VFOありFDDの外付け化


PC-98用の外付けFDDは入手が容易でなくなってしまっています.ここではVFOを内蔵したFDDをPC-98用の外付け2モードFDDとして使用するための方法について説明します(注1・2).
 注1:VFOを内蔵していないFDDを外付けFDDとして使用する場合には,インターフェース部分にVFO回路を組み込む必要があります(製品として販売されていた外付けFDDの多くは,VFOを内蔵していないFDDに,基板の形でVFO回路が外付けされていました).VFO回路については,VFO ICについて で紹介されている資料等を参照して下さい.また,ドライブが故障した外付けFDDユニットが入手できれば,そのVFO基板が利用できる場合もあります(注1.1).例えば,なにもしない研究所@牛乳は毒物か人体実験中 SD-680L(4) (2014年2月9日の記事)では,α DATA製の外付けFDDユニットであるAD-F51SR(元々使用されているFDDの型番は不明ですが,VFOは内蔵されていません)のVFO基板に,VFOを内蔵していない5インチFDDであるSD-680Lを接続して動作させています.
   注1.1:外付けFDDユニットのVFO基板にHxCなどのFDDエミュレータを接続して動作させている例も多くあります.
 注2:PC本体の内蔵FDDケーブルに接続するFDDを,内蔵/外付け(多く設置場所の都合でPC本体の外部に設置の意)間で切り替えて使用する方法の案については,こちらを参照して下さい(少し前のところから読まないと分かりづらいかもしれません).

VFOを内蔵した3.5インチFDDにはFD1135D,FD1137D,FD1138Dなどが,また5インチFDにはFD1155D,FD1157D,FD1158Dがあります.これらのいくつかはPC-98の内蔵FDDとして採用されていました.
これらのFDDの信号コネクタはいずれも34ピンであり(注),FD1138DとFD1158Dで17ピンがDrive Selected信号ピンでなくGNDピンであることを除いて, ピンアサインは同じです.ただしGNDピンについてはわずかに異なる場合があります(VFOあり2モードFDDのGNDピン 参照).
 注:PC-9801NL/R/NL/A(?),PC-9821Ld/Ltの外付けFDDユニットであるPC-9801NL/R-02に内蔵されている26ピンコネクタのFD1138DもVFOを内蔵していますが[26ピンFD1138D(PC-9801NL/R内蔵FDD)とFD1138Tの信号の比較 を参照],これを本記事で紹介する工作に使用する人もまずないでしょうから(使用すること自体は可能と思いますが),このFDDは本記事の対象FDDから除外します.

■外付けケース
3.5インチFDDなら,SCSI接続の外付けMOやZIPのケースなどが流用できます(注1).代表的な3.5インチFDDであるFD1137Dの消費電力は+5V,2.5Wであり,これらの機器に内蔵されている電源ユニット,あるいは付属のACアダプタの供給電力の点でも問題はないでしょう(注2・3).外付け機器用の50ピンコネクタのSCSIケーブルはストレート結線であり,外付けFDDケーブルとしても使用できるため,ケースのコネクタはフルピッチのものでもハーフピッチのものでもかまいません.コネクタが25ピンのものや37ピンのものも使用することは可能ですが,接続ケーブルの作成も必要となることから,新たに入手してまで使用するのはよほどのことがない限り避けた方がよいでしょう.
 注1:5インチベイに3.5インチ機器を取り付けるためのアダプタ(マウンタ)などを利用すれば,外付けCD-ROMやCD-Rなどのケースも流用できます.
 注2:めーちゃんさんの2019年9月1日のツイートによれば,3.5インチFDDの電源としてACアダプタを使用した場合には,電流不足とノイズのいずれが原因か不明だが,ヘッドの動作不良が多発するとのことです.ACアダプタの種類によるのでしょうか.
 注3:FD1135Dの場合は,+12V電源も必要としますので(+12V,1.2W/+5V,1.6W),+5V単一電源であるこれらの機器のケースは流用できません.

5インチFDDでは,SCSI接続の外付けCD-ROMやCD-Rなどのケースが利用できます.SCSI接続でないものでも,別にコネクタ部分を取り付ける(1MB FDD I/Fの製作を参照),あるいはケースに少し手を加え,コネクタの付いたケーブルをケース外に引き出すなどすれば利用可能です(注1).代表的な5インチFDDであるFD1155Dの消費電力は,+12Vが3W,+5Vが2Wですので(注2),電源容量の点でも問題はないでしょう.
 注1:USB接続のCD-RW等のケースの天板と背面パネルの隙間(あるいは後者の上部を少し削って作った隙間)からコネクタの付いたケーブルを引き出すこともできます.X68000用の同人ハードウェアのFDX68に接続する外付けFDDの場合ですが,redmax.arsさんの2020年3月3日のツイートや,後藤 浩昭さんの2020年4月22日のツイート などが参考になるでしょう.ケーブルを引き出す場合,コネクタはPC本体の1MB FDD I/Fコネクタに接続するオスコネクタでもよいでしょうし,外付けFDDケーブルに接続するメスコネクタでもよいでしょう.勿論3.5インチFDDの場合にも同様の工作は可能です.
 注2:日本電気株式会社 (1986). FD1155D 5 1/4" フロッピィディスク装置 概説書 806-520366-0 第2版(1986年9月4日発行). の記述によれば,FD1155Dの起動時電流と定常時電流(READ時の消費電流/電力の平均値)は,+12Vでは順に900mAと210mA,また+5Vではともに460mAであり,消費電力は4.8Wとなっています.

