HA-55BS4, HA-55BSW (日本テクサ) パラメータ設定によるマルチベンダ対応のCバスバスマスタSCSIボード. 日本テクサはWindows95発売前にPC-98周辺機器市場より撤退したため,Windows95には非対応 (=Windows95用のドライバが提供されなかった)だが,使用する場合には,転送モードを W-GTモードないしDMA転送に設定し,55ボード用ドライバで認識させるよう公式に指示されている. (http://web.archive.org/web/20010430164823/http://www.texa.co.jp:80/TEXA/oshiete/answer/Windows.html) ※日本TEXAではバスマスタ転送を同期転送(同期モード)やバススチール転送(HS-BSモード)と  表現し,IO転送(CPU転送,PIO転送)をW-GTモードと表記する場合がある. 転送方式はCPU及びHDD判別により自動的に選択される. V30搭載機とPC-H98シリーズではHS-BSモードは不可(自動的にW-GTモードとなる). またPC本体に16MB以上のメモリが搭載されている場合もHS-BSモード不可(W-GTモードないし DMAモードにて使用のこと).以下の機種では下記の拡張スロットにて使用のこと: PC-9801VX0, 2, 4……#2, #3, #4 PC-98XA……#3, #5 PC-286LS(T), PC-386LS(C/X)/LSR……#2(背面より見て左側) また以下の機種では下記の拡張スロットを使用する場合,DMAチャンネルを0に設定のこと: PC-9801/VM0. 2, 4……#4 PC-9801UF/CV……#2 PC-286U……#2 また以下の機種ではカードエッジコネクタ脇のスイッチピンを逆に取り付けること: PC-9801UV/CV/UR/UF ※PC-9801UV2で拡張スロットの信号の乱れにより動作しない場合がある.  またPC-9801DSでは,HS-BSモードでは初期化できないなど正常に動作しない場合がある. ボードの設定は「スイッチ設定ユーティリティ」による.これにはBIOS版とFD版とがあり, 前者は本体起動時に[T]+[S]を同時に押し続けることで起動させる. 【注】 ・ ハイレゾモードではシステムセレクタがあるため,FD版スイッチ設定ユーティリティ使用時には, CTRLキーを押しながら起動し,セレクタのビープ音を確認した後キーから指を離す. ・設定が不正で,BIOS版あるいはFD版スイッチ設定ユーティリティが起動できなくなった場合, ボード背面の赤い「設定リセットスイッチ」を押しながら本体を起動させることで FD版スイッチ設定ユーティリティを起動させることができる. ・I/Oポートアドレスは初期設定[CC0H-CC4H (CC6H, CC7H)]以外に設定すると, 自動的にBIOS_ROMが無効に設定される. この場合,BIOS版スイッチ設定ユーティリティは起動できなくなる (括弧内の"CC6H, CC7H"は,W-GTモード(I/O転送)時にのみ追加使用される). ・W-GTモード(I/O転送)選択時あるいはPC-H98シリーズで使用する場合,PC-9801-29(GP-IP)等と I/Oアドレスが競合するので,このような場合は転送モードをDMAに設定する. ・「ホールドリクエストテャンネル」とは,バススチール(バスマスタ)動作時に使用されるバス ホールドチャンネル. ・「オプション設定」の"D-Quick"機能について: 接続されているSCSI機器のSCSI_IDを検索し,自動的にボードに記憶させる. これにより,接続されているSCSI機器のSCSI_ID検索を行うため,起動時間を短縮できる. 一度SCSI_IDを記憶すると,本体の電源をOFFにしてもSCSI_IDの記憶は保持される. D-Quick機能有効時にSCSI機器の増設や取り外しを行った場合には, [T]+[D]([T]+[S]に非ず)を同時に押しながら起動すると, SCSI_IDの検索が行われ,ボードに再記憶される. ・"WAITタイマー"について: 立ち上がりが遅いSCSI機器用にID検索の開始を遅らせることができる. WAIT中ESCキーを押せばWAITを中止することができる.電源ON時のみ有効,リセット時は無効. ・"リセットWAIT"について: 本体起動時から,SCSIのリセットを遅らせることができる.電源ON時のみ有効. ・"デバイス認識"について: 接続しているSCSI機器のIDをあらかじめ登録し,記憶できる. これにより本体起動時に接続されていないIDのチェックを省略でき,起動時間が短縮できる. SCSI機器を増設した場合は必ず増設機器のIDの認識指定を行うこと. ・"初期化プロテクト"について: 誤ってHDDを初期化しないようにする.この機能が有効であればMS-DOSのformat.exeの実行に対して, 「初期化が失敗しました」のメッセージを表示し,初期化を行わず終了する. ・"リードプロテクト"について: システム領域の破壊や不正等でアクセスできなくなったHDDが接続されていると, 初期化のためのFDDブートができない場合があるが, そのような場合に当該HDDをブート禁止にすることよってFDD起動を可能にする. 