NEC製PCカードスロット増設アダプタ


NEC製のPC-98デスクトップ/タワー機用PCカードスロット増設アダプタ(注1・2・3)は7種類あり,I/F部(Cバスボード)とPCカードスロット部(2スロットを装備.他の製品でも同じ)が一体化されているPC-9801-102を除き,I/F部をCバススロットに装着し,PCカードスロット部を2台目のFDDと排他増設,あるいはファイルベイ/5インチベイに増設するようになっています.後者のタイプでは,パネルとケーブル以外の部品は共通ではないかと思われますが,専用の固定用金具等を持つものもあります(注4).これらのPCカードスロット増設アダプタのI/F部とPCカードスロット部は正式対応機種以外の機種に増設することもでき,その場合Windows95等で使用することもできますが,付属のcs.exe(カードサービス)が本体機種の判別を行っているため,MS-DOS上では非対応機種で使用することはできません(どるこむの過去ログ,[53240] PC-9821Ap3とPCカードスロット(MS-DOS) を参照)(注5).なおこれらのPCカードスロット増設アダプタは,すべてPnPに対応しています(注6).
 注1:PC-9801-102の商品名は "PCカードスロット増設ボード" ですが,本記事では "PCカードスロット増設アダプタ" の一つとして扱います.
 注2:PC-98デスクトップ/タワー機用PCカードスロット増設アダプタでは四級塩電解コンデンサは使用されていませんが(NEC製拡張ボードの電解コンデンサ を参照),PC-9821Np/Ns/Na族等用のPC-98ノート機とPC-9821Es用のPCカードスロット増設パック(PC-9821N-P02)ではは四級塩電解コンデンサが使用されているといいます(おふがおさんの2022年2月27日のツイート を参照).
 注3:I・Oデータ,RATOC,アドテックシステムサイエンス等のサードパーティーからも,内蔵型・外付け型ともにいくつかの製品が出ていました.
 注4:PC-9821RA-E01がこれに該当することを確認しています(98FactoryのPC-9821RA-E01の商品説明 を参照).またPC-9821Xe10用の内蔵3.5インチFDD増設用キットであるPC-9821XE-E01では,付属の専用金具を使用しなければFDDの(単なる固定にとどまらず)取り付け自体ができないようになっていることから,PC-9821XE-E01も該当すると思われます.
 注5:筆者が中古品として入手したPC-9821V-E01(1997年2月28日発売)に付属していたcs.exe(タイムスタンプが 1995年4月21日 0:00:04 と随分古いものですので,出荷時に付属していたものではないかもしれません)は,PC-9821XA-E01(1995年5月18日発売)をV13とBX4に装着した際にMS-DOS6.2にインストールできたことから,製品の型番が異なっていても付属のソフトウェアは共通である可能性があります.ただしPC-9801-102では他の製品より対応機種が多いはずですので,PC-9801-102だけは付属のソフトウェアが異なっていると考えられます(cs.exeが本体機種の判別を行っていないものと考えています).なお特定の機種専用のPCカードスロット増設アダプタに付属しているcs.exeにはタイムスタンプの異なるものがいくつもあるようですが,機能の細かな差異については明らかではありません.
 注6:Windows95以降で使用する場合,非PnPモードでドライバを組み込むと,アダプタ自体はIRQを消費しないようにすることができます(どるこむの過去ログ,[8484] PC-9821XA-E01 および [15557] "PC-9821XA-E01"PCカードスロットをWindowsで使うには を参照).またWindows2000でPCI接続のストレージI/Fと併用する場合,ストレージI/FのBIOSのメモリアドレスをDC000~から別のところに移動させる必要があります(どるこむの過去ログ,[43541] Windows2000でPCカードを認識しない[16710] PCカードスロット増設アダプタ を参照).


■PC-9801-102
 I/F部とPCカードスロット部が一体化されたCバスボード単体の製品で,装着時には本体背面側からPCカードの抜き差しを行います.正式対応機種の全貌は明かではありませんが,機種専用のPCカードスロット増設アダプタが提供されなかったPC-9821Xe/Xs/Xp/Xn/Xa/Xf/Cx/Cf/Cb/Cb2/Cb3/Cx2/Cx3/St15/St20の他,PC-9821XE-E01に対応したPC-9821Xe10,PC-9821XA-E01に対応したPC-9821Xa7e/Xa7/Xa9/Xa10/Xa12/Xa13/Xa16/W/Xb10/V7/V10/V13/S/V16/S/Xc13/S/Xc16/S,PC-9821V-E04に対応したPC-9821V16/S/V166/S/V200/S,PC-9821XV-E01に対応したPC-9821Xv13/R/Xv13/W/Xv20/W/Xc13/M/Xc16/M/V16/M/V20/M/V200/M/Rv20/RvII26,PC-9821RA-E01に対応したPC-9821Xa13/W/Xa16/W/Xa20/W/RaII23/Ra18/Ra20にも正式に対応していることを製品カタログや本体付属のガイドブックにより確認しています(注).但しカタログではPC-9821Rs20は(Cバススロットを有するにもかかわらず)PC-9801-102を含むいずれのPCカードスロット増設アダプタにも対応しないとされています(ぱんだねこさんの2022年4月1日のツイート を参照).
  注:特定の機種専用のPCカードスロット増設アダプタとPC-9801-102は同時に使用できません(排他使用).