3.5インチFDD,5インチFDDいずれの場合も,奥行きの短いドライブやフロントベゼルのないドライブが使用されている製品のケースを流用したり,フロントベゼルがないFDDを使用した場合には,完成品の見映えはよくありません(注).外付けFDDの自作は,見映え・工作の手間と実用性を天秤に掛けた上で行って下さい.
 注:FD1155Dのフロントベゼルの製作方法が,試運転の資料館 --> 電算機部 --> 5.25 型 FDD のフロントベゼルを製作してみる で紹介されています.なおフロントベゼルの同人ハードウェア作成を計画している方がいらっしゃいましたが,しばらく続報がありません.またイジェクトレバーについては,筆者の知る限り,3Dプリンタによる複製品が同人ハードウェアとして二箇所から出ています(使用上不可欠でかつ個人での作成が容易でない部品ですので,本ウェブページでも紹介します).

電源ユニットを内蔵しているケースを用いた場合,スイッチング電源ユニットから発生する高周波ノイズ(実際は低周波ノイズかもしれません)のためにデータの読み書きが阻害されるとの報告が,シエルさんの2018年4月2日のツイート(123)にあります.ここで使用されているFD1155Dには天板がなく,制御基板やヘッド部分(注1)が剥き出しになっているタイプです[PC-9801VM2(の一部?)などで使用されているタイプのようです].また天板のないFD1155C[PC-9801VM2(の一部?)やPC-98XAあたりのものでしょうか]でも同様の報告があります[redmax.arsさんの2020年2月29日3月3日・3月7日(12)の各ツイート を参照].しかし天板のあるタイプのFD1155Dのみを扱ってきた筆者にはこういった経験はありません(注2).天板のないFDDと,剥き出しのスイッチング電源ユニットが基板面を上に向けた状態で組み込まれている製品の一部という組み合わせの場合に,このような不具合が発生するのでしょうか.ACアダプタを使用した製品のケースではこの種の不具合はないと思われます[redmax.arsさんの2020年3月20日のツイート を参照].またケース内のスイッチング電源に銅板の覆いをつけてノイズの影響を防いでいるケースもあります.この場合,ヘッドカバーの有無はFD1155Dの動作に影響しなかったといいます(redmax.arsさんの2020年6月15日10月20日のツイートを参照).redmax.arsさんのケースでのPC本体はX68000ですが,PC-98でも同様のノイズ対策が有効なはずです(注3).
 注1:FD1155Dのヘッドカバーについては,FD1155Dのメンテナンス を参照して下さい.
 注2:スイッチング電源由来のノイズがFD1155Dの動作に悪影響を及ぼす現象は,ちまちまさんの2019年4月16日のツイートでも報告されています(ダンプ目的での使用).
 注3:ぜせむ(xsm)さんの2020年3月12日20日のツイートに,天板のないFD1155Cに,天板としてアルミ板を取り付ける工作の例があります.この工作の目的は埃よけということであり,またFD1155Cも,スイッチング電源を持つ外付け機器のケースに収められたものではなく,PC-9801BX2/U2の内蔵FDDケーブルに接続して筐体の外部に裸の状態で設置されたものでしたが,銅板(アルミ板でも効果があるかは筆者には分かりません)を用いた同様の工作は,外付け機器のケースに収められた天板のないFDDに対するノイズ低減に効果があるかもしれません.

下は筆者が10年ほど常用している自作の外付けFDDユニット(の内部)で,故障して廃棄されたICM製5連装CDチェンジャであるCD-605CのケースにフロントベゼルのないFD1155Dを収めたものです(注1・2).FDDケーブル接続用の外部コネクタには,廃棄されたPC/AT互換機用PCI SCSI I/Fから取り外したDサブハーフ50ピンコネクタを使用し(元々使用されていた,両端がハーフピッチ50ピンメスコネクタで,中央が50ピンMILメスコネクタのケーブルは,色々なことに使えて便利なので,取り外して別にしておきました),そのピンにFDDケーブルを直接ハンダづけし,ハンダづけした部分をホットボンドで固めて絶縁と補強を行いました.また元々内蔵されていたドライブとネジ穴の位置が全く合わなかったため,ケースの底面に新たに穿孔して使用済みボールペンの軸を切ったものをスペーサーとし,長いネジを使ってFDDをネジ留めしました.電源コネクタの形状も合わず,コネクタを交換する必要もありました.またメディアの出し入れができるようフロントパネルを加工してありますが,フロントパネルの元々の開口部がFD1155Dのメディア挿入用開口部と位置も形も合わなかったため,見栄えはよくありません.CD-605Cでは電源ユニットがドライブの横にあり,鉄板で覆われた配線面がドライブ側に向いており,また大きな放熱板が電源ユニットの側面を覆うように取り付けられていますが,これらに電源ユニットから発生するノイズの悪影響を軽減する効果があるかは筆者にはわかりません.
 注1:このFDDユニットはダンプ目的で使用したことはありません.MS-DOSのコマンドやファイル管理ソフト等を動かすこともありますが,多くはアスキー形式で保存されたファイルの読み書きに使用しています.ゲームソフトの中には特殊なフォーマットのものやコピーガードの施されたものも多いそうですので,そういったものでは動作に問題が出るのかもしれませんが,筆者はゲームソフトを持っておらず,興味もないため調べていません.
 注2:外付け機器の電源部分の故障の報告が増えてきています.一部は電解コンデンサの交換程度で復活できるようですが,他の部品(特性が公開されていないものもあります)の劣化によるものの場合には,我々素人による修理は容易ではないでしょう.


これの前に作成した外付けFDDユニットでも,電源ユニットから発生するノイズに起因すると思われる不具合が出た記憶はありません.加賀電子(TAXAN)かI・Oデータ製の2-4倍速の製品のケースを流用したものだったはずです(横幅のあるケースで,CD-605Cのものと似た電源ユニットが,やはりFDDの横に位置していたと思います.古い記録を見ると,加賀電子製TS-CD200だった可能性があります).なお繰り返しになりますが,筆者の作成した外付けFDDユニットでは,天板のついたFD1155Dのみを使用していました(注).
 注:外付け機器のケースへのFDDの内蔵に関しては,めーちゃんさんの2019年2月9日のtwitterモーメント, FD1157Dのケース詰め も参照して下さい.

