PC-586RXに5インチFDDを内蔵

PC-486MU以降のエプソン98互換機の5インチベイに5インチFDDを内蔵させ,2モード動作させる方法です.

■VFOなし5インチFDDの内蔵

PC-586RXのFDDまわりについて調査し,
(a) 内蔵3.5インチFDDはVFOを内蔵していない
(b) マザーボード上のFDDケーブル接続用コネクタにはDS3信号とDS4信号が来ていないらしい
(c) 内蔵FDDケーブルにFDDを3台接続すると,2台目・3台目のFDDが正常に動作しない
(d) 結局,内蔵FDDケーブルにはVFOなしFDDを2台までしか接続できない
という結論に達しました.

従って本記事で紹介する方法は,内蔵3.5インチFDDが1台の場合にしか適用できません.すなわちVFOなし5インチFDDと共存させられる内蔵3.5インチFDDは1台だけです.

テストに使用した本体はPC-586RXで,5インチFDDはFD-55GFR,SD-680L,VFOを無効にしたFD1155Dです.

本記事では,マザーボードあるいは内蔵3.5インチFDD(SMD-300またはD353T3)と接続する34ピンフラットケーブルコネクタのピン番号の振り方を,コネクタの種類とピン番号の "通常の34ピンコネクタ" でなく,"FD1231T内蔵機種のマザーボード上の34ピンFDDケーブル接続用メスコネクタ"(反転コネクタ)のものに従っています.PC-586RXの内蔵FDDケーブルの記事もご覧下さい.
この記述は本記事の旧版であるエマティなリサイクルの「研究発表会」の「PC-586RXに5インチFDDを内蔵」では漏れていましたのでご注意下さい.


FDDケーブルを作成します.まず34本フラットケーブルの中程にマザーボードとの接続用コネクタ,一方の端に3.5インチFDD用コネクタ,他方の端に 5インチFDD用のコネクタをそれぞれ圧着します.3つのコネクタでケーブルの1番ラインを合わせるようにします.元々内蔵されていたFDDケーブルを参考に,コネクタの向きを間違えないよう注意します.その後マザーボードとの接続用コネクタと5インチFDDコネクタの間のケーブルに以下の加工を施します.

(1) 次の a),b) のいずれかを行います:
 a) FDDケーブルの10番ラインと12番ラインを入れ替え(交差させ),5インチFDDを DS = 1 に設定.
 b) 10番.12番ラインの入れ替えは行わず,5インチFDDを DS = 0 に設定.
(2) 27番ラインを切断し,切断後のラインが周囲とショートしないように処置.このラインはGNDではなく,切断しなければ正常動作しません.
(3) 7・9・11番ラインを切断し,切断後のラインが周囲とショートしないように処置.これらは電源ライン(+5V)であり,切断せずに接続した場合にはFDDが破壊され,FDDケーブルが燃えます.
(4) 1・2・3番ラインを切断し,切断後のラインが周囲とショートしないように処置.

これで5インチFDDが2HDモードで使用できるようになります.2番ラインはDensity信号ですが,筆者の環境ではこの信号が供給されていなくても,SD-680LとFD1155Dではシステム起動まで含めて2DDメディアの読み書きが一応可能でした.しかしDensity信号がきちんと供給されていないと2DDメディアの読み書きの安定性は期待できませんので,この状態で2DDメディアにアクセスすることは全くおすすめできません.

実は2番ラインを接続すると5インチFDDが正常動作しません.また外付けFDDのDensityピンに2番ラインを接続した場合,外付けFDDがやはり正常動作しません.わぴこのほーむぺーじ --> [日記兼掲示板] --> PC-486なFDDのキケン究所 の資料によれば,2HD/2DDモードでのDensity信号の論理がPC-486MUとPC-9821V166とでは逆ということです(エプソン98互換機の内蔵FDDのDensity信号も参照).従って5インチFDDを2モードで動作させるためには,(4)で切断した2番ラインと(3)で切断した7・9・11番ラインに以下の加工を行います.

