FD1137Dの分解と修理


FD1137Dの分解方法については,暇つぶし工作 の ジャンク品、NEC、PC-9801UXを買ってみました,その2。(2016年3月6日の記事) に画像入りのわかりやすい記事が掲載されています(この記事は試運転さんに教えていただきました).

しかし上記の記事では制御基板の取り外し方については扱われておりませんので,本記事ではこの事項を含めたFD1137Dの分解の手順と簡単な修理の仕方について説明します.FDDは精密機器であるということをつねに念頭に置きながら慎重に作業を進めるようにして下さい.なお以下に示すFD1137Dの画像は,メーカー不明(磁気研究所でしょうか)の "PC Line Max II 3.5 INCH 2DD/HD FDD" という外付け3.5インチFDDに内蔵されている,イジェクトボタンが角形(長方形)のものですが(注1),イジェクトボタンが小判型(楕円形)で,フロントベゼル(FDDの前面パネル)の形状が異なるFD1137D(PC-9801DX/DS/DAのU2モデル等に内蔵されているもの)も同様の手順で分解と修理が可能です(注2).またVFOのないタイプであるFD1137Cの分解と修理も同様です.
 注1:PC-9801UX/UV11/EX/ES等内蔵のものも,これと同様の形状のフロントベゼルとイジェクトボタンを備えているようですが,フロントベゼル内部の形状はやや異なるようです.
 注2:フロントベゼルとイジェクトボタンの形状が異なるFD1137Dの比較画像が,ex709さんの2019年9月19日のツイート(123)にあります.

■シャーシのネジを外す
天板(シャーシの上蓋)のネジと本体フレーム固定用金具のネジを外します(白丸の部分).FDDを正面から見た場合,右側に位置する固定用金具にはMR,左側に位置する固定用金具にはMLの刻印があります(注).天板およびシャーシ下部とフロントベゼル(FDDの前面パネル)の噛み合わせがどうなっているかよく確認しておいて下さい(緑四角の部分).
 注:この金具には,PC本体に外から力が加わった場合にFDDへのダメージを抑える機能もあるとのことです[試運転さんの2020年9月29日のツイート(12)を参照].


FD1137D,FD1138T,FD1139Cなどのアルミニウム薄板製シャーシのFDDの分解作業では,金属製の工具を用いると多かれ少なかれシャーシに傷を付けてしまい,また特にこの種の作業に不慣れな場合にはシャーシの一部を変形させてしまいがちです.これについては仕方のないことと割り切ってしまうのがよいでしょう.金属製のドライバー等の代わりに割り箸等を加工したものを使うなどして作業をすれば,シャーシに傷が付くのを減らすことができるかもしれませんが,筆者はユーザー自身が自分のFDDをメンテナンスする際にはそういった事柄にまで神経を尖らせる必要もなかろうと考えます.むしろ使いやすい工具を使用して作業を容易にし,不具合を確実に解消する方向を目指す方が生産的でしょう.

■シャーシを上下に分離する
天板側面後部の隙間にマイナスの精密ドライバを差し入れるなどして天板後部を上側に少しずらします.


それが終わったらFDDの背面と反対側の側面でも同様の作業を行って天板を後ろ側から浮かせていき,最後にフロントベゼル上部の噛み合わせ部分から天板を慎重に引き抜き,天板とシャーシ下部とを丁寧に分離します.FDDの背面では天板の電源コネクタの穴の下にツメ状の突起があることに注意して下さい(画像の矢印の先).


シャーシが上下に分離された様子です.シャーシ下部の上縁に天板の下縁が乗っている状態になりますが,この時天板を上に持ち上げて外そうとしないで下さい


天板の下縁がFDDの内側に向けて直角に曲げられた造りになっているため,天板を上に持ち上げるとFDD内部の制御基板も一緒に持ち上がってしまい,フライホイールの取り付けられている基板と制御基板とを繋いでいるフレキシブルケーブルを傷めてしまう恐れがあります.


天板はFDDの背面方向にスライドさせれば安全に外すことができます.修理後には天板を反対方向にスライドさせて戻します.



