「PC-9821 FDDのページ」について


さいた さんが運営されていた PC-9821 FDDのページ(注1・2) は,今やPC-98のFDDに関心を持つ人で知らない者のない ,HAMLIN さんの HAMLIN's PAGE の初期コンテンツの一部が,エマティ・なにわ さんの エマティなリサイクル の「研究発表会」において公開される以前は,PC-98のFDDに関するまとまった資料を公開している殆ど唯一の開かれたウェブページではなかったかと思います(HAMLIN さんの最初期の資料の一部が初めて現れたのも,PC-9821 FDDのページ の「98FDDの掲示板」上でした).
 注1:親ページは さいたのページ.さいた さんが経営されている東京グリーン社の情報もこちらにあります.
 注2:"PC-9821 FDD" は全角文字での表記です.本ウェブページでは,英数字は基本的に半角文字で表記していますが,本ウェブページで引用されているウェブページの名称や記事のタイトル,および著者/投稿者のハンドルネームは,原表記に従い,全角文字が使用されている部分は全角文字で表記しています.

「PC-9821 FDDのページ」は,WWWやSNSを通じて,PC-98のFDDの信号に関する記事が掲載された書籍や雑誌の書誌情報(どの本/雑誌に何に関する情報が掲載されているか)が広く知られるようになり,HAMLIN さんをはじめとした有志による研究成果が多く入手できるようになった現在から見れば,その内容に疑問を感じるところも一部あるにはありましたが,全体としては他に類のない非常に貴重な数多の資料が惜しげもなく公開されている素晴らしいウェブページでした.しかし残念なことに随分前に閉鎖されてしまいました(一部のファイルはInternet Archive内に残されています).

このウェブページが公開されていた当時は,筆者はまだFDDというものにさしたる興味もなく,FDDに関する知識も皆無に等しかったので,これらの資料も殆ど理解できなかったのですが[自分には難しすぎるものと決めつけて,理解しようとする意欲さえも湧かなかったたというのが正直なところです. 98FDDの掲示板(9821FDD伝言板) でも,FDD以外の話題の時だけ参加していました],PC-98のFDDに関連したいくつかの調査結果を自ら公表するようになった後で,Internet Archive内に保存されていた PC-9821 FDDのページ の資料に改めて目を通すと,正直なところ,もっと早くにこれらの資料を理解する気になっていれば良かったと悔やまれました.さいた さんがどるこむその他のPC-98関係のBBSを去られて以降も,それらのBBSではPC-98のFDDに関する質問が相次ぎましたが,そこで当時解決をみなかった問題に対する直接的な回答となる情報や,回答の手がかりとなる情報の少なからぬ部分が,実はすでにこのウェブページで公開されていた資料に含まれていたということが,筆者などは今になってようやくわかりました(注1・2).
 注1:筆者がPC-98のFDDに興味を持ち,また自らもそれに関して研究を始めたのは,HAMLIN さんによる資料が一通り公開された後のことです.HAMLIN さんは主としてPC-9821の3.5インチFDDの基礎的な問題を研究対象として選ばれていましたので,筆者はHAMLIN さんの資料から出発し,HAMLIN さんの直接扱っていない種類のFDDと,応用的な問題について検討し,HAMLIN さんの業績を一部なりとも補完することを目指しました.
 注2:PC-9821 FDDのページでは,PC-9801B3-K01やPC-9821-K08の結線情報さえ掲載されていました.筆者がそれに気付いたのは,筆者自身がPC-9801B3-K01の実物("BX3専用5インチFDD内蔵用ケーブル" として譲渡されたものでした)の結線を調査し,またHAMLINさんによるPC-9821-K08の結線調査結果が公表されてから相当後のことでした.どるこむなどでもこれらのケーブル,特にPC-9821K-08の結線に関する質問は過去何度か出ていましたが,HAMLINさんの調査結果が現れるまでは誰も回答できていませんでした.最初の回答は,infoseek時代のエマティなリサイクル の 研究発表会用掲示板 にHAMLINさんの資料が投稿された当日に筆者が行ったものです(どるこむの過去ログ,[45822] FD1158Dの接続方法 を参照).

東京グリーン社の営業内容には,FDDの清掃や整備,販売,またその関連部品(ご自身で製作された物も含め)の販売といった項目も含まれておりましたので,今と異なりPC-98用のFDDがジャンク品として安価にかつ多数出回ってなどいない時代に,他の人々に比べ,FDDとその関連部品について調査する機会をはるかに多く持てておられたのだと思います.営利活動を行う上では,得られた資料や独自の研究成果をご自分のところだけに留めておくことが有利だったはずですが,この方はそういう選択はされず,四半世紀近くも前の時代にウェブページを通じてそれらを一般に伝えておられたわけです.若輩者がこのようなことを言うのは失礼に当たるかもしれませんが,なかなかできることではないと思います.

偉大な先達に敬意を表します.


トップページ