本製品はCバスボード単体であり,取り付けの際に本体機種を選ばないことから,あまりに古い機種は問題外としても,対応機種を一部のものに限る理由がありません.さらに特定の機種専用のPCカードスロット増設アダプタより前に発売された製品であり(PC-9821Xs/Xp/Xnのカタログにオプション機器として記載されていることなどから,これは間違いありません),その発売時点で将来を見越して付属のcs.exeに本体機種の判別ルーチンが予め用意されていたとは考えられず,また出荷時期の遅いロットに本体機種の判別ルーチンが組み込まれたcs.exeが添付されていたとも考えられませんので,付属のcs.exeは本体機種の判別を行っていないと思われます.

■PC-9821XE-E01
 正式対応機種はPC-9821Xe10のみとなっています.しかしPC-9801BX4でも,2台目の内蔵FDD(本体正面から見て左側のFDD)を外せば取り付けられ,また付属のCS.exeも対応機種と判別し,MS-DOS上でのインストールが可能でした.付属の金具については内蔵3.5インチFDD(2台目)増設用キットの記事を参照して下さい.

■PC-9821XA-E01
 対応機種は,PC-9821V7/S5K・S7K/V10/S5K・S7K/V12/V13/S5R・S7R/V16/S5C2・S5D2/V20/S5・S7/
Xa7/Xa7e/Xa9/Xa10/Xa12/Xa13/K12・K16/Xa16/R12・R16/Xb10/Xc13/S5/Xc16/S5・S7/Xc200/S7です.CRT一体型であるV7/C4KとV10/C4Rにはパネルが合いません.

■PC-9821V-E01
 対応機種は,いわゆる流星モデルのデスクトップ型VALUESTARである,PC-9821V166/S5C・S5D・S7C・S7D/V200/S7A・S7B・SZA・SZBです.

■PC-9821V-E04
 対応機種は,いわゆる青札モデルのデスクトップ型VALUESTARである,PC-9821V16/S5PC2・S5PD2・S5VC2・S5VD2/ V166/S5C2・S5D2/V200/S5C2・S5D2・S7C2・S7D2・SZC2・SZD2です.

■PC-9821RA-E01
 対応機種は,PC-9821Ra18/Ra20/Ra266/Ra300/Ra333/Ra40/Ra43/RaII23/Xa13/W12/PC-9821Xa16/W16・W30/Xa20/W30・W30R・D30R/Xa200/W30R・D30R・M30Rです.付属の金具については内蔵3.5インチFDD(2台目)増設用キットの記事を参照して下さい.

■PC-9821XV-E01
 正式対応機種は不明ですが,Cバスを有し,出荷時状態で5インチベイに空きのあるタワー型機種用と思われます.増設そのものは,Cバスボード部が付属のケーブルでいずれかの5インチベイに装着したPCカードスロット部と接続できる機種であれば可能です(注).デスクトップ型のファイルベイにも増設可能です.
  注:PC-9821XV-E01に付属しているケーブルはPC-9821XA-E01/V-E01/V-E04/RA-E01のものより若干長くなっています.このためPC-9821XA-E01/V-E01/V-E04/RA-E01をタワー型機種に取り付ける場合,Cバスボード部をCバススロットの最下段に装着しても,ケーブルの長さの関係で,PCカードスロット部を一番下の5インチベイにしか取り付けられない場合があります(どるこむの過去ログ,[16954] Xv20で使えるPCカードアダプタについて を参照).この場合のPCカードスロット部の固定方法については下を参照して下さい.

パネル部分が入手できなかったり,内蔵FDDを2台に増設している場合には,カードスロット部を,5インチベイに3.5インチ機器を増設するための一般的な金具(プラスチック製のものも多いですが,ここでは金具と一括します)に取り付けて増設することもできます.この場合,通常の3.5インチ機器のフロントベゼルのサイズ,すなわち5インチベイ用金具のフロントベゼル開口部のサイズ(縦25mm×横102mm)は,カードスロット部のフロントベゼルのサイズ(縦23mm×横101mm)とわずかですが異なるため,できるだけ隙間が目立たないようにカードスロット部を取り付けるとよいでしょう.


