FD1138T・FD1148T・FD1138C・FD1138Dの分解方法


FD1138T・FD1148T・FD1138C・FD1138Dはほぼ同じ方法で分解できます.ここではFD1138Tのケースを例に説明します.FD1138Tと26ピンFD1148Tの違いの記事も参照して下さい.FDDは精密機器であるということを念頭に置いた上で,丁寧に作業して下さい.なお電解コンデンサの交換等の修理方法については,FD1138T・FD1148T・FD1138C・FD1138Dの修理 を参照して下さい.


■天板を外す
まずはFDDの天板(トップカバー)を外します.天板の左右の側面にツメのようなものが2個ずつありますが,これをFDDの側面の長方形の穴に引っかけないように注意して外します.ツメが穴に引っかかってしまったら,FDDの前後の隙間から精密ドライバなどを差し入れて中からツメを押し出します.


■フラップを外す
フラップ(メディア挿入口の扉のようなもの.正式名称はシャッター)を外します.フラップにはバネがついているので,飛ばしたり端を指に刺したりしないよう注意して下さい.


またこのバネを取り外す前に,バネがFDDのフレームとフラップにどのようにかかっているか十分確認して下さい.



ばねがはまっているフラップの長い突起部分は折れやすいので注意して下さい.この突起部分は,天板の上からフラップを押し下げてしまった場合にさえ折れることがあるほどです.特に紫外線(?)によりプラスチックが劣化して脆くなっている場合には簡単に折れてしまいます.またこの突起は天板を戻す際にFDDの前の方を(不用意に)押してしまった場合にもよく折れます.筆者は今ではこの部分の劣化が進んだ個体がかなり多くなっているのではないかと危惧しています.


突起部が折れた場合にはセメダインスーパーXなどで接着できるといいます(岩崎浩文さんの2017年1月20日のツイート を参照).瞬間接着剤は接着の強度が十分ではない上,再び(同じ箇所が)折れた際の再接着作業が面倒になるため,この用途には使用しないで下さい.なおセメダインスーパーXはFDDの他のプラスチック部分(26ピンFD1138Dのフロントベゼルの固定爪など)が破損した場合の修理にもよく使われているようです(接着後一週間程度触らずに置いておく必要があります).なお試運転さんの2018年2月17日のツイートによれば,FDDのフロントベゼルや固定用のツメ等をはじめとするPC部品のプラスチック部分の破損の修復には,模型製作などで用いられる溶剤系接着剤が適しているといいます(注1).またプラリペアを使用したフラップ(FD1137Dのものですが,FD1138Tなどのフラップでも同じでしょう)の修理の例が,ちまちまさんの2021年1月19日のツイートで報告されています(注2・3).
 注1:これに関して,試運転さんより,溶剤系接着剤を使用した場合,一歩間違うと筐体が割れたり溶けたりするため,目立たない位置で試してから表側の見える場所で使用するのがよいとのコメントをいただきました.
 注2:プラリペアでの修繕には,折れたり砕けたりして出た破片が利用できない場合,強度の点で不安があるといいます(てんまにちゃんさんの2021年2月19日のツイート を参照).
 注3:プラリペアでの修繕に関しては,PC-9821/9801スレッド Part87の452-466番の投稿も参照して下さい.452番の投稿中にある "お湯まる" とは,プラスチック粘土(商品名:おゆまる)を指し,また "ネイルアート用の100均でも代用出来るもの" とは,redmax.arsさんの2019年12月20日のツイート の画像のものを指すのではないかと思います.

ただし紫外線(?)によりフラップ全体が脆くなってしまっている場合には,接着を行ってもあまり長くもたないかもしれません.実際,何度か<メディアの出し入れをしているうちに,再び同じところが折れてしまったという報告をいくつか目にしました.

また修理箇所の強度を上げるために,金属製の芯を入れている報告もあります(原 真紀@寿司にーさんの2021年7月11日のツイート を参照).穴開け用のドリルビット(螺旋状の刃のついた部分)にはTAMIYA製品などの模型用のものもありますが,置いている店は限られるものの,100円ショップの精密ハンドドリル(ピンバイス)にも刃の細いものがあります.手芸用のハンドドリルの刃の細いものも使用できるかもしれません.なお加熱した針金状のもので溶かして穴を開けようとしても,膨らんでうまくいきません.

なおFD1138Tのフラップとイジェクトボタンには 3Dプリンタによる同人ハードウェアがあります(破損しやすくかつ個人での作成が容易でない部品ですので,本ウェブページでも紹介します.これはFD1138Dにも適合するとの報告があります.つまりFD1138TとFD1138Dではフラップとイジェクトボタンに互換性があるようです).
 追記:SAKURA工房の修理備忘録的なナニカ --> PC9801関連 で,FD1148Tのフラップの光造形3Dプリンタ用stlファイルと,専用のばねの作り方が公開されました.FD1138T等にも適合するかは未確認とのことです.筆者にはFD1138D・FD1138T・FD1148Tのフラップはいずれも同じもののように見えます.

■イジェクトボタンを外す
イジェクトボタンを外します.イジェクトボタンは四角い穴がフレームのツメにはまることで抜け落ちないようになっています.この四角い穴の脇の部分とフレームとの間の隙間に精密マイナスドライバの先などを挿入し,穴の脇の部分をわずかに持ち上げてからイジェクトボタンを引き抜きます.