■結線
PC本体の1MB FLOPPY DISKコネクタ(注)/1MB FDD I/Fボードの外部50ピンコネクタ(以後まとめて1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタと表記します)に接続する場合の信号線の結線の仕方です.この結線で2HD(1.2MB)メディアの読み書きが可能となります.
 注:殆どの機種ではアンフェノール(セントロニクス)フルピッチ50ピンメスコネクタですが,PC-9821(初代)/CeやPC-H98シリーズなどではアンフェノールハーフピッチ50ピンメスコネクタです.

1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタのピンアサイン(注)の情報は,アスキーテクライト(編) (1993). 改訂版 PC-9800シリーズ テクニカルデータブック HARDWARE編 アスキー や, 吉野敏也(監) 株式会社テクノメディア(編) (1993). EPSON PC システムガイド ――100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック―― クリエイト・クルーズ, Electrelic --> コネクタ資料集 --> DDK 57シリーズコネクタ --> 57シリーズ 50ピン コネクタ --> 【コネクタ】 FDD (PC-9801系 8インチ・2HD),JE1VUJ HOME PAGE --> PC98資料館 --> コネクタピンアサイン --> 1MBフロッピーディスク用コネクタ,レトロゲーム漫遊記 : episode2 --> HxCをPC-9801シリーズで使う。(その?)(2017年1月22日の記事) などにあります.また本記事でのVFOありFDDのピンアサインは,FD1155Dの信号コネクタのピンアサイン に従っています.
 注:1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタの信号は,NEC製の8インチFDDであるFD1165Aのものと同じです.このコネクタは元々それを接続するためのものだったからでしょう.神崎康宏 (1988). MB8877Aを用いたフロッピ・ディスク・インターフェース トランジスタ技術SPECIAL NO.11 特集 フロッピ・ディスク・インターフェースのすべて ――需要の急増するFDDシステムの基礎から応用―― CQ出版, pp.69-77. や Electrelic --> コネクタ資料集 --> ピンヘッダ(2.54mm) --> ピンヘッダ 50ピン コネクタ --> 【コネクタ】 FDD (FD1165A) を参照.ただし後者の資料では,ピン番号の振り方が1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタのものと異なっています.

アンフェノールフルピッチ50ピンコネクタの現行品には,第一電子工業(DDK)の製品があります(この情報はtshさんよりいただきました).
 (1) 外付けケーブル用オス
    57-30500(R1)(ハンダづけ型),57E-30500(R1)(ハンダづけ型),57FE-30500-20N(D8)-3F(R1)(圧着型)
 (2) 受側メス
    57-4500(ハンダづけ型),57-40500-9(ハンダづけ型),57GE-40500-751-FA(ハンダづけ型),57GE-40500-751(D15)-FA(ハンダづけ型),57FE-40500-20S(圧着型),57RE-40500-7(または8)30B-FA・および57RE-40500の他のファミリー(L型・ハンダづけ型)
 ※参考リンク:57シリーズ57Eシリーズ57FEシリーズ57GEシリーズ57REシリーズ.嵌合表もあります.

以下,外付けFDDユニットの外部50ピンコネクタのピン - FDDコネクタのピン の順です.カッコ内は信号名です.


1MB FDD I/Fの21ピン (Two Side Disk) ,またFDDの16ピン (Motor On) と17ピン (Drive Selected) はそれぞれGNDに接続します(注1).Motor On信号ピンが常時GNDに接続されるため,外付けFDDのモーターは回転しっ放しとなります(注2).
 注1:FD1138DとFD1158DはDrive Selected信号ピンを持たず,17ピンにはGNDが割り当てられています(VFOあり2モードFDDのGNDピン参照).
 注2:PC本体から出力されるMotor On信号はDrv Sel信号がゲートされていないため,接続されているすべてのFDDのモータを同時にオンオフします[高橋昇司 (1989). フロッピ・ディスク装置のすべて ――FDD全タイプの基礎から応用まで―― CQ出版].このためモーターの常時回転によるFDDの消耗が生じることになりますが,それがどれほどのものなのか筆者にはわかりません.なおターミナルFDDモードに設定されたエプソン98互換デスクトップ機の内蔵FDDのモーターも,常時回転するようになっています.
 ※以下余談:筆者が初めて外付けFDDユニットを作成した際には,結線に関するまとまった資料を見つけることができず,断片的な情報を頼りにおっかなびっくりの試行錯誤状態での作業でした.1MB FDD I/FコネクタとFDDの信号コネクタとで,同じ信号のピン同士を結線すればよいだろうくらいに考えて手を着けたのですが,FDDの信号の意味に関する知識も皆無に等しく(その状態でやろうとしたわけですから無謀もいいところです),Two Side Disk・Motor On・Drive Selectedの3つのピンの処理に頭を悩ませた記憶があります(当時,オープンコレクタという信号の性質と個々の信号の意味を知っていたならば,どうということもなかったのでしょうが).しかし,5インチFDD内部増設用ケーブルなどの場合もそうでしたが,散々苦労した末ついに動作した瞬間の感動,特に手に持った状態でシステムディスクを読み込ませた際に,カッカッカッカッという音を聞き,振動を手に感じながら,ヘッドが快調に移動してゆくのをこの目で見た時のあの "やった!" という感激(これは大袈裟な表現とも思いませんし,気恥ずかしさも感じません)と達成感は,本当に忘れがたいものです.
井芹陽一 (1988). PC9801へのFDDの接続法と2DDから2HDへの改造 トランジスタ技術SPECIAL NO.11 特集 フロッピ・ディスク・インターフェースのすべて ――需要の急増するFDDシステムの基礎から応用―― CQ出版, pp.141-170. では, 21 (Two Side Disk) - 17 (Drive Selected) となっていますが,実際問題として個人ユーザーが現在片面単密度のメディアの読み書きを行う機会は稀でしょうから,上の表の通りTwo Side DiskピンとDrive Selectedピンが常時GNDに接続されることに問題はないでしょう.