起動後はSTOPキーを押してブート禁止を解除してからformatコマンドを実行する. ・"デバイス転送方式"について: SCSI_IDごとにデータ転送方式を設定できる.MS-DOS使用時のみ有効. ・"デバイスパラメータ"について: 各種のパラメータモードをSCSI_IDごとに設定できる.TEXA製HDD使用時はTEXAパラメータのみ使用のこと. ※MO HDイメージ(Large)……3.5インチMOを約127MBのHDDとして認識  MO HDイメージ(Small)……3.5インチMOを約121MBのHDDとして認識  その他のモード……NECのPC-OD301互換モードとなり,3.5インチMOとして認識 ・「その他機能」の"P-Quick機能"について: MS-DOSの初期化を簡略化し,初期化の時間を短縮できる. format.exe起動時にカナキーOFFでP-Quick有効,ONで無効.MS-DOS使用時のみ有効. セクタ長を変更する場合や, 初期化中にリセット/電源OFFにしたHDDを再初期化する場合にはP-Quickを解除して初期化を行うこと. ・"L-Quick機能"について: MS-DOSの領域確保を簡略化し,領域確保の時間を短縮する. format.exe起動時にCAPSキーOFFでL-Quick有効,ONで無効.MS-DOS使用時のみ有効. ・"SCSI_ID検索停止機能"について: SCSI_IDの検索を,検索画面表示時にGRAPHキーを押している間停止させることができる. ・"SCSI_ID検索中止機能"について: SCSI_IDの検索を,検索画面表示時にCTRLキーを押すことで中止することができる. [起動画面について] ・"Device=":認識したSCSI機器の種別 HD5……512バイト/セクタのセクタ長のHDD HD2……256バイト/セクタのセクタ長のHDD HD……セクタ長が不明なHDD MO3……3.5インチMOディスクのNEC PC-OD301互換モード MO5……NEC PC-OD101 mhd……リムーバブル装置のハードディスクイメージモード CD……CD-ROMドライブ otr……上記以外で認識されたSCSI装置 un……認識したが動作不可なので接続を切ったSCSI装置 (mhd待ち時間内にメディアが挿入されない場合など) 空白……指定したID番号より応答がない(未接続) [認識確認メッセージ] ?……認識確認中 wait……SCSI装置が"busy"ステータスなのでwait中 media……hmd時にメディア未挿入の場合にメディアを要求 ・"hd pmt":SCSI_HDDのパラメータモード txa……TEXAパラメータ nec……NECパラメータ(92パラメータ) ntl……NATURALパラメータ(SCSI_HDDが本来持っているパラメータ) mnl……マニュアルパラメータ(HDDのヘッド数/セクタ数/シリンダ数を手動で任意に設定) ・"id trs":転送方式 bs……HS-BS方式 gt……W-GT方式 dma……DMA方式 ・メッセージエリア: syc……対象IDのSCSIの同期転送が可能 waiting....xx……WAITタイマー機能有効時にWAIT中の表示,xxは終了までのカウント数 Non Device……SCSI機器が1つも認識されない場合 ・"DMA/INT=":DMAチャネル/割り込み(INT)レベル ・"Loc=":ROMアドレスロケーション ・"Port=":I/Oポートアドレス ・"Transfer=":データ転送方式 ・その他:起動時の自己診断により,異常時に以下のようなメッセージを表示 Error ROM sum……SCSI BIOSの内容が異常 Error DMA or INT setting……DMAチャネル,INTレベルの設定が不正 ※パラメータの自動取り込みについて:  PC-9801-55完全互換のSCSI_I/F以外では動作せず.  これまで使用していたI/Fと対象HDDとを接続してスイッチ設定ユーティリティを起動し,  対象HDDを選択してパラメータを設定ユーティリティに記録.  次いでI/Fを本製品に交換して対象HDDを接続し,スイッチ設定ユーティリティを起動,  対象HDDのIDを選択し,パラメータを本製品に登録.  対象HDDが複数ある場合にはこれらの操作を繰り返し行う. ※HA-55BSWは大量のデータ転送を行う場合,64KBごとに1バイトのデータ落ちが発生するという  不具合が報告されている.これはバススチール転送モードだけでなくW-GTモードでも起きると  いう.一方でHA-55BS4ではこの現象を確認できなかったとのレポートもある[前者の初出は  筆者の知る限り,第三研究所の当時の電算機研究棟ゲストブック(投稿日時は失念したが,  筆者はこの投稿がなされた際に運良くこの掲示板に居合わせていたためこれを記憶している.  2000-2006年あたりだろうか)におけるゲスト(ハンドルネームも失念)の投稿(この  不具合は発見時に日本テクサに報告済みともあった筈である)であり,また後者は,2chの  ◆いまだにPC-98x1な話題はこちらでその10 ◆スレッドの585-591番の投稿 (http://pc11.5ch.net/test/read.cgi/hard/1203832343/585-591)].   その後,リサイクル掲示板の 汎用スレッド2020年11月 パート2 スレッド (http://ematei.s602.xrea.com/cgi-bin/bbs39_ris2/bbs39.cgi?mode=past&year=2020&mon=11)  に,HA-55BSW使用時のデータ化けは書き込み時に発生した・64KBごとに発生するかは  特に確認していないが,まとまったデータのうち2バイトだけが化けた・HDDのFATも破壊  されたとの報告がなされた.データ転送速度を特に高く設定した場合に発生したということだが,  それだけが原因かは不明.いずれにせよ,このI/Fは通常の使用では問題ないのかもしれないが,  特定の条件(事例が少なく,発症条件は十分に絞り込まれてはいないが)が重なるなどした  場合にはデータ化けを起こす危険性があることはどうも確かなようだ.MS-DOS環境では設定に  よって非常に高い転送能力を発揮し,その他にもいくつかの優れた特性を持つことが知られて  いるI/Fであるだけに,これは非常に残念なことである.