしこの方法では2DDメディアからのシステムブートはできません.
 ※2モード切替の外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステムブートを可能にするソフトウェアが,PC-9821およびDOS/VソフトウェアのページEXT2DDBT (IPLware) で公開されています.対応機種はPC-9801BX3/BA3およびこれらに相当するアーキテクチャの機種とのことです.


□CanBe以外のFD1231T内蔵機種・MATE-A以外の5インチFDD(FD1158C)内蔵機種の場合
■メインケーブル(内蔵FDDケーブルと接続)
コネクタ配置は,34ピンオスコネクタ(1台目のFDDと接続されていたFDDケーブルのコネクタと接続) - 34ピンメスコネクタ(1台目の内蔵FDDと接続) - 50ピンメスコネクタ(外部FDDコネクタ)の順となります.
以下,34ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.


■サブケーブル(Cバスボックス脇の8ピンミニコネクタと接続)
「MATE-A以外のFD1138T・FD1148T(26ピン)内蔵機種の場合」と同一ですが再掲します.
以下,8ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.


FDDケーブル,FDDともに2ピンがDENSITY信号ピンであり,この信号を2HD/2DDハードウェア自動切り替えに対応した外付けFDDに接続すれば,外付けFDDを2HD/2DDメディア自動判別で動作させることができます(VFOありFDDの外付け化を参照).ただしこの方法では2DDメディアからのシステムブートはできません.
 ※2モード切替の外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステムブートを可能にするソフトウェアが,PC-9821およびDOS/VソフトウェアのページEXT2DDBT (IPLware) で公開されています.対応機種は,PCIバス搭載のintel chipset機(St15/St20を除く)とRCC/Server Works chipset機(RvII26/RsII26)とのことですが,PCIバスのない機種では恐らくAn以降が対応するとのことですので,BX4とXe10も対応する可能性があります.

完成品の画像です.内蔵FDDケーブルと一体化させ,またPC-9821XA-E01のブラケットを加工して外部FDD接続用コネクタを取り付けてあります.またDENSITY信号を引き出してミニジャック用メスコネクタに接続してあります.


※ユニバーサル基板を用い,信号経路にICを挟んだこのタイプの1MB FDD I/Fの回路図は,現在では上記のまささんによるものの他に,Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> 殆どAT機のPC-9821V166(こだわりV166) でも公開されています.


□MATE-Aの場合
MATE-Aでは過去の資産の継承という点から,8インチFDDの動作に必要な信号(Low Write Current,Two Side Disk,File Unsafe,File Unsafe Reset)もマザーボードより出力されており,PC-9821A2-E02とその互換I/Fでは8インチFDDも使用できるようになっています[しかし実際にはこれら四つの信号を欠いた状態でも8インチFDDが読み書きできる場合があります(PC-9801-87(およびその互換I/F)に8インチFDDを接続を参照)].しかし現在では8インチFDDが使用されるケースは稀であろうとの考えから,ここで紹介する結線では上の四つの信号のラインが省かれています.

■メインケーブル(内蔵FDDケーブルと接続)
(1) 3.5インチFDD(FD1138T,FD1148T)内蔵機種の場合
「MATE-A以外のFD1138T・FD1148T(26ピン)内蔵機種の場合」と同一です.ただしMATE-Aではサブケーブル中にインバータICを含むため,30ピンコネクタ・26ピンコネクタいずれの場合でも,1,3,5ピンのどれか1つをプルアップ抵抗とインバータICのVCCピンに結線します.

(2) 5インチFDD(FD1158C)内蔵機種の場合
「CanBe以外のFD1231T内蔵機種・MATE-A以外の5インチFDD(FD1158C)内蔵機種の場合」と同一です.ただし,PC-9821As3/M2またはPC-9821Ap3/M2にファイルベアイアダプタ(PC-9821A3-E01)を装着した場合には,ファイルベアイアダプタのセットに含まれる短いケーブルを介して内蔵FDDケーブルをファイルベイバックボードに接続するため,(1)と同じ結線となります(このケーブルがない場合には,30ピン−34ピン変換ケーブル(ファイルベイアダプタ付属ケーブル同等品)を参考に製作して下さい).
プルアップ抵抗とインバータIC用の+5Vは,As2,Ap2,Anの各機種では,HDD籠の電源コネクタ,内蔵FDDケーブル(3.5インチFDD搭載機種ではケーブルの1・3・5番),Cバスのバックボード裏面[Cバス端子のA49・A50・B49・B50(Electrelic --> コネクタ資料集 --> カードエッジとソケット --> 【コネクタ】 PC-9801拡張スロット,ご〜けんのホームページ --> コンピュータ --> 【コネクタ自作のお話】 を参照)],ファイルスロット/ファイルベイバックボード上のFDD電源ケーブル接続用コネクタの裏面(+5Vと+12Vのピンが通常とは逆の内蔵機器用電源ケーブルを参照)等から取ります.