取り付けの方法としては,5インチベイ用金具の突起部分をネジの頭で内側に押さえつけてカードスロット部を固定するというやり方が,小笠原陽介 (1998). PC-98パワーアップ道場 第4章 周辺機器のパワーアップ 6.PCカードスロットアダプタ編(pp.170-185) ソフトバンク の記事(初出はHello!PC 1997年10月24日号-11月24日号)以来広く行われているようですが(HI NOTES --> PC-98 なども参照),筆者は5インチベイ用金具のネジ穴の位置に合わせて卓上ボール盤でカードスロット部のフレームに穿孔し,タップを使ってネジ穴を切ってネジ留めしました.穴を幾分大きめに開けてボルトとナットで固定してもよいと思います.
 注:PCカードスロット部のフレームの鉄板は割に薄いので,穿孔後にバリを全部取ってしまわない方がいいかもしれません.

ネジ留めした様子です.


拡大図です.矢印の先がカードスロット部のフレームの元々のネジ穴です.


この状態で新しく開けたネジ穴にネジをはめようとすると,ネジとPCカードスロット部内部の基板が干渉してしまいますので,基板を少し持ち上げなければなりません.筆者は薄いワッシャを3枚挟みました.この場合,基板をPCカードスロット部のフレームに固定するためのネジの頭を,遊びを確保しつつセロテープで押さえ,基板をひっくり返してネジにワッシャを通してからフレームをかぶせてネジを締めました.最初に軽くネジを締める際にセロテープの上から強引にドライバを回すのがコツです.矢印の先が底上げ用のワッシャです.


 ※筆者がこの工作に使用した5インチベイ用金具の中には,フロントベゼルを上下逆にはめ直さなければ一方のスロットが使えなくなってしまうものがありました."3.5-5KIT PA-008" という製品のようですが,メーカーなどは不明です.


カードスロット部を取り付けた5インチベイ用金具は,MATE-Aなどのファイルスロットに取り付けることもできます.ここでは筆者がPC-9821As2のファイルスロットにカードスロット部を取り付けた際の工作について説明します.この工作については過去にリサイクル掲示板で3パターン報告しましたが,以下で紹介するものは3パターン目のものです(注).
 注:ちゃんご56さんの2022年2月1日(12)・3日(123)のツイートに,ファイルスロットに3.5インチ機器と薄型光学ドライブを取り付けられる金具の作成報告が現れました.これを参考にカードスロット部取り付け用の金具を作成することもできるでしょう.

カードスロット部を取り付けた5インチベイ用金具をファイルスロットに取り付けるためには,上下を逆にしてファイルスロットに差し込む必要があります.このことは既に上記の小笠原氏の記事で指摘されていることですが,大変重要な発見と思います.

ファイルスロット内部の側壁には,板状突起やガイドレールがいくつもあります.


これらが5インチベイ用金具の側面と干渉するため,通常の向きのままだと,ファイルスロットに入れることができたとしても,取り付け位置がファイルスロットの上側に寄るために,フロントベゼルがPC本体のフロントパネルと干渉して本体のフロントパネルが取り付けられません(画像上段).上下を逆にすると,ファイルスロットに入れた状態でPCのフロントパネルを取り付けることができます(画像下段).


ただしすべての5インチベイ用金具が使用できるとは限りません.筆者が確認した限り,下で述べるように,側面の高さが28mmのものは取り付けることができます.形状が合わずにうまく取り付けられないものもあります.例えば側面の高さが29.4mmであるLogitec製5インチベイ用ZIPドライブユニットであるLZD-250AKの金具(プラスチック製)はファイルスロットに入れることができませんでした.金属製のものでは側面を切り縮める加工は大変ですが(作業自体は難度が高いわけではありません),プラスチック製のものであれば加工は比較的容易でしょう.但し5インチベイにネジ留めする部分に金属が使われている製品では,場合によってはその部分の加工も必要になります.

カードスロット部は5インチベイ用金具に上下逆に取り付けます.この場合,上記の通り,5インチベイ用金具はファイルスロットに上下逆に取り付けますので,取り付け後はカードスロット部は通常の向きになります(注).固定用のネジ穴の位置が合いませんでしたので,カードスロット部のフレームに新たにネジ穴を開けました.また使用した5インチベイ用金具では,ネジ留め用の突起の一部がカードスロット部と干渉しましたので,この突起を根元から少し曲げました(矢印の先).
 注:機械的な回転部分といったものはないため,カードスロット部を上下逆に取り付けたとしても機能的には問題ありません.使用者がPCカードを裏表逆にスロットに挿入する癖をつければ済みます.


As2のファイルスロットの側壁の最前部には,左右に縦長の開口部があります(画像では右側のものは上の部分しか見えていません).


これは一部の(多くの?)ファイルスロット機器の固定用のツメがはまる部分です.画像はPC-FD321Fのツメの部分です.