1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタでは26-50ピンが,またFDDの34ピンコネクタでは1,5,9,13,15,19,21,23,25,27,29,31,33ピンがそれぞれGNDです(VFOあり2モードFDDのGNDピンを参照).なお上の表でのGND同士の結線の仕方は一つの例であり,固定したものではありません(筆者のところではこの結線で問題なく動作したというのに過ぎません).個々のコネクタ内でGNDピン同士を短絡させてコネクタ間でのケーブルの本数を減らすなどして,GND同士をすべて結線するのが望ましいことは言うまでもありません.

FDDが1台の場合はDXを0に,また2台の場合は1台目のDXを0,2台目のDXを1にそれぞれ設定します.FDDが2台の場合は両者をデイジーチェイン接続し,2台目のFDDのみターミネータを有効にします(FDDの信号レベルとターミネータの値 を参照)(注1・2).
 注1:tshさんより,FD1155DがPC-9801VXの内蔵FDDとして2台デイジーチェイン接続されている場合には,ターミネータは両方のドライブで有効に設定されているとの情報を,またぶぅぶぅさんより,外付けFDDではどのような長さのケーブルがユーザによって選択されるかメーカー側は知ることができないため,ドライブのターミネーションに関してはかなり甘い設計になっている場合がある・このようなケースではすべてのドライブでターミネータを有効にした方が安全との考えもあるとの情報をいただきました.しかしVFOありのFDDを使用して外付けFDDを自作する場合には,原則的にPCから見て電気的に最も遠いFDDのみターミネータを有効にすべきでしょう.実際,FD1155Dに関するNECの公式資料[日本電気株式会社 (1986). FD1155D 5 1/4" フロッピィディスク装置 概説書 806-520366-0 第2版(1986年9月4日発行)]でもそのように指定されています.ただしFD1158Dだけは例外で,ターミネータ設定用ジャンパ(VC)を抜いた状態で使用すると,ヘッドが暴走してメディアが読み取れなくなってしまうといいますので[もしかしたら開発室 --> 色々な5インチFDDをAT互換機に付けてみる を参照.筆者は怖くて追試していません(注1.1)],2台をデイジーチェイン接続する場合には両方のドライブのターミネータを有効にしなければなりません.
    注1.1:FD1165AやFD1155Dではターミネータを取り外した,あるいは無効にした状態でうっかり信号を流してしまったことは何度もあります.これが原因でこれらのドライブを故障させたことはありませんが,危険な行為であることに違いはありません.なおSCSI HDD,特に外付けのものでは,経験上ターミネータなしでも使用できてしまう場合が多いようですが,勿論望ましい使い方ではありません.
 注2:上の図からも分かるように,PC本体の1MB FDD I/Fコネクタには,Drv Sel 0・1・2・3の4つの信号が別々に出力されています(注2.1).このことは,外付けFDDが最大4台まで接続できることを意味しています.そしてPC-9831-VW2やPC-9832-M(FD1135DまたはFD1155Dを2台使用した外付けFDDユニット)のように,別な外付けFDD(内蔵ドライブが2台のものも含めて想定されています)を追加接続可能な外付けFDDユニットも存在しています.しかし実際には,外付けFDDが4台まで接続可能なケースは限られているのではないかと思います.実際にテストしたわけではないのですが,PC-9801VM0/VX0といった,内蔵FDDを持たない一部の古い機種でのみ,外付けFDDが4台まで接続可能なのではないかと考えています(初代PC-9801でもそうなのかは調べていません).筆者が調べた限りでは,内蔵FDDを持つ機種では,外付けFDDは2台までしか使用できませんでした.なお内蔵FDDも2台までしか使用できません.これは,内蔵FDDがVFOありタイプでもVFOなしタイプでも同じでした.従って一般的には,PC-98では内蔵FDD,外付けFDDとも最大で2台,合計4台までしかFDDを接続して使用できないと言えます.
    注2.1:1MB FDD I/Fコネクタに出力されているDrv Sel 0・1信号は,マザーボード上の内蔵FDDケーブル接続用コネクタに出力されている同名の信号と同一のものではありません.両者は別個の信号であり,前者は外付けFDD用の,また後者は内蔵FDD用の信号です.

メーカー不明(型番からみて磁気研究所製でしょうか)の PC Line Max II 3.5 INCH 2DD/HD FDD という外付け3.5インチFDD(FD1137D使用)と IDOL JAPANのFD-501という外付け5インチFDD(FD1157D使用)も,基本的にはこれと同等の結線となっています(後者についてはぶぅぶぅ さんより情報をいただきました).

50ピン以外のコネクタを介して接続する場合(この場合は接続ケーブルも作成する必要があります)には,1MB FDD I/FあるいはPC本体内部のFDDコネクタの信号と外付けFDDの信号とを対応させ,またTwo Side Disk・Motor On・Drive Selectedの各信号をGNDに接続します.

