NEC製拡張ボードの電解コンデンサ


1993-1994年頃に発売されたNEC製の拡張ボードのうち,筆者所有のものについて四級塩電解コンデンサが使用されているか調べました.マザーボード上の四級塩電解コンデンサの交換 等の記事も参照して下さい.

※本記事では扱いませんが,エプソン製の拡張ボード(増設RAMベースボード,グラフィックアクセラレータボード,MPEGボードなど)でも四級塩電解コンデンサが使用されているものがあり,コンデンサの液漏れも実際に確認されています.サードパーティー製の拡張ボードでも同様です.


■PC-98RL-01U(G8DNB A5・)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9801-26K(G8WYK)
筆者は本ボードを所有しておらず,またボード上の電解コンデンサに直接関することでもありませんが,注意喚起のためと,他に適当な場所もないことから,ここに書いておきます.本ボードでは,通電時にタンタルコンデンサが破裂することがあります(WIDENETさんの2019年12月12日のツイートを参照).この事故は,筆者が確認したものだけでも何件か報告されています(注1・2・3・4).原因(の少なくとも一つ)は,タンタルコンデンサ自体の経年劣化などではなく,電源ユニットの電解コンデンサの劣化により出力にリップルが重畳して耐圧以上の電圧や逆電圧が印加されることで,その結果としてタンタルコンデンサが故障(タンタルコンデンサの故障はつねにショートモード)することです(AIGOU Yoshiakiさんの2020年12月20日のツイートPC-9821/9801スレッド Part86 の804番の投稿 を参照).従って本ボード以外の機器でも同様の事故は起こり得ますし,再発を防ぐためには,PC本体の電源ユニットの電解コンデンサの交換等の作業も必要となると思われます.なお定格で使用する限り,タンタルコンデンサには寿命はなく,いわゆる経年劣化は生じないとされています.従って(ショートの原因がタンタルコンデンサ自体にないのであれば)予備的交換の効果はないと言ってよいでしょう.
 注1:サードパーティー製のいわゆる26K互換音源でも同様の事故が報告されています[おふがおさんの2020年9月14日のツイート(12)を参照].
 注2:PC-9801-14(ミュージックジェネレータボード:G9VFZ)でも同様の事故の報告があります[平安京エミリアん(東京ジュリアん)さんの2020年1月3日のツイート を参照].このボードで使用されているタンタルコンデンサについては,おふがおさんの2021年7月31日・8月2日(12345)・2022年6月23日のツイートを参照.
 注3:MIDIサブボードでも報告があります(片瀬水さんの2021年1月3日のツイートを参照).
 注4:マザーボード(PC-9801U,PC-9801BX2,PC-9801BS2の初期ロット等)でも同様の事故があり得ます(おふがおさんの2022年3月28日のツイート,つねごんさんの2021年5月16日のツイート を参照).
なお,基板上の文字列が G9WYKA A3・ までの本ボードで使用されているタンタルコンデンサの耐圧は16Vですが,文字列の最後が A4 以降のものでは,35Vと高い耐圧のタンタルコンデンサが使用されており,破裂しにくく(しなく?)なっているといます(WIDENETさんの2021年2月20日のツイート を参照).

コンデンサとは無関係ですが,本体マザーボードとの接続用ケーブルのコネクタと結線の画像です.ヤフーオークションで出品者IDが yshnq423_0705,オークションIDが f1039644522(2022年3月8日に落札)の出品物の説明に使用されていた画像を270゜回転したものから切り出したものを併置しガンマ補正値を上げた後jpg形式に再変換した画像を引用します.


画像検索した限りでは,サードパーティー製の互換音源ボードに付属しているケーブルは,コネクタの形状や結線が異なっているものがあるようですので,それらのボード用のケーブルをボードとは別に入手あるいは自作する場合には,事前にこれらの点について確認しておく必要があります.なお本体マザーボードのコネクタの信号については,noconaさんの2022年3月20日6月21日のツイートを参照.

