30ピン-34ピン変換ケーブル
(ファイルベイアダプタ付属ケーブル同等品)


aochanさんとはむはむさんより情報をいただきました.

PC-9821As3/Ap3用のファイルベイアダプタ(PC-9821A3-E01)には30ピンメスコネクタと34ピンオスコネクタを両端に持つ短いケーブルが付属しています.これは/M2モデルにおいて,ファイルベイバックボードに内蔵5インチFDDケーブルを接続する際に使用するものです(ファイルベイバックボードのFDDケーブル接続用コネクタは30ピンオスのものしか存在しません).下図はこのケーブルの実物の画像です(はむはむさんよりいただいた画像を加工しました).


ここではこのケーブルを自作するための資料を提供します.

筆者はこのケーブルを所有していません.しかしこのケーブルは,FD1138T用のFDDケーブル接続用コネクタにFD1158C用のFDDケーブルを接続するための変換ケーブルですので,その結線は,FD1138T内蔵機種とFD1158C内蔵機種の両方に対応した1MB FDD I/Fの配線を調べることで明らかにすることができると考えられます.そこでSafronicの11-0671-B上の30ピンオスコネクタと34ピンオスコネクタ間の導通を調べました(注).

 注:本記事における34ピンオスコネクタは,切り欠きの位置を基準とした場合のピンと信号との対応関係(30ピンオスコネクタのピンとの導通)からは34ピンコネクタ①に分類されますが(コネクタの種類とピン番号 を参照),基板上にシルク印刷されたピン番号は34ピンコネクタ②-(2)のものとなっています(※).以前はこれを34ピンコネクタ①としてピン番号を表示していましたが,実際に基板を目の前にすると,どうしてもシルク印刷されたピン番号に気を取られてしまうため,筆者自身にとってもコネクタ間の導通の状況が把握しづらい資料となってしまっていました.そこで本記事では,第三者による内容の検証の際の便宜も考え,34ピンコネクタのピン番号を,シルク印刷の通り,すなわち34ピンコネクタ②-(2)のものとして表示します.これは下のPC-9801BX2/U2のマザーボード上の34ピンオスコネクタの場合も同様です.
  ※これはPC-9821A2-E02とLFA-19(FELLOW/MATE/VALUESTAR用コネクタ)でも同じでした.

以下,導通のあった30ピンオスコネクタのピン - 34ピンオスコネクタのピン です.


また筆者所有のPC-9801BX2/U2のマザーボードには,30ピンと34ピンの2種類のFDDケーブル接続用オスコネクタがあります.34ピンオスコネクタにはFD1158Cを接続して正常に動作することを確かめてあります.


この2つのコネクタ間で導通のあったピン同士は以下の通りです.


導通の状況は両者で若干の違いがありますが,BX2/U2の30ピンオスコネクタにおいて14ピンと18ピンの間に導通が認められることから,両者は電気的に等価とみなすことができます.当然のことですが,PC-9801BX2/U2のマザーボードの30ピンコネクタと34ピンコネクタとの間のピンの導通の状態は,HAMLIN's PAGE --> FDD関係 --> FDD_6 2台接続用ケーブル回路図 26PIN_FDD用 PC-9801BX2/U2標準接続回路図 のものと同じです.

ファイルベイアダプタ付属ケーブルの実物では,30ピンメスコネクタでは1,3,5,13-17番ラインがカットされ,34ピンメスコネクタでは8,16,18,20,21,22,26,28,29,30,32,34番ラインがカットされており,GND以外のピンは BX2/U2のマザーボード上のコネクタ間の導通状況と同じということです(この情報はaochanさんよりいただきました).


-------------------------------------------------------

FD1158Cの33ピンについて

FD1158Cの制御基板にはいくつか種類があるようで,筆者はG8KSS(PC-9821Ap2/M2など内蔵されているもの)とG8HFY(外付けFDDのACCEL製Powerdisk MODEL FDC511Aなどで使用されているもの)の2種類を確認しています.
 上の資料では34ピンコネクタの33ピンの信号をGNDと表記しましたが,制御基板によってはこのピンはGNDではないようです.
 G8HFYでは33ピンと他のGNDピンとの間に導通があるのですが,G8KSSの33ピンは他のGNDピンとの間に導通がありません.これらの基板は互いに構成が大きく違っています.  G8KSSの33ピンは,
    FDN121A
    JS150003
    318
と書かれた60ピンのQFPチップの28ピンに入力しています.基板の表を見るためにケーブル類を外した状態で,他にFDDコネクタの8ピン(INDEX OUT)だけがこのチップのピン(21ピン)と導通があります.
 G8HFYではこのチップはなく,基板の同じ位置に,
    NEC C2100AGF 504
    9106BA007
というICが載っていました.FDDコネクタの33ピンは明らかに他のGNDピンと基板上のパタンで繋がっています.

筆者は以下の理由から,制御基板がG8KSSのFD1158CはDISK CHANGE信号を持たない,あるいはDISK CHANGE信号が内部で無効にされていると推測しています.理由は次の通りです.

 (1) 制御基板G8KSSのFD1158Cで,33ピンに接続されている信号線を切断してもメディアの入れ替えは正しく検出され,メディアアクセスによるファイル破壊等も認められない.
 (2) 33ピンに接続されている信号線を切断したFD1231T1台+VFOなし5インチFDD1台内蔵用ケーブルに制御基板 G8KSSのFD1158Cを接続しても問題なく動作する.なおこのケーブルでは33ピンの信号線を切断しなくてもFD1158Cは正常に動作する.
 (3) 33ピンにGNDが割り当てられている制御基板G8HFYのFD1158CをAp2の内蔵ドライブとして2年ほど使用していたが,不具合らしきものに気付いたことはない.

NEC Corporation of America Product SupportFloppy Drivesカテゴリーの資料によれば,PC/AT互換機用のFD1158Cも存在するようです.PC/AT互換機で使用されていた5インチFDDを筆者が調べた限りでは,すべてのFDD で33ピンはGNDピンでしたので,このFD1158CはG8HFYあるいはそれに近い制御基板を持つものであったと思われます.


トップページ