PC-9801-87(およびその互換I/F)に
8インチFDDを接続


PC-9801BX/BA以降のPC-98用の1MB FDD I/FであるPC-9801-87およびその互換I/Fでは,外付けFDDケーブルを接続するための外部コネクタに8インチFDDの動作に必要な四つの信号(Low Write Current,Two Side Disk,File Unsafe,File Unsafe Reset)の端子がありません(PC-9821As2/Ap2/An/As3/Ap3用の1MB FDD I/FであるPC-9821A-E02およびその互換I/Fの外部コネクタには,PC-9821Af以前の機種の本体内蔵1MB FDD I/Fの外部コネクタと同様にこれらの信号の端子が存在します).

従ってPC-9801-87,およびその互換I/Fには8インチFDDを接続して使用できないはずなのですが(注),これらにFD1165A等を接続して8インチFDDの読み込みができているとの報告がインターネット上に散見されます(Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> こだわりV166 など).

注:例えばLogitec製のLFA -19のユーザーズマニュアル(LFA-19 V08A,1998年10月改訂)には,(Logitec製の)8インチ1MBの外付けFDDユニットも接続できるが,PC-9821As2/Ap2/An/As3/Ap3のみ対応との記載があります.つまりPC-9821A2-E02互換I/Fとしての構成で使用した場合のみ8インチFDDが使用できると明言されています.

これらの報告の追試を行いました.使用したPC本体はPC-9821Xs/U7W(CPU = LOW,外付けFDD = #1・#2,内蔵FDD = #3・#4)で,外付け8インチFDDはPC-9881K(ドライブはFD1165Aが2台),1MB FDD I/FはSAFRONIC製11-0671-B,OSはMS-DOSのver.3.1とver.6.2です.PC-9881Kは本体に1MB FDD I/Fを持つPC-9801US(CPU = LOW,外付けFDD = #1・#2,内蔵FDD = #3・#4)で予め動作を確認してあります.


結果,8インチFDのフォーマットが可能で,フォーマットした8インチFDを使用した3.5インチFD-8インチFD間・8インチFDどうしのファイルの個別コピー・ディスクコピー,MS-DOSシステムの起動・ファイラFDの起動・VZエディタの起動とテキストファイルの読み込みが可能でした.またVZエディタで作成したテキストファイルの保存と保存したファイルの読み込みも可能でした.これらはMS-DOSフォーマットのFDではデータの読み込みも書き込みも可能であることを示すものと考えます.しかし筆者は他の8インチFDDは持っておりませんので,今回作成したデータFDが別のFDDでも読み込めるかは今のところ不明です.

またPC-9801Eの1MB FDD I/F経由で作成(作成時に使用された8インチFDDの種類は不明)されたと思われる,MS-DOS3.1とMifesがインストールされたFDとDISK BASIC[N88-BASIC(86)]のゲーム(ナムコ製XeviousとCHAMPION SOFT製パソコン棋士)がインストールされたFDからそれぞれのソフトが起動することも確認しました.これは他の環境で作成されたデータを読み込むことが可能なケースがあることを意味します.

また,EPSON製のDISK BASIC(Ver.4.0 REL No.1.0)でのフォーマット,システムディスク・ユーティリティディスクのバックアップも可能であり,簡単なプログラムの保存と保存したプログラムのロードも可能でした.


ごく限定された環境での簡単なテストでしたが,Low Write Current信号を欠くPC-9801-87互換I/Fを経由するという大変イレギュラーな仕方でも,8インチFDの読み書きが可能なケースがあることが確認されたと考えています.

ただし,FDDの全領域,特に後半の領域へのデータの書き込みのテストが十分とは考えていません(注).そのうちテストする予定ではいます.
 注:Low Write Current信号は,Track 0-43でOFF,Track 44-76でONに切り替わります.Naopy Hobby Land --> enter --> PC --> こだわりV166 の 8インチFDDを駆るI/Fについて の項も参照して下さい.

追記:新かべきんブログ --> PC-9801-87カードとRa40(2011年6月4日の記事)によれば,8インチFDDの種類により挙動が異なる場合があるようです.


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