98ノート・PC-9801P・PC-9821Es・EPSON98互換ノートの110ピン拡張バスの信号です(注).本記事は下記の資料の記述に基づいています. 注:PC-9801LSの拡張バスコネクタのピンアサインはこれらのものと異なるようです(CXさんの2023年11月30日のツイート を参照. |
吉野敏也(監) 株式会社テクノメディア(編) (1993). EPSON PC システムガイド ――100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック―― クリエイト・クルーズ |
吉田 功 (1994). トランジスタ技術 Special No.45 特集 PC98シリーズのハードとソフト ――386&486マシンを使いこなす―― CQ出版 にも110ピン拡張バスの信号に関する記述がありますが,(同じ記事内で扱われているCバスの信号名がPC-98式のものであるにもかかわらず)信号名がEPSON機式である等の理由から,EPSON PC システムガイドの記述に拠っていると考えられます.なお吉田 (1994) には引用文献・参考文献の記載が全くありません.またPC-386NOTE ARの110ピン拡張バスコネクタのピンアサイン情報が,河村純一・下川繁三(編著)(1993). ノートブックパソコンによる科学計測入門II PC286/386NOTE,PC9801NOTEシリーズ 八戸ファームウェアシステム株式会社HFS出版部(発行), 星雲社(発売). と noconaさんの2023年10月10日のツイート にあります.また第三研究所 --> 電算機研究棟 --> 第一電算機研究室 Computer Power Up I --> 付録 Appendix (各種一覧表) --> NEC/EPSON 98ノート 110ピン拡張用コネクタ信号表 にも資料があります. ■コネクタのピンアサイン 110ピン拡張バスコネクタ(本体側・メス)の嵌合面のピン番号は,コネクタの幅の広い方を上に見た場合,上段左からB1,B2,B3,…… B53,B54,B55,下段左からA1,A2,A3,…… A53,A54,A55 の順です.これはCバスのコネクタなどと同じ番号の振り方です. 旧98ノート・エプソンノート110ピン拡張バス用FDDケーブルの記事では,コネクタのピン番号をコネクタの種類とピン番号のアンフェノール50ピンオスコネクタのものに準じて表記しています.この場合,55,54,53,…… 3,2,1 が B1,B2,B3,…… B53,B54,B55 に,また100,99,98,…… 54,55,56 が A1,A2,A3,…… A53,A54,A55 ということになります. 適合コネクタは日本AMPの1-178359-1(コネクタ本体)および同C-178386-1(コッキングスクリュー)であり,オス側の適合コネクタは日本AMPの1-178368-1(コネクタ本体)および同C-178375(コネクタカバー)です(1993年3月の時点).なお筆者が調べた限りでは,ヒロセ電機のハーフピッチ(1.27mm)コネクタであるDXシリーズの現行品には110ピンのものはありません(注). 注:オス側の適合コネクが入手できなかったため,98ノート(PC-9801NL)本体のメス型コネクタの裏面(基板にハンダづけするためのピンが出ている側)から信号を取り出している例があります(ETHYLE~1.SYSさんの2023年4月16日のツイート を参照). +5V電源は350mAまで供給可能です. EPSON機でのFDD関連の信号名は,本ウェブページの他のFDD関係の記事のものに近いものとしました.PC-98での110ピン拡張バスのピンアサインに関する資料は入手できませんでしたが,ピンアサインはPC-98とEPSON機で共通と考え,PC-98での信号名はEPSON機でのものを置き換えました.外付けFDDの信号や外部ディスプレイ出力信号等はEPSON機でのものをそのまま使用しましたが,その際信号の論理を示す末尾の数字(0または1)は省略しました. |
B33はINTA0ではなくINT0(PC-98)/INTR0(EPSON機)ではないかと思いますが,確証はありません.CバスではINTA0信号の方向はI/Oですが,110ピン拡張バスではOというのも妙な感じがします(INT0/INTR0信号の方向はO). 吉田 (1994) の記事に基づいているご~けんのホームページ --> コンピュータ --> 【コネクタ自作のお話】 では,B33をINT0[吉田 (1994) ではINTA0],B34をINTA0(同NC)としています.理由があってこのように訂正したとも考えられます. ※しかしこの資料には, A35をM12A0[信号の意味は不明.吉田 (1994) ではNC] A41をNOWAIT0(同NC) A53をGND固定(同RGBSEL) B30をEXHLA20(同NC) B35をSBUSRQ1(同NC) とするなど,疑問な箇所もあります. ■信号の意味 大部分の(すべてではありません.Cバスにあって110ピン拡張バスにはない信号がいくつも存在しますので注意して下さい)信号はCバスのものと同じです.以下は110ピン拡張バス独自の信号です.なおNCピンは必ずオープンにしなければなりません. WENABLE WRITE ENABLE信号. STEP/VSYNC STEP PULSE/垂直同期信号. SSEL/HSYNC SIDE SELECT/水平同期信号. DS2 DRIVE SELECT 2信号. RDATA READ DATA信号. RGBSEL 外付けFDD/外付けディスプレイ出力選択信号. "H":アナログRGB信号 "L":1MB FDD I/F信号 外付けFDD・外付けディスプレイ以外の機器を接続する場合にはオープンにすること. PC-386NOTE AEは本体の液晶ディスプレイと外付けディスプレイへの同時表示ができない. このため,環境設定メニューまたはキーコンビネーションの操作により表示装置を選択する(筆者が確認したところ,PC-486NOTE ASでも同じ). 本体ディスプレイ:表示装置をLCDに設定/[CTRL]+[GRPH]+[L] 外付けディスプレイ:表示装置を拡張コネクタに設定/[CTRL]+[GRPH]+[D] アナログRGBディスプレイケーブルでRGBSEL信号にHIGHを出力する場合,+5Vとの間に1KΩの抵抗をつける. 抵抗の定格は1/10W以上,±5%以内とする. TRK0 TRACK 00信号. WPRT WRITE PROTECT信号. MFM FMF信号. SYNC SYNC信号. HLD/AG HEAD LOAD/アナログ緑色ビデオ信号(注). DIR/AB DIRECTION/アナログ青色ビデオ信号. WINDOW WINDOW信号. WDATA/AR WRITE DATA/アナログ赤色ビデオ信号. READY READY信号. DS3 DRIVE SELECT 3信号. INDEX INDEX信号. 注1:とEPSON98互換ノートでは,98ノート(PC-9821Esも同じでしょう)と次の信号が異なります. ・A38 SCLKの周波数はCPUクロックスピードの値によって変化する. ・A53 EPSON98互換ノートではFDD/CRT選択信号. ・A48/A49/B45/B47/B49 FDDの信号の一部をアナログRGB信号と切り替えて出力する. 注2:外部ディスプレイ接続用コネクタ(ミニDIN10ピンメス)を備えているPC-486NOTE AS・AU・AV・AT,PC-586NOTE ATでは110ピン拡張バスにアナログビデオ信号が出力されないとの情報があります.またどるこむの過去ログ,SCSI HDDを繋げたい PC-486 NS2 によれば,エプソン総合カタログの1993年8月版に,PC-486NOTE ASでは110ピン拡張バスにRGB出力を含むとの記述があるとのことなのですが,筆者が八戸ファームウェアシステムのFM Station II FM2-N(注2.1)に外部ディスプレイを接続して確認したところ,PC-486NOTE AS2ではやはり110ピン拡張バスへのビデオ信号の出力は確認されませんでした. 注2.1:取扱説明書に,PC-386NOTE AEまたはARに本品を接続すると外部ディスプレイ出力が可能とあります.これは起動画面やMS-DOSの画面出力を指すものな筈です. なお上記の通り110ピン拡張バスの信号は大部分Cバスのものと共通ですので,Cバスでも110ピン拡張バス機器を動作させることができます.下はコンピュータリサーチ製のIDE-EXTというCバスボードの画像です.これは外部10ピン端子を持つCバスボードで,エマティなリサイクル --> 研究発表会 --> 98JUNC.DOC によれば,Cバスの信号を110ピンコネクタに出力しているだけのボードということです(注).ヤフーオークションで出品者IDが trgetter,オークションIDが r398242230 の出品物(2020年4月30日に落札)の商品説明画像から切り出して1/3と/4に縮小したものをそれぞれ回転し,ガンマ補正値を上げた後併置してjpg形式に再変換した画像を引用します. 注:ボード上に取り付けられている部品は,ICが1個と集合抵抗(赤い部品)が2個(集合抵抗のないものも確認しています),およびタンタルコンデンサが1個です.ICは74LS244で,これは3ステートのバッファICです.
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