■フロントベゼルとイジェクトボタンを外す
フロントベゼルの上部を背面方向に倒すなどして慎重に取り外します.これは開口部の下にある二つの四角い穴にフライホイールの取り付けられている基板の黒いツメがはまることで固定されています.経年劣化によりプラスチックが劣化して割れ/砕けやすくなっていることも多いので,作業は慎重に行って下さい.なおフロントベゼルには3Dプリンタによる同人ハードウェアがあります(破損しやすくかつ個人での作成が容易でない部品ですので,本ウェブページでも紹介します).


イジェクトボタンは後部のスリットにシャーシ下部の突起がはまることで固定されています.



■制御基板を外す
制御基板を取り外すには,左側面にある四本のケーブルを抜く必要があります.
まず一番後ろの①の4ピンケーブルを抜きます.このケーブルは上下のコネクタの間にマイナスの精密ドライバーの先を差し入れるなどすれば簡単に抜くことができます.次に①・②・③のケーブルを固定している白いプラスチック部品を外します(下の画像はここまでの作業を行った状態のもの).この時,白いプラスチック部品から①の黒いコネクタを取り外す必要はありません.


次に制御基板を下にして②と③のフレキシブルケーブルをラジオペンチなどを使って引き抜きます(注).最後に④のケーブルを抜きます.ケーブルを指の腹でFDD内部の金属板に押しつけながら,制御基板の黒いコネクタを左右から少しずつ押し下げるような感じでゆっくり引き抜くとよいでしょう.ケーブルを破損しないよう十分に注意して作業して下さい.
 注:②と③のフレキシブルケーブルは長さが異なりますが,PC-98LTの一部で使用されているFD1137C(P/N 134-500519-007-0/制御基板表:G8…の文字列なし,134-856158-6-7/制御基板裏:別々の紙シールにそれぞれ G8BHD,134-836331/フライホイール基板:LS-37 YG-6794V-0)のものでは長さが同じため,再組み立て時に誤ったコネクタに接続してしまう危険性があります.この場合,分解時にケーブルにマーキングする等の工夫が必要でしょう.このFD1137Cは製造が1987年10月とかなり古く,またヘッドにMITSUMIのロゴがあるなどから,ヘッドまわりの製造ををMITSUMIに委託したFD1137族の最初期あるいはそれに近い時期のロットと推測されます.この時期にはNEC内部でFD1137族のヘッドのコネクタの位置や向きが正式には決まっていなかったため,MITSUMIにヘッドの製造を外注する際に,やむを得ず二本のフレキシブルケーブルの長さを統一したのかもしれません(本注の記述は試運転さんからの私信に基づきます).

下の画像は,ケーブルを四本とも抜き,制御基板を取り外した状態のものです.



■使用されている電解コンデンサについて
下の画像は,外付けFDDの PC Line Max II 3.5 INCH 2DD/HD FDD に内蔵されている,P/Nが134-500534-207-0(制御基板はG8BEN,紙のシールには134-836304 890111P 25・0188,基板上(部品面)には134-856158-9-10とそれぞれ表記)のFD1137Dの制御基板,およびフライホイールの取り付けられている基板(633101D LS-37 KU-0494V-0 の三つの文字列がありますが,どれが基板番号なのか不明)のもので,取り付けられている電解コンデンサは,16V-47μF(直径6mm,高さ6mm)の基板貫通型(C1)が1個,6.3V-22μF(直径4mm,高さ6mm)の基板貫通型(C2)が1個(注1),10V-10μF(直径3mm,長さ5mm)表面実装型(C60)が1個,16V-10μF(直径4mm,長さ6mm)の表面実装型(C11)が1個の計4個でした(注2).
 注1:本来は耐圧10V以上のものを使用すべきであり,交換する際には耐圧が10V以上のものを使用して下さい.なお他のP/NのFD1137Dでも一部のコンデンサに耐圧が6.3Vのものが使用されていますが[下を参照.またnoconaさんの2020年12月8日のツイートによれば,P/Nが134-500534-211-0のFD1137Dでも同様とのこと],これらも本来は耐圧10V以上のものにするべきです.
 注2:PC-9801UV11の一部で使用されているFD1137D(P/N 134-500534-207-0,制御基板の部品面には 134-856158-9-10 とあり)の電解コンデンサの構成も同じです[web6047 --> diary - 2021_09 --> PC-9801 UV11 購入に踏み切った - その4(2021年9月24日の記事)を参照].


