1MB FDD I/F付属ケーブル


PC-9801BX/BA以降のPC-98は本体に1MB FDD I/Fを備えていないため,外付けFDDを接続するには,Cバススロットに装着する1MB FDD I/Fが必要となります(注).この1MB FDD I/Fはすべて製造が終了しているため,新たに入手しようとする場合にはインターネットオークションを含む中古市場で探すことになりますが,そこで売られている1MB FDD I/Fには,元来付属していたケーブル類が欠けているものも多いようです(もっとも,ケーブル類が欠けていれば,それらが揃っているものに比べて幾分安く入手できる場合もあるかもしれません).
  注:PC-9821V7/C4K/V10/C4R(いずれもCRT一体モデル),およびPC-9821Cb/Cb2/Cb3/Cb10/Cr13/Cu10/Cu13/Cu16/Ct16/Ct20には1MB FDD I/Fを増設できません(どうしても外付けFDD,特に5インチFDDを接続したいという場合には,ここここを参考にして下さい).

ここでは1MB FDD I/Fのケーブルを製作するための参考資料を提供します.1MB FDD I/Fはいくつものメーカーから様々な種類のものが販売されていましたが,少なくとも筆者が調査した範囲では,僅かな例外(注)を除いて,PC-98本体に内蔵されているFDDが同じ種類のものであれば,本体のタイプ(MATE-A,それ以外のFD1138T内蔵機種,MULTi/CanBe,CanBe以外のFD1231T内蔵機種・5インチFDD内蔵機種)が同じであれば,長さ(全長,コネクタ間隔)の違いを除けばケーブルはおおむね共通のようでした.これは,1MB FDD I/Fのメインケーブルが,内蔵FDDケーブルの信号を単に分岐したものであって,ケーブルに捻りを入れたりラインを入れ替えるなど結線を複雑にする必要がないためと思われます.
 注:例外はAINEX製AIN-103のケーブルと思われます.下はこのI/FにFD1138T内蔵機種用のケーブル(商品説明にPC-9801BX/U6で動作確認とあり,外付けFDDでメディアが認識されていることを示す画面の画像もありましたので間違いないでしょう)が接続された状態のものです.ヤフーオークションで出品者がミシマストア九八,オークションIDが h1125483076(2024年2月25日に落札)の出品物の説明に使用されていたものを加工(元画像から切り出して1/4に縮小したものと70%に縮小後ガンマ補正値を上げたものを併置しjpg形式に再変換)した画像を引用します.
  【この出品物画像にはI/F上の34ピンオスコネクタに接続されるケーブル(FD1158C内蔵機種用)がないため,以下の記述は筆者による推測を含みます】:ケーブルの途中に1-5番ラインだけが結線された30ピンメスコネクタがついています.このコネクタは26ピンコネクタと並列に接続されていることから,これらのラインは1・3・5番が+5V,2番がINDEX OUT,4番がDRIVE SELECT 0な筈ですが,恐らく2番と4番のコネクタのピンが抜かれており,マザーボードの30ピンオスコネクタ(FD1138T内蔵機種で内蔵FDDケーブルが接続されるもの)から+5Vの電源を取るためのものと考えられます.AIN-103にはCバススロットに装着するためのカードエッジ部分がなく(注1),従ってCバススロットのコネクタからはI/F上の部品に+5Vが供給できません.そこでマザーボード上のの30ピンコネクタから+5Vを取っていると考えられます(従ってAIN-103の基板上の26ピンコネクタの1・3・5ピンは,NCである他の一般的な1MB FDD I/Fのものとは異なり,基板上のICのVCCピンなどと接続されている筈です).AIN-103には34ピンオスコネクタもありますので,このI/FはFD1158C内蔵機種にも対応している筈です.さらにVFO信号などを取るためのサブコネクタが8ピンのものしかありませんので(画像のものではここに黒いサブケーブルが接続されています),このI/Fはマザーボードに30ピンオスコネクタと34ピンオスコネクタの両方を備えているPC-9801BX/BA/B2/BS2/BA2,PC-9821Be/Bs/Bp(/Bf?)用に用意されたものと思われますが,マザーボード上に34ピンオスコネクタを持たないPC-9821Xa/Xf/Xt/Xe/Xp/Xnでも使用可能でしょう.FD1138T内蔵機種ではこの特殊FDDケーブルの30ピンメスコネクタは使用されず,あってもなくても同じだからです.一方FD1158C内蔵機種では,このこの特殊FDDケーブルは,"+5V電源供給用ケーブル" となりますので,30ピンメスコネクタをマザーボードの30ピンオスコネクタに接続する必要があります.すなわちFD1158C内蔵機種では,34ピンケーブル(実物は未確認ですが,両端がメスコネクタで,中程にあるのがオスコネクタという構成の,他の1MB FDD I/Fの付属ケーブルと同等のものと予想します)と特殊FDDケーブルの両方が使用されると考えられます.なお特殊FDDケーブルの電源ピンに+5Vを供給すれば,このI/FはFD1231T内蔵機種でも使用できると思われます.
    注1:カードエッジ部分を持たないサイズの小さな基板にして製品価格を多少下げることで,買いやすくすることを狙ったものでしょうか.AINEXというメーカーについて筆者は知るところがありませんが,AIN-002という640KB-1.2MBハードウェア切換ボードも出していることから,外付けFDDユニット関連の製品を製造していたところなのでしょうか.ともかくも色々な製品が存在するものです.

