PC-9821Nb7・Nr13等のFD1238TをFD1138T,FD1231T,VFOなし5インチFDDで代替する場合の外付けケーブルの結線の仕方です. PC本体側のHEAD LOADピンをFDD側のHEAD LOADピンに接続する必要がありました.FDD側のHEAD LOADピンをGNDに接続した場合,FD1231Tではメディアを読むもののアクセスランプがつねに消灯しました.5インチFDDでは動作しませんでした(動作音がしませんでしたので多分ヘッドが動かなかったのでしょう). 5インチFDDはSD-680L,FD-55GFR,FD1158C,VFOを無効にしたFD1155Dでテストしました(注).実験に使用したPC本体はPC-9821Nb7です. 注:FD1155Dが動作しない場合には,USE=2の設定を試してみて下さい. 以下,PC本体と接続するアンフェノールハーフピッチ26ピンオスコネクタのピン番号 FDDコネクタのピン番号 (信号名) の順です.左からそれぞれFD1138T,FD1231T,VFOなし5インチFDDの場合の結線です.なおアンフェノールハーフピッチ26ピンオスコネクタは,新品として売られているもの(メーカーと型番は確認していません)も勿論使用できますが,役目を終えた,あるいはジャンク品として売られている古いPC/AT互換機ノート用の外付けFDDユニットなどのものを(ケーブル込みで)再利用することもできます. |
テストに使用したケーブルが残っていましたので,画像を載せておきます.古いものですので,絶縁用のビニールテープが一部剥がれるなどしてしまっています(信号ケーブルも一本ハンダづけ箇所が外れてしまっていますが,もうこれを使う機会もなかろうということで直しませんでした).上段のケーブルのコネクタは,故障したIDE HDDとFDDからそれぞれ取り外したものを加工したものです,FD1138Tを接続する場合には,上段のケーブルの左側のコネクタにPC-9801NL/R-02のケーブル(両端がハーフピッチ26ピンオスコネクタと26ピンメスコネクタ)の26ピンメスコネクタを接続し,右側のコネクタに内蔵FD1138Tが1台の機種のFDDケーブルを継ぎ足します.FD1231TとVFOなし5インチFDDを接続する場合には,さらに下段のケーブルを継ぎ足します. |
FD1231T,5インチFDDとも,電源は外部電源を使用しました.FD1231TはFD1138T同様,PC本体の外付けFDD用コネクタ(ハーフピッチ26ピンオス)から+5Vを取っても大丈夫でした.しかし常用する場合には外部電源を使用した方がよいでしょう.FD1231Tは3モードで,5インチFDDは2モードで動作しました.なお[ターミネータの抵抗値が150-330Ω(330Ωの場合は大丈夫ではないかと思いますが)と低い場合が多い]5インチFDDを接続して常用する場合には,電流の関係から,信号ライン中にバッファICを挟んだ方がよいでしょう(FDDの信号レベルとターミネータの値,1MB FDD I/Fの製作 などを参照).その場合,FDD信号は負論理であり,出力信号はオープンコレクタ出力であることなどに注意して下さい.信号の方向については,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_6 2台接続用ケーブル回路図 26PIN_FDD用 PC-9801BX2/U2標準接続回路図 のFD1138Tのものを参照して下さい[FD1238TはほぼFD1138Tを小型化したFDDと考えられます(FD1238Tのピンアサインを参照)]. FD1138Tのテスト中に以下の現象を確認しました. ・FD1138Tの7ピン(DRIVE SELECT 1)をプルアップすると2モードの幽霊FDDが3つ出現しました.Windows95のマイコンピュータ上でも同様でした. ・2台目設定にしたFD1138Tは認識されませんでした. ・FD1138Tを1台目設定にして内蔵FDDと併存させると両方のFDDが同時に動作しました. ・FD1138Tを2台目設定にして内蔵FDDと併存させると認識されませんでした. これらの事実から,FDDがFD1238Tである98ノートではDRIVE SELECT 1信号が出力されていないと考えられます(注). 注:PC-9821Cr13(この機種はノート機ではありませんが)でも内蔵FDDケーブル接続コネクタにDRIVE SELECT 1信号が出力されていませんが,この信号自体は生成されており,取り付け場所の問題はともかく,内蔵2台目のFDDを増設することは技術的に可能です[おふがおさんの2020年11月9(1・2・3)・10(1・2)・11(1・2)・12日(1・2)のツイートを参照].但し98ノートにも同様の機種があるか筆者は調べていません. GELのJUNK部屋 --> PC9821Nr15/S10 にも,FD1138Tを使用したPC-9821Nr15の外付けFDD作成の記事があります.2001-2002年頃の記事のようで,公開時期は筆者らの研究より前です.本記事のものとはコネクタのピン番号の振り方が異なっており,またHEAD LOAD信号をGNDとしています. また筆者がCD-Rさんよりご恵贈いただいた,FD1138Tを使用した外付けFDDも,上と同様の結線となっていました.なおこの外付けFDDでは,ケース部分にVersa PRO用の外付けFDDであるPC-VP-TS01のケースが使用されていました.FD1138Tとは形状の点では全く合いませんが,破損しやすいFD1138Tの保護という点では良いケースと思います. ※※Nr15メンテ --> Nr15に5インチドライブをつけてみる(2008年10月31日の記事) に,PC-9821Nr15にFD1155Dを接続したという報告があります.この記事も後で知ったものですが,信号に関する具体的な記述は比較的少ないものの,筆者らの研究より前に公開されています. FD1231Tを接続するケーブルを元にしてPC/AT互換機用のFDDを接続するケーブルを作成することもできます.具体的には,PC/AT互換機用FDDのPC-98での使用(1)――FDDケーブル作製+偽READY信号生成スイッチ取り付け編――,PC/AT互換機用FDDのPC-98での使用(2)――READY信号自動生成回路外付け編――,PC/AT互換機用FDDのPC-98での使用(3)――制御基板改造編―― の記事を参照して下さい. PC-9821Ls12(この機種のFDDは外付けではなく,本体に接続するファイルベースに内蔵されています.ドライブはPC-9821Nb7・Nr13等のものと同じくFD1238T)にVFOなし5インチFDDを接続する仕方が,試運転の資料館 --> 電算機部 --> PC-9821 に 5.25 型 FDD を接続する で報告されています. ※PCB-GAME-ROOM --> [PC-9821ノート改造] --> No.48 La13にPCMCIA接続FDDを増設する によれば,98ノートでもWindows上でPCMCIA接続のFDDユニットが使用可能といいます(注1).FDDユニットの型番等は記事を参照.またヤフーオークションの出品物説明によれば,PCMCIA接続のFDDユニットであるワイ・イー・データ(Y-E DATA)製YD-8H00-01312000とSONY製FA-P1も,PC-98のWindows95/98上で動作するといいます(動作の様子を映した出品者による動画もYoutubeにあります).またカードバス搭載機種であればUSBカードを挿してUSB接続のFDDも使用可能といいますが,消費電力の点で問題はないのでしょうか(注2).またこれが可能なのであれば,PCIスロットを持つデスクトップ機でもUSB接続のFDDが使用可能でしょう. 注1:この記事中で言及されているワイ・イー・データ製ドライバはInternet Archiveに保存されたワイ・イー・データのウェブページ内に残されています. 注2:USB1.0-2.0規格の最大供給電流は500mAですが(Marubun --> テクニカルスクエア一覧を見る --> 有線インターフェイス --> はじめてのUSB [USB発展の歴史と基礎知識] を参照),USBカードが供給可能な電流は製品により違いがあるようです(350mA,500mAなど). |