ただし電解コンデンサの種類と個数は,同じFD1137Dでも様々です.例えば上に挙げたものと同じP/Nが134-500534-207-0のFD1137Dでも,電解コンデンサの個数(容量は不明)が異なるものがあります(注1).PC-9801UXで使用されているもののようです(注2).おふがおさんの2020年9月28日のツイートの画像から切り出し,60%に縮小したものと180゜回転し半分に縮小したものとを併置し,ガンマ補正値を上げ楕円を描き加えた後jpg形式に再変換した画像を引用します.制御基板はG8BENで,紙のシールには134-836304 71115A 13E6852とあり,基板上に印字された文字列は134-856158-6-7です.基板上に印字された文字列と電解コンデンサの容量は,おふがおさんの2020年9月28日のツイート(123)に拠ります(注3).
 注1:おふがおさんの2020年12月11日のツイートによれば,PC-9801LS5のFD1137Dは,フロントベゼルが灰色で,P/Nが134-500534-210-0ですが,制御基板は上に挙げたFD1137Dと同じもの(G8BEN,紙のシールには134-836304とあり,基板上の文字列は134-856158-9-10)が使用されています.またおふがおさんの2021年4月24日のツイートによれば,PC-9801LX5CのFD1137DのP/Nも 134-500534-210-0 です.
 注2:この機種では他にP/Nが134-500534-001-0のFD1137Dが使用されているものがあることを確認しています.HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_1 PC-9821・9801・PC98-NX・PC/AT互換機用3.5インチFDDの互換性一覧表 の 98-2-25グループ にも記載があります(注2.1).
    注2.1:HAMLIN's PAGE宛に筆者がお伝えしてきた情報は,ある時期から先方の記事に反映されることがなくなりましたので,この互換性一覧表の 98-2-25グループ の記事に未収録の事項で,筆者が把握しているものも本記事に載せていきます.
 注3:このFD1137Dのフライホイール基板(LS-37 KU-T194V-0)のC8・C9・C10(いずれも10V-10μF,下図の赤楕円の部分)には無極性電解コンデンサが使用されているいるようです.これはよく似た LS-37 YG-6794V-0 のフライホイール基板でも同じです.なお後者の基板ではC2(? 下図の水色楕円の部分)の取り付け位置に+のシルク印刷がないそうですが,前者の基板にはこれがあります[きょろサンチームさんの2021年4月20日のツイート(12)を参照].


またP/Nが134-500534-218-0のFD1137D(制御基板はG8BEN,紙のシールには134-836304 910731 P 39・0436,基板上には134-856659-4-5とそれぞれ表記)では,6.3V-47μF(高さ6mm)の基板貫通型(C1)が1個,6.3V-22μF(高さ6mm)の基板貫通型(C2)が1個,10V-10μF(直径3mm)の表面実装型(C3,C10)が2個,16V-10μF(直径4mm)の表面実装型(C11)が1個の計5個が取り付けられています(このデータと下の画像は試運転さんよりいただきました)(注1・2).なおこのP/Nと制御基板のFD1137DはPC-9801UV11で使用されていることを確認していますが(注3),この機種ではP/Nが134-500534-207-0(制御基板はG8BEN,134-856158-7-8)や134-500534-211-0(制御基板はG8BEN,134-856659-3-4)のFD1137Dが使用されている場合もあります(注4).