ケーブルの長さやコネクタの間隔は,1MB FDD I/Fの種類と取り付ける機種に合わせて決めて下さい.ここでは参考までにLogitec製LFA-19付属ケーブルのコネクタ間隔と,SAFRONIC製11-0671-BのMATE-A以外のFD1138T内蔵機種用ケーブルのコネクタ間隔を記載しますが,ボード上のコネクタの位置はI/Fにより数cm程度異なる場合がありますので,これらの値はあくまでも参考値と考えて下さい.

Logitec製LFA-19には,1MB FDD I/Fに対応するすべての機種でこのI/Fを使用するのに必要なケーブルが付属しています.そのケーブルの画像を下に示します.なおLFA-19のコネクタの位置は,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 の,FDD_9 PC-9821/9801シリーズ用フロッピィディスクドライブインターフェイスボードとその付属品について の画像などで確認して下さい.


26/30/34ピンのフラットケーブル圧着(圧接)用コネクタは,国内外の様々なメーカーの現行品があります.ここでは,ヒロセ電機(HRS)の製品の型番を記します.圧着に必要な工具については,コネクタ圧着用の工具を参照して下さい.
  (1) フラットケーブル圧着(圧接)用26/30/34ピンMILメスコネクタ("ソケット")
     HIF3B-26D-2.54R(26ピン)/HIF3B-30D-2.54R(30ピン)/HIF3B-34D-2.54R(34ピン)
     HIF3BA-26D-2.54R(26ピン)/HIF3BA-30D-2.54R(30ピン)/HIF3BA-34D-2.54R(34ピン)
  (2) 同オスコネクタ["プラグ",ロック(mold clamp)*付き]
     HIF3BA-26PD-2.54R-MC(26ピン)/HIF3BA-30PD-2.54R-MC(30ピン)/HIF3BA-34PD-2.54R-MC(34ピン)
   *両脇から内側に折り込むレバーのような部品
8/12ピンミニメスコネクタの型番については 26/30ピンコネクタと8/12ピンミニコネクタの作り方 を参照して下さい.


◆メインケーブルとサブケーブル
1MB FDD I/Fをどの機種で使用する場合でも,PC本体とI/Fボードとを2種類の信号ケーブルで接続する必要があります.ここではこれらのケーブルをメインケーブルとサブケーブルと呼ぶことにします.メインケーブルは内蔵FDDへの信号を分岐させてI/Fボードに導くもので,PCのタイプにより適合するケーブルが異なります.このケーブルについては後で詳述します.

サブケーブルは,多くの場合8ピンまたは12ピンのミニメスコネクタを両端に持つもので,Cバスボックス脇,あるいはCバスバックボード上(MULTi/CanBeの場合)のミニオスコネクタと接続して,VFO関連の信号やDRIVE SELECT信号などをマザーボードとI/Fボードとの間でやりとりさせるためのものです.まずはこのサブケーブルについて述べます.


◆サブケーブルの結線
付属品の一部が欠損しているとして売られている1MB FDD I/Fにおいて,欠けている付属品として最も多いものはこのサブケーブルであろうと思います.また付属品がすべて揃っていると称して売られているものでも,実際にはこのサブケーブルが欠けているケースもありますので,購入時には気を付けて下さい.

サブケーブルの結線を下に示します.PCのタイプにより3種類が区別されますが,いずれのものも,両端のコネクタの形状はケーブル内で等しく,また同一ピン番号同士が結線されます.1ピンとそれに繋がっているケーブルを赤で示します.


LFA-19付属ものでは,2つのコネクタ間のケーブルの長さは,8ピンサブケーブルでは約25cm,長い方の12ピンサブケーブルでは約18cm,短い方の12ピンサブケーブルでは約5cmです.

※α DATA製ADF-1MTは,I/Fボード上に8ピンミニコネクタを持たず,MATE-A以外のFD1138T内蔵機種,CanBe以外のFD1231T内蔵機種・MATE-A以外の5インチFDD内蔵機種で使用する場合には,基板上の3本×5連ジャンパスイッチの設定後,付属の8-12ピン追加信号ケーブルでMATE-A用の12ピンミニコネクタとマザーボード上の8ピンミニコネクタとを接続します.この8-12ピン追加信号ケーブルの結線は以下の通りです(このデータはNr166erさんよりいただきました).


