エプソン98互換機における
ビデオ出力水平同期信号周波数の設定方法


エプソン98互換デスクトップにおけるビデオ出力水平同期信号周波数の設定方法です.下記の記述は,主として EPSON PC`s HOMEPAGE(編) EPSON98開発公団(発行)の同人誌,"Oh! EPSON PC" (2000年12月30日発行)の "EPSON PCの拡張小ネタ集(暫定版)" (pp.72-78)に拠っていますが(注),水平同期信号の切り替え手順は,どるこむの過去ログ,PC-586(98互換機)についての疑問 などにも書かれています.
 注:この同人誌には,"Oh! EPSON PC DATABOOK出張版 2000年冬号" というクリーム色のB4版二つ折りの紙が添付されており,そこに正誤表も掲載されています(注1・2).古書で入手される際にはご注意下さい.なおこの同人誌の記事の一部は,後に EPSON98サービス機構・EPSON98互換機同人誌復刻委員会(編)の同人誌,"E-SaPa別冊 蘇るEPSON PC伝説 永久保存版"(2004年8月15日発行)に再構成ならびに増補の上再録されましたが,そこでは正誤表にある誤記が修正されている箇所とされていない箇所があります(筆者が所有している冊子版の場合.PDF版の場合は不明).
   注1:正誤表に記載のある事項以外にも誤記があることを確認しています.いくつかのものについては訂正の上本ウェブページの記事で紹介していますが,他のものについては誤記の具体的内容に関する指摘は行いません.筋から言って筆者はその任では全くないからです.
   注2:この注は,これらの同人誌を所有あるいはこれから入手される方々への注意として載せています.

エプソン98互換デスクトップで,無改造で(すなわち水晶発振子を交換せずに)かつソフトウェアを組み込むことなしに31kHzの水平同期信号を出力可能な機種は,PC-486MEを除くPC-486・586M族(486MU/MR/MS/MV,586MV)とPC-486・586R族(486RS,586RA/RX/RT/RV/RJ)のみです.PC-486SE/SR(注)や,PC-486GF/GR,PC-486HG/HX/HAなどは該当しません.
 注:EPSON 98互換機 Part6の290-294番の投稿によれば,一旦Windows3.1を起動して640×480ドット画面を表示させると,Windowsの終了後も水平同期信号周波数が31kHzでノーマルモード画面が表示されるといい,ハードウェア的には水平同期信号周波数が31kHzの画面出力に対応している可能性があります.

水平同期信号は,本体起動時あるいはリセット時に下記の操作を行うことで切り替えます.なお(1)と(2)はPC-9801BX2/BS2/BA2,PC-9821Ae/As/Ap以降のPC-98の場合と同じです.また [1], [2], [3] のキーも,PC-98での場合と同じくフルキーの方です.

  (1) 24kHz(PC-98準拠):[GRPH]+[1] を押しながら起動あるいはリセット
  (2) 31kHz(PC-98準拠):[GRPH]+[2] を押しながら起動あるいはリセット
  (3) 31kHz(VESA-VGA準拠):[GRPH]+[3] を押しながら起動あるいはリセット

(3)の操作では,例えばCR-7600にMS-DOS画面が表示できるようになるといいます.なお筆者はPC-586RA/RXで手持ちのディスプレイに画面を出力する場合には,もっぱら(2)の操作を行っていました.筆者は(3)の操作を必要とするディスプレイを使用した記憶がありません.

PC-486MU/MR/MSでは,マニュアルに [GRPH]+[3] に関する記載がなく,無効ではないかということです.なおPC-486MV2JTM/MV2JVMでは31kHz(VGA準拠)がデフォルトであり,他の機種では24kHzがデフォルトとなっています.

 ※エプソン98互換デスクトップのビデオ出力回路の水晶発振子の交換の手順については,例えば EPSON 98互換機 Part4の421番の投稿 や,しーど君の工作記 --> MENU --> ゑぷそんで行こう --> PC-486GRSuper --> ビデオ出力31KHz化改造 などの記事を参考にして下さい.なお筆者は,この種の改造を施してからる程度の期間(具体的には不明)使用後に画面に何も表示されなくなったという故障の報告を,これまでPC-486GRで一例,PC-486SRで二例確認しています.いずれのケースでもこの改造が故障の直接の原因とは必ずしも断定できないでしょうが,この改造によって周囲の回路に想定された以上の負担がかかる可能性はあるだろうと思います.


なおエプソン98互換ノート・BOOKでは,外部ディスプレイ出力が可能なすべての機種で外部ディスプレイ出力の水平同期周波数は24kHz固定であるとする説と,PC-486NOTE AU/AV/AT,およびPC-586NOTE ATでは24kHz/31kHz間での切り替えが可能とする説とがありますが,筆者はPC-486NOTE AU以降の機種を所有していないため,どちらが正しいか確認できません.
 追記1:PC-486NOTE AUではキーボード操作による水平同期周波数31kHzへの切り替えはできないとの報告がありました(おふがおさんの2020年7月15日のツイート を参照).なおこの機種よりも前の機種である筆者のPC-486NOTE ASでも,31kHzへの切り替えはできませんでした.
 追記2:ヤフーオークションに出品されているPC-486NOTE ATの商品説明画像で,外部ディスプレイに水平同期周波数が31kHzの画面(起動時のメモリカウントの画面)を表示しているものがありました(画面に640x180 31.5kHz 60.0Hz と表示されていました).少なくともPC-486/586NOTE ATでは,24kHz/31kHz間での切り替えが可能と思われます.
 追記3:たけるん通信 --> OLDパソコンコーナー --> PC98x1/互換機 (NEC・EPSON) こちらです --> PC-486NAS (EPSON) に,PC-486NOTE AU/ATでは外部ディスプレイ出力の水平同期周波数が標準で31kHzとの報告があります.また24kHzに変更することもできるが,変更直後にソフトディップスイッチの設定画面に入れなくなるといいます.追記1と矛盾しますが,PC-486NOTE AU/ATともに(AVもでしょう)31kHz出力が可能ではあるようです.


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