 注1:上に挙げた,PC Line Max II 3.5 INCH 2DD/HD FDD に内蔵されているP/Nが134-500534-207-0のFD1137Dの制御基板には,C3とC10のパターンがありません.
 注2:P/Nの末尾に-0のないP/N 134-500534-218のFD1137D(制御基板はG8BEN,紙のシールには134-836304 910523A 39・ 8138,基板上では134-856659-4-5とそれぞれ表記)というFD1137Dもありますが,おふがおさんの2020年11月27日のツイートの分解画像を見る限り,直下の画像のP/N 134-500534-218-0のFD1137Dと同じものでしょう.
 注3:HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_1 PC-9821・9801・PC98-NX・PC/AT互換機用3.5インチFDDの互換性一覧表 の 98-2-25グループ では,P/Nが134-500534-218-0のFD1137Dは,PC-9801DX/DSやPC-H98 model60で使用されているといいます.FD1137Dとしては最も一般的なものでしょう.なおこの表にはP/Nが134-500534-201-0(制御基板はG8AEB)のFD1137Dは収録されていませんが,これはTSUKUMOC製の3.5インチ外付けシングルドライブFDDユニットのTS-3EX(TS-MFD)やDAC製(?)の3.5インチ外付けシングルドライブFDDユニットのXCHG-31でで使用されています.またP/Nが134-500534-206-0のFD1137D(制御基板はG8BEN,紙のシールには134-836304と表記)のFD1137Dもあり,PC-9801CVで使用されていることを確認しています(フロントベゼルとイジェクトボタンが本体のフロントパネルの色に合わせた茶色のもの).これもHAMLIN's PAGEの表には未収録となっています.
 注4:P/Nが134-500534-207-0のFD1137Dの制御基板では G8AEB 134-836158 の文字列が黒マジックで消されている(ものがある?)といいます(noconaさんの2020年12月8日のツイートを参照).

文豪7M IIで使用されている,P/Nが134-500534-213-0のFD1137D(制御基板はG8BEL,紙のシールには134-836302,基板上には134-856659-3-4とそれぞれ表記)と,PC-9801EX/ESで使用されている,P/N 134-500534-211-0のFD1137D(G8BEN,紙のシールには134-836304,基板上には134-856659-3-4とそれぞれ表記)の制御基板とフライホイール基板の画像が公開されました.両FDDでは,フライホイール基板(LS-37 KU-0494V-0)は共通(P/N 134-500534-213-0 と P/N 134-500534-218-0のものとも恐らく共通)で,また制御基板も,C1の位置に取り付けられている電解コンデンサの耐圧が異なる以外は全く同一です[noconaさんの2021年2月16日のツイート(123)を参照].電解コンデンサの種類は一部明らかではありません.下にP/Nが134-500534-213-0のFD1137Dの制御基板とフライホイール基板の画像を示します.noconaさんの2021年2月16日のツイート(12)の画像から切り出して60%ないし40%に縮小したもののガンマ補正値を上げ楕円を描き加えた後併置しjpg形式に再変換した画像を引用します.


アクセスランプが点灯するもののメディアを読み込まないといった症状が出ている場合には,電解コンデンサの液漏れも疑ってみる必要があります.コンデンサを交換する場合には,サイズに気を付けて下さい.元々取り付けられていたものと同じか,できるだけ近いサイズのものでないと,FDDの金属部分と干渉してしまいます.

FD1137DではなくFD1137Cですが,PC-98GS一機種のみで採用されていたものでは(注),34ピン信号コネクタに電源ピンが含まれており(従って独立した電源コネクタがありません),また制御基板も専用品とのことです(この情報はtshさんよりいただきました).
 注:PC-98GSのFDDはFD1137Dとの情報があり,本記事でも長くそのように記載していましたが,正しくはFD1137Cです.大久保システムズのホームページへようこそ! --> f.変わったPC-98 --> *マルチメディア98-GS でもPC-98GSのFDDはFD1137Cとなっています.またasayanさんの2022年7月15日のツイートからは,PC-98GSのFD1137Cでは34ピンコネクタの34ピンが電源ピンであると読めるのですが,筆者にはステッピングモーター(やソレノイド)も内蔵している3.5インチFDDの電源ピンがピン一本だけというのは少なすぎるように思え,また通常READY信号が割り当てられている34ピンに電源ピンが割り当てられているというのも考えにくいように思えます.
 追記:PC-98GSのFD1137Cの制御基板の一部の画像が見つかりました.asayanさんの2020年9月26日のツイートの画像から切り出したものを2/3に縮小後90゜回転しjpg形式に再変換した画像を引用します.


制御基板名はG8CCCで,基板上の文字列は134-856527-0-1,基板上には他にTCMK-81Xの文字列もあります.確かに独立した電源コネクタがありません.またDX設定用スイッチがスライドスイッチでなくジャンパスイッチになっています.制御基板は下に示すPC-98LT用のFD1137C(基板名G8CXM,P/N 134-856657-5-6)のものと一見似ていますが,よく見るとかなり異なっています.