なおADF-1MTでも基板上に8ピンミニコネクタのパターンは存在しますので,ここにオスコネクタを取り付ければ通常の8ピンサブケーブルが使用できます[もちろんケーブルを直接ハンダ付けすることもできます:def_int さんのYahoo!ブログ,"おいらの趣味(興味)"の ご報告 ~ PC-9821V200 & 5インチFDD ~(2007年11月17日の記事) を参照].


◆メインケーブルの結線
PCのタイプにより適合するケーブルの種類が異なります.しかし上述のように,どのケーブルもすべてのコネクタが同一番号のピン同士結線されていると思われます.1MB FDD I/Fのメインケーブルの結線を推定する場合には,FD1138T内蔵機種では,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 の,FDD_5 2台接続用ケーブル回路図 26PIN_FDD用 PC-9801BX2/U2標準接続回路図 を,またそれ以外の機種では,同じカテゴリーの,FDD_10 PC-9821-K08ケーブルとその接続 をそれぞれ参照し,I/Fボード上のメインケーブル接続用オスコネクタの+5VピンやGNDピン同士の導通や,カードエッジ端子(A49,A50,B49,B50が+5V,A01,A11,A21,A31,A41,B01,B11,B21,B31,B41がGND)や外部FDDコネクタ(26-50ピンがGND)との間での導通を調べて下さい.これらがHAMLIN's PAGEで公開されている資料のものと同じであれば,そのI/Fボードのメインケーブルもここで紹介するストレート結線タイプのものであると断定できるかと思います.

多くのI/Fボードでは,I/Fボードのブラケット(外部FDDコネクタが取り付けられている金属板)を手前に見た場合,FD1138T内蔵機種用の26ピン(または30ピン)オスコネクタとCanBe以外のFD1231T内蔵機種・5インチFDD内蔵機種用の34ピンオスコネクタが,I/Fボードの左側に隣接して配置されています.またMULTi/CanBe用の34ピンオスコネクタ2個はカードエッジに近い側に隣接配置されています.HAMLIN's PAGE --> FDD関係 の,FDD_9 PC-9821/9801シリーズ用フロッピィディスクドライブインターフェイスボードとその付属品について も参照して下さい.

結線図を参照する場合,コネクタの向き(突起あるいは切り欠きの向き・接合面か否か)にご注意下さい.メインケーブルを作成される場合には,下の図を参考に,お持ちの機種とI/Fボードに接続するのに最適なコネクタの向きを選択して下さい.


以下にメインケーブルの結線をPCのタイプごとに示します.図中の各ケーブルでは,それぞれのコネクタの下にその接続先が示されています.なお34ピンコネクタの1ピンの位置に関する事情は少々複雑なため(コネクタの種類とピン番号 を参照),本記事では,便宜的に34ピンコネクタ②の34ピンを34ピンコネクタ①に合わせる形で1ピンと表示しています(従って本記事では34ピンコネクタ①・②を区別する必要はありません).

なおこれらのメインケーブルの多くは,元々の内蔵FDDケーブルに接続(継ぎ足し)して使用するようになっていますが,最初から内蔵FDDケーブルと一体化したものにすることもできます.特にこれから2台目の内蔵FDDも増設するという場合,全体を1本のケーブルにまとめてしまった方が,ケーブルの作成が簡単になるかもしれません(
FD1138T 2台内蔵用ケーブルFD1231T 2台内蔵用ケーブルPC-9801FA/FS2,PC-9821Ap2/M2の内蔵FDDケーブル を参照).


■MATE-A
NEC製のPC-9821A2-E02では,ファイルスロット/ファイルベイバックボード - 内蔵FDD - I/Fボード を繋ぐケーブルが付属していますが,サードパーティー製の製品では,内蔵FDDケーブルの信号を分岐させるタイプのケーブル(いわば内蔵FDDケーブルに継ぎ足すケーブル)が付属しています.PC-9821A2-E02用(3.5インチ内蔵機種用)ケーブルの結線についてはFD1138T 2台内蔵用ケーブルも参照して下さい.


もちろんPC-9821A2-E02でも,後者のタイプのケーブルが使用できます.

注:筆者はLFA-19以外の5インチFDDを内蔵したMATE-A用の1MB FDD I/Fのメインケーブルを所有しておりません.このケーブルの結線は上図の通りと考えていますが,I/Fによっては1・3ピンが抜かれた(あるいは1・3ラインが切断された)ケーブルを使うようになっているものがあるかもしれません.

