3.5インチFDD[FD1138T/26ピンFD1148T, FD1231T/MPF520-F/OSD/OSD-u(E26J)/34ピンFD1148T]を1台または2台,および5インチFDD(FD1158C)を1台内蔵したPC-98に5インチFDDを内部増設するためのケーブルの結線図です.コネクタ間の長さは機種に合わFて決めて下さい.以後本記事では,FD1138Tと26ピンFD1148TをまとめてFD1138Tと,また FD1231T,MPF520-F,OSD,OSD-u(E26J),34ピンFD1148TをまとめてFD1231Tと表記します. 結線図にはコネクタ各ピンの信号名を記載していません(信号名を含む結線図も用意してあります.コネクタのピンアサインと信号名については,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 の他,FD1231TとVFOなし5インチFDDの信号の異同,FD1138T 2台内蔵用ケーブル,FD1138TをFD1231TまたはVFOなし5インチFDDで代替,30ピン-34ピン変換ケーブル(ファイルベイアダプタ付属ケーブル同等品),VFOなし異種FDD内蔵用ケーブル 等の記事も参照して下さい).またFDDのターミネーションに関してはFDDの信号レベルとターミネータの値を参照して下さい. ピンが描かれているコネクタは嵌合面,描かれていないコネクタは配線面がそれぞれ示されています.また図中の_| ̄|_は,メスコネクタでは切り欠きの方向を,またオスコネクタでは突起の方向をそれぞれ示します. 5インチFDDのコネクタは,FD1158D等に接続するための34ピンフラットケーブル接続用メスコネクタで図示していますが(コネクタの種類とピン番号 の "34ピンコネクタ①"),これをFD1155Dなどの34ピンカードエッジメスコネクタとすることもできます(コネクタのピン番号と信号の関係は両者で共通. コネクタの種類とピン番号 の記事を参照)(注1・2・3).なお "FD1158Cを1台内蔵した機種にVFOなし5インチFDDを内部増設するケーブル" を除き,下に示す各ケーブルは,入手が最も容易と思われるFD1155D(VFOを無効にしたものも含む)を含むいくつかの5インチFDDで動作することを確認してあります. 注1:FD1155Dのジャンパスイッチの設定方法については エマティなリサイクル --> 研究発表会 --> 98FDDドライブ設定表 などを参照して下さい. 注2:FD1155C/Dで,特に天板がなくヘッド部分が剥き出しの構造をしている初期型のものは,PC本体に内蔵した場合に電源ユニット由来のノイズによって読み書きに障害が出る場合があるようです.この問題の対策については,VFOありFDDの外付け化を参照して下さい. 注3:34ピンカードエッジメスコネクタには,3・4ピンと5・6ピンの間に切り込みがあります.通常34ピンカードエッジオスコネクタには,嵌合方向を誤らせないために,3・4ピンと5・6ピンの間にこの切り込みにはまる板状の仕切がありますが,中にはこれがないものもあります.このようなコネクタでも,ハウジングに1ピンの位置のマーキングを行うなどすれば誤嵌合を減らせるでしょう.またプラスチック板などで作った仕切をコネクタに填め込むこともできます.下のコネクタの仕切(白い部分)はヨーグルトの容器の蓋から切り出したものです. |
26/30/34ピンのフラットケーブル圧着(圧接)用コネクタは,国内外の様々なメーカーの現行品があります.ここでは,ヒロセ電機(HRS)の製品の型番を記します.新品で購入する際の参考にして下さい.なおコネクタの圧着に必要な工具については,コネクタ圧着用の工具を参照して下さい. (1) フラットケーブル圧着(圧接)用26/30/34ピンMILメスコネクタ("ソケット") HIF3B-26D-2.54R(26ピン)/HIF3B-30D-2.54R(30ピン)/HIF3B-34D-2.54R(34ピン) HIF3BA-26D-2.54R(26ピン)/HIF3BA-30D-2.54R(30ピン)/HIF3BA-34D-2.54R(34ピン) (2) 同オスコネクタ["プラグ",ロック(mold clamp)*付き] HIF3BA-26PD-2.54R-MC(26ピン)/HIF3BA-30PD-2.54R-MC(30ピン)/HIF3BA-34PD-2.54R-MC(34ピン) *両脇から内側に折り込むレバーのような部品 また,8ピン/12ピンミニコネクタの型番や調達方法については26/30ピンコネクタと8/12ピンミニコネクタの作り方を参照して下さい. ※関連記事(PC本体の内蔵FDDケーブルに接続する3.インチFDDと5インチFDD(それぞれ最大で2台)間で切り替えて使用する方法の案)がこちらにあります.あわせてご覧下さい.なお少し前のところから読まないと分かりづらいかもしれません). ■VFOなし3.5インチFDD(FD1138T,FD1231T)を混在内蔵させるケーブルについては,VFOなし異種FDD内蔵用ケーブル をご覧下さい. ■VFOあり5インチFDDを内部増設するケーブル類には,VFOあり5インチFDDの代わりにVFOあり3.5インチFDD(FD1135D,FD1137D,FD1138D)を接続して使用することもできます. ■VFOあり5インチFDDを内部増設するケーブル類を使用した場合,5インチFDDの増設形態は内部増設でありながら,PC本体からの扱いは外付けFDDとなります.従って, (1) そのままでは5インチFDDにセットされた2DDメディアからのシステムブートはできません. |
