MATE-AのプライマリIDEでの
スレーブ機器の使用


MATE-AのプライマリIDE(注1・2)は,HDD専用ベイに装着されるいわゆるIDE籠に内蔵されたHDDによってのみ使用されています(注3).このHDDはマスタ接続です.ではこのプライマリIDEにはスレーブ機器を接続して使用できないかというと,そのようなことはありません.Ap/As/AeからAp3/As3に至るまで(Afでは報告がありません),プライマリスレーブでCD-ROMドライブを使用することは可能です(サイクル掲示板の2019年2月過去ログの "汎用スレッド2019年2月 パート3" スレッド,"汎用スレッド2019年2月 パート4" スレッド,PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ --> ●ノウハウ記事を読む --> [PC-98] オンボードIDEがmasterしか使えない機種でslaveも使う 等を参照).MS-DOS上ではNECCDM.SYSで認識できます(注4).
 注1:プライマリマスタ接続の内蔵IDE HDDの認識上限が544MBの機種では,Revisor for Enhanced Ide(REI) (amiware)や PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ --> システム上の制限を解除するソフトウェア --> EXIDE544(IPLware),EXIDEAe(ROMプログラム.Ap/As/Aeでのみ使用可能) によって,4.3GBまでのIDE HDDが使用できるようになります.
 注2:Ap3/As3のファイルベイモデルではセカンダリIDEも存在し,そちらでもマスタ/スレーブ両方の接続が可能です(A-MATEr's BBS 過去ログ その70を参照).
 注3:Ceなども同様であり,それらの機種でもプライマリスレーブが使用できるかもしれません(PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ --> ●ノウハウ記事を読む --> [PC-98] オンボードIDEがmasterしか使えない機種でslaveも使う 等を参照).
 注4:Ap2でNECCDM(Windows98SEのもの)では認識できず,PATACD.SYSで認識できたとの報告もあります[Jilly@1日1周ヴァリスⅢさんの2021年12月27日のツイート(123456)を参照].これはIDEBIOSが出現しないためといいます[Dさんの2023年6月8日のツイート(12)を参照].

IDE籠の信号ケーブルは非常に短く,かつマスタ接続用のコネクタしかついていませんので,CD-ROMドライブをスレーブ機器として接続するためには,先端にマスタ機器接続用のコネクタ・途中から分岐したケーブルの先端にスレーブ機器接続用のコネクタを持つケーブルを継ぎ足す必要があります(注).IDE籠の内部のスペースの関係で,ケーブルはHDDの上で折り返すことになりますが(HDDの代わりにCFを取り付ける場合にはスペースに余裕ができます),CD-ROM接続用のケーブルをIDE籠から外に引き出すためにIDE籠の蓋を取り外す必要がありますので,これはIDE籠をHDD専用ベイに収める上で支障にはならないでしょう.
 注:NEC製のIDE籠では短い信号ケーブルを取り外すことができますので,それの代わりにIDE機器接続用のコネクタを2個取り付けた十分な長さの信号ケーブルを取り付けることができます.但しこの信号ケーブルは "反転IDEケーブル" ですので,IDE籠のカードエッジ基板側のコネクタの向きを通常のIDEケーブルのものと逆にする必要があります.