試運転さんよりいただいた二種類のFD1137Cの制御基板の画像と電解コンデンサのデータを下に示します.画像右のものでは,DX設定用スイッチがスライドスイッチでなくジャンパスイッチとなっています.


P/N 134-500519-007-0のFD1137Cは用途不明とのことですが,このP/Nの黒ベゼルのFD1137CはPC-9801LVで使用されていることを確認しています(注1・2).HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_1 PC-9821・9801・PC98-NX・PC/AT互換機用3.5インチFDDの互換性一覧表 の旧版である エマティなリサイクル --> 研究発表会 --> 98用3.5インチFD互換性表 では,P/N 134-500519-007-0の黒ベゼルのFD1137CはPC-98LT用とされていましたが,現在の PC-9821・9801・PC98-NX・PC/AT互換機用3.5インチFDDの互換性一覧表 では,P/N 134-500519-007-0のFD1137Cは外付けFDDで使用されているものではないかとされ,P/N 134-500249-007-0のFD1136CがPC-98LT用のFDDではないかとされています.なお同表ではP/N 134-500519-008-0のFD1137Cの用途は空欄となっています.また同表によれば,FD1137CにはP/N 134-500519-217-0のもの(用途は不明)も存在するといいます.筆者は,FD1137Cには他にP/N 134-500519-209-0のもの(PC-286LS/386LS用)と,P/N 134-500519-308-0(PC-286US用)が存在することを確認しています.これらP/Nの異なるFD1137C間の互換性に関しては全くデータがありません(注3).なおPC-286LS/386LS用のP/N 134-500519-209-0のFD1137Cは,フロントベゼルとイジェクトボタンが他のものと大きく異なっています.下に有限会社フェイスライブス --> Tips --> PC-286LS/PC-386LS解体新書 に掲載されている画像から切り出してjpg形式に再変換した画像を引用します.画像中の円弧状の赤線は元画像のものです.


   注1:PC-9801LVで使用されているFD1137Cには,直上の画像のものと異なる構造のものがあります(おふがおさんの2020年12月21日のツイートを参照).このFD1137Cの制御基板はG8BHD,紙のシールには134-836331,基板上には134-856158-7-8とそれぞれ表記されています[基板上に同一の文字列を持つ,P/Nが134-500534-207-0のFD1137Dの制御基板(noconaさんの2020年12月8日のツイートを参照)と同じく,G8AEB 134-836158 の文字列が黒マジックで消されています].フライホイール基板は P/N 134-500534-218-0 のFD1137Dのものと同じ LS-37 KU-T194V-0 です.特筆すべきはアクセスランプがないことと,ヘッドロード機構がないことです(注1.1).
      注1.1:FD1137Dにもヘッドロード機構のないものがあり,またヘッドロード機構のあるものとないものの間には互換性があるということです.[なにもしない研究所@牛乳は毒物か人体実験中 FD1137Dの亜種? (2013年5月4日の記事)を参照](注1.1.1・1.1.2).なお上記のPC-98GS用のものを別にしても,どのFD1137D(あるいはFD1137C)でも,他の同型番のFDDと相互に入れ替えて使用できると結論するにはデータが不足していると筆者は考えています.他のFDD,例えばFD1138DFD1138TFD1138Cでは,型番は同一であっても "一般的な" ものとは互換性の低い,あるいは互換性のないものが存在することを確認しているからです.
          注1.1.1:P/Nが 134-500534-020-0 のFD1137D(制御基板はG8CBX,紙のシールには 134-836522,基板上には 134-856659-4-5 とそれぞれ表記)にはヘッドロード機構がなく,制御基板もヘッドロード機構用のコネクタを備えていないことが確認されています[おふがおさんの2022年4月3日のツイート(12)を参照].なおヘッドロード機構がない個体に他の個体からヘッドロード機構を移植することも可能です[おふがおさんの2022年4月3日のツイート(123)を参照].
          注1.1.2:"日本電気株式会社 (1988). FD1137D 3.5"フロッピィディスク装置仕様書(806-520689-0) REV.3." によれば,FD1137Dのヘッドロード機構は工場オプションとされています.またこの資料によれば,FD1137Dの待機時電流,起動時電流,定常時電流は,順に 5mA,820mA,370mA(ヘッドロード機構なしでのREADY時.但しターミネータが2kΩの場合)/450mA(ヘッドロード機構あり)で,消費電力は1.9W(ヘッドロード機構なし)です.
   注2:P/N 134-500519-007-0のFD1137Cにはフロントベゼルがベージュ色のものも存在し(同一P/Nで構成の異なるFDDがあるとは驚きです),これはPC-286X/PC-386のマルチドライブスロットに増設する3.5インチFDDユニットであるPCFDUで使用されていることが判明しています.なおPCFDUはFD1137Cを5インチベイに取り付けるためのフロントパネル付きフレーム金具と信号・電源ケーブル変換基板を持っていますが,フレーム金具の底面には FD5137C(P/N 134-500585-608-0)のシールが貼られています.
   注3:PC-286US用の P/N 134-500519-308-0 のもの(制御基板の紙シールには G8AUL 134-836232 とあり)は動作に+12Vも必要ですが(+12V=1.2W/+5V=1.1W),一般的な単一電源のFD1137Dで(PC-286USで)代替できていたとの報告が現れました(遠州秋風さんの2022年3月10日のツイート を参照).