■サブケーブル(Cバスボックス脇の12ピンミニコネクタと接続)
以下,12ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.12ピンコネクタの1,2,5,6の各ピンからの出力はインバータを介して50ピンコネクタのピンに結線します.この4本のラインでは12ピンコネクタから50ピンコネクタに信号が流れます.インバータの向きに注意して下さい.


インバータICにはオープンコレクタタイプの74LS05の使用を推奨します.

完成品の画像です.


MATE-AではSCSI専用スロット開口部に外部FDD接続用コネクタを設置することもできます.


3.5インチFDD内蔵機種ではファイルスロット/ファイルベイバックボード上のFDDケーブル接続用コネクタ・内蔵FDDともに11ピンが,また5インチFDD搭載機種ではこれらの2ピンがそれぞれDENSITY信号ピンです.このDENSITY信号を,2HD/2DDハードウェア自動切り替えに対応した外付けFDDに接続すれば,外付けFDDを2HD/2DDメディア自動判別で動作させることができます(VFOありFDDの外付け化を参照).ただしこの方法では2DDメディアからのシステムブートはできません.2DDメディアからシステムを立ち上げるためには,本体の拡張スロットに640KB-1.2MBハードウェア切換ボード(HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_26 640KB-1.2MBハードウェア切換ボード と640KB-1.2MBハードウェア切換ボードについてを参照)を増設する必要があります.この場合,外付けFDDのDENSITY端子は,640KB−1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャックか,内蔵FDDのDENSITY端子と接続します.ただし筆者が確認した限り,この方法での2DDメディアからの起動が可能なのは,PC-9821Ap/Ap2(後者では起動を可能にするシステムセットアップメニューのFDDの設定に個体差?があるようです)で,PC-9821As3/C8Wでは起動はできませんでした.
 ※2モード切替の外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にするソフトウェアが,PC-9821およびDOS/VソフトウェアのページEXT2DDBT (IPLware) で公開されています.対応機種は恐らくPC-9821An/Ap3/As3とのことです.


□MULTi/CanBeの場合
筆者はMULTi/CanBeを所有しておらず,実機での動作確認を自身で行うことはできません.しかしLFA-19の解析結果およびどるこむの二つの過去ログ,[25026] PC-9821C2-E02をMATE-Xで使う[25142] Cx13に87ボードに基づく限り,下記の結線で正しいはずです.

■メインケーブル(内蔵FDDケーブルと接続)
これは信号的には「CanBe以外のFD1231T内蔵機種・MATE-A以外の5インチFDD(FD1158C)内蔵機種の場合」と同じはずですが,コネクタ配置を,34ピンメスコネクタ(1台目の内蔵FDDと接続) - 34ピンオスコネクタ(1台目のFDDと接続されていたFDDケーブルのコネクタと接続) - 50ピンメスコネクタ(外部FDDコネクタ)の順に変更した方が接続しやすいかもしれません.
以下,34ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.



■サブケーブル(Cバスボックス脇の12ピンミニコネクタと接続)
これは,「MATE-Aの場合」のサブケーブルでインバータを挟まないものに等しいはずです.以下,12ピンメスコネクタ - 50ピンメスコネクタ の結線です.


FDDケーブル,FDDともに2ピンがDENSITY信号ピンであり,この信号を2HD/2DDハードウェア自動切り替えに対応した外付けFDDに接続すれば,外付けFDDを2HD/2DDメディア自動判別で動作させることができます(VFOありFDDの外付け化を参照).ただしこの方法では2DDメディアからのシステムブートはできません.
 ※2モード切替の外付けFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にするソフトウェアが,PC-9821およびDOS/VソフトウェアのページEXT2DDBT (IPLware) で公開されています.ただしこれがMULTi/CanBeでの使用できるかどうかは確認が取れていません.