■PC-9801-86(G8NQY)
多数の表面実装型の電解コンデンサが使用されており,これらが液漏れするという話はしばしば耳にします(注1・2).オーディオ機器用の高性能な電解コンデンサに交換する必要があるそうで,"86音源 コンデンサ交換" などの検索語でウェブ検索すると多数の記事がヒットします[KEI SAKAKI's PAGE --> カテゴリーを選択(プルダウンメニュー) --> コラム --> 20年以上前の音源ボード「PC-9801-86」の修理をしてみる(2017年1月6日の記事)Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> PC-9801US の USで遊ぼう! ~PC-9801USの修理小ネタ集~ など].また使用されている電解コンデンサの耐圧と容量のリストが,【半田】86ボードコンデンサ張り替え大作戦【コテコテ】の100-101番の投稿 と めんまぶろぐ --> 9801-86 (86音源) コンデンサー一覧(2019年4月22日の記事) にあります.なお主要ICのリストが,【半田】86ボードコンデンサ張り替え大作戦【コテコテ】の97番と120番の投稿にあります.また筆者はアクセスできないため閲覧することができませんが,googleドライブでも部品のリストが公開されているとのことです(まーくん2さんの2021年11月7日のツイート を参照).
 注1:Flyingharukaさんの2019年5月12日のツイートによれば,FM音源チップの製造時期コードが95または96で始まるものでは基板上の電解コンデンサは液漏れせず,94で始まるものでは液漏れするとのことですが,電解コンデンサの液漏れの程度はゲートアレイ(TEEMAL:PCM音源回路の一部?)の製造時期コードの最初の2文字とよく対応するとの情報もあります(通りすガリさんより情報をいただきました).それによれば,
 ・93:ほぼ全個体で液漏れ.見た目も酷く,スルーホールが断たれている可能性も高い
 ・94:ほぼ全個体で液漏れ.電解液がコンデンサの下に留まっているものと,基板全体に広がっているものとがある
 ・95:見た目では液漏れは確認できないが,コンデンサを外すと液漏れが確認できる
 ・96:見た目では問題ないが,設計上のコンデンサの寿命は尽きているため交換は必要
とのことです.これらは2015年頃の情報のようです[同人サークル "MF残党(仮" により配布された "おまけ本(86B解析本)Ver1.1" に詳しい記述があるそうです].
   またPC-9821/9801スレッド Part84の593番の投稿によれば,基板裏面の製造番号シールに記載されている文字列により電解コンデンサの液漏れの有無が判断できるといいます.製造番号が47以降で始まるものは一応安全と考えられる個体ですが(5と6で始まるものでは100%大丈夫とのこと),逆に3で始まるものではすべての電解コンデンサが封口ゴム改善前の品(液漏れ未対策品)とのことです.また製造番号シールが破損している場合には,FM音源チップ(YM2608B)の製造時期コードが9410以降[上記のFlyingharukaさんのツイートでは94以降のものとなっており,製造月(?)に関する情報(注1.1)を含んでいません]のものであれば液漏れなしと判断できるとのことです.
    注1.1:3・4文字目の数字は製造週を示すものなのかもしれません[例えば9350なら,1993年第50週,すなわち12月に製造:sakohitiさんの2020年12月27日のツイートを参照].
   下の画像は筆者所有のPC-9801-86のものですが,製造番号シール(左上)の文字列は69で始まり,FM音源チップ(YM2608B,左下)の製造時期コードは96で始まり,ゲートアレイ(TEEMAL,右)の製造時期コードは96で始まっています.上記の基準に照らせば電解コンデンサの液漏れの心配はないロットということになりますが,実際,少なくとも目視では液漏れは確認できません.手持ちのものを他に三枚調べてみましたが,一枚目は製造番号シールの文字列が63,FM音源チップの製造時期コードが95,ゲートアレイの製造時期コードが95で始まっており,二枚目は,製造番号シールは剥がれていますが,製造時期コードはFM音源チップでは95,ゲートアレイでは96で始まっています.また三枚目は製造番号シールの文字列が4Z,FM音源チップの製造時期コードが94,ゲートアレイの製造時期コードが94で始まっています.いずれもコンデンサの液漏れはないように見えますが,上記の基準では,前二者は大丈夫そうだが後者はどうも怪しいということになります.それにしても流石は86ボード,こういった問題についてもいくつもの詳しい研究がありますが,それぞれ実物を多数点検できる環境におられる方々により独立になされたもののようで,それだけにこれらの知見を総合することによってより信頼性の高い判断が可能となると考えられます.


 注2:表面実装型の電解コンデンサを取り外すための工具は様々なものがあるようですが,5,000円程度の安価なヒートガン(ホットエアガン)が便利との見解があります(Takeruさんの2022年5月25日のツイート などを参照).