試運転さんより新たに二種類のFD1137Cの制御基板の画像と電解コンデンサのデータをいただきましたので,下に掲載します.いずれもPC-98LTで使用されていたものであり,FD1137Cとしては,最初期もしくはかなり早い時期のロットと思われます.


画像左は1987年10月製造の P/N 134-500519-007-0 のもので,制御基板の表側には 134-856158-6-7 の文字列があります.G8…の文字列はありません.裏面には G8BHD と 134-836331 と書かれた紙のシールが貼られています.これらの文字列は通常一枚の紙シールに印字されているものですが,このFD1137Cでは二枚のシールに分けて印字されています.この G8BHD と 134-836331 という文字列は,おふがおさんの2020年12月21日のツイート にあるPC-9801LVで使用されているFD1137C(上記を参照)の基板裏面の紙シールのものと同じですが,基板表側の 134-856158-6-7 の文字列はおふがおさんのツイートのFD1137Cのもの(134-856158-7-8)とは異なり,また基板表裏のパターンや実装されている電解コンデンサも異なっています(試運転さんによれば,FDD内部の制御用コントローラーも異なっているといいます).また両者はフライホイール基板も異なっており,おふがおさんのツイートにあるものでは LS-37 KU-TI94V-0,画像左のものでは LS-37 YG-6794V-0 の文字列があります.なお画像左のFD1137CのヘッドにはMITSUMIのロゴがあり,また通常は長さが異なっているヘッドからの二本のフレキシブルケーブルの長さが等しくなっています(上の "制御基板を外す" の節を参照).なお一部のFD1137C/Dでは制御基板とシャーシの間にプラスチック製の絶縁板が挟まれていますが,このFD1137Cの絶縁板は紙のような材質のものであるといいます.
 画像右は1989年11月製造の P/N 134-500519-007-0 のもので,制御基板の表側には G8CXM と 134-856657-6-7 の文字列があります.制御基板とシャーシとの間の絶縁板には茶色のプラスチック板が使用されており,そこに G8BHD 134-836331 と書かれた紙のシールが貼られています.同じくPC-98LTで使用されていた上掲の P/N 134-500519-008-0,制御基板 G8CXM 134-856857-5-6 のFD1137C(制御基板上に青い部分が目立つもの)と制御基板が少し異なっています.なおDX設定用スイッチは P/N 134-500519-008-0 と同様に,スライドスイッチでなくジャンパスイッチとなっています.

