マウスボタンのチャタリングへの対処


マウスのボタンををシングルクリックしたにもかかわらず,PC側はダブルクリックしたものとして動作してしまうことがあります.マウスのボタン部分に使用されているマイクロスイッチなどの機械的接点を持つスイッチでは,スイッチオン時に接点が高速で何度かオンオフを繰り返すチャタリングという現象が発生します.PC側がこれをスイッチが何度か押されたものと誤認識することを防ぐため,PC内部にCR積分回路が用意されています.しかしスイッチの接点が劣化すると,チャタリングの発生する期間が長くなり,PC内部に用意されているCR積分回路ではチャタリングを吸収し切れず,結果シングルクリックがダブルクリックとして誤検出されてしまうということが起こります.

チャタリングへの対処にはソフトウェアを用いる方法もありますが,ハードウェア的な対処方法には次の二つがあります.いずれも作業にはハンダゴテが必要です.

(1) スイッチの交換
根本的な対処法です.マウスのボタン部分にはOMRON製D2F-01Fおよびその互換品が使用されている場合が多いようですが,これを新しいもの(OMRON CHINA製D2FC-F-7Nが比較的入手し易いようです),あるいは他のマウスから取り外した同種のスイッチに付け替えます.

@ コテ先を十分に加熱したハンダゴテを用いること
A スイッチを取り外す際には,スイッチの端子を基板に固定している半田にコテ先の熱が効果的に伝わるようにし,半田が素早くかつよく溶けるようにすること
B 溶けた半田をハンダ吸取線やハンダ吸取機を使って一気に除去すること
等に注意すれば難しいものではありません.
コテ先が十分に加熱されていない状態で作業したり,スイッチの端子と基板の穴の周りのパターンの一部とが半田でくっついている状態でスイッチを無理に引き抜こうとするとパターン剥離を起こすことがありますので注意して下さい.

(2) コンデンサの追加
根本的な解決法ではなく応急処置的な対処法ですが,マイクロスイッチの端子間に0.1μF程度のセラミックコンデンサを追加するだけですので,作業は非常に簡単です.
0.1μFというコンデンサの容量は固定したものではなく,実際に取り付けた上で動作を確認し,必要であればより大きな容量のものに交換する必要があります(あまり大きな容量のものは不適当です).

しかしこの対処法では,遅かれ早かれ症状が再発します.私のところでは0.1μFのものを取り付けて数年程度保った例がありますが,ウェブ上では1ヶ月程度で再発したとの報告もあります.再発時にはコンデンサの追加増設あるいは容量の大きなコンデンサへの交換でまたしばらくの間乗り切ることができますが,スペースの都合であまり多くの個数を取り付けることはできません.そのマウスを長く使うつもりならば,やはりスイッチ自体を交換してしまうことが一番です.

下図はPC-9801-129(MATE-X等に付属していたもの)のマイクロスイッチの端子間にジャンク基板からニッパで切り離した0.1μFのセラミックコンデンサを2個取り付けた状態です.



なお使用時間の長いマウスでは,マイクロスイッチの押下部分と接触するボタン裏の突起部に凹みができてしまい,そのためボタンを強く押さなければクリックがPCに検出されなくなることがあります.この場合にはボタン裏の突起部にプラスチック板を貼り付けるなどの工作が必要になります.
※Kuniさんより,この種の補修にはプラリペアが便利とのコメントをいただきました.