CD-ROMドライブはファイルスロットに取り付けます.5インチサイズのCD-ROMドライブを使用するためには(注1),ファイルスロットの加工(フレーム金具の切除等)が必要となり,作業が非常に大変ですので(ファイルスロットFDDユニットの製作 を参照),薄型(スリム)のものを使用するのがよいでしょう(注2).薄型光学ドライブへの接続にはケーブルの変換が必要です.PC/AT互換機ノートのジャンク品などからケーブルごと取り外した薄型光学ドライブを使用するのが簡単でしょうが,状態の良いものは少ないかもしれません.
 注1:SCSI接続のものですが,5インチサイズのCD-ROMドライブをファイルスロットに取り付けた例はあります(CD-ROMを取り付けた例もあります(わくわくWANILAND --> PC-98改造記録 --> PC-9821Ae改造 を参照).
     追記:5インチサイズのIDE CD-ROMドライブがファイルスロットに取り付けられているPC-9821Asがヤフーオークションに出品されました.信号ケーブルが40線のものですので,IDE接続で間違いありません.但しスレーブ接続かは不明です(業者の出品物で,IDE籠が取り外されていますので,プライマリ接続の内蔵IDE HDDも使用されていたものとは思いますが).出品者IDが yugen_corp,オークションIDが g1071646511 のヤフーオークションの出品物(2022年11月15日落札)の商品説明画像から切り出したものと切り出して2/3に縮小し縮小したものとを併置し,ガンマ補正値を上げてjpg形式に再変換した画像を引用します.IDE籠からのケーブルが延長されてCD-ROMドライブに接続されているとみてよいでしょう.またCD-ROMドライブの電源もIDE籠から供給しているように見えます.
 注2:デバイスドライバとしてPATACD.SYSを使用しても(NECCDMでは認識できなかったとのこと)薄型CD-ROMドライブ(TEAC CD-224E MODEL VER. -C97)が使用できなかったとの報告があります(ちゃんご56さんの2022年2月12日のツイート を参照).また詳しい状況は明かではありませんが,いくつかの掲示板の古いログにも,AnやAp3などでスレーブ接続のHDDやCD-ROMドライブが認識されなかったとの報告があります.Apではスレーブ接続された機器はMS-DOS/Windows95の起動後にしか認識しなかったとの報告もあります.スレーブ機器の使用については,PC本体による個体差や相性(いずれも適当な表現ではないようにも思いますが)がある可能性があります.工作に際してはこのことを覚悟すべきでしょう.

薄型光学ドライブのファイルスロットへの固定には,5インチベイに3.5インチ機器を取り付けるためのマウンタ(プラスチック製のものが加工に好都合です)などが使えるかもしれません.側面の高さが28mm以下(それ以上であれば高さを切り縮める必要があります)のマウンタは,上下逆にすればファイルスロットに入れることができます(NEC製PCカードスロット増設アダプタ を参照).なお5イチベイに薄型光学ドライブと3.5インチ機器を取り付けるマウンタもありますが(注1),これを上下逆にしてファイルスロットにセットできるかは筆者にはわかりません(注2).
 注1:ICY DOCK の FLEX-FIT Duo MB343SPO が,2021年10月の時点で(原 真紀@寿司にーさんの2021年10月28日のツイート を参照),さらに2023年6月の時点で(ぽてぽてさんの2023年6月14日のツイート を参照)現行品です.但し色は黒色のみです.
 注2:ちゃんご56さんの2022年2月1日(12)・3日(123)のツイートに,ファイルスロットに薄型光学ドライブと3.5インチ機器を取り付けるマウンタの作成報告があります.また薄型光学ドライブとCF-IDE変換アダプタを取り付けるマウンタの作成報告もあります[ちゃんご56さんの2022年2月8日・11日(123)のツイート を参照].なおCFリセットに対処するためのソフトウェアは,Dさんのウェブページ --> IDE-BIOSのLBA化 で公開されています.


プライマリスレーブにHDDを接続する場合には,PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ --> ●ノウハウ記事を読む --> [PC-98] オンボードIDEがmasterしか使えない機種でslaveも使う の記事を参照して下さい.


なお98ノート(実際のテスト対象はPC-9821Nr166)では,マスタ接続とスレーブ接続されたHDDは,DOS上ではIDE_BIOS(シェアウェア)を使用することでともに使用することが可能ですが,スレーブ接続されたHDDはWindows95では使用できないといいます(どるこむの過去ログ,[645] PC-98ノートのIDEにマスタースレーブで2台接続する を参照).


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