■2モード動作化
この工作で使用されるVFOありFDDの2ピンはDensity信号ピンであり,ここにPC本体側のDensity信号を接続すれば,2HD/2DD自動切り替えの2モードFDDとすることができます(注1・2).1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタにはDensity信号が出力されていませんので,内蔵FDDケーブルから分岐させて外部に引き出す必要があります.PC-98の内蔵FDDのうち,FD1138C・FD1138T・26ピンFD1148T・FD1139C・FD1139T・FD1238Tとその互換FDDでは11ピン,FD1135D・FD1137D・34ピンFD1138D・FD1155C・FD1155D・FD1158C・FD1158D・FD1231Tとその互換FDD・OSDE-15G-Uでは2ピンがそれぞれDensity信号ピンです(注3・4).
 注1:PC本体側のDensity信号を接続する代わりに,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの出力を接続しても同じです.
 注2:・神村英彦 (1991).PC9801の外付けFDDを2HD/2DD自動判別にする 2DDフロッピのデータを復活させてみよう トランジスタ技術, 1991年2月号, pp.555-558.
    ・井上裕市 (1991). PC9801VMの外付けFDDを2HD/2DD自動判別にする方法(最終版) トランジスタ技術, 1991年4月号, pp.510-512.
    ・天野仁司 (1991). PC9801UV11外付けFDDの2HD/2DD自動判別化の一手法 トランジスタ技術, 1991年9月号, pp.481-482.
    の記事の存在を確認しましたが,未入手のため内容は不明です.
 注3:Density信号ピンをGNDに接続すると,そのFDDは2DDモードで動作します.従って,Density信号ピンとGND間にスイッチを取り付ければ,2HD/2DD手動切り替えの2モードFDDとすることができます(注3.1・3.2).筆者自身はこの工作を行ったことはありません.
   注3.1:どるこむの過去ログ,[22329] 旧98用DOS3.3CのFDディバイスドライバー などを参照.また以前はあるブログでこの部分を含む自作外付けFDDの結線図が公開されていましたが,作図された方のご逝去を理由として,現在は記事が削除されてしまっています.なおsakuradai11さんの2020年9月5日のツイート(12)によれば,2DDメディアのファイルを読むにはPC98FD[瑞慶覧辰(zukkun)氏作]に含まれている R2DD.COMが必要とのことですが,これは上記のどるこむの過去ログにもブログの記事にも記載はありません.R2DD.COMについては外付け3.5インチFDDユニット-フリー720KB/1.44MBドライバ動作試験結果も参照して下さい.
   注3.2:下で示す簡易なケーブル状のI/Fを使って実験できることに気が付いたので,それを使って注3.1の事項について確かめてみたところ,Density信号ピンをGNDに接続しただけでは2DDメディアの内容は読めませんでした(メディア自体へのアクセスはできるようですが,ディレクトリ情報が把握できません).R2DD.COMを常駐させた後にアクセスすると2DDメディアのファイルが正しく読みました.考えてみればR2DD.COMはこのためのソトウェアなのであって,全く迂闊でした.なお書き込み等のテストは行っていません.上記のどるこむの過去ログなどにはこの旨補足が必要でしょう.
 注4:1MB FLOPPY DISKコネクタに2DD専用FDDを接続する工作も報告されていますが,筆者は未見です[田子好夫 (1991). PC9801の1MB増設FDD端子に2DDドライブを増設する ワープロのファイルを読み込むために トランジスタ技術, 1993年4月号. pp.395-359.].
 ※以下余談:例によって,筆者は当初,内蔵FDDケーブルから分岐させたDensity信号を外付けFDDに供給すれば外付けFDDでも2DDメディアが扱えるということも知りませんでした.1MB FDD I/Fを自分で作れないかと考え(すなわち,汎用ICだけで構成されている製品ならコピー品を作れるはずと考え),SAFRONICの11-0671-Bという1MB FDD I/Fの配線を追っていた際に,外部50ピンコネクタ脇のミニジャックにDensity信号が引き出されているのを "発見" したのですが,なぜこうなっているのか全く理解できませんでした.640KB-1.2MBハードウェア切換ボードの存在は知っており,それが外付けFDDで2DDメディアの読み書きを可能にする製品であることも知っていましたが(注),こういう専用の製品があるくらいなのだから,ミニジャックには基板上の複雑な回路からの出力が接続されているはずだと思い込んでいたからです.半信半疑で内蔵FDDケーブルから分岐させたDensity信号を外付けFDDのDensity信号ピンに接続したところ,見事2DDメディアが扱えたので,11-0671-Bのミニジャックの "謎" が解けました.その後しばらくして,どるこむの過去ログを調べていた時に,外付けFDDにDensity信号を供給すれば2DDメディアが扱えるというのは以前より広く知られた事実であったことを知りました.
   注:下で述べるように,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードには,古い機種で2DDメディアからのシステムブートも可能にする機能もありますが,筆者は当時このことを知らず,リサイクル掲示板上でaochanさんから教えていただきました.後にかかっくんさんから実際にVXでそのような使い方をしていたとのお話を伺いました.一部では以前より知られていた機能のようですが,このボードが添付されていた外付けFDDユニット,特にこの機能が有効な本体機種が出ていた古い時代の製品の取扱説明書に記載があったのかもしれません.

α DATAのADF-1MやIDOL JAPANのFDD-1Mなどの1MB FDD I/Fでは,外部50ピンコネクタの脇のミニジャックにDensity信号が引き出されており(Density信号はミニプラグの先端部で受けます),同じくミニジャックを持つ外付けFDD(ミニジャックはケース内部でFDDのDensity端子に接続されています)とオーディオ用モノラルミニプラグ付ケーブルと同等のケーブルで接続するようになっています(注).
 注:ステレオタイプのケーブルでも問題ありません.両端にステレオミニプラグが付いているケーブルは100円ショップなどでも扱いがあります.画像上段のケーブルはハードオフで\50で大量に売られていたものです.また上に画像を載せた筆者自作の外付けFDDユニットでは,背面のオーディオ信号入力端子(RCAメス端子)を利用してDensity信号の供給を行えるようにしていますが,ステレオミニプラグとRCAオス端子を両端に持つケーブルも100円ショップなどで売られている場合があります.画像下段のケーブルはダイソーで\100で買ったものです.