■フロッピーディスクが奥まで入らない・入りにくい場合の対処
フロッピーディスクを挿入しても中まで(あるいは最後まで)押し込めない,または抵抗が強く押し込みづらい場合には,フロッピーディスクを格納する部分の金具のスライド部分(画像の白丸)のグリスが劣化して粘性が高くなっていることが考えられます(ジャンクオーディオ研究室 --> 旧型 PC --> PC9801DS/U2 を参照).この場合,劣化したグリスを丁寧に除去し,良質のグリスを新しく塗ることで症状を改善させることができます.グリスはタミヤ製の "セラグリスHG" などの評判がよいようです(かおる@ヤドンさんの2019年11月24日のツイート などを参照).シリコングリス(セラミックグリスより粘度が高い.呉工業のシリコングリースメイトはチューブ入りのペーストタイプと缶入りのスプレータイプあり)を奨める方もいます[kobefs@パソコンの人☆彡さんの2020年7月19日のツイート(12)などを参照].自転車用のSHIMANO製プレミアムグリスという選択肢もあります(かおるさんの2021年9月26日のツイート を参照).また古いグリスを徹底的に除去したい場合には,ブレーキクリーナー[ワコーズ(WAKO'S)製 ブレーキ&パーツクリーナー BC-8 など]を使用するとよいかもしれません[はにはにのヴィンテージPC新品再生ブログ --> NEC PC-9821AP初代のドライブの修理と内臓HDDをCFカード化をしました(2016年3月25日の記事)を参照].なおブレーキクリーナーによっては,洗浄液が気化熱を奪うために噴射された部品が急激に冷却され結露する(水浸しになる)場合がありますので,使用には注意して下さい.またグリスの塗り過ぎと飛び散りに注意して下さい.なおFDDに使用される潤滑剤に要求される性能は,ベアリング用のグリスに要求されるものと同等といいます(ジュンツウネット21 --> Q&A 潤滑油そこが知りたいQ&A --> グリース --> フロッピーディスクドライブに使用される潤滑剤 を参照).



■フロッピーディスクが排出されにくい場合の対処
イジェクトボタンを押してもフロッピーディスクが排出されにくい,フロッピーディスクが途中までしか出てこないといった症状が出ている場合には,フロッピーディスクを押し出す機構のグリスが劣化して粘性が高くなっていることが考えられます.上と同様に対処します.


左側の画像の白丸の下側に凹んでいる部分は,フロッピーディスク挿入時と排出時に下の金属板の上をスライドするようになっており,また右側の画像の白丸の軸も,フロッピーディスク挿入時と排出時に,右側で接触している金属板の側面に沿ってスライドするようになっています.この二箇所を中心に処置を行うとよいでしょう.グリスの塗り過ぎと飛び散りに注意して下さい.

■マイクロスイッチの劣化への対処
FD1137Dにおける不具合としては,フロッピーディスク検出マイクロスイッチの接点の劣化が以前からよく知られています(注1).PC-9801EX/ESあたりまでの機種では,この不具合はリコールの対象にもなったように聞いています(注2).この接点が劣化すると,フロッピーディスクを入れても認識されない,フロッピーディスク入れ替え後の挙動がおかしい,フロッピーディスクを挿入していないのにアクセスランプが点滅する/突然ガッガッ…(あるいはブブブ…)という音がする等の症状が出ます.なおこれらの症状はFD1138TやFD1139Cなど他のFDDでも多発します.またFD1231TやOSDE-15G-Uなどでも報告があります.
 注1:ライトプロテクト検出スイッチの接点も劣化します(注1.1・1.2).これが生じると,メディアが書き込み禁止状態になっていなくても "ディスクが書き込み禁止になっています" というエラーメッセージが表示され,メディアへの書き込みができない場合があります[web6047 --> diary - 2021_09 --> PC-9801 UV11 購入に踏み切った - その5(2021年9月25日の記事) や てんまにちゃんさんの2022年2月28日4月13日のツイート を参照].また逆に,ライトプロテクトノッチをずらして書き込みやフォーマットができない状態にされたメディアでも,データの書き込みやフォーマットができてしまう場合もあるといいます(Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> PC-9801US を参照).
    注1.1:メディア挿入の有無に伴うFD1137Dのマイクロスイッチ接点のショート/オープンは,1991年製造分から逆転しているとの見解があります[noconaさんの2020年11月14日・12月8日(12)・2021年2月16日のツイート および おふがおさんの2020年12月8日のツイート(12)を参照].
    注1.2:OSDE-15G-Uのマイクロスイッチ端子のピンアサイン情報が,舐醤油????さんの2022年3月29日のツイート に掲載されています.
 注2:Phinloda is here. --> No.274「読ませる文章 (1)」 --> [↑一覧] --> -162-「訴訟2題」(1991年12月19日の記事)などを参照.