LFA-19付属のケーブルは,FD1138T内蔵機種用のもの(26ピンコネクタタイプ)では,1MB FDD I/F - マザーボードと接続されていたFDDケーブルコネクタ 間が約15cm,マザーボードと接続されていたFDDケーブルコネクタ - マザーボード上のFDDケーブル接続用コネクタ 間が約5cmとなっています.


これ以降の記事では,PCのタイプ別ケーブルに関しては下図を参照して下さい.



■MATE-A以外のFD1138T内蔵機種
LFA-19付属のケーブルは,3.5インチFDD内蔵機種用のもの(26ピンコネクタタイプ)では,1台目FDD接続用コネクタ - 中間コネクタ 間が約5cm,中間コネクタ - 1MB FDD I/F接続用コネクタ 間が約16cmとなっています.また11-0671-B付属の3.5インチFDD内蔵機種用ケーブル(30ピンコネクタタイプ)では,1台目FDD接続用コネクタ - 中間コネクタ 間が約5cm,中間コネクタ - 1MB FDD I/F接続用コネクタ 間が約16cmとなっています.


■CanBe以外のFD1231T内蔵機種・MATE-A以外の5インチFDD内蔵機種
これら二種類のPCには同一のケーブルが対応します.PC-9821K-10やLFA-19付属のケーブルのように,FDD I/Fと接続する34ピンメスコネクタの1・3ピンが抜かれています(注1,2).つまりこれらのピンはNCとなっています(自作する場合にはコネクタの1・3ピンを抜く代わりに,1番と3番のラインを切断するほうが楽かもしれません).
  注1:PC-9801-87に元々付属していた34ピンケーブル[FD1158C内蔵機種専用(注1.1)]ではコネクタの1・3ピンは抜かれていないと思われます.しかしこのケーブルをFD1231T内蔵機種で使用すると不具合が出ます(下を参照).PC-9801-87をFD1231T内蔵機種で使用するためには,別売りのPC-9821K-10というケーブルが必要となります.
     注1.1:PC-9801-87はPC-9801BX/BAと同時(1993年1月)に発売されたボードであり,PC-9801BX/BAには34ピンコネクタを持ち3モード動作するFDDは内蔵されていなかったことに注意する必要があります.
  注2:ケーブルのコネクタの1・3ピンが抜かれているのに気付いたのは,LFA-19付属の5インチFDD/FD1231T内蔵機種共通34線フラットケーブルである「ケーブル2」の結線を調べていた時でした.またPC-9821K-10でも同じであるとの情報をaochanさんよりいただきました.なお筆者は現物を確認していませんが,Xv13/W16などのタワー型機種用の長いケーブルであるPC-9821-K12でも同様と思われます.なおHAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_12 PC-9821Xa7以降の機種でPC-9801-87を使用するときの回路図 に掲載されているPC-9821-K10の結線図は1・3ピンに結線されているように描かれていますが,誤記でしょう.

これはFD1231Tと5インチFDDとで,1・3ピンの信号が異なるためです.すなわち,FD1231Tでは,1ピンが360/300信号で3ピンがNCであるのに対し(マザーボードからの信号ラインは,1番が360/300 DRIVE 0で3番が360/300 DRIVE 1),5インチFDDであるFD1158Cでは,両ピンともGNDとなっています(FD1231TとVFOなし5インチFDDの信号の異同 を参照).1MB FDD I/Fには,34ピンコネクタの1・3ピンがGNDに接続されているものと,1kΩないし10kΩ抵抗でプルアップされているものとがありますが(注1),1・3ピンが抜かれたケーブルは,どちらのタイプの1MB FDD I/Fでも使用できます(注2).なおFD1138T内蔵機種用の26線ケーブルの接続先の1MB FDD I/F側のコネクタでは,360/300信号ピンの位置に対応するピンは1kΩないし10kΩ抵抗でプルアップされています.
  注1:PC-9801-87の34ピンコネクタの3ピンはGNDで,1ピンはGNDではないようですが,筆者ははPC-9801-87を所有しておらず確認できません.
  注2:前者のタイプのI/Fの場合には,FD1231T内蔵機種で使用する場合に,360/300信号がGNDに接続されるのが回避でき,後者のI/Fの場合には,FD1158C内蔵機種で使用する場合に,GNDピンがプルアップされるのが回避できます.

LFA-19付属のケーブルは,CanBe以外のFD1231T内蔵機種用のケーブルとして見た場合,1台目FDD接続用コネクタ - 中間コネクタ 間が約8cm,中間コネクタ - 1MB FDD I/F接続用コネクタ 間が約27cmとなっています.ミニタワー型の機種ではさらに長いケーブルが必要となります.


■MULTi/CanBe
LFA-19付属のケーブルでは,2つのコネクタ間が約5cmです.


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