エプソン98互換デスクトップ機のターミナルFDDモード


一部のエプソン98互換デスクトップ機には,ターミナルFDDモードといって,本体が丸ごと外付けFDDユニットに化すという,PC-98にはない独自の動作モードがあります.この動作モードを持つ機種は,PC-286VJ,PC-386G/S/GE/GS/P,PRO-486,PC-486P(PWINを含む)/GF/GR/GR+/GR Super/HA/HX/HGであると思われます(注).
 注:吉野敏也(監) 株式会社テクノメディア(編) (1993). EPSON PC システムガイド ――100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック―― クリエイト・クルーズ では,ターミナルFDDモードはPC-286VJ,PC-386G/S/GE/GS/P,PC-486GF/GRで用意されているとあり,また筆者が実機(*付きの機種)とウェブページの記事やBBSのログで確認した限りでは,PC-386GE*/GS*/P*,PRO-486,PC-486P*/GF*/GR*/GR Super/HA/HX/HGがこのモードを備え,PC-286U*/VE*/VF*,PC-386M*,PC-486SE*/SR*/MU*/MV,PC-586RA*/RX*/RVは備えていませんので(またPC-486FE/FR/FSは1MB FLOPPY DISKコネクタを持たないことから,このモードを持っているはずがありません),発売時期からみてこの動作モードを持つ機種は上記の15機種でまず間違いないでしょう.これは,EPSON98サービス機構・EPSON98互換機同人誌復刻委員会(編)の "E-SaPa別冊 蘇るEPSON PC伝説 永久保存版" (2004年8月15日刊)の "EPSON PCの拡張小ネタ集" (pp.47-63)のデータとも一致しています.

この動作モードへ切り替えは,[HELP] キーを押しながら本体の電源スイッチを押す,あるいはリセットスイッチを押すと表示される環境設定メニューのソフトディップスイッチで行います.この動作モードでは,ピッという音とともに,画面中央に白の【 】に挟まれた "外部フロッピーディスクドライブとして使用中です" の黄色の文字列が表示され,キーボード入力を受け付けなくなります(環境設定メニュー表示させるための [HELP] キーの入力は有効です).PC-486SEなどこの動作モードを持たない機種では,設定メニューにターミナルFDDモードの項目がありません.

この動作モードは,接続するPC本体がエプソン98互換機の場合のみ有効との誤解が一部にあるようですが,実際にはPC本体がPC-98であっても有効です.またこの動作モードでは,一般の外付けFDDと同様,ドライブのモーターは回転しっ放しとなります.なお当然ですが,このモードで動作しているエプソン98互換機は,通常の外付けFDDユニットよりも多くの電力を消費します.

読み書きが可能なメディアは1.25MBフォーマットのものだけで,2DD動作用のデバイスドライバを組み込んでも2DDメディアは扱えません(外付け3.5インチFDDユニット−フリー720KB/1.44MBドライバ動作試験結果 を参照).ターミナルFDDモードに対応している機種のうち,PC-486HA/HX/HGでは内蔵3.5インチFDDは3モード対応ですが,ターミナルFDDモードで動作している場合には1.44MBフォーマットのメディアは扱えないと聞いています(筆者は実機を所有しておらず,3モードドライバを組み込んだ場合の動作などは確認できていませんが,本体の "1MB" FLOPPY DISK コネクタとケーブルで繋いで一般的な外付けFDDと同等の動作をするように設計されているモードなのであれば,3モードFDD内蔵機種でも1.25MBメディアしか扱えなくても不思議ではありません).なおターミナルFDDモードでの動作時に,接続先のPC側からDENSITY信号を供給した際に2DDメディアが扱えるようになるかは(VFOありFDDの外付け化を参照),PC本体を手軽に外付けFDD化できるというこの動作モードの便利さと相容れない操作ということもあってテストしていません.

ターミナルFDDモードに設定したエプソン98互換デスクトップ機は,一般の外付けFDDと同様に,PC本体と1MB FLOPPY DISKコネクタ同士をFDDケーブルで接続して使用します.ターミナルFDDモードでは,1MB FLOPPY DISKコネクタ(VFOありFDDの外付け化 を参照)の1−25ピンの信号方向が反転します[吉野敏也(監) 株式会社テクノメディア(編) (1993). EPSON PC システムガイド ――100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック―― クリエイト・クルーズ].

ターミナルFDDモードに設定するためのソフトディップスイッチは,拡張スイッチ2−7(使用可能FDD)と 拡張スイッチ2−4(内蔵FDD)の2つです.

 ・拡張スイッチ2−7(使用可能FDD)= OFF(内蔵2台,外部2台)
   ※FDDを3台内蔵している筆者のPC-386GS3では,これがON(内蔵3台,外部不可)の状態で,拡張スイッチ2−4をONにすることはできません.この状態でこれをONにしようとすると,黄文字で "拡張スイッチ2−4をONにする場合は、拡張スイッチ2−7がOFFになっていなければなりません" のメッセージが表示されます.
 ・拡張スイッチ2−4(内蔵FDD)= ON(内蔵FDDターミナルモード使用)
   ※OFFでは内蔵FDD通常使用

筆者のPC-386GS3(#1・#2が3.5インチFDDで,#3が5インチFDD)では,ディップスイッチ1−4(FDD順位)のは,拡張スイッチ2−4がONに設定されている場合,ON(増設#1・#2 → 内蔵#3・#4),OFF(内蔵#1・#2 → 増設#3・#4)のいずれでも動作に変化は見られませんでした.EPSON PC`s HOMEPAGE in JAPAN の EPSONPC 掲示板 過去ログ No.4 中の [172] PC-486GRSに関する質問 スレッドでは,FDDを3台内蔵している機種では,ディップスイッチ1-4で内蔵ドライブ優先に設定している場合には #1・#2 が,増設(外付け)ドライブ優先に設定している場合には #3 が,それぞれターミナルFDDモードでは外付けドライブとして動作すると述べられており(注),実際にPC-486GR3やPC-486HA3では,この操作で#3 の5インチFDDを外付けドライブとして動作させられたとの報告があるのですが,筆者のPC-386GS3では,どういうわけか #3 の5インチFDDを外付けドライブとして動作させることはできませんでした(ソフトディップスイッチのシステム予約ディップと未使用ビットはデフォルトのままです).筆者のPC-386GS3では,拡張スイッチ2−7をOFFに設定した場合の "内蔵2台" とは,DX=0・1に設定されたドライブのことであり,上記の通りDX=2に設定されたドライブである5インチFDDをターミナルFDDモードで使用することはできませんでした.5インチFDDをターミナルFDDモードで使用するためには,そのDXジャンパスイッチを0か1に設定する必要があるのでしょう.
 注:上記の "EPSON PCの拡張小ネタ集" にも同様の記述があります.


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