このようにDensity信号ラインを他の信号ラインと別に引き出すこともできますが,サードパーティー製の1MB FDD I/Fや自作の1MB FDD I/Fでは,外部50ピンコネクタのNCピンを利用して引き出すこともできます(注).
 注:本体の1MB FDDやNEC製の1MB FDD I/Fでは,外部50ピンコネクタの "NCピン" に何らかのラインが接続されている可能性がありますので(下を参照),Density信号ピンとして利用することには注意が必要でしょう.
 NEC製の5インチ外付けFDDユニットである PC-FD512R(1992年10月発表)では,FDDケーブル接続用の外部フルピッチ50ピンコネクタの20ピン(公称はNC)からのラインがジャンパの空きランドを経て中身のドライブであるFD1158DのDensity信号ピンに接続できるようになっているといいます(この情報はaochanさんよりいただきました).またメーカー不明(磁気研究所製?)の PC Line Max II 3.5 INCH 2DD/HD FDD という外付け3.5インチFDDユニットでは,外部フルピッチ50ピンコネクタの22ピン(これも公称ではNC)が中身のドライブであるFD1137DのDensity信号ピンと結線されています.さらにツクモの外付けFDDのあるものでは,専用外付けFD接続用外部フルピッチ36ピンコネクタにDensityピンと二つの不明な信号ピンを持っています(TSUKUMO製外付けFDD用ケーブルの36ピンコネクタ を参照).これらの事実から,PC-98本体の1MB FDDコネクタの18・20・22ピンは,NCということになってはいても,実際にはPC内部の何らかの信号ラインと結線されている考えられます.上記の外付けFDDユニットでは,2DDの読み書き時に,デバイスドライバによってそれらのラインに "Density信号" 等が流れるようになっていた(あるいはメーカーにそのような動作を行わせる計画があった)のでしょう.
 しかし一方で,デバイスドライバにより自動切替で3モード動作するようになっている同じNEC製の外付け3.5インチFDDユニットである PC-FD321/PC-FD322(1994年5月発表)では,外部フルピッチ50ピンコネクタのNCピンとユニット内部のVFO基板との間に接続がなく,また付属のデバイスドライバは,PC-FD321/PC-FD322が接続されているとロード時にエラーメッセージを表示するといいます.これらのことから,PC-FD321/PC-FD322では,1MB FDD I/Fの公称NCピンは信号ピンとして使用されておらず,通常の信号ピンのいずれかが3モード信号やユニット存在検出信号等の特殊信号のピンになっている(あるいは通常の信号とピンが兼用されている)ようです.さらにこれらのユニットで使用されているFD1138T[P/Nは134-506026-009-0で,制御基板はG8MXE(注)]は,通常のものとは構造が異なり(2HD/2DD判別孔検出用のマイクロスイッチを備えている等),また一部の信号ピンのアサインも異なる "特殊品" となっています(PC-FD322のVFO基板に通常のFD1138Tを接続するとFDDが焼損したとのこと).この特殊FD1138Tは恐らく外付け3モードFDDユニット専用に開発されたものなのでしょう(PC-FD322,および使用されているFD1138Tに関する情報はなおPさんよりいただきました).なおこの特殊FD1138Tは,アイドルジャパン製ID-35WEのものと同等あるいは同種のものかもしれません.ID-35WEのFD1138Tでは,基板裏の紙シールには,G8MXE 134-838113 950411G とあり,基板裏のシルク印刷は,134-838113-1-2,またトップカバーのシールには,P/N 134-506026-013-0 1995. 5 とあります.イジェクトボタンは小判型ですが,縁が丸くなっており,上ないし下から見た形も通常のFD1138Tのものと異なっています.
 注:HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_1 PC-9821・9801・PC98-NX・PC/AT互換機用3.5インチFDDの互換性一覧表 では,PC-FD321/PC-FD322で使用されているFD1138T(P/Nは134-506026-009-0 または 134-506026-109-0,前者の制御基板はG8MXE)を通常のFD1138Tに含めていますが,少なくともP/Nが134-506026-009-0のFD1138Tは,上記の通り通常の(というのはPC-9821の内蔵FDDとして使用されている,という意味ですが)FD1138Tとは互換性がないようです(FD1138Tと26ピンFD1148Tの違い も参照).


ただしこの工作では,2DDメディアからのシステムブートはできません.古い機種限定になりますが,1MB FDD I/Fに接続された外付けFDDにセットされた2DDメディアからシステムを立ち上げるためには,本体の拡張スロットに640KB-1.2MBハードウェア切換ボード(HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_26 640KB-1.2MBハードウェア切換ボード と640KB-1.2MBハードウェア切換ボードについてを参照)を増設する必要があります.この場合,外付けFDDのDensity端子は,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャックか,内蔵FDDのDensity端子と接続します.

PC-9801US/FAとPC-9821Ap2の一部では,システムセットアップメニューのFDDの設定[640K,1M,自動(640K),自動(1M)]の如何にかかわりなく,またPC-9821ApとPC-9821Ap2の一部では640Kと自動(640K)の設定で2DDメディアからのシステム起動が可能でした.PC-9801VXなどでも可能なようです.しかしPC-9801BX3/BX4,PC-9821As3/C8W/Xsでは,設定内容により挙動は異なるものの,どの設定でも2DDメディアからのシステム起動はできませんでした[システム起動後のデータ読み書きは,640K以外の設定で可能でした(640Kの設定では外付けFDD自体が認識されません)].またPCIスロットを持つ機種では起動は不可能です.これは流星V200とXv13/W16で実際に確認しました(注).
 注:640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを使用せずに2モード切替の外付け(扱いの)FDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にするソフトウェアが,PC-9821およびDOS/VソフトウェアのページEXT2DDBT (IPLware) で公開されています.対応機種は,PCIバスのない機種ではAp/As/Ae/An/Ap3/As3/BX3/BA3(およびこれらに相当するアーキテクチャの機種)およびPCIバス搭載のintel chipset機(初代Xa/Xt/Xf/St15/St20を除く),WildCat(VLSI)chipset機種(Xa7/C-Xa16/K/Xt13-Xt16,一部のXa7e),RCC/Server Works chipset機(RvII26/RsII26)とのことです.

