PC-9821A-E10 (NEC) PC-9801FA/FS/FX,MATE-AのSCSI専用スロットに装着するSCSI I/F.Windows95対応. このタイプのSCSI I/Fではサードパーティー製品を含め,MS-DOS,Windows95とも 本ボードが最大の転送速度を誇る.これはシャドウRAMにROMがコピーされているため という(転送速度が高いため,SCSI-2ボードと考えられている場合もあるが,電気的 にはSCSI-1であるという). ボードには新旧があり,NECと書かれた大きなカスタムチップにFIFO FSCSIの文字が あれば旧型(前期型),SAGAT 777とあれば新型(後期型.箱に白色の丸いシールが 貼ってあるという)とされてきたが,FIFO FSCSIチップのボードでもSAGAT 777 チップのボードと性能的に等価なものが存在するとの報告もあり,本ボードの性能 (もしくは新旧)には,ボード正立時にこのカスタムチップの上に位置するICの 種類(NVD01 00とNVD0101の2種類があり,後者がより新しいチップと推測される) も関係しているらしい.なお基板にはG8NVDとG8NVDAの2種類があることを確認して いるが,必ずしも後者が新型ボードとは限らないようで,FIFO FSCSI-NVD01 00の 組み合わせのG8NVDA基板も存在する. 旧型ボードにはHDDの1GBを超えた領域からシステムを起動できないという問題が あり,新型ボードにはこの問題はないとされてきたが,まりも氏作成のe10chk.exe を用いた調査の結果から,この問題は実際には新型ボードでも存在すると考えられる. なおこの問題の原因を初期のMS-DOS5.0の問題に帰する主張もあるが,実際には MS-DOS5.0をアップデートしてDOS側のバグに対処した場合でも,上記のような SCSI BIOSの問題がPC-9821A-E10側にあるため,この "1GBの壁" は解消されない. また,PC-9821A-E10認識可能なHDDの最大容量は,旧型ボードでは4.3GBであり,新型 ボードでは8.4GBとされてきたが,これもe10chk.exeを用いた調査により,ボードの 新旧を問わず,SCSI BIOSが認識できるHDDの容量は8.4GB未満であることが確認されて いる.他のI/Fで領域確保されていれば旧型ボードでも8.4GBまでの認識が可能との 報告もあるが,e10chk.exeを用いた調査結果はこれにも否定的である. つまりPC-9821A-E10では,ボードの新旧を問わず,1024MBを超えたHDD領域からの システム起動はできず,またSCSI BIOSが認識するHDDの最大容量は8192MB未満という ことになる.この "1GBの壁" は,まりも氏作成のIPLWAREであるE10PAT(現在は SCSI_RAMに統合)を適用すれば解消する. MATE-Aではシステムセットアップメニューで内蔵固定ディスクを "切り離す" の設定に すると,内蔵固定ディスクがIDE HDDの場合でも,専用SCSI I/Fに接続されたファイル スロットSCSI機器や外付けSCSI機器も切り離されてしまう.これはPC-9821Ap2/As2, PC- 9821An,PC-9821Ap3/As3の各機種のガイドブックに記載があるが,平成5年2月の 日付のある3枚の正誤表を含め,PC- 9821Ap/As/Aeガイドブックには記載がない. ボード上に8連ディップスイッチ2個と3本ジャンパスイッチ3個あり. ・8連ディップスイッチSW1:ボードのSCSI ID番号,割り込みレベル,  DMAチャネルの設定 1-2-3:ボードのSCSI ID番号の設定  ON-ON-ON■ID 7 (出荷時設定) 4-5-6:割り込みレベルの設定  OFF-OFF-OFF■INT 0  ON-OFF-OFF■INT 1  OFF-ON-OFF■INT 2  ON-ON-OFF■INT 3 (出荷時設定)  OFF-OFF-ON■INT 5  ON-OFF-ON■INT 6 7-8:DMAチャネルの設定  OFF-OFF■DMA #0 (出荷時設定)  ON-OFF■設定禁止  OFF-ON■DMA #2  ON-ON■DMA #3 ※MATE-AにIDE HDDを内蔵させている場合は割り込みレベルをINT 3以外に設定  すること.またこの場合,本体のソフトウェアディップスイッチで(注)  内蔵HDDのDMAチャネルを#1に変更することにより内蔵HDDで#0が使用可能と  なる.   注:SCSI専用スロットではDMA #0とDMA #1に同じ信号ラインが割り当て     られており,本体のBIOSがこれの切り替えを行っている. ・8連ディップスイッチSW2:ROMメモリアドレス,本体機種,Power on  時のROMアクセス可否の設定 1-2-3-4-5-6-7:ROMメモリアドレス+本体機種の設定 (1)PC-9801FA/FS/FX,ハイレゾボードを装着していないMATE-A  OFF-ON-ON-OFF-ON-ON-ON■メモリアドレス\DC000h~\DDFFFh (2)ハイレゾボードを装着したMATE-A  OFF-ON-ON-OFF-ON-OFF-ON■メモリアドレス:               ノーマルモード時\DC000h~\DDFFFh               ハイレゾモード時\EC000h~\EDFFFh  ※\は0hまたはFhの意. 8:Pow on時のROMアクセス可否の設定  ON■ROMアクセス可 (出荷時設定)  OFF■ROMアクセス不可 ・3本ジャンパスイッチSW3,SW4:I/Oポートアドレスの設定 以下,SW3でのショートピン■SW4でのショートピン■I/Oポートアドレス の順:  01-02■01-02■CC0h,CC2h,CC4h (出荷時設定)  02-03■01-02■CD0h,CD2h,CD4h  01-02■02-03■CE0h,CE2h,CE4h  02-03■02-03■CF0h,CF2h,CF4h ※本設定表は1993年発行のPC-9821A-E10 SCSIインタフェースボード  ユーザーズマニュアルの記述に基づいているが,ユーザー間では本ボードは  PC-9801-92のSCSI専用スロット版とも言われており,もしそれが事実ならば,  実際のI/Oポート アドレスは 以下のようになっている可能性がある  (カッコ内の I/Oポートは CPU転送モード時に使用):  01-02■01-02■CC0h,CC2h,CC4h         (C84h,C85h,1C84h,1C85h,1C86h,1C87h)  02-03■01-02■CD0h,CD2h,CD4h         (D84h,D85h,1D84h,1D85h,1D86h,1D87h)  01-02■02-03■CE0h,CE2h,CE4h         (E84h,E85h,1E84h,1E85h,1E86h,1E87h)  02-03■02-03■CF0h,CF2h,CF4h         (F84h,F85h,1F84h,1F85h,1F86h,1F87h) ・3本ジャンパスイッチSW5:転送モードの設定  01-02■DMA転送 (DMA MODE) (出荷時設定)  02-03■CPU転送 (BUFFER MODE) Windows3.1を新規にインストールする場合にはDMA転送に設定.また本体を Lowモード(V30モード)で使用する場合もDMA転送に設定.