FD1158C・FD1158Dのイジェクトボタン


FD1158C・FD1158Dのイジェクトボタンには大きく分けて二種類あり,そのうち先端の面が小判型(楕円形)のものは,ぐらぐらして破損(特に穴の開いている薄い板状の部分)しやすい造りになっています.すなわちボタンのスリットの幅が金具の幅よりも広く,また金具の突起よりボタンの穴が広いため,ドライブにメディアがセットされていない状態(イジェクトボタンが押し込まれておらず飛び出た状態)でボタンに強い衝撃が加わるなどすると,このタイプのボタンは簡単に破損します.FDDのイジェクトボタンがこのような構造をしている必要性は全くない筈で,なぜこのような造りになっているのか理解に苦しみます.一方,先端の面が角形(長方形)のボタンでは,ボタンのスリットの幅と金具の幅は大体同じで,金具の突起がボタンの穴にぴったりはまるようになっており,ボタンが金具にしっかりと固定されるため,通常の使用では破損は起きにくいでしょう.


小判型のぐらぐらするイジェクトボタンも,FDDが本体等に組み込まれてしまえば(下図はPC-FD511Fの場合),フロントパネルのイジェクトボタン用開口部の遊びが比較的小さいために横方向の動きが制限されるので,多少はましになりますが,フロントパネルから飛び出している部分が長いため,何かに強くぶつかるなどした場合には確かに破損しやすい感じはします(注).


注:めーちゃんさんの2018年12月23日のツイート によれば,メディアを入れずにイジェクトボタンを強く押し込んだ時にも破損することがあるといいます.筆者は経験がありませんが,特に劣化が進んで脆くなっている場合には,このイジェクトボタンの構造から見てあり得る話だと思います.裏側の板状の部分(下図を参照)が折れているイジェクトボタンをいくつか見てきましたが,これの原因の一つも,メディアを入れずにイジェクトボタンを強く押し込む行為かもしれません.なおFD1158C・FD1158Dはイジェクトボタンがなくても使用すること自体はできます(イジェクトボタンのはまる金具の突起部部分を指で直接押し込むことになりますので,指の先が少し痛むこともあります).

角形のボタンを持つFD1158Cは外付けFDDユニットの一部[TAXAN(加賀電子)製TF502やACCEL製FDC-58等]に採用されています.筆者が確認した限り,このタイプのFD1158CはすべてFDDの前面のサイズに合わせたフロントベゼルを備えています.またボタンが角形のFD1158DはNEC製外付けFDDユニットであるPC-FD512Rやファイルベイ増設用FDDユニットであるPC-FD511Dで採用されています.このFD1158Dのフロントパネルはファイルベイ開口部に合わせた形状をしています.なお筆者の知る限り,小判型のボタンを持つFD1158Cでフロントパネルを備えているものはありません(NEC製ファイルスロットFDDユニットであるPC-FD511Fでは小判型のボタンのFD1158Cが使用されていますが,これのフロントパネルはFD1158CではなくPC-FD511Fのフレームの方に取り付けられています).

これらのイジェクトボタンは金具の先端を押す構造になってはいません.イジェクトボタン金具の先端より先のボタン内部は空洞になっており,ボタン裏側の板状の部分が金具の根元(矢印の先)を押し込むようになっています.


金具の突起にはまる穴付近が破損してイジェクトボタンが固定できなくなってしまった場合には(注1),突起とボタンの間の隙間に厚紙などを挟めば,実用上問題のない程度にはボタンを固定できますが,ボタン裏側の板状の部分が破損した場合には,この部分を再生する必要があります.プラスチック部分の接着には溶剤系接着剤などが適しています[cannabis_c4さんの2021年1月12日のツイート も参照.なお接着剤については,試運転の資料館 --> 電算機部 --> 筐体を接着したい ( 調達編 ) も参照].イジェクトボタンを金具の突起に直接接着してしまってもよいかもしれません(めーちゃんさんの2018年12月23日のツイート を参照).なお小判型のイジェクトボタンには,3Dプリンタによる同人ハードウェアがあります(破損しやすくかつ個人での作成が容易でない部品ですので,本ウェブページでも紹介します).ヤフーオークションでも,恐らくは手製のイジェクトボタンを取り付けた,あるいは何か(材料は不明.商品説明にも記載がありませんでした)をイジェクトボタンの代用としている出品物を見かけたことがあります(注2・3).またイジェクトボタンをパテで作成した例もありますが(どすこいさんの2021年1月2日のツイートPC-9821/9801スレッド Part86の280番の投稿 を参照),力の掛かる部分であり,本来はボタンの先端でなくボタン裏側の板状の部分で金具を押し込むようになっているため(上の図を参照),砕けにくくするための工夫が要るでしょう(おふがおさんの2021年1月17日のツイート などを参照).
 注1:穴の開いた薄板状の部分の型取りをして,プラリペアで複製品を作成した例もあります(ちまちまさんの2021年1月11日のツイート を参照)なおプラリペアは固まった際にサイズが若干小さくなるといいますので(ちまちまさんの2021年3月12日のツイート を参照),それを見越しての工作が必要でしょう.
 注2:ビニール製の手動ポンプのチューブ部分を加工してイジェクトボタンの代用品を作成した例もあります(おふがおさんの2021年4月22日のツイート を参照).
 注3:アルミニウム製のチューブを輪切りにして潰したもの(?)をイジェクトボタン代わりにはめているケースも見かけたことがあります.このような材質の硬い代用ボタンでは,穴のサイズが金具の突起部分の断面より少しでも小さければ,金具へのはめ込みの際に無理な力が加わり金具を変形させてしまう危険があります(FD1158C・FD1158Dの分解と修理 を参照).

イジェクトボタンの横の突起は左右で長さが違いますが,左が長いものと右が長いものとがあります.これら二種類のイジェクトボタンを持つFDDでは相互に何が違っていたのかは不明です.1台目設定のFDDと2台目設定のFDDではイジェクトボタンの横の突起が異なるといったことがあったのかもしれませんが(画像検索すると,同一の本体に内蔵されている1台目設定のFDDと2台目設定のFDDでは,横の突起が互いに異なるイジェクトボタンが取り付けられている事例が散見されますので,その可能性はあります),記録も残さずにFDDとその部品を取っ替え引っ替えしてきた筆者には今となっては分かりません.



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