2DDメディアをフォーマットする場合,MS-DOS6のformat /u ではフォーマットの対象として2DDメディアが選択できず,2HDメディアとして強制的にフォーマットされてしまいます.しかしファイルスロットFDD用のfslot2ddを組み込むことにより,format /9 (/u) で2DDメディアとしてフォーマットすることが可能となります[exrn640.sys(TR9612f.LZH)を使用することもできるようですが,筆者は試していません].またDOS7.0(Windows95)やDOS7.1(Windows98SE)でフォーマットする場合は,Density信号が接続されていれば,fslot2ddを組み込むことなしに,format /6 (/u) または format /9 (/u) で2DDメディアのフォーマットができます(Density信号が接続されたFD1158Dにセットされた2DDメディアはそのままDOS7.1でフォーマットできるとの情報はなおPさんよりいただきました)(注).Density信号が接続されていなければ,トラック0が不良ですと表示されフォーマットできません.またWindows95/98上でフォーマットする場合も,Density信号が接続されていれば2DDメディア(640kB/720kB)が対象として選択できます.
 注:Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> 我が青春の九拾八式 によれば,(青札V200に外付けされた)Density信号が接続されたFD1155Dではそのままでは(DOS7.1で)2DDメディアのフォーマットができないとのことですが,筆者は青札V200/Xs/Ap3/Ap2/FAの各機種に外付けされたFD1155D/FD1158D/FD1137D/FD1138Dののいずれでも,Dnsity信号が接続されていればfslot2ddなどを組み込むことなしにDOS7.0/DOS7.1で2DDメディアのフォーマットができることを確認しています.

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データの読み出しを行った後はそのデータが保存されていたフロッピーディスクはもはや不要といった場合には,きちんとした外付けFDDでなく,下のような簡易なケーブルを作成し,それにVFOありFDDを接続してもよいでしょう[もっとも,そのような場合には,VFOなしFDDを内蔵している機種ではVFOを無効にした上でFDDをPCに内蔵した方がより少ない手間で済むでしょう(5インチFDD内部増設用ケーブルを参照)].このケーブルの結線は上に示したものと同じです.FDDの電源はPC内部の電源ケーブルから分岐するか,外付け機器から取ります.3.5インチFDDの場合は+5Vを出力するACアダプタから電源を供給することもできます.なおVFOありFDDの動作確認を行う機会が多い方も,このようなケーブルを作成しておくと大して場所も取らず便利でしょう.


この画像のケーブルは,FD1155D/FD1157DおよびFD1135D/FD1137D/FD1138D/FD1158Dの動作確認用と実験用に作成したもので,FDD接続用コネクタとして34ピンのカードエッジコネクタとピンコネクタの両方を備えています.また外部50ピンメスコネクタがハーフピッチである自作の1MB FDD I/F(1MB FDD I/Fの製作を参照)に接続するために,PC側のコネクタがハーフピッチ50ピンオスコネクタ(外付けSCSI機器用のターミネータを加工しました)になっています.外部50ピンメスコネクタがフルピッチである通常の1MB FDD I/Fに接続する場合には,外付け用のSCSI機器から外した,両端がハーフピッチメスコネクタで中間が50ピンメスコネクタのケーブルと,一方の端がハーフピッチオスコネクタで他方の端がフルピッチオスコネクタのSCSIケーブルとを接続したものをケーブルとして使用しています(これで一方の端がハーフピッチメスコネクタ・他方の端がフルピッチオスコネクタのケーブルができます).また1本だけ別になっているケーブルは,内蔵FDDケーブルから分岐させたDensity信号ラインを接続するためのものです.

同様の結線と思われるケーブルに,8インチFDDであるFD1165Aと3.5インチFDDであるFD1137Dの2台を接続している例があります.ヤフーオークションで出品者IDが Desire_98,オークションIDが e77821561(2008年2月22日に落札)の出品物の説明に使用されていた画像を加工(元画像から切り出して半分に縮小したものを併置しjpg形式に再変換)して引用します.


一部のエプソン98互換デスクトップ機には,ターミナルFDDモードといって,本体が丸ごと1MBモード専用外付けFDDユニットに化すという独自の動作モードがあります.PC-98デスクトップ機は同様の動作モードを持たず,そのままでは "外付けFDDユニット" として使用することはできません.しかし,VFOありFDDを内蔵している機種(注)では,本体をある程度分解し,また内蔵FDDに接続し,それを他の機種の外付けFDDとして使用するためのケーブルを作成すれば,見映えや置き場所等の問題はあるものの,(一時的に)外付けFDDユニットに転用することは不可能ではありません.
 注:PC-9801VM11/VM21/VX/UX/UV/UV11/EX/ES/RX/RS/RA2/RA21/DX/DS/DA/FA,PC-98RL/XL/XL^2が該当します.PC-H98シリーズにも該当する機種があります.
 そのケーブルとしても上記の結線のケーブルが使用できます(ケーブルの長さは,1m程度でも信号伝達上の問題はないでしょう).PC-98本体の内蔵FDDが2台の場合には,ここを参照してFDDコネクタを2個取り付けます.外付けFDDユニット化の場合には,FDD用の電源は別途用意する必要はなく,PCに内蔵されている電源ユニットがそのまま利用できます.ケーブルはどこか適当な場所から筐体内に引き入れ,内蔵FDDと接続します.なお当然ですが,外付けFDDユニット化されたPC-98は,通常の外付けFDDユニットよりも多くの電力を消費します.
 この場合,元々の内蔵FDDケーブルと接続する(継ぎ足す)形のケーブルを作成することもできます.内蔵FDDケーブルの結線については,PC-9801RX/DA2,VM/XL等の内蔵5インチFDDケーブルPC-9801FA/FS2,PC-9821Ap2/M2の内蔵FDDケーブルなどの記事を参照して下さい(これらに該当しない内蔵FDDケーブルの結線は実機のもので確認して下さい).これらの内蔵FDDケーブルはすべてのラインが並列に接続されたストレート結線であり,(コネクタの突起の位置などを無視すれば)マザーボードとの接続用コネクタのピン番号とFDDのピン番号は一致しています(従ってピンアサインすなわち信号の並びも一致します).
 同様の結線と思われるケーブルの作成例があります.ヤフーオークションで出品者IDが michael_torojirou,オークションIDが m354495085(2020年3月1日に落札)の出品物の説明に使用されていた画像を加工(元画像から切り出して半分に縮小したものを併置しjpg形式に再変換)して引用します.横置きのPC-9801RS2[5インチFDD(FD1155D)内蔵]に "外付けFDDユニット" 化された縦置きのPC-9801DS/U2[3.5インチFDD(FD1137D)内蔵]を接続している様子です.