■PC-9801-94(基板名未確認)
実物を所有していますが現在見つかりません.四級塩品の疑いのある電解コンデンサが使用されていたはずで,交換作業を行った記憶があります(121WAREの製品画像も参照).本ボードの発表日は1993年11月1日で,出荷時期は1994年1月です.

■PC-9801-100(AHA-1030P)
本ボードの発表日は1994年7月1日で,25V-22μの基板貫通型(ラジアルリード型)の電解コンデンサが9個使用されていますが,これらが液漏れしたという話は聞いたことがありません.手元の本ボードでコンデンサが液漏れしているものもありません.

■PC-9801-101(808-873840-101-A)
筆者は本ボードを所有していませんが,使用されている電解コンデンサが液漏れするとの報告がありますので掲載します.50V-47μFと50V-100μFの基板貫通型(ラジアルリード型)の電解コンデンサ(マルコン製CE-BS)が2個ずつ使用されていますが,これらが液漏れするとのことです[noconaさんの2021年8月16日のツイート(123)を参照.1998年2月製造のボードとの判断は,シールに記載されたシリアルナンバー(? 82……)によるものでしょうか].

■PC-9801-104(808-874033-002-A Rev.C4・)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9801-118(G8VND B3・)
G8VND B3・型番の文字列は基板に直接印刷されておらず,基板に貼られた紙製のシールに印字されています.基板にはPWD-1217 72412173の文字列がシルク印刷されています.本ボードの発表日は1995年11月で,220μFの基板貫通型(ラジアルリード型)の電解コンデンサが4個(耐圧10Vのものが1個,16Vのものが1個,25Vのものが2個)使用されている他,PC-9801-86のものと同様の表面実装型電解コンデンサが15個使用されています.手元の本ボードで液漏れしているものはなく,また液漏れするとの報告も聞いたことがないため(注)コンデンサの交換は行っていません.なお筆者所有の本ボードでは,PC-9801-86の製造番号シールに当たると思われるシールには61043435とあり,またNEC製のQFPカスタムチップである 149787-002 ANCHOR の製造時期コードと思われるものは 9548WK013 で,HE6-0069 MAZE の製造時期コードと思われるものは 9548WX021 です.
 注:液漏れするとの報告が現れました.漏れ出した電解液がボード裏面に達し,オペアンプをショートさせていたとのことです(MCtek《えむして》さんの2022年4月13日のツイート を参照).


■PC-9801B3-E02(G8RAD B2・)
本ボードの名称は,正式には "Microsoft Windowsキット PC-9801B3-E02" 同梱のCバスグラフィックアクセラレータボード のようですが,ボード上にPC-9801B3-E02の青シールが貼られています.図の白丸は16V-10μFの表面実装型コンデンサです.また緑丸は16V-100μFのコンデンサで,基板貫通型(ラジアルリード型)の形状をしたものが表面実装されています.1995年1月17日という本製品の発表日と,筆者所有の本ボードでは三枚とも液漏れが認められないことから,これらは四級塩品ではないのではないかと考え(注),交換作業を行っていません.
 注:四級塩品との見解もあります(きょろサンチームさんの2021年10月24日のツイート を参照).


■PC-9801FA-02(G8KZH A7・)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A-B01(G8MUS-2/2 A7・)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A-E02(メインボード G8NEJ E5C,ドータボード G8NEC C3A)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A-E09(G8NYE A5C)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A-E10(G8NVDA B24)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A-E11(G8QAT A3A)
四級塩品の疑いのある表面実装型電解コンデンサが7個あり,すべて20V-22μFのものに交換しました.図はコンデンサ交換後のものです.交換前のコンデンサの耐圧と容量のメモは残っていません.これら以外に使用されているコンデンサはタンタルコンデンサです.本ボードの発表日は1993年11月1日で,出荷時期は1993年12月です.


■PC-9821A2-B01(G8PHKB A1・)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A2-E02(G8PXA C6・)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821A3-B01(G8SDT A2・)
電解コンデンサもタンタルコンデンサも使用されていません(コンデンサはチップコンデンサのみ).

■PC-9821NR-B06(G8XZM B5・)
使用されているコンデンサはチップコンデンサとタンタルコンデンサです.