接点復活剤(注)を注入する(5インチ・8インチのFDについてかたろー の215番の投稿,および PC9800U/UV/UV2を入手したいのですが の290番の投稿 を参照),外部スイッチに交換する(有限会社フェイスライブス --> Tips --> ★ 未整理 ★ 3.5"FDD改造修理 を参照)などが試されていますが,いずれも根本的な解決法ではありません.マイクロスイッチを新品に交換してしまうのが最善なのですが,筆者は今のところこのスイッチの代用となるスイッチの型番を明らかにできていません.
 注:接点復活剤の安易な使用に対しては,かなり強い警告もなされています[ハマチさん@セガサターン生活のススメさんの2020年11月1日のツイート(12),じゃば@ヒミツキチさんの2020年11月2日のツイートPHILE WEB困ったときの「接点復活剤」、むやみに使うと危ないかも?(2020年9月23日の記事)などを参照].

スイッチ自体を分解して接点を清掃するという方法もありますが,細かな作業になるため,難度が高くなります.FD1137D,FD1138D,FD1138C,FD1138T,FD1148T,FD1139C,FD1139Tのマイクロスイッチの具体的な修理方法については,ワイルドで現金な邪念の掃き溜め の PC-9801USのメンテナンス その11(2011年2月1日の記事)と PC-9801USのメンテナンス その12(2011年2月2日の記事),Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> PC-9801US の おまけその5 水没機・ヤニ漬けAnを磨こう! ~PC-9821Anのレストア~ の項,偶にっ記 --> 古いパソコン(2015年3月5日の記事)等を参照して下さい.てんまにちゃん(健全裏垢)さんの2020年5月30日のツイート(123)や ちま??ちまさんの2020年7月6日のツイート,えふでぃ~さんの2022年4月13日のツイート にも情報があります.なお接点を清掃しても,数年後には再度劣化して不具合が再発するとの指摘もあります(PC-9821/9801スレッド Part86の794番の投稿 を参照).
 ※Crusher-Kさんより,これらのマイクロスイッチはケース内部でバネが押し縮められた状態になっているため[そのため分解時に勢いよく飛び出してなくしてしまいやすい(注)],分解時には蓋になっている透明プラスチックを真上にゆっくりと引き上げるのがコツ/FD1138系のマイクロスイッチは蓋のツメが深いため分解はより困難/経年劣化で樹脂が硬化しているとツメが折れるかもしれない/内部の接点は磨いた程度では劇的な復活は望めないであろう,とのコメントをいただきました.また試運転さんより,接点の洗浄には,中性の錆び取り剤(エクスクリーン,中性サビカット,ブラスクリーン等)を使用するのが理想的である/サンポールでも出来なくはないが,phが低く強酸性なので,漬けた後にしっかり洗浄(中和)しないと再び接点が錆びたりプラスチックに悪影響が出る可能性がある,とのコメントをいただきました.
   注:バネの問題の他に,小さな部品をなくしやすいという問題もあるため,袋の中での分解作業を推奨する人もいます(ちま??ちまさんの2022年2月28日のツイート を参照).

フロッピーディスクを入れても認識されないという症状は,フロッピーディスク検出マイクロスイッチのプラスチック製の棒状の押下部分がフロッピーディスクの抜き差しによって摩耗して,フロッピーディスク挿入時のスイッチ押下が不十分となり接点間が接触しなくなることによっても起こり得ます(どるこむの過去ログ,[14738] 98UV を参照).

FD1137Dでは,他にヘッドローディング機構の経年劣化(部品の摩耗)による故障もあるようです(スラドの "NECのPC-9800シリーズ、遂に幕"(2003年8月7日の記事)への コメント#374901 を参照).またヘッドをスライドさせる部分の潤滑の悪化によるものでしょうか,ヘッドが動かなくなる故障もあるといいます(おふがおさんの2021年4月23日のツイート を参照).また前期型(?)では,ヘッドの土台を固定しているネジが緩んでヘッドの位置がずれやすくなっているともいいます(おふがおさんの2020年9月27日12月12日のツイートを参照).

■再び組み立てる
分解時と逆の手順で丁寧に組み立て,動作を確認します.フロントベゼル等のプラスチック部分やフレキシブルケーブルの破損に注意し,また天板とシャーシ下部がフロントベゼルと元通りに噛み合っているか,電源コネクタの穴の下のツメ状の突起が元通りにはまっているかなどにも注意して下さい.


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