なお,PC-98に内蔵されているFDDにセットされたメディアに別なPC-98からアクセスするには,これらの方法の他に,2台のPC-98をクロス(リバース)ケーブル[クロスケーブル(LANケーブル以外)の結線 を参照]で接続するという方法もあります.これは,ビジネスソフトやゲームソフトの実行時にメディアの読み書きをするための方法ではなく,メディアに保存されているファイルを単に取り出す(逆に書き込むこともできますが)ための方法です.他機種に内蔵されているFDDを横から使用するにはこういう方法もあるということで書いておきます.
 MS-DOSではRdiskやMaxlink-Lite(注1・2)などのソフトを,またWindows95以降ではケーブル接続を使用します.ただしこの方法では,特にMS-DOS上ではメディア内容の転送にかなりの時間がかかります.とりわけシリアルクロスケーブルを使用した場合には,データの転送に信じ難いほどの時間を要す場合があります.またパラレルクロスケーブルを使用する場合には,2台のPC-98とも,パラレルポート(プリンタポート)が双方向通信に対応したPC-9821As2/Ap2以降の機種が対象となります.それ以前のPC-98,およびエプソン98互換機の全機種でパラレルクロスケーブルを使用した通信を行うためには,PC-9801-94(プリンタ増設インタフェースボード)または同等の機能を持つCバスボードを増設する必要があります.なおクロス結線のLANケーブルとLANボードを使用して同様のことを行うこともできます.この場合,MS-DOSでは上とは別のソフトウェアが必要です(注3).
  注1:Rdiskは 有限会社フューチャーウェイブThinkPad-Lover.ORG --> Rdisk のぺえじ から入手できます.使用方法は ThinkPad-Lover.ORG --> Rdisk のぺえじ や Doppel Arbeit's HOME --> Rdiskのすすめ などを参照.またMaxlink-LiteはMS-DOS6.2に付属しています.使用方法は どるこむの過去ログ,[23441] RS-232CでPC98をつなぐ などを参照.
  注2:MS-DOSの標準コマンドであるCOPYAコマンドとRS-232Cクロスケーブルを使用してファイル転送を行うこともできます(radioc.dat --> NEC PC-98 基本情報 書庫目録 --> RS-232Cケーブルを使って2台のPC98間でファイル転送 などを参照).
  注3:ドライブ共有ソフトとしてはMicrosoft LAN Managerが有名ですが,入手は容易ではありません.他にLANtastic Power Shareというものもあり,試用版(DOS・Win3.1/Windows95用)がInternet Archiveに保存されたArtisoftのウェブページ に残されています.これの使用方法は 今日は別に変わらない --> コンピュータ関係 --> NEC98DOSとかでLAN や 過去と現在のIT --> PC-9801用MS-DOS6.2からWindowsの共有フォルダに接続 備忘録(2020年5月10日の記事) 等を参照.なお筆者自身は,必要性を感じなかったため,LANボードを使用してMS-DOS上で他のPCとのファイルのやり取りを実際に行った経験はありません.


増設した1MB FDD I/Fを経由して接続された外付けFDDユニットでは,まれにデータ化けやファイル破壊が起きることがあるといいます(注).この問題に関しては断片的な情報しかなく,発生時の具体的な状況は殆ど明らかではありません(筆者はコネクタの接触不良が原因の一つではないかと考えています).本記事とは何の関係もない事項ですが,他に適当な場所もありませんので,ここに記しておきます.
 注:内蔵FDDの場合にも,CPUを高速なものに交換したり,マザーボードのクロックアップ工作を行っている場合には,メディアへのアクセスが1回では成功せずリトライが必要になる・本体起動時にFDDが認識されなくなるといった不具合が出ることがあります(PC-9801FAのコプロセッサ用ソケットにDX4ODPを装着した場合などが有名でしょう).これはCPUの動作が速くなり過ぎたために,BIOS内のソフトウェアループの実行時間が短くなるために起こるのだそうで,これに対する対策としては,外付けFDDを接続する[本体起動時に接続を確認するのに時間がかかるために内蔵FDDの回転待ち時間が稼げるため:吉田光範 (1996). PC-9801FAの24MHz(+α)クロック・アップ改造 トランジスタ技術, 1996年5月号, 355-364.],内蔵FDDのモーターを回転しっ放しにする[岡崎孝博 (1993). PC-9801FAクロックアップ改造法 ~RS-232C対策をソフトウェア的に施す~ 技術評論社編集部(編) ざべ特別公開講座 98パワーアップ改造名人 (pp.15-20). 技術評論社]といった手法があります.後者は,I/Oポート0BEhに3を出力することで内蔵FDDのモーターを1MB I/Fモードで常時回転させるというもので(株式会社ウェブテクノロジ --> 会社概要 --> 沿革 --> 書籍・出版 --> UNDOCUMENTED 9801/9821 Vol.1 --> ※「UNDOCUMENTED 9801/9821 Vol.2 メモリ・I/Oポート編」は、 こちら で公開しております。 --> io_fdd.txt を参照),上記の岡崎氏の記事にはMASMのソースプログラムも掲載されています.


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