5インチFDD内部増設用ケーブルの対象機種では,筆者が実機で確認し得た限りでは,PC-9821Ap2のみが,本体の拡張スロットに640KB-1.2MBハードウェア切換ボード(HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_26 640KB-1.2MBハードウェア切換ボード と640KB-1.2MBハードウェア切換ボードについてを参照)を増設することで2DDメディアからのシステム起動が可能でした.この場合,外付けFDDのDensity端子は,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャックか,内蔵FDDのDensity端子と接続します(注1・2). 注1:640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを使用せずに2モード切替の外付け扱いのFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動を可能にするソフトウェアが,PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ の EXT2DDBT (IPLware) で公開されています.対応機種は,PCIバスのない機種ではAp/As/Ae/An/Ap3/As3/BX3/BA3(およびこれらに相当するアーキテクチャの機種)およびPCIバス搭載のintel chipset機(初代Xa/Xt/Xf/St15/St20を除く),WildCat(VLSI)chipset機種(Xa7/C-Xa16/K/Xt13-Xt16,一部のXa7e),RCC/Server Works chipset機(RvII26/RsII26)とのことです. 注2:VFOなし5インチFDDを内増させるケーブル類では,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを増設することなく5インチFDDにセットされた2DDメディアからのシステム起動が可能です. |
(2) 2DDメディアをフォーマットする場合,format /u ではフォーマットの対象として2DDメディアが選択できず,2HDメディアとして強制的にフォーマットされてしまいます.しかしファイルスロットFDD用のfslot2ddを組み込むことにより,format /9 (/u) で2DDメディアとしてフォーマットすることが可能となります[exrn640.sys(TR9612f.LZH)を使用することもできるようですが,筆者は試していません]. |
DOS7.0(Windows95)やDOS7.1(Windows98SE)でフォーマットする場合は,Density信号が接続されていれば,fslot2ddを組み込むことなしに,format /6 (/u) または format /9 (/u) で2DDメディアのフォーマットができます(Density信号が接続されたFD1158Dにセットされた2DDメディアはそのままDOS7.1でフォーマットできるとの情報はなおPさんよりいただきました).Density信号が接続されていなければ,トラック0が不良ですと表示されフォーマットできません.またWindows95/98上でフォーマットする場合も,Density信号が接続されていれば2DDメディア(640kB/720kB)が対象として選択できます. ※Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> 我が青春の九拾八式 によれば,(青札V200に外付けされた)Density信号が接続されたFD1155Dではそのままでは(DOS7.1で)2DDメディアのフォーマットができないとのことですが,筆者は青札V200/Xs/Ap3/Ap2/FAの各機種に外付けされたFD1155D/FD1158D/FD1137D/FD1138Dのいずれでも,Density信号が接続されていればfslot2ddなどを組み込むことなしにDOS7.0/DOS7.1で2DDメディアのフォーマットができることを確認しています. |