■PC-9821XE-B02(G8TZB □ A6・)
図の白丸は16V-10μF[日本ケミコン 5(3)],また緑丸は16V-47μF(nichicon N527)のコンデンサで,いずれも基板貫通型(ラジアルリード型)です.いずれも液漏れは認められず,また1995年7月(?)という本製品の発表日から,四級塩品ではないだろうと考え,交換作業は行っていません.


コンデンサとは無関係ですが,本ボードとCD-ROMドライブの接続用ケーブルのコネクタと結線の画像です.左が本ボードとの接続用コネクタ(赤R・黒GND・白L)で,右がCD-ROMドライブのAUDIO OUTとの接続用コネクタです.



ケーブル全長は約30cmです.長さは異なりますが,PC-9821XB10-B01用のケーブルや,PC-9821V12など用のケーブルとコネクタおよび結線は共通です.

■PC-9821X-B03
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821X-B09(G8XFS A C4・ A)
使用されているコンデンサはすべてタンタルコンデンサです.

■PC-9821XA-E01のI/F部(G8TUE A8・)
PCカードスロットアダプタのCバスI/F部で,タンタルコンデンサの他に基板貫通型(ラジアルリード型)の電解コンデンサが使用されていますが,1995年05月18日という本製品の発表日から,四級塩品ではないだろうと考え,交換作業は行っていません.PCカードスロット部の基板(G8TUD A6・)でも同様です.

■PC-9821XA7-B01(G8TQB A A5・)
10V-47μFの表面実装型電解コンデンサが3個あり(図の左端のものでは16V-47μFの基板貫通型(ラジアルリード型)のものが表面実装されていますが,これは明らかに前の持ち主によって交換されたもので,本来は3個とも同じ種類のものと思われます),これらは四級塩品によくある形状をしてはいますが,本ボードの発表日が1995年5月1日ということから,四級塩品ではないと思われます.使用予定がないため手を加えていません.


■PC-9821XA7E-B01相当品(GUCM ■ A6・)
1996年10月発売のPC-9821V13/S5C3に最初から装着されているもので,HAMLIN's PAGE --> MEMORY関係 --> MEM_3PC-9821用2nd_CACHE_MEMORY一覧表 によれば,PC-9821XA7E-B01相当品のようです.上のPC-9821XA7-B01のものと同じ10V-47μFの表面実装型電解コンデンサが4個あります.液漏れなどは認められないため交換はしていません.


■PC-9821XS-B01(G8RRF C6A)
電解コンデンサもタンタルコンデンサも使用されていません(コンデンサはチップコンデンサのみ).【NEC98】PC-9821総合スレッド【Windows】 の115番の投稿も参照.

■PC-9821XS-B02(G8RRG A4A)
電解コンデンサもタンタルコンデンサも使用されていません(コンデンサはチップコンデンサのみ).【NEC98】PC-9821総合スレッド【Windows】 の115番の投稿も参照.

■PC-FD321F(ファイルスロット用3.5インチFDDユニット)のVFO基板(G8MWV)
PC-FD321FではドライブであるFD1138Tに表面実装型の四級塩電解コンデンサが使用されていますが,VFO基板にも四級塩品の疑いのある表面実装型のコンデンサが使用されています.図はコンデンサを交換した後のもので,白丸が16V-22μF,緑丸が10V-33μFです.交換前のコンデンサの耐圧と容量のメモは残っていません.本製品の発表日は1993年1月1日で,出荷時期は1993年1月です.


■PC-98付属キーボード
PC-9821/9801スレッド Part87 の790番の投稿に,NEC製キーボードにはELNA製の電解コンデンサが使用されているとの情報がありましたので,いわゆるRDFキーボードとWindowsキー付きのキーボードとを調べてみました.前者では16V-33μFの基板貫通(自立)型の松下製SUが2個,また後者では16V-33μFの基板貫通型のELNA製のものが2個使用されていました.ELNA製の電解コンデンサは胴の部分に (M) の文字と,丸の中にS の文字が書かれものが印字されています.ELNA製のの電解コンデンサは,型番に "RS" と "RC" が含まれているものが四級塩品との情報がありますので(これは試運転さんよりご教示いただきました),これらは四級品ではないだろうと考え,交換作業は行いませんでした.なおいずれの電解コンデンサも,目視では液漏れを確認できませんでした.


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