(5) 1台目のFDD側のラインをインバータICの入力ピンに,2台目のFDD側のラインを出力ピンに接続します.私はたまたま手元にあった74HC04Dを使用しましたが,オープンコレクタタイプの74LS05などの方がよいでしょう.
(6) (3)で切断した7・9・11番ラインのうち,1台目のFDDコネクタ側のラインのどれかをインバータICの電源ピンに接続します(ラインを3本とも接続してももちろん構いません).

ただしFD-55GFRとVFOを無効にしたFD1155Dでは,それぞれLGジャンパとDENジャンパによりDensity信号の論理を反転できますので,(5)・(6)の工作は不要です.

■VFOあり5インチFDDの内蔵

3.5インチFDDを2台内蔵している場合,すなわち内蔵FDDケーブルに3.5インチFDDを2台接続している場合には,内蔵FDDケーブルに5インチFDDを接続して3台目のFDDとして使用することはできません.3.5インチFDDを2台内蔵した本体に5インチFDDを内蔵させるには,1MB FLOPPY DISKコネクタに出力されている信号をVFOあり5インチFDDに供給する必要があります.この場合,本体外部の1MB FLOPPY DISKコネクタに50ピンフルピッチオスコネクタのついたフラットケーブルを接続し,Cバススロットの隙間などからそのケーブルを本体内に引き入れるという方法があります.また本体内部にある1MB FLOPPY DISKコネクタのピンにフラットケーブルをハンダ付けして信号を引き出すという方法もあります.ここでは後者について述べます.

テストに使用したPC-586RXでは,1MB FLOPPY DISKコネクタの個々の信号ピンと導通のあるランドがマザーボード上に用意されており,ケーブルのハンダ付け作業が非常にやりやすくなっています.
それぞれのランドには3つのジャンパ用の穴があります.フロントパネル側の穴を1,リアパネル側の穴を3,中間の穴を2とすると,ランドF66以外は,1・3が 1MB FLOPPY DISKコネクタの特定のピンと導通があり,2がGNDと導通があり.ランドF66では穴3のみが信号ピンと導通があります.

以下 1MB FLOPPY DISKコネクタのピン - 導通のあるランド名 の順です.


ジャンパ線が多数這い回っているためランド名が読み取りにくい場合がありますが,F67はF68とF59の間にあり,F58はF55とF71の間にあります.またF66の穴3にはすでに74LS486の13ピンへのジャンパ線がハンダ付けされています.

具体的な結線の仕方は,VFOありFDDの外付け化の記事をご覧下さい.2DDメディアの読み書きを行えるようにするためには,3.5インチFDD ケーブルからDensity信号ラインを分岐させ,インバーターICを挟んで5インチFDDのDensityピンに接続します.FD1155Dの場合には,DENジャンパによりDensity信号の論理反転を行えばインバータICは不要です.

下は5インチFDD(FD1155D)接続用のケーブル類を取り付けた様子です(Density信号は未結線).


GNDはPC全体で共通ですので,配線を簡単にするため,5インチFDDのGNDピンは1MB FLOPPY DISKコネクタのGNDピンでなく,電源コネクタのGNDピンと接続しました.ただし5インチFDDのGNDピンを1本だけ他のGNDピンと独立させて 1MB FLOPPY DISKコネクタのTwo Side Diskピンに接続しました.これで5インチFDDコネクタを引き抜けば,外付けFDDを接続できるようになります.

使用した5インチFDDであるFD1155Dは,電気的には外付けFDDと全く同じですが,システムメニューのソフトディップスイッチ3での「内蔵FDDの動作モード」がデフォルトの「自動識別」のまま(640KB固定等ではありません)であっても,2DDメディアからのシステム起動が可能でした.
format /u では2DDメディアが選択できず,2HDメディアとして強制的にフォーマットされてしまいます.しかしMATE-AのファイルスロットFDD用のfslot2ddを組み込むことにより,2DDメディアとしてフォーマットが可能になります.fslot2ddのドキュメントによれば,MATE-Aだと内蔵3.5インチFDDが1台の場合,ファイルスロット5インチFDDの2DDフォーマットにはfslot2ddを必要としないということですが,PC-586RXの場合には,内蔵3.5インチFDDが1台でも2台でも,外付けFDD扱いの5インチFDDの2DDフォーマットには fslot2ddが必要でした.なおエプソン版Windows95上でのフォーマットではメニューより2DDメディアが選択できました.