(3) システムセットアップメニュー画面で内蔵FDDを#3・#4,外付けFDDを#1・#2に設定すると,外付け5インチFDDのドライブ番号が内蔵FDDのものより若い数字になります. ■VFOあり5インチFDDのRead Data信号ピンは,内蔵FDDのRead Data信号ピンでなく,8ピン/12ピンミニコネクタの方のRead Data信号ピンと結線します.これは上記のようにVFOあり5インチFDDが外付けFDD扱いとなるためです.1MB FDD I/Fで外付けFDDのRead Data信号ピンが8ピン/12ピンミニコネクタのRead Data信号ピンと結線されるのも同じ理由によります(1MB FDD I/Fの製作を参照). |
Read Data信号はVFOのない内蔵FDDのものと外付け扱いのVFOありFDDのものとで異なります.内蔵FDDがRead Data信号(Raw Data:データビットとクロックビットが合成された信号."データ" はこの状態でFDに記録されています)をそのまま出力するの対して,外付け扱いのFDDからは,VFO(データセパレータ)によりRaw Dataから分離されたデータビットのみがRead Data信号として出力されます[藤井 敦 (1988). フロッピ・ディスク・システムの基礎 トランジスタ技術SPECIAL No.11 特集 フロッピ・ディスク・インターフェースのすべて ――需要の急増するFDDシステムの基礎から応用―― CQ出版社, pp.2-31.].これがマザーボードの8ピン/12ピンミニコネクタを通じてPCのFDCに伝えられます. |
■"FD1231T内蔵機種にVFOあり5インチFDDを1台内部増設するケーブル(PC-9821-K08相当ケーブル)" の結線は,HAMLIN's PAGEのHAMLINさんが実物で調査されたものです.HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_10 PC-9821-K08ケーブルとその接続 では,K08CABLE.PDF と K08CBL_2.PDF の2種類の結線図が公開されていますが(注),本記事で公開するものは後者に基づくものです(理由は 5インチFDD内部増設用ケーブルにおけるVFOあり5インチFDDのDS0信号ピンの接続先 を参照).なおHAMLINさんによれば,前者は一部の機種で動作しない可能性があるとのことですが,筆者は両者ともBX4 (G8VBD),Xa10 (G8TTY),V13 (G8WVD),Xc13 (G8XZR),V200 (G8YVZ) で動作することを確認しています. 注:これは随分後になって気付いたことですが,PC-9821 FDDのページ --> 5インチFDDを内蔵する において,K08CABLE.PDF のものと同じPC-9821-K08の結線データが公開されていました.公開の時期は明らかではありませんが,WWW上で公開されたPC-9821-K08の結線データとしては,恐らく最も早い時期(2000年より前であることは間違いなく,このウェブページの作者のさいたさんのいくつかのBBSでの発言内容から推すと,恐らく1997年前後,あるいはそれより前の可能性もあります)のものではないかと思います.またSPAMによる被害が酷かったために過去ログが保存されておらず,筆者が個人的に保存していたログでも当該スレッドを含む分が漏れているため正確な時期は不明ですが,2009年頃に98JUNC.DOCの作成者のmiyabiさんがリサイクル掲示板に投稿されたPC-9821-K08の線画(投稿があった当時に保存したファイを後日縮小して再保存したため,手元のファイルのプロパティから投稿時期を割り出すことは不可能)でも,K08CABLE.PDF のものと同じ結線となっています.HAMLINさんによれば,K08CABLE.PDF に示されている結線自体も実物の調査に基づくものといいますので,5インチFDDのDS0信号ピン(10ピン)に,8ピンミニコネクタのDS2信号ピン(3ピン)でなく,マザーボードのFDDケーブル接続用コネクタのDS3信号ピン(6ピン)が結線されているタイプのPC-9821K-08は相当数が出回っていたものと考えられます. このケーブルを使用してVFOあり5インチFDDを内蔵させる場合,デスクトップ機ではファイルベイを使用するのが普通ですが,一部の機種でCD-ROMドライブが取り付けられているファイルベイの下にある5インチシャドウベイにFD1158Dを取り付けた例があります.ヤフーオークションで出品者IDがdivide9821,オークションIDがt780071481の出品物(2021年2月21日に落札)の画像を加工(1/4に縮小してガンマ補正値を上げjpg形式に再変換)したものを引用します.PC本体はRaII23で,FD1158Dには自作のフロントベゼルが取り付けられています.
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