この開口部の位置に合わせて,ファイルスロットに固定するためのネジ穴を5インチベイ用金具の前方の両側面に開けました(注).5インチベイ用金具のフロントベゼルがPCのフロントパネルのファイルスロット開口部にぴったり接する位置で,5インチベイ用金具にマーキングを行います.ネジ留めには大きめのワッシャーを使いましたが,右側のネジ留めの際には,PC本体フレームとの干渉を避けるためにワッシャーの一部を切除する必要がありました.


 注:ファイルスロットの側壁最前部の縦長の開口部からは,5インチベイ用金具の穴(3.5インチ機器の側面をネジ留めする際にドライバーを差し入れるための大きな穴)の一部が露出します.


   このことを利用し,二枚の大きなワッシャー等で両者を挟み込む形で,ボルトとナットを使って5インチベイ用金具をファイルスロットのフレームに固定すれば,5インチベイ用金具にネジ穴を開ける必要はありません.但しこのやり方での固定作業には根気が要ります(もっとも,ネジ穴を開けるよりは簡単でしょう).不器用な筆者はピンセットやセロファンテープなども動員して,固定が実際に可能なことをようやく確認しました.なおこのやり方で固定する場合には,フレーム側にナットを持ってくるのがよいと思います.

筆者の使用した5インチベイ用金具はファイルスロットにぴったりとはまり,正直少し驚きました.これは上記の "3.5-5KIT PA-008" で(注1),側面の高さ(黄色の矢印の長さ)は28mm,幅(これは5インチベイ用金具では共通と思いますが)は145.5mmです(注2).ファイルスロットの奥行きに対して長さが短いため,ファイルスロット内側面のガイドレール的な突起部分に沿ってスロット内を多少前後に動きはしますが,PCカードの抜き差しを行う分にはネジによる固定を行わなくても十分に実用的です.また側面の高さがこれくらいだと,ファイルスロットに入れた際にフロントパネルの開口部がファイルスロット開口部のほぼ中央に位置することになるため,見映えの点からも好都合です.


  注1:ファイルベイに取り付ける場合と異なり,ファイルスロットに取り付ける場合にはフロントベゼルを上下逆にはめ直す必要はありませんでした.
  注2:5インチベイ用金具は,ファイルスロット内壁の上下のガイドレール様の板状突起の間(黄色の矢印の部分)にはまります.この部分の高さは実測で29mmですが,ここに5インチベイ用金具を差し込む場合には,側面の高さが28mm程度のものを使用するのがよいでしょう.


カードスロット部との接続ケーブルをCバスボックスの外に引き出す必要があるため,インターフェース部はCバススロットの最上段に取り付けます.As2のCバスボックスは天井に金属板が溶接されているため,インターフェース部をCバススロットに装着してしまった後ではケーブルを接続することができません.そこでAs2のバックパネル(本体の背面部分)を外しますが,作業しやすくするために,電源ユニットと,HDD専用ベイ-FDD-ファイルスロット部分のフレームも外しておきます.

バックパネルの開口部を通して一番上のCバススロットのガイドレールにインターフェース部を差し込みます.この時インターフェース部に予めケーブルを接続しておき,ケーブルを先にCバスボックスの中に入れ,天井の開口部からケーブルの反対側のコネクタを電源ユニット側に引き出します.Ap3などの場合もこのやり方でインターフェース部を取り付けます.

HDD専用ベイ-FDD-ファイルスロット部分のフレームとファイルスロットバックパネルとを分離し(この分離を行った方が作業がやりやすくなると思います),ケーブルをファイルスロット内部に引き入れてPCカードスロット部後部のコネクタと接続します.PC-98の筐体のフレームは剪断面が鋭いままなので,Cバスボックスとファイルスロットのフレームの縁で手を切らないように,またケーブルを傷つけてしまわないよう気をつけて下さい(下の画像では試験的にボール紙で養生しています).作業時にはFD1138Tのフラップ(シャッター)やイジェクトボタンの破損にも注意して下さい.


5インチFDDモデル(下の画像はAp2/M2)でも同様ですが,スペースの関係でケーブルはファイルスロットバックパネルの一番上の黒いコネクタ(ファイルスロットFDDコネクタ)とフレームの間を通します.作業時にはFD1158Cのやイジェクトボタンの破損に注意して下さい.



皇宋堂器譜 --> 9821V166/S5C に,デスクトップ型の流星V166の筐体のトップカバー左側面に矩形の開口部を設けて,カードスロット部の前面を露出させる工作の記事があります.また,しーど君の工作記 --> MENU --> ゑぷそんで行こう --> PC-586RA --> PC-9821XA-E01(PCカードスロット増設アダプタ)を使う --> こちら に,PC-586RAのフロントパネルに矩形状の開口部を設けてカードスロット部の前面を露出させる工作の記事があります.


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