エプソン98互換機で16MBシステム空間を
確保するためのドライバ


PC-386GS(注1),PC-486P/SE/SR/GF/GR/GR+/GR Super/HA/HX/HG/NOTE AS[CPUを486アップグレードモジュール(注2)に交換したPC-386NOTE ARは不明ですが,恐らく該当するでしょう]では,メモリが16MB以上の状態においてWindows3.1やWindows95で15-16MBのシステム空間を使用する拡張ボード[Cバス用やLスロット用の一部のグラフィックアクセラレータボード等(注3)]を使用する場合(PC-386GS,PC-486P/GF/GRでは本体の拡張スイッチの2-2をONにする必要もあります),config.sysの先頭に16MBシステム空間を確保するためのデバイスドライバを記述する必要があります(注4・5).これらの機種より後の機種ではデバイスドライバの組み込みの必要はありません(注6).
 注1:筆者所有の機体.1992年1-6月期製造ですので後期ロットということになるのでしょうか.今のところ他の機体での動作報告は確認できていません.
 注2:PC-386NOTE AR用のエプソン製CPUアップグレードモジュールSPCCPUB12のCPUはi486SX-25ですが,i486DX2-50を搭載したものが存在するようです(ETHYLE~1.SYSさんの2021年7月11日のツイート(12)を参照).本体に貼られたUP GRADEシールはエプソンのもののように思えます.
 注3:16MBシステム空間が確保されていないと,FDDへのアクセスにも支障が出るといいます.上記以外の機種で16MBシステム空間を「使用しない」の設定にしている場合にも,FDDの読み書きに不具合(ファイル破壊等)が出ることがあります.
 注4:Lスロットは小型Cバススロットですので,メモリを16MB以上搭載している場合には,一部のCバスボードの場合と同様に,Lスロット用ボードの一部でもこの種のデバイスドライバの組み込みが必要となります.
 注5:15-16MBのシステム空間を使用する拡張ボードを増設している場合,どういうわけかメモリが16MB未満(13.6MBなど)の場合にも,この種のデバイスドライバが組み込まれていないと不具合が発生する場合があります(Windows95起動時に画面が表示されない等).
 注6:PC-486FS/FR/FEでは,ディップスイッチの設定により15-16MBのシステム空間を切り離すことができます.

このドライバには以下のものがあります.なおこれらの他にも,KAZ.K氏作成のTi16Mや,NIFTYServeのFEPSONXフォーラムのライブラリでのみ配布されていたという,Friend of YAS氏作成の16over.sys(16_sys.lzh,PC-486P/SE/SR/GF/GR/GR+/GR Super/PCCPUB21用)や,KIRK氏作成のSzonehx.sys(β版?,Szhx006B.lzh,PC-486HA/HX/HG専用)等があったといいます(a EPSON PC's Generation Ago. --> どうにゅうまえに --> Memory を参照.この記事では16MBシステム空間に関しても詳しく説明されています).

  (1) recmem.sys[エプソン版Windows95 CDに付属している "EPSON ドライバキット EPSON PCシリーズ(98互換)" CDのEpsonフォルダ内にあり.Internet Archiveに保存されているエプソン販売のウェブページ(PC-98用製品のドライバファイルへのリンクを参照)にはないため,ダウンロード入手は不可能]
  (2) 16giga.sys(毎黒仮節渡万氏作成のフリーウェア.Cybernetic Territory --> パソコン --> PC-9801/9821 --> 16GIGA.SYS,およびVectorにあり)
  (3) f.exe(カノープス製PC-9800シリーズ用グラフィックアクセラレータボードのサポートソフトに含まれている.PC-98用製品のドライバファイルへのリンクを参照)
  (4) ep16enb.sys(I・Oデータ製グラフィックアクセラレータボード,GA-DR(V)2(または4)/98のサポートソフトに含まれている.PC-98用製品のドライバファイルへのリンクを参照)
  (5) set401.sys[om_W氏作成のフリーウェアである擬似UMBドライバ(emumb13.lzh)に含まれている.Vectorにあり]
  (6) px98ipl.exe[KAZZEZ氏作成のフリーウェアであるpx98/ipl(The Adequate Junkers --> ジャンクプログラム --> PX98/IPL)のmオプションにより作成される]

(2)をこの目的で使用する場合,単に組み込むだけでは不十分で,14.6MB以下と15.6MB以上のメモリについてそれぞれ設定を行う必要があり,具体的には(ver.2.00の場合といいますが,入手先は不明.ウェブ上で公開されているものはver.1.4),config.sysの先頭に device=16giga.sys xx 70(xxは16MB以上に実装されてるメモリ.単位はMB)として,16MBシステム空間を避けるようにメモリを再配置する必要があるということなのですが(どるこむの過去ログ,いろいろとまとめて…(^^; を参照),筆者がERFを用いてPC-386GSに16MB以上のメモリ(63MB)を認識させた時には,ver.1.4を使用し,config.sysの先頭に device=16giga.sys と記述するだけで十分でした(どるこむの過去ログ,PC-386GSに16MB以上のメモリ を参照).16giga.sysを使用した場合,Windows95でグラフィックアクセラレータボードの認識に失敗する場合があるといいますが,筆者は経験がありません[PowerWindows928(VRAMを2MBに増設済),GA-DR2/98],なお16giga.sysのパッケージである16giga20.lzhに含まれているSuper16m.asmから作成されるsuper16m.sysもこの目的で使用可能といわれますが,筆者は確認していません.

また(5)と(6)についてはPC-98エミュを語ろう18の56番の投稿を参照して下さい.

なおWindows95をセーフモードで起動する場合には,起動時にconfig.sysの内容が読み込まれません.16MBシステム空間を確保するドライバを必要とする機種でWindows95をセーフモードで起動する場合には,搭載メモリを14.6MB以下にする必要があるでしょう.


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