JEDEC仕様のSIMMから
EPSON仕様のSIMMを作る方法


EPSON仕様のSIMMは61(互換)SIMMやJEDEC仕様のSIMMとは端子のアサインが異なり,後二者と互換性がありません.本記事ではJEDEC仕様のSIMMを元にEPSON仕様のSIMMを作製する方法に関する資料を紹介します.またPC-486PORTABLE(PC-486PT1)用のDIMMをJEDEC仕様のDIMMから作る方法に関する資料もあわせて紹介します.


■JEDEC仕様のSIMMからEPSON仕様のSIMMを作製する方法
JEDEC仕様のSIMMをEPSON仕様のSIMM(パリティなし)に改造する方法が "トランジスタ技術" の記事にあります.

佐野和弘 (1997). PC-486SRのメモリ増設のために―DOS/V用SIMMをEP-SIMMに改造する. トランジスタ技術, 1997年7月号(34巻7号に当たるのではないかと思います), pp.370-374.

 ※トランジスタ技術のバックナンバーは,古書としても流通していますが,高専や大学の附属図書館に所蔵されている場合もあります(CiNii Research --> 大学図書館の本をさがす で表示される CiNii Books の検索対象を "雑誌" と指定して "トランジスタ技術" で検索すると,所蔵館を確認できます).これらの附属図書館は,学外者にも若干の制限付きながら蔵書の利用を認めているところが多いと思いますので(但し所蔵先が特定の研究室である場合には,学外者の利用はできないケースが殆どでしょう),必要ならば直接確認して下さい.なお公立図書館でも所蔵しているところがありますが(一部は上記のCiNii Booksでの検索結果にも示されます.また国立国会図書館サーチや,最寄りの都道府県立図書館のウェブページに設けられている都道府県内図書館横断検索システムでも,所蔵している公立図書館が調べられます),雑誌の保存期間を定めている所も多く,バックナンバーの古いものは処分されてしまっていることが多いようです.なお上記の論文は,2023年8月現在国立国会図書館のデジタル資料には含まれていないようです.
   トランジスタ技術は雑誌に区分されるため,貸出(館外持ち出し)が認められないことが多いので,複写申請書等の書類に記入を行った上で館内で必要な箇所のコピーを取らせてもらうことになると思います(自身でコピーするのでなく,職員に依頼してコピーして貰うところもあるかもしれません).また大学図書館では,その館自体は所蔵していない文献であっても,所蔵している他館から有償(単価は一般のコピーよりは高額な場合があり,また郵送料も本人負担)でコピーを取り寄せるサービスを行っているところもあります.公立図書館でも同様のサービスを行っているところがあるかもしれません(国立国会図書館でも遠隔複写サービスを実施しています).これも必要ならば直接確認して下さい.またトランジスタ技術を刊行しているCQ出版社自身も,バックナンバーが完売した雑誌の記事の有償コピーサービス(一般のコピーよりはやや高額)を行っています(このため本記事では,部分的なものを含め,上記の佐野論文からの引用は一切行いません).

なおこの記事の工作では,チップの短辺がコネクタに沿って並んだ形状のSIMMを材料としているため,作製された4MBのSIMM は,チップの長辺がコネクタに沿って並んでいる本物のEPSON仕様の4MBのSIMM(EPSON仕様のSIMMの判別法の画像を参照)より高さのあるものになっています.このため,PC-486GF/GR/GR+/GR Superでは内蔵RAMボードの2枚挿しはできません(エプソン98互換デスクトップ機用内蔵RAMボード一覧を参照).

この記事に直接基づいた工作か明らかではありませんが,下のPC-386GSのCPUボード上に装着された2本の4MB SIMM(注)は,いずれもJEDEC仕様のSIMMを改造したものとのことです.出品者IDが KFD03077,オークションIDが g64774741 のヤフーオークションの出品物(2008年3月8日に落札)の商品説明画像から切り出した画像を引用します.これらのSIMMでは,長辺がコネクタに沿って並んだ形状のチップが使用されているように見えます.


 注:PC-386GS以外(ということはPC-386GE,PC-486GF/GR/HA/HX/HGでしょうか)では,CPUボード上のSIMMコネクタに1枚単位でSIMMを増設できるといいます.

また,PC-486HA/HX/HG用にJEDEC仕様のSIMMをEPSON仕様のSIMMに改造する方法が, TETSURO's SANDBOX (Season 3) --> EPSON PC-486(PC486Hx最強化計画),およびSLAVE OF PC --> 改造日記 --> "DOS/V SIMM"を"EP SIMM"に改造 で公開されていました(リンク先はいずれもInternet Archiveに保存されているファイルですが,画像データが失われています.ただし筆者が紙に印刷して手元に保存してあるこれらの記事を確認した限りでは,画像データがなくても作成における支障は殆どないように思います).但し両記事とも上記のトランジスタ技術の記事の併読を要します.
 追記:2005年2月21日に印刷された前者の記事の画像をスキャンしたものから切り出した画像を4つ引用します.上段の画像は,記事本文の "余談はさておき、実際の完成形を見てみましょう(Clickで拡大表示)。" の次,下段の画像左は,"チップが8個乗って4MBってSIMMの場合、そのチップは4MbitのCMOS-DRAMですのでより古いメモリ規格表を使って身元調査をする必要があるでしょう。" の次,画像中央は,"で、やった結果がこちら(Clickで拡大)。" の次,画像右は,"なので今回は手抜きをして、PD1~3までをCLOSEにしてみました。" の次にそれぞれ置かれていたものです.

また4MBのEPSON仕様のSIMMの回路図が,ETHYLE~1.SYSさんの2022年12月6日のツイート で公開されています.回路を改良(ETHYLE~1.SYSさんの2023年1月2日のツイート を参照)した基板のガーバーデータもGoogleドライブで公開されました.

さらに,JEDEC仕様の16MBのSIMMをEPSON仕様の8MB SIMMに改造する方法が,どるこむの過去ログ,[2819] EPSON SIMM 16MBで報告されています.
 ※JEDEC仕様の16MBのSIMM(注)をEPSON仕様の8MB SIMMに改造したものの画像が,cirrusさんの2019年12月31日のツイートに掲載されています.この改造SIMMはPC-486HXで使用できたといいます.
 注:16MBとの記述は2019年8月23日のツイートにあります.

かかっくんさんより,上記の佐野 (1997) の記事では,アドレス線とパリティビットが接続されたままだが,両者は分離すべきである・このままではパリティチェックを切って使用する場合に,リード時にパリティ値を無視するだけで,ライト時には出力されるという問題が起きる可能性があるとのコメントをいただきました.
 かかっくんさんによる,JEDEC仕様のSIMMをEPSON仕様のパリティあり8MB SIMMに改造する方法が,回路図入りでエマティなリサイクルの研究発表会掲示板の2019年9月4日の記事 で紹介されています.

■PC-486Portable用のDIMMをJEDEC仕様のDIMMMから作製する方法
PC-486Portable(PC-486PT1)では,PCPTZRM41(4MB)の代替品として,古いThinkPad用の4MBの72ピンSO-DIMMが使用可能といいます(どるこむの過去ログ,鶴(PT1)の拡張メモリ486PT1パワーアップの可能性は を参照).また8MBの72ピンSO-DIMMのPCPTZRM81(8MB)相当品への改造方法について書かれた 伏せ字(^^;/○oo 氏の記事が,EPSON98開発公団発行の同人誌,"Oh!EPSON PC 2000" 12/30号(2000年12月30日発行)の64-68ページに掲載されており,またEPSON98サービス機構発行の同人誌,"E-Sapa別冊 甦るEPSON PC伝説 永久保存版"(2004年8月15日初版発行)の68-72ページに再構成と内容の追記を行った上で再録されています(注).
 注:これらの記事の初出は,どるこむを中心とするエプソン98互換機関係のBBSに投稿されたBiLateral/NaOさんのレポートと思われますが(注1),それらはいずれも断片的な内容であり,一般的な(とは言っても形状と基板上の配線の仕方を選びますが)8MBのDIMMをPCPTZRM81相当品に改造する方法は,これらの記事において初めて一般向けの形で公表されたと言えるでしょう.なお2000年7月の時点でヤフーオークションに同種の改造を行ったと思われるDIMMが出品されており(どるこむの過去ログ,[1077] やふーに鶴ユーザ向けなモノが… を参照),この工作は,断片的な情報だけでも分かる人には分かるということなのでしょう(もっとも,上記の出品物がどのような情報に基づいて改造されたのか明らかではありませんが).
   注1:どるこむの過去ログ,鶴(PT1)の拡張メモリ486PT1パワーアップの可能性は,EPSON PC`s HOMEPAGE in JAPAN の EPSONPC 掲示板 過去ログ No.6 など.どるこむの過去ログには,これらの他にも,今ではweblabo.griffonworks.net内から失われてしまったものもありました(以前個人的にテキスト形式で保存したものが筆者の手元に残っています).


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