M3 (エム・エス・アイ) V33A-16MHz(μPD70136AL-16)を搭載したCバスボード型CPUアクセラレータ ("ハイスピードCPUボード").V30搭載機(PC-98VM2, VM21, CV, UV)を 80286-12MHz相当の動作速度にするという.512kBキャッシュRAM搭載(注). 80286/80386機では動作しない.本ボードは必ず拡張スロットの1番に装着 のこと.2番スロットにモータやリレー等が取り付けられたボードまたは 高電圧のスイッチングを行うボードが挿してある場合にはそのボードを撤去 すること.Cバス拡張BOXでの使用は不可.  注:640kBのSRAMを搭載しているものがあるというが,キャッシュRAMとは    別なのだろうか. ※本設定表は製品添付のマニュアルに基づいて作成したものである.本設定表に  記載されているものとスイッチ設定内容の異なるボードが存在するらしい.  本ボードには少なくとも前期型と後期型とがあるともいう.本資料のボードは  前期型(の一つ)かもしれない.なおマニュアル・ボードとも既に筆者の手元  にはなく,マニュアルの発行時期等を確認することはできない.   追記:ぱんだねこさんの2019年3月9日のツイート      (https://twitter.com/kuma_neko24/status/1104414485903601669)      に,基板上のスイッチの構成が異なるM3の画像が掲載されている.      これなどが後期型のボードなのだろう. ※※M3の製造はエム・エス・アイ(MSI)が行い,販売はα DATAが行っていた  ようである(時期によってはMSI自身からも販売されていたとの証言もある).  なお98JUNK.DOCはM3のメーカーを富士音響としているが,M3の前の製品である  MIG98の記事が掲載されている古いIDOL JAPANのカタログでは,開発製造元が  (株)エム・エス・アイ,総発売元がアイドルジャパン株式会社となっており,  MIG98の販売代理店として秋葉原・ラジオ会館7Fの(株)フジオンが紹介されて  いる.M3も引き続きフジオンでの扱いがあったのだろう. クロック:PC本体から供給(8/10MHz) 書き込み:8086/V30バスタイミングにてスイッチ切替 0~3ウェイト (4~7クロック) 読み込み:00000h~7FFFFhまでのRAM領域      V33Aバスタイミング 0ウェイト(2クロック)      80000h~FFFFFhまでのRAM領域      8086/V30バスタイミングにてスイッチ切替 1~3ウェイト (5~7クロック) 消費電力:500mA (MAX),50mA (TYP) 動作温度:10~35°C V33Aの特徴: 1) 8080エミュレーションモードがない. 2) 未定義命令を実行するとINT6の割り込みを発生. 3) コプロセッサを接続せずにコプロセッサ命令を実行するとINT7の割り込みを 発生. 4) POP R命令でV30がPOPサイクルを7回起動するのに対して,V33AではPOPサイクル を8回起動する. ボード表面に8連ディップスイッチ2個(SW2, SW3),(2本x8連)+(2本x6連)ジャンパ スイッチ(スイッチは2つ併置されているが,連続しているものと考え,2本x14連 ディップスイッチと表記する:DIC-1),2本x2連ジャンパスイッチ(DIC-2)1個 あり.またボード裏面に本体のCPU(V30)と本ボード上のCPU(V33A)切替用の スライドスイッチ(SW1)1個あり. 全対応機種共通: ・SW2■ON-OFF-ON-ON-OFF-ON-ON-ON ・SW3■ON-ON-OFF-ON-OFF-OFF-OFF-ON 機種依存: (1) PC-9801VM2, PC-9801UV2, PC-9801UV21 ・DIC-1■3, 7, 8, 12ショート ・DIC-2■1ショート (2) PC-9801VM21 ・DIC-1■3, 7, 8, 12ショート ・DIC-2■0ショート ※本体のディップスイッチの3-6をONに設定のこと. (3) PC-9801VM11, PC-9801UV11 ・DIC-1■2, 6, 7, 14ショート ・DIC-2■1ショート (4) PC-9801UV2 ・DIC-1■3, 7, 8, 12ショート ・DIC-2■1ショート (4) PC-9801CV21 ・DIC-1■1, 6, 7, 14ショート ・DIC-2■1ショート 装着後,DISKCOPYが正常に実行できれば本ボードが正常動作していると考えて 良い. MS-DOSが正常に立ち上がらない,キー入力が正しくできない,DISKCOPYの途中で エラーが出る等の不具合が発生する場合には,以下の手順でDIC-1の調整を行う: (1) ジャンパ10~14のどれかをショートさせているジャンパプラグを13に挿し替える. 次に,13は固定のままで,1~5のいずれかをショートさせているジャンパプラグ を1~5まで順番に移動させる. 1~5まで一回りしても動作しない場合には,13をショートさせているジャンパ プラグを14,10,11,12と変更し,ジャンパプラグを1~5まで順番に移動させる. (2) それでも動作しなければ,1~5のジャンパプラグの位置を出荷時設定に戻し, 10~14の間で順番にショートするジャンパを変更してみる. ※ジャンパ6,7,8,9は極端な場合の設定であるため,出荷時設定から変更しないこと. ※DIC-1の出荷時設定は3,7,8,12ショートで他のピンはオープンらしい. V33Aと8087はハードウェア的に接続できないため,本ボードはコプロセッサとの併用 不可(コプロセッサ未装着の状態に設定). また本体のクロックが5MHzでの動作は不可.8MHzで使用のこと.