この部分は割れやすいので注意して下さい.特に紫外線(?)によりプラスチックが劣化して脆くなっていると実に簡単に割れます(注).ここが割れて取れてしまい,イジェクトボタンの付け直しの際にイジェクトボタンをフレームに固定できなくなった場合には,イジェクトボタンとフレームの突起部分の隙間に厚紙を挟み込むなどすればよいでしょう.イジェクトボタンをフレームの突起部分に接着してしまうと,再びイジェクトボタンを取り外す必要が生じた場合に困ることになります.
 注:この劣化は,黄ばみ具合がさほどでない場合にもかなり進んでいる場合があります.
 追記:SAKURA工房の修理備忘録的なナニカ --> PC9801関連 で,FD1148Tのイジェクトボタンの光造形3Dプリンタ用stlファイルが公開されました.FD1138T等にも適合するかは未確認とのことです.なおFD1138TとFD1148Tではイジェクトボタンの穴の形状が若干異なるようです(ex709さんの2021年5月29日のツイート を参照).

■内部の金属板を外す
イジェクトボタンがはまっていたフレームの突起部(図の白丸の部分)をイジェクトボタンを押す方向にラジオペンチなどを使って少し押し込みます.そうするとメディア格納部上部の金属板(正式な名称は "カセットホルダー")が浮き上がりますので,ヘッドに接触しないようよく注意してこれを外します.ヘッドの両脇の突起部分を指で挟んでヘッドを持ち上げながら金属板を外すとよいと思いますが,ばねが利いているため,力加減と指の滑りに注意して下さい.個人的にこの作業は,再組立時にこの金属板をはめ直す作業とともに,一連の作業の中で最も神経を使うところです.


この金属板を外すと,持ち上げたヘッド部分を下ろした時に,ヘッドが上下で接触することになりますので(ゆっくり丁寧に下ろして下さい.指が滑ったりすると下側のヘッドにバチンと衝突します),ヘッドにはあまり良くないのかもしれません.筆者はこれまで壊したことはありませんが,気になる方はティッシュペーパーを折り畳んだものでも挟んでおくとよいかもしれません(注).またこの金属板がレールと接触する部分にはグリスが塗られていますので,作業時には指やFDDの他の部分にグリスが付かないように注意して下さい.
 注:厚紙を折り曲げたものを上側のヘッドを避けてアームの下に挟み込むなどすれば,上下のヘッドの接触を避けることができます[レジンスキーさんの2021年5月14日のツイート(12)を参照].


イジェクト時にメディアが排出されにくい場合には,メディア排出機構の劣化して粘性が高くなっているグリスを除去し,新しいグリスを塗ることで改善されます(注).古いグリスを徹底的に除去したい場合には,ブレーキクリーナー[ワコーズ(WAKO'S)製 ブレーキ&パーツクリーナー BC-8 など]を使用するとよいかもしれません[はにはにのヴィンテージPC新品再生ブログ --> NEC PC-9821AP初代のドライブの修理と内臓HDDをCFカード化をしました(2016年3月25日の記事) を参照].新たに塗布するグリスとしては,例えばタミヤ製の "セラグリスHG" などが評判がよいようです(かおる@ヤドンさんの2019年11月24日のツイート などを参照).シリコングリス(セラミックグリスより粘度が高い.呉工業のシリコングリースメイトはチューブ入りのペーストタイプと缶入りのスプレータイプあり)を奨める人もいます[kobefs@パソコンの人☆彡さんの2020年7月19日のツイート(12)などを参照].


 注:金具の変形(?)がメディアの排出不良の原因となっている場合もあるといいます(noconaさんの2020年12月4日・13日(12)のツイートを参照.この方の他のツイートも拝見すると,結構な割合でこの不具合が発生しているようです.筆者もこの不具合に遭遇したことがあるのだろうと思うのですが,はっきりした記憶がありません.もしかしたら最近はこの不具合が増えてきているのかもしれません).

■再び組み立てる
ヘッドの両脇の突起部分を指で挟んでヘッドを持ち上げながら(その際ヘッドに接触しないように注意)メディア格納部上部の金属板の横の突起(グリスに注意)を元々はまっていたガイドレールの入り口部分にきちんとセットし,イジェクトボタンがはまっていたフレームの突起部(3つ上の画像の白丸の部分)をイジェクトボタンを押す方向にラジオペンチなどを使って少し押し込むと,金属板がカシャッとはまります.個人的には,一連の作業で最も気を使うところです.他のFDDでもそうですが,この金属板は絶対に無理にはめようとしないで下さい.はまり方がおかしいと少しでも感じたらすぐに作業を中止し,位置合わせからやり直して下さい.作業を強行した結果どこかに引っかかって動かなくなったという場合には(注),無理な力で押したり引いたりすると金具を変形させてしまう危険性があります.
 注:不器用な筆者は何度もこの事態に陥っていますが,その度に血が凍るような思いをしています.ただ,幸いにもこれが原因でFDDを破損したことはありません.

破損に注意しながらフラップ(特にばねがはまっている長い突起部分を折らないように注意),イジェクトボタン,天板を